Semua Bab 会社を辞めてから始まる社長との恋: Bab 1491 - Bab 1500

1519 Bab

第1491話 番外編百三十九

その感覚は、前回魂が抜けた時にはなかったものだ。ゆみは頑張って体を起こそうとしたが、力が入らず、かすかに目を開けたまま、全身が疲弊に襲われた。「ゆみ、どうしたんだ?」隼人はゆみの異変に気づき、眉をひそめて尋ねた。彼はすぐそばに座っているのに、ゆみにはすごく遠い所で話しているように聞こえた。隼人がまた話をかけようとした時、ゆみは急に頭が重くなり、目を閉じるとそのまま眠りに落ちた。隼人も臨も慌ててゆみを呼んだが、彼女は何の反応も示さなかった。「臨、ゆみを起こして。病院に連れて行くぞ!」「わかった!」ゆみを隼人の背中に乗せ、臨がドアを開け、三人は病院へ向かった。救急室に到着し、医師がゆみにさまざまな検査を行ったが、何の問題も見つからず、至って健康だった。「問題がないなら、なぜ昏睡状態になるんだ?」隼人は検査レポートを手に、眉をひそめた。「この状態は確かに不思議です。無理に理由を挙げるとすれば、疲れがたまっているのかもしれません」医師が分析した。「まあ、とにかくモニタリング装置もついているし、先生は他の患者さんに当たってください。ここは俺たちが見守ります」「わかりました。看護師にも注意するよう伝えておきます」医師が去ると、隼人は周りを見回した。「ゆみはこれまでこんなことあった?」「ないよ!」臨は答えた。「前に姉さんが閻魔様に会った時も魂が体から抜けてたけど、こんなことは起きなかった。だから今回は何が原因かわからない。姉さんが起きるまで待つしかないね」「家に電話した方がいいんじゃない?」「いや」臨は言った。「特にに問題なさそうだから、電話をしなくていい。多分、そのうち目が覚めると思う」……午前3時、ゆみは朦朧としながら目を覚ました。「ここは……病院?」ゆみはかすれた声で尋ねた。「目が覚めたか?」彼女の声を聞いて、隼人はすぐに携帯を置いて立ち上がった。「調子はどうだ?水飲む?」「大丈夫。なんで病院にいるの?」ゆみは尋ねた。「君は急に意識を失ったんだ」ゆみは腕を動かし、体を起こそうとした。隼人はゆみを支えて座らせ、背中に枕を当てた。「次からこんなことがあったら、病院に連れてこなくていいよ」ゆみは寝ている臨を起こさないように小声
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第1492話 番外編百四十

「うわ、寒っ!」臨は両腕を擦りながら姉を見た。「姉さん、あの……」臨が言い終わる前に、隼人が自分の上着を脱ぎ、ゆみに羽織らせた。ゆみはぽかんとし、隼人を見上げた。「もうすぐ11月だし、夜は冷えるから、風邪ひくなよ」隼人は笑みを浮かべて言った。「ありがとう」ゆみは頬を少し赤らめ、隼人の上着をしっかりと握りながら礼を言った。「堅苦しいことは言わなくていいさ」隼人は言った。「さ、帰ろう」その光景に、臨は口元を抑えきれずに上げた。(これ……もしかして?)(姉さんが隼人兄さんの好意を受け入れたってことは、絶対に何かあるぞ!)……三日後。帝都大学で舞踏会が開催された。ゆみと紗子はドレスに身を包み、一緒に学校へ向かった。「ゆみ、もう澈くんと和解したの?」途中、紗子が尋ねた。ゆみはもう澈のことを諦めると決めていたので、紗子が澈の話を出してもそれほど動じなかった。「和解したよ。でも紗子ちゃん、私はもう彼とは、友達のままでいようと決めたわ」ゆみは平静に答えた。「14年も続いた想いなのに……」紗子は驚いた。「それがどういうの?」ゆみは紗子の言葉を遮った。「14年も好きでいたから、時間を無駄にしたと思って、諦めるのが惜しいって言いたいの?」「そうよ。人生に14年なんて何回あるの?それに、両想いだったじゃない」紗子は頷いた。「自分で選択したの。好きだったから14年も待っていた、そこまでのことよ」ゆみはそう説明するが、口調は少し諦めきれないものだった。「じゃあ、澈くんとちゃんと話したの?」紗子がさらに聞いた。「話したよ」ゆみは平静を装おうとしたが、目元が少し赤くなった。「彼、すごく驚いてた。それに……諦める気もないみたい」「ゆみ、本当にもう少し考えてみないの?」紗子は心配そうに彼女を見た。「考えない。二人とも暫くは辛くなるけど、これから毎日苦しみ続けるよりはまし」ゆみは涙を浮かべながら笑った。「未練は確かにあるけど、好きな人を巻き込んで苦しませたくない気持ちも本当なんだ」「もう決めたなら、私は何も言わないよ」紗子はため息をついた。「うん」ゆみは無理に笑顔を作った。「紗子ちゃん、確かに私は澈くんのことが好きだ
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第1493話 番外編百四十一

「3……2……」ゆみは視線を戻さず、口の中でカウントダウンを始めた。「パンッ!――パンパンパンッ!」突然、校庭の道の両脇で花火の音が鳴り響いた。大きな花火ではなく、きらびやかで小さな花火だった。その花火はキャンパスにもっと賑やかな雰囲気を加えた。ゆみは花火に目を奪われ、最後の「1」を数えるのを忘れてしまった。ふと目を上げ花火を見ようとした時、目の前に隼人の姿が現れた。目の前の隼人は、真っ黒なスーツを着こなし、抜群のスタイルを持ちつつも、どこかダーティな魅力を漂わせていた。その腕には、一束の――ゆみの目尻がピクッと痙攣するような花が抱かれていた。小さな野菊がたっぷりと詰め込まれた花束。確かにきれいだが、あまりにも……「俺が摘んできたんだ。どう?きれいだろ?君にあげる!」隼人はその野菊の花束をゆみに差し出した。今度はゆみが口元まで痙攣し始めた。作り笑いを浮かべ、歯を食いしばりながら彼女は隼人を見つめた。「バカかあんた!」しばらく我慢していたが、ついに爆発した。隼人はきょとんとした表情で、なぜゆみが突然怒り出したのか理解できない顔だった。「あれ、気に入らないのか?頑張って摘まんできたのに……」隼人は呆然とした顔でゆみを見つめた。「菊って亡くなった人に供える花でしょ!私は死んでるわけ?」ゆみはそろそろ我慢の限界だった。隼人はすぐに手元の花束を見下ろし、ハッと気づくと、後ろに投げ捨てた。「ごめん、そういうの知らなくて……」隼人は言った。「野菊なら大丈夫かと思ったんだけど……」「呆れるわ」ゆみは口ではそう言いながら、内心では嬉しかった。だって隼人が突然花火でサプライズを仕掛けてくるなんて、思ってもみなかったから。隣で紗子がゆみと隼人を交互に見つめた。「あなたたち……」「あ、そうだ。紗子ちゃん、紹介する。こっちは刑事課警察官の高橋隼人隊長だ」ゆみはハッと我に返った。「こんにちは、高橋隼人と申します。ゆみの将来の彼氏です」隼人は紗子の方に向き、お辞儀をした。「バカ言わないで!」ゆみは笑いながら罵った。「何が『将来の彼氏』だ?」紗子は笑顔で隼人にお辞儀をした。「こんにちは、吉田紗子です。ゆみの親友よ」そう言うと、紗子はゆみ
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第1494話 番外編百四十二

「ゆみ」突然、横からかかってくる声が紗子の話を遮った。会場の入り口に、澈が杖をついて立っていた。ゆみと紗子は二人揃って澈の方を見た。そこに、後から駆けつけた隼人の姿もあった。澈を見て、ゆみと紗子は今の話の流れから、すぐには反応できなかった。「おっ、澈さん、来てたのか!これ、食べる?」一方、隼人は食べ物を持って近づき、笑いながら言った。「いい。どうしてここに?」澈は微笑んで断った。「舞踏会の警備の件で、学校が警察に協力要請を出したからさ。俺も名乗り出て、ゆみの相手をしようと思ってな!」「用事があるなら先に行っていいよ。ここは僕に任せて」澈は特に反論せず、穏やかに言った。「そうはいかないだろう!」隼人は即座に拒否した。「せっかくオシャレして来たんだ。ゆみのためだぜ。女の子を争うのは構わないけど、俺を追い払おうとするのはフェアじゃないだろ?」「……」澈は争うつもりはなかった。ゆみは人間であって、奪い合いの対象じゃない。「私はそんなに人がついていないとダメな子に見える?もう大人なんだから、べったりしてもらわなくても平気よ」ゆみは呆れた。「いやいや、俺からしたらまだお子様だぜ!6歳も年上なんだから、面倒見てやらないと」隼人の言葉に、ゆみはまたもや返す言葉を失った。紗子はゆみが今、どちらを選んでも難しい状況だとわかっていた。隼人を選べば、澈が置き去りにされることになる。澈を選べば、隼人の今夜の努力が無駄になる。「澈くん、ちょっと話があるんだけど、いい?」紗子は少し考えてから口を開いた。「ゆみ、隼人さんと事件の話があるんでしょ?先に行ってて、後で合流するから」そして彼女はゆみに視線を移して言った。ゆみは紗子の機転に心底感謝した。「ちょっと紗子ちゃん、ゆみに代わって選択しちゃダメだろ?俺と澈さんの勝負は、ゆみに決めさせないと」頷こうとした瞬間、隼人が口を挟んだ。紗子は隼人のストレート過ぎた発言で一瞬凍りついた。ゆみも呆れ、目を回しそうになった。こいつはマジで鈍感すぎる!!「私、まだ一度も踊ったことないんだから、付き合ってよ!」ゆみは我慢できず、隼人を蹴り飛ばした。「いいぜ、行こう!」隼人は興奮してゆみの手を引き体育館の中へ駆け込んでいっ
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第1495話 番外編百四十三

舞踏会の会場。ゆみと隼人は、ぎこちない体勢で抱き合い、周りの人たちの真似をしながら踊っていた。しかし、隼人がゆみの足を踏んだり、ゆみが隼人のを踏んだり、二人は痛さに顔を歪ませるばかりだった。「もうやめる!ムカつく!!全然できないじゃん!」ゆみは耐えられず、隼人を突き放した。「俺もだ!俺たちダンス向いてねえな!」隼人も同じようにゆみから離れた。「じゃあ、何する?」二人は目を合わせ、ゆみが尋ねた。「俺、この学校の卒業生だからいい場所知ってるんだ。ゆみが行ったことあるかどうか分からないけど」隼人は考えてから言った。「どこ?」隼人は意味深に笑った。「絶対に気に入ってくれる場所だ」そう言って隼人がゆみの手を取ろうとした瞬間、入り口から悲鳴が響いた。それが紗子の声だと気づいたゆみは、慌ててドレスの裾を掴んで駆け出した。隼人もすぐにゆみの後を追った。二人が外に出た頃、体育館の入り口は、すでに大混乱だった。多くの学生が遠巻きに事態を見守る中、紗子が男にナイフを首に突きつけられていた。澈は少し離れたところに立ち、腕を刺され、血が滴り落ちていた。「紗子ちゃん!!」ゆみは恐怖で声を震わせた。「近づかないで!」紗子は怯えながら叫んだ。「ナイフを下ろして!彼女を傷つけないで!」ゆみは男に向かって叫んだ。男は若い学生で、舞踏会に参加していたようだった。なぜナイフを持っているのかは不明だ。「傷つけてほしくないなら、石原玉美(いしはら たまみ)を呼んで来い!!」男は激昂して叫んだ。「玉美?」ゆみは隼人を見た。「隼人、同僚に玉美って子を探してもらえる?」「わかった」隼人は真剣な表情で、無線で部下に指示を出した。「彼を保健室に連れて行ってくれる?」ゆみは周りの学生に頼んだ。学生たちは我に返り、手を貸し始めた。「ゆみ、近づくな……」澈はゆみを心配そうに見た。「あなたは保健室に行って!」ゆみはきっぱりと言った。「まずは傷の処置よ!」澈が学生たちに連れられていくのを見届け、ゆみは慎重にナイフを持った男に近づいた。「ナイフを下ろして。玉美を呼んでるから、落ち着いて」隼人はゆみの動きを注視し、静かに腰の拳銃に手をかけた。「止まれ!これ
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第1496話 番外編百四十四

「悔しいんだよ!」男の学生は泣き叫んだ。「もし彼女がちゃんと話してくれていたら、諦めることもできた!なのに、なぜあんな酷いことを言った?」「それは、最初からあなたを大切にしてない証拠よ!そんな女に執着する必要ある?」話しながら、ゆみは少しずつ距離を詰めていた。ナイフを握った男の手を凝視し、固唾を飲んだ。ゆみは飛び込むタイミングと、男の腕を蹴る位置を計算した。もし失敗したら、紗子ちゃんが危ない。そう考えながら、別の策も頭に浮かべていた。「お前の話なんか聞きたくない!」男は叫んだ。「玉美を連れて来い!今すぐだ!!」「見つけた!」突然、人々の中から声が上がった。「玉美を連れてきたぞ!」男の注意がそちらに向いた瞬間、ゆみはハイヒールを脱ぎ捨て、ドレスの裾を握って全力で駆け出した。男の眼前に飛び込み、片手でその手首を掴み、上へと捻り上げる。男は痛みで悲鳴を上げながらナイフを落とした。ゆみは紗子を引き寄せると、今度は思い切り男の胸に蹴りを入れた。男が倒れると同時に、周囲の私服警官たちが押さえつけた。幸い紗子の首はただ軽く充血するだけで、出血はなかった。それを確認できると、ゆみは安堵の息をついた。「もう大丈夫だよ、私がいるから、怖がらないで」震える紗子を、ゆみは優しく抱きしめた。「ありがとう、ゆみ……」紗子は涙を浮かべながら頷いた。「いいって、中で休もう」ゆみは微笑んで言った。「澈くんのところに行きましょう」紗子ちゃんが提案した。「彼は私を助けるためにけがをしたんだから」「そうだね」ゆみは少し考えてから頷いた。ちょうどその時、隼人が男の学生を処理し終えて戻ってきた。「片付けたぞ」「本当に玉美を呼んできたの?」ゆみはふと思い出したように聞いた。「いや、嘘だった」隼人は真面目な顔で言った。「あくまで注意をそらすためだ。俺は撃つつもりだったが、君の行動には驚いたぜ!」「でもあんたがチャンスを作ってくれたおかげで、紗子ちゃんを助けることができた」ゆみは笑みを浮かべた。「さすが俺が惚れた女だ!」隼人は思わずゆみの頭を撫でた。「もう!」ゆみは彼の手を払いのけた。「せっかくのヘアスタイルが台無しよ!」「じゃあ
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第1497話 番外編百四十五

「澈が署に行く必要ある?」ゆみは訝しげに聞いた。「彼も被害者なのに」「本来なら必要ないけど、みんな手が離せないからな。わざわざ来てもらうより、俺が連れて行って、調書取ってから送り届けた方が効率的だろ?」そう言い、隼人は澈を見た。「構わない」澈は淡々と答えた。「ゆみ、そっちはどうする?帰る?」隼人は頷き、ゆみに聞いた。「まず紗子ちゃんを家まで送らせたい」「じゃあ後で電話する?」隼人は笑顔で言った。「例の場所、連れて行く約束してたぜ!」その言葉に、澈はパッとゆみを見た。清らかな眉間に疑問と不安が浮かんが、ゆみは気づかなかった。「こんな時間にまだどこかに連れて行く気?」ゆみは呆れて言った。「当然だろ?約束は約束だ。できないことは最初から言わない」「わかったわ。まず紗子ちゃんを送るから、澈くんのことは頼むね。後で連絡する」隼人は頷き、澈を支えながら先に立ち去った。道中、澈は隼人がゆみに言った「例の場所に連れて行く」という言葉が頭から離れなかった。「調書は1時間かかる。往復でもう1時間……遅くならないか?」澈はついに我慢できず問いかけた。「俺がゆみを連れ出すのが気になるのか?」隼人は察し、立ち止まって言った。「警察とは言え、夜中に女の子を連れ回すのは、適切なのだろうか」隼人は真剣な表情で指摘した。「やっていいこととそうでないこと、俺はわきまえている。あんたはまだゆみと付き合ってすらいない。俺たちのことに口を挟む立場じゃないはずだ」「確かに僕には関係ない。だが、ゆみは女性だ。夜中に男と出歩くのは、彼女の評判が傷つく」澈は隼人を直視した。「評判?」隼人は嗤った。「今どき異性と遊ぶくらいで何が問題だ?あんたにだって女友達はいるんだろ?」澈は言葉に詰まった。「ゆみが本気で好きなら、浮気はするなよ」澈はじっと隼人を見つめ、やがて言った。「恋愛経験ゼロの俺が、どうやって浮気するんだ?そもそも相手もいないし」隼人は再び歩き出し、傷ついた澈を支えながらぶっきらぼうに返した。澈は不満そうな視線を投げた。「そんなに見るなよ。俺の周りに女なんてほとんどいないって。仮にいたとしても、こっちが相手にするかどうかだ」隼人は肩をすくめた。「そん
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第1498話 番外編百四十六

ゆみはざっと事情の経緯を説明した。「その人は捕まったの?」瑠美はゾッとした。「捕まった。紗子ちゃんも無事だし、安心して」ゆみは紗子を瑠美に託した。「私は先に帰って着替えてくるから、紗子ちゃんをよろしくね」後で隼人が来るので、ドレスを着たままあちこち歩くわけにはいかない。「わかった、気をつけて帰ってね」「はいよ」ゆみは車に乗り込み、窓を開けて瑠美と紗子に手を振った。別荘地を出た途端、隼人からメッセージが届いた。「今署に着いた。取り調べはそんなに時間かからないと思う。君は?友達を家に送った?」ゆみは自分でも気づかないうちに口元が緩んでいた。「紗子ちゃんを家に送ってきたところ。これからいったん家に帰る」ゆみは返信した。「確かにドレスのままだと不便だな。この後、壁を乗り越えていくんだから」「壁越え?結局何をしようとしてるの?」ゆみは軽く眉をひそめた。「今はまだ言えない。全部話したら、神秘感がなくなるんだろう」「わかった、じゃあ楽しみにしてるわ」「あと、家に着いたら、後で俺が来ると警備員に一声かけておいて」「車のナンバー教えて」ゆみは別荘地の入り口に着くと、警備員に隼人ナンバーを伝えて通行を許可するよう頼んだ。家に帰ると、紀美子と晋太郎はちょうど出かけるところだった。「あら、舞踏会はもう終わったの?帰ってくるの早いね」紀美子はゆみを見て驚いた。「舞踏会どころじゃないよ」ゆみは疲れたようにため息をついた。「ちょっと酷い事件が起きたんだ」紀美子と晋太郎は顔を見合わせた。「何?」二人は声を揃えて聞いた。ゆみはもう何度も説明したくないし、もし話したら、きっと二人にあれこれ聞かれることになる。「別に大したことじゃないよ。ところで、あんたたちは出かけるの?」「佳世子たちとお父さんのワイナリーでパーティをやるから、今夜は多分帰ってこないわ」二人が帰らないと聞いて、ゆみはなぜかほっとした。でないと、あとで隼人が迎えに来るとき、また両親に長々と説明しなければならなくなる。「分かった。佳世子おばさんによろしくね。私はちょっとシャワーを浴びてくる」ゆみは何度も頷いた。「わかった」ゆみはすぐには上がらず、紀美子と晋太郎が車に乗り込むのを見届け
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第1499話 番外編百四十七

「持たなくてもいい」佑樹は言った。「隼人を君のそばに置いたのは、この世の男は澈だけではないというのを分かってもらいたかったからだ」「じゃあ、作戦は大成功だね!」ゆみは笑って言った。「その様子だと、澈のことはもう諦めたのか?」佑樹も笑みを浮かべた。「まあね。でもまだ一つわからないことがある」「何だ?」「佑樹兄さんが澈くんのことを認めないなら、なぜ私を彼のいる大学に行かせたの?」ゆみは首を傾げた。「そんな簡単なこともわからないのか?」佑樹はゆみの額を軽く突いた。「だってあんたの考えは深すぎて、私にはわからないよ」ゆみは額を押さえながら言った。「君を澈の学校に行かせたのは、二人の誤解を解かせたかったからだ。誤解が解けなければ、君はずっとその人のことに引きずられる。ゆみ、君はもう二十歳だ。いつまでも昔の記憶に縛られて立ち止まってはいけない。今君が澈のことが好きなのは、子供の頃うまが合ったからだろう。でもそれは未来を保証するものじゃない。自分の心に聞いてみろ。今の彼と子供の頃の彼は本当に同じだと思うか?」「確かに、違うと言えば違うし、同じと言えば同じ……でもやっぱり何かがちょっと違う気がする。どこが違うのかはわからないけど、一つ確かなのは……彼といると、心が疲れる」「それで十分だ」佑樹は言った。「まだ正式に付き合ってもいない今でさえ、君をこんなに疲れさせる人間が、きっとこの先もっと君を苦しめるだけだ」「わかってるよ、兄さん」ゆみは言った。「けど私も恋なんかに人生を賭けるほどバカじゃない。もうそろそろ隼人が来るから、シャワー浴びて着替えてくる」そう言うと、ゆみは階段を駆け上がった。佑樹は妹の後ろ姿を黙って見つめた。彼はゆみが今言った言葉は、ただ自分を慰めるためのものに過ぎないとわかっていた。兄として、自分の妹のことがわからないわけがない。彼女は恐らく、もう一生分の想いを澈に注ぎ込んでいた。いや、むしろ注ぎ込みすぎるほどだった。ただ、彼女はまだ少し理性が残っていて、これ以上続けてはいけないと自覚しているだけなのだ。一時間も経たないうちに、ゆみは着替えを終え、隼人からメッセージが届いた。「準備はいいか?俺はもう君の家の前に着いてるぜ」「えっ、ちょっと早くない?
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第1500話 番外編百四十八

「安心しろよ、ゆみに変な考えなんて持ってないさ。まだ二十歳だしな」二人の会話をゆみが後ろで呆れながら聞いていた。この人たち、私を空気扱いか??「ねえ、中に入ってゆっくり話せば?」ゆみは横に一步出て、恨めしそうに二人を見た。「こいつと話すことなんて何もない」佑樹はそう言うと、さっさと別荘に引き返していった。「佑樹の性格、ほんとツンツンしてるな」隼人は頭をかきながら、ゆみに苦笑いを見せた。「それには同意!さ、行こう!」ゆみは笑って隼人の肩を叩いた。「おう」二人は車に乗り込み、再び学校の方へ向かった。30分ほどで学校の正門に到着。隼人はすでに警備員に連絡を取ってあり、二人はスムーズに中に入ることができた。キャンパスを西へと進んでいくと、隼人は突然ゆみの手を握った。ゆみは反射的に手を引っ込めようとした。「いや、別に変な意味はないから。この先の道が暗くて歩きにくいんだ。心配するな」隼人は慌てて説明をした。ゆみは隼人の大きくて温かい手を見下ろし、心臓の鼓動が自然と速くなった。「私、夜道は慣れてるから、大丈夫なの」耳の根が熱くなるのを感じながら呟いた。「俺がいる限り、一人で夜道を歩かせたりしない」隼人はそう言うと視線を前に戻し、それでも手を離さなかった。ゆみの手のひらは緊張で汗ばんでいたが、隼人は気づいていても放そうとしなかった。隼人の言う通り、西へ進むほど道は真っ暗になり、足元の小石も多くなって歩きにくくなっていった。ゆみはしっかり踏みしめようとしたが、体勢は安定しなかった。隼人はしっかりとゆみの手を握り、歩調を合わせてゆっくり進んでいった。錆びた鎖で閉ざされた鉄柵の前に来た時、隼人はようやく足を止めた。ゆみも立ち止まり、柵の向こう側を覗いてみたが、暗すぎて三階建ての古びた校舎がかすかに見える程度だった。隼人はポケットから懐中電灯を取り出し、中を照らした。光に照らされ、廃墟となった教室棟がはっきり見えた。「ここに連れてきて何がしたいの?」ゆみは不思議そうに隼人を見た。「ここがなぜ改築されずに放置されているか知ってるか?」隼人は振り返り、ゆみに問いかけた。「例の心霊現象があったからでしょ」ゆみは即答した。「それ以外に考えられない」
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