ゆみは歯を食いしばって睨みながら言った。「それは、あんたの方でしょ!?あんたがわざわざ私をここに入学させなきゃ、こんなこと頼まなくて済んだのに!」「それで、何が目的だ?」佑樹は問い返した。「澈に諦めさせたい?それとも遠ざけたい?でも、それで問題が解決するわけではないだろ?臆病者」「あんたこそ臆病者!あんたの家族全員、臆病者!」ゆみはカッとなって言い返したが、すぐに顔がこわばった。佑樹は笑い出した。「そうだな、お前は確かに臆病者だ」「もういい!送ってくれないなら、今後ずっと念江兄さんに送迎してもらうから。あんたは来なくていいわ」「それはありがたいね」佑樹は鼻で笑った。「僕が暇人にでも見えるのか?」ゆみはむっとして口をつぐみ、ドアを開けて学校に向かおうとした。すると、佑樹も車から降りてきた。それを見たゆみは、にんまり笑って佑樹の後ろに回り、しゃがんでからぴょんっと飛びついて首に腕を絡ませた。「首絞める気か?!」佑樹はイライラしながら低い声で言った。「いいじゃん。背負ってよ~」ゆみは腕を離さず甘えた声を出した。「お兄ちゃん、一番優しいんだもん」佑樹は仕方なく、ゆみのお尻を支えて持ち上げた。ゆみは頬を佑樹にぴったりくっつけ、甘えた声で囁いた。「お兄ちゃん」「ん?」「出発!」「……」佑樹は言葉を失った。何か言うのかと思えばそれか。佑樹はゆみをおぶったまま校内を進んだ。そんな二人の姿に、学生たちがひそひそと噂話をし始めた。佑樹もゆみも、それには全く構わず教室の方向へと歩いていった。校舎の前まで来ると、ゆみは佑樹の顔を覗き込んだ。「なんでちっとも息切れしてないの?」「いや、めっちゃしんどいけど」佑樹は皮肉を言った。それを聞くと、ゆみは彼の肩に思い切り拳を振り下ろした。「ゆみ!!」佑樹は激怒した。「お前、死にたいのか?!」「私のこと重いって言うからでしょ!」ゆみも、納得いかない様子で怒鳴った。「いつそんなこと言った?!」佑樹はついに我慢できなくなった。「降りろ!」「降りない!」「降りろって!」「やだ!もっとひっついていたいの!おんぶしてほしいの!」そのとき、目の前に、突然人が現れた。その人
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