琴音は理仁と唯花に非常に興味を示した。「私も結城さんの奥さんとお知り合いになる機会があったらいいんですけど」彼女は理仁の噂は聞いたことがあったが、本人とは会う機会がなかったのだ。あの結城理仁を落とした女性だから、琴音はその人はきっと他の女性よりも優れた魅力的な人物なのだろうと思ったのだ。結城家の若奥様に男を落とすテクニックを学ばせてもらえばいい。今年二十八歳の琴音は今はまだ独身だった。彼女は十九歳の時にある人を好きになったことがあるが、その恋は実らなかった。その後は一族の会社で働き始め、あまりの忙しさに今に至るまで彼氏も作っていなかったのだ。美乃里は意図的に彼女と隼翔をくっつけようと思っている。東家と樋口家の両家ともそれに賛成意見だ。琴音は隼翔の過去もよく知っていて、以前危険なグループに混ざっていたことも受け入れることができる。それに彼の顔にくっきりと残っている傷痕ですら気にしていなかった。彼女は彼に好きになってもらえたら、絶対にその傷を消す手術を受けてもらおうと考えていた。その傷がなくなれば、生まれつきのイケメンに戻るのだから。琴音の話を聞いて、美乃里は笑って言った。「その機会ならいくらでもあるわ。理仁君は隼翔とは親友なのですから」ここまで話すと、美乃里は声を低くして琴音に言った。「内海唯花は一般家庭の出身だけど、理仁君の妻であることはもう変わらないわ。今後、琴音ちゃんもあの子と知り合いになって、交流を深めておいたほうがいいわね」美乃里は気高くプライドの高い強気な女性である樋口琴音が唯花を気に入ることはないと心配していた。しかし、唯花は結城理仁が目に入れても痛くないほど溺愛している女性だ。また、理仁は隼翔とは親友だから、もし琴音が隼翔と一緒になれば、その理仁の周りとは溶け込んでいかなければならないのだ。もし琴音が唯花を気に入らず仲良くできなければ、理仁の怒りを買ってしまい、理仁と隼翔の関係に亀裂が入ってしまうかもしれない。美乃里も琴音のせいで理仁と隼翔の関係が悪化するのは望んでいないのだ。星城において、理仁と心が通じ合う本当の友人は彼女の息子と九条悟しかいないのだ。琴音は微笑んで言った。「おば様、わかりました。英雄たるや、その出身や来歴などは関係ないもの。内海さんが結城家の若奥様という立場になれたのも、それは彼女の実
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