車のドアが開き、三井鈴がゆっくりと車から降りた。「ちょうど身体動かしたくてウズウズしてたとこ」目の前の男たちをざっと見渡す。「まとめてかかってくる?それとも一人ずつ?」刃物を手にしたごつい男たちは、やる気満々といった様子で草むらの仲間をチラリと見てから、車内を覗き込む。乗っているのは鈴一人。それを確認して、途端に気が緩んだ。刺青の入った男が煙草をくわえながら部下の頭を押しのけ、前に出てくる。「見ての通り、こっちは数で勝ってる。分かってんなら指輪出せ。大人しく渡せば、痛い目は見ずに済むぜ」鈴は鼻で笑った。「なるほど、佐藤颯汰の手先ってわけね」」「チッ、うるせぇな。渡すのか、渡さねぇのか、どっちだよ?」次の瞬間、鈴は刺青男の口から煙草を抜き取り、その火を迷いなく額に押し付けた。男が呻く間もなく、鈴の鋭い横蹴りが炸裂し、彼は吹き飛ばされて地面に転がった。「喋りすぎ。うるさいの嫌いなのよ」冷ややかに言い放つ。「てめぇ……よくもやりやがったなッ!」男は地面に手をついて起き上がり、口から飛び出た歯をペッと吐き捨てた。「やっちまえッ!ぶっ飛ばしてやる!」手下たちが一斉に鈴へ襲いかかる。――だが、次の瞬間にはあちこちから悲鳴が上がり、男たちは吹き飛ばされていく。倒れるたび、呻き声が響いた。10分もかからず、全員が地面に転がって「うぅ……」と呻くだけの状態に。鈴は刺青男の前に立ち、あきれたように見下ろす。「あんたがリーダー?」「……まぁ、一応」「さっき『ぶっ飛ばす』って言ってた時は、もっと威勢よかったけど?」足先で男の体を足で軽く蹴ってから、淡々と告げる。「二人一組で縄で縛って、そのまま警察まで歩いて行きなさい」「ま、待ってくれって!お姉さん、それだけは勘弁してくれ!次からは絶対やらないって誓うから!」鈴の目が鋭さを増す。「この場でぶちのめされるか、警察に出頭するか。好きな方を選びなさい」本気だ――刺青男はそう確信した。命が惜しければ、選択肢はひとつしかない。「わ、わかった!行く、行きます!今すぐ行きますから!」助かった命に感謝しながら、必死で頭を下げる。あの女には逆らえない。本当に命がなくなる。一通り片付けを終えた鈴は、再び車に乗り込んだ。「土田、行っ
Read more