彼女のきっちりした態度に、絵里は思わず笑ってしまった。「だからこそ、あなたがいるから誰も呼んでないのよ」「それに、私もそんなことできないし。ちゃんと生きていきたいもん」静華はふと光のことを思い出した。前に花火をしたときも、絵里が清美と肩を組むだけで、光は明らかに不満そうだった。もし絵里が同伴なんて頼んだら、あの人きっとこの店をひっくり返す。恵弥はその話を聞いて、少し不満そうに口を尖らせる。「歌だけ歌う子呼ぶのは別にいいでしょ?別に何もしないんだし。そのときはみんな、ちょっと距離を取ればいいんだし」清美は静華を抱き寄せて、「静華ちゃんが今言ったばかりでしょ」と念を押す。恵弥はすかさず静華の手を取って、うるんだ目で懇願するように見つめてくる。「……」静華は少し黙ってから聞いた。「本当に今、彼氏いないの?」恵弥は視線を泳がせつつも、「もちろん」と答える。「結婚もしてないの?」「それはない」今回の答えは前よりはっきりしていて、結婚はしてないと分かったが、彼氏がいないかどうかは微妙なところだ。前に麻雀をしていたときも、あの弟くんとか言っていたし。「好きにしたらいいけど、私は必要ないし、絶対に変なことはしないでね」「……」恵弥は数秒固まってから、「なにそれ。ああいうタイプの上司?うちの生活指導の先生より指導してくるんだけど」とからかう。清美は声をあげて笑う。「静華ちゃんは仕事に対しては本当に真面目なの」恵弥は何も言い返さなかった。その後、みんなでビュッフェエリアに移動して食事をとり、それからカラオケの個室へ。紗友里が「もう温泉は戻らないの?片付けさせていい?」と聞きに来る。恵弥は「お酒とフルーツ、まだ持ってきてないよ」と言う。「私が持ってこさせるわね」と紗友里が手配し、彼女たちが使った部屋はしっかり掃除、消毒し、水も入れ替えて、換気してから次の客に使わせる段取りだった。カラオケ個室。恵弥はどこかソワソワして、ずっとドアの方を見ていた。清美は気にせず、曲を選びながら静華に「何か歌う?」と聞く。静華は首を振って、「あまり得意じゃなくて……」と答える。清美は、「篤人、歌うまいんだよ。帰ってきたら絶対に聴いてみてね」と言い、ウィンクした。「絵里さんもすごくうまいの。今日はラッキー
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