幸は浜白へ戻ってきたばかりだった。それなのに呼び出されて酒を飲むことになり、少しばかり慌ただしく駆けつけた様子だった。「顔色悪いけど、何かあった?」ボックス席で、鈴はグラスを握っていた。中身はもう半分ほど減っている。「ごめんね。結菜も真理子も忙しくて、呼べたの幸だけだった」すでに少し酔っていた。幸は眉を上げる。「そういう言い方されると、他人扱いされてるみたいなんだけど?」そう言いながら、自分のグラスにも酒を注ぎ、付き合うようにひと口飲んだ。「で?まだ肝心なことを聞いてない。何があったの?」鈴は深刻な顔で言った。「仁さんが帰ってきた」「いいことじゃない。嬉しくないの?」「告白された」まさに、寝耳に水だった。幸は酒をむせて、しばらく咳き込んだ。ようやく落ち着くと、身を乗り出す。「告白?いつ?どこで?何て言われたの?」目がきらきらしている。完全に面白がっていた。鈴は髪をぐしゃりとかき上げ、苛立たしげにため息をつく。それから、起きたことをかいつまんで話した。てっきり幸は一緒になって怒ってくれると思っていた。ところが、話を聞き終えた幸の顔には、なぜかにやにやとした笑みが浮かんでいる。「その笑い方、ちょっと怖いんだけど……」幸は鈴の手からグラスを取り上げた。「甘っ……これは推せる。推しカプ決定」鈴は呆れて笑った。「正気?」「考えてみなよ。田中さんがどうして帰ってきたのかって、鈴が安田と一緒にいるのを見て、我慢できなくなったからでしょ。気にしてるし、嫉妬してる。そこまでされたら、好きだって分かるじゃない」幸は少し考えてから、今度はまっすぐ尋ねた。「鈴は、田中さんのこと好きじゃないの?」鈴は首を横に振った。「嫌いなわけじゃない。ただ……何もかも急すぎる気がするの。まだ分からないことも多いし、ちゃんと整理できてないのに、急にあんなふうに……」しかも、あんな状況で。幸は肩をすくめる。「恋なんて、そういうものでしょ。全部予定通りに進むなら、それはもう恋じゃなくて仕事だよ」それも一理ある。鈴はふと思い出したように聞いた。「じゃあ、幸と助兄さんは?どっちが先に告白したの?」その瞬間、幸はすっと天井を仰いだ。「え?何?ちょっと店
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