幼馴染の二人は、それぞれの道で全力を尽くしていた。修澈は薬学から医学へと歩みを進め、それが神薬山荘での唯一の心の支えとなった。以前は支えというより、逃避に近かった。山を下りて診療所を開き、人を治すなど不可能だと諦めていたからだ。しかし潤の訪問、そしてその後届いた一通の手紙が、下山への希望を灯した。それからというもの、寝食も忘れて学問に打ち込んでいる。自らが苦痛に苛まれた経験から、痛みと外傷の治療を専門に研究した。もちろん医術は総合的な学問——他の分野もおろそかにはしていない。胸の奥で何かが燃えている。長年感じたことのなかった情熱だった。神薬山荘に送られた瞬間から、たとえ生き延びても、この程度の人生で終わると覚悟していた。今は違う。身分を変え、顔を変え、学んだ全てを携えて山を下りることができる。役に立つ人間になれる。陽の当たる場所で生きていける。もう身を隠して縮こまっている必要はないのだ。興奮のあまり、修澈は何晩も薬草工房に籠もりっきりだった。食事も睡眠もそこで済ませる有様に、師匠は恐れをなした。「この熱中ぶりは尋常ではない。大師匠に手紙を送ろうか」修澈は師匠に向けて、これまで見せたことのないほど晴れやかな笑顔を浮かべた。その笑顔があまりに異質で、師匠は祈祷師を呼ぼうかと本気で考えた。まるで別人のように無邪気に笑う弟子が、邪気に憑かれたのではないかと疑ったのだ。師匠の知らぬところで、修澈には言えずにいることがあった。潤の計画が失敗する可能性もある——希望を抱きながらも、心の準備は怠らない。落胆が激しすぎないよう、自分を守るためだった。月が満ちては欠け、四季が幾度も巡り、二年という歳月が指の間をすり抜けるように過ぎ去った。秋分の日。空は高く澄み渡り、穏やかな陽射しが頬を撫でていく。東から西へと流れる白い雲が、風に押されてゆっくりと移動していた。潤が再び神薬山荘を訪れたとき、今度は書童の福田小正を連れていた。小正はその後、棒太郎に武芸を学んだ。努力は必ず報われるもので、今では師匠に三百手まで立ち向かえるようになっている。蝉の羽根より薄い人工の皮膚が、修澈の素顔に密着する。重さはほとんど感じられず、むしろ装着感すらない。思わず手で触れてみると、薄さゆえに体温が伝わり、本物の肌と区別がつかなかった。銅鏡に
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