「これは何?私たちが手伝ったお礼?」ゆみは贈り物を見て尋ねた。「まあ、それもあるけど、君の能力を疑ったことへの詫びの印だ。許してくれないかな」隼人は照れ笑いをしながら答えた。「気にしないで。よく疑われるから、もう慣れてるし。わざわざ謝りに来なくてもよかったのに」「いやいや、それとこれとは別だ。遠慮せず受け取ってくれ。もし、今回のことを佑樹に知られたら、めちゃくちゃ怒られちゃう」「わかった、じゃあ受け取っておくわ。ありがとう」隼人の真剣な顔を見て、ゆみは言った。そして臨に贈り物を中に運ぶよう合図した。「そうだ、みんなで飯食いに行かない?」隼人は誘った。「ごちそうするよ。事件解決のお礼も兼ねて」ゆみが答える前に隼人が続けて言った。「いいのよ、私たちは適当に食べて帰るから。お気持ちだけいただくわ」ゆみは断った。「そうはいかないだろう。俺は佑樹と友達なんだから、そんなに遠慮しなくていいじゃないか」隼人の親切心を目の前にして、ゆみはどう断ればいいかわからなくなった。臨に行くかどうか聞こうとしたとき、ふと澈が隼人をじっと見ているのに気づいた。その静かな眼差しの中には、何か言いようのない感情が潜んでいるように見えた。その時、ゆみの脳裏に紗子の言葉がよぎった。「わかった。じゃあお言葉に甘えて」彼女はさりげなく口元を上げ、隼人に返事した。案の定、澈はゆみに視線を向けた。しかし、ゆみは気づかないふりをしたまま臨に澈の車椅子を押すよう促し、隼人と一緒に出ていった。二人が前を歩き、臨が澈の車椅子を押しながら後ろを歩いた。「高橋隊長と姉さんの後ろ姿を見ると、めっちゃお似合いだな」臨が前の二人を見て言うのを聞き、澈は思わず肘掛けを握る手に力を込めた。「高橋隊長って姉さんのことを気にしてるよな、きっと。だって、少し疑っただけでお詫びにこんな高級なもの贈ってくるなんて、普通ありえないよ。ちらと見たんだけど、ツバメの巣にナマコとか、高そうなものばかりだった」「俺にはわからない」澈は目を細め、低い声で言った。「澈兄さん!どうしたんだよ」臨は彼を見て言った。「普段は姉さんより頭が回るってのに」「人間関係の話は得意じゃない」「そか」臨は前を見たまま言った。「だって
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