「唯花に唯月、ちょうどいいところに帰ってきたわね。これは一体どういうつもりなんだい?言っとくけどね、あんた達はもうずっと昔にこの家から出ていった。この村を離れた瞬間から、この家も土地も全部私らのもんなんだよ。これはうちの息子が残してくれた家なんだから、私とじいさんの財産なのさ。それを誰にあげようってそれは私らの勝手だろう。だけどね、他所の家に嫁いじまったあんたらなんかには絶対に譲らないよ」内海ばあさんは唯花と唯月が多くの人を引き連れて来たのを見て、心の中ではかなりソワソワしていた。彼女が入院していた頃、唯花の手強さは聞いていたのだ。それに今や唯花は玉の輿に乗り、財閥家の若奥様という立場になったとも知ったのだ。少なからず後ろめたさを彼女も持っていた。なんといっても、無理やりこの家を占領しているのだからだ。当時、姉妹がまだ未成年で、何の力もなかったことをいいことに、強制的に彼女たちを追い出してしまったのだ。ここを追い出された時、唯花は確かまだ十二歳だったはずだ。姉妹が家を追い出されてから、暫くの間はまだ村に戻ってきて両親の墓参りに来ていた。そしてまた両親が残してくれた家で生活したいとも考えていたのだ。しかし、毎度村に戻ってくるたびに内海じいさんとばあさんから棒で殴られ、大声で怒鳴られ、それを繰り返されていたのだった。ひどく叩かれるものだから、村を離れて数年すると、もう戻る気にもならなくなった。そして、両者は互いに連絡を取ることもなくなった。唯月が結婚するという知らせを手に入れると、内海家は図々しくも佐々木家に六百万もの結納金を要求してきたのだ。しかし、それを唯月に拒否され、佐々木家には絶対にその金を出させないようにして、おじいさん達に怒鳴って追い払ったのだった。それからまた三年ほど全く連絡はしていなかった。そして内海ばあさんが病気になって、内海家の面々がその医療費を出したくないと思い、唯月たち姉妹のことを思い出したのだ。姉妹はなかなか良い生活を送っていると思い、それでまた連絡をしてきたのだった。内海ばあさんは昔彼らがやってきたことは、さすがにやり過ぎていたということを自分でもよくわかっていた。村人ももう見るに堪えないと思っていたが、おばあさんはとても性根が悪く、恥知らずの話が全く通じない相手だ。それで彼らも彼女に関わって面倒なことにな
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