「わかった」「了解」紗子と臨は返事をした。「まず、この簡易ベッドをどかして。八卦の図を描くから」ゆみは、バッグから五種類の穀物の粉末が入った袋を出しながら指示した。臨と紗子は言われた通りに場所を空けた。ゆみが四方の朱雀、青龍、白虎、玄武の陣を描き終えると、二人は慎重に簡易ベッドをその上に設置した。ゆみは深呼吸をして、ベッドに横たわった。臨と紗子も続いて横になった。「臨、霊呼びの鈴はしっかり守ってね。三日目の夜12時になったら鈴を鳴らして私の名前を呼んで」ゆみは天井を見ながら言った。「おっけー!任せて!」「紗子ちゃん、私が眠ったあと、12時に臨に陰陽灯を灯させて、仏紙と冥銭を燃やすよう促して。臨は外で、紗子ちゃんは中で燃やしてね」「わかってるよ。もう全部覚えてるから安心して」ゆみは頷き、目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。眠りたいわけではなく、だるさが眠気を誘ったのだ。一方の臨と紗子は、眠らずに深夜12時を待ち続けた。時間が来ると、ゆみが分けておいた少量の仏紙を、臨が養豚場の入り口で燃やし、紗子がゆみから1メートル離れた場所で燃やし始めた。そして、臨は、燃やし終えると中に入り陰陽灯に火を灯した。ゆみの指示通りに準備が整うと、紗子と臨は簡易ベッドに座り、お札を貼って周囲を警戒した。「姉さんの魂は、もう抜けちゃったのかな?」臨の言葉の後しばらく沈黙が続いたが、紗子が口を開いた。「わからないわ。とにかくゆみちゃんを守らないと」紗子はゆみから目を離さずに答えた。二人の会話は、ゆみにはも鮮明に聞こえていた。次第に体が軽くなり、目を開けると自分の手が半透明になっていることに気づいた。ゆみは立ち上がり、自分の体を見下ろした。そして驚愕した表情の紗子と臨と視線が合った。臨はゴクリと唾を飲み込み、ゆみの魂と肉体を交互に見た。「姉、姉さん?」ゆみは頷き、周囲を見回した。「二人はここで待ってて。行ってくる」二人が頷くのを見届け、ゆみは養豚場を後にした。外に出てすぐ、ゆみは手を背中に組んで立つ小林の姿を見つけた。「小林おじいちゃん!」「どうやら成功したようじゃな。さあ、まずは下まで案内する」小林は振り向いて言った。曲がりくねった道をしばらく進みながら
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