「蓮、病院で一度検査してもらおうか」とわこが声をかける。家には胃薬がある。奏が胃の持病を持っているため、常に常備している。それでも蓮が自分から具合が悪いと言うのは、相当つらいはずだ。だからこそ、一度きちんと検査を受けたほうが安心できる。断られると思っていたが、意外にも蓮はあっさり頷く。運転手は奏を送りに出ているため、とわこが自ら運転して蓮を病院へ連れて行く。道中、蓮は正直に打ち明ける。「ママ、俺、仮病なんだ」「え?」とわこは目を丸くする。「予約は取ってある。ママの検査を受けてほしいんだ」と蓮は説明する。「奏に知られたくないなら、俺が隠す」とわこは思わず笑ってしまう。まさか息子が芝居までして自分を病院へ連れて行こうとするなんて。「どの科を予約したの?」「脳外科」「分かった、行ってみるわ」胸がじんわり温かくなる。「ママ、病院に行きたくないわけじゃないの。お正月が終わってから行こうと思っていただけ」「先延ばしはだめだ」蓮は低い声で言う。「分かっているわ」そう答えると、車内は静かになる。分かっていると言いながら、本当は分かっていない。誰の気持ちも考えなければ、とっくに病院へ行っていたはずだ。病院に到着し、二人は車を降りる。蓮は予約情報をとわこに見せる。「専門外来を取ってくれたのね」彼女は言う。「普通の外来で十分なのに。まずは検査だから。でもせっかくだし、このまま専門外来で診てもらうわ」脳外科の前には十数人が待っている。それほど混んではいない。四十分ほど待って、ようやく順番が回ってくる。蓮は一緒に入ろうとするが、とわこは外で待つように言う。ほどなくして、彼女は検査用紙を持って出てくる。医師に頭部CTを依頼してもらったのだ。CT室でさらに二十分ほど待ち、ようやく検査の順番が来る。検査を終え、三十分後に結果が出る。気づけば、結果を受け取る頃には、もう医師の勤務終了時間が近い。とわこはCTの結果に目を落とす。予想通り、頭蓋内に影がある。あの一撃は、あまりにも重かった。つい最近、脳の手術を受けたばかりで、あんな衝撃に耐えられるはずがない。「ママ、どうだった?」蓮は画像を見ても理解できない。とわこが黙ったままなので、蓮の胸に不安が広がる。「造影CTをも
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