Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 1021 - Bab 1030

1060 Bab

第1021話

「唯花に唯月、ちょうどいいところに帰ってきたわね。これは一体どういうつもりなんだい?言っとくけどね、あんた達はもうずっと昔にこの家から出ていった。この村を離れた瞬間から、この家も土地も全部私らのもんなんだよ。これはうちの息子が残してくれた家なんだから、私とじいさんの財産なのさ。それを誰にあげようってそれは私らの勝手だろう。だけどね、他所の家に嫁いじまったあんたらなんかには絶対に譲らないよ」内海ばあさんは唯花と唯月が多くの人を引き連れて来たのを見て、心の中ではかなりソワソワしていた。彼女が入院していた頃、唯花の手強さは聞いていたのだ。それに今や唯花は玉の輿に乗り、財閥家の若奥様という立場になったとも知ったのだ。少なからず後ろめたさを彼女も持っていた。なんといっても、無理やりこの家を占領しているのだからだ。当時、姉妹がまだ未成年で、何の力もなかったことをいいことに、強制的に彼女たちを追い出してしまったのだ。ここを追い出された時、唯花は確かまだ十二歳だったはずだ。姉妹が家を追い出されてから、暫くの間はまだ村に戻ってきて両親の墓参りに来ていた。そしてまた両親が残してくれた家で生活したいとも考えていたのだ。しかし、毎度村に戻ってくるたびに内海じいさんとばあさんから棒で殴られ、大声で怒鳴られ、それを繰り返されていたのだった。ひどく叩かれるものだから、村を離れて数年すると、もう戻る気にもならなくなった。そして、両者は互いに連絡を取ることもなくなった。唯月が結婚するという知らせを手に入れると、内海家は図々しくも佐々木家に六百万もの結納金を要求してきたのだ。しかし、それを唯月に拒否され、佐々木家には絶対にその金を出させないようにして、おじいさん達に怒鳴って追い払ったのだった。それからまた三年ほど全く連絡はしていなかった。そして内海ばあさんが病気になって、内海家の面々がその医療費を出したくないと思い、唯月たち姉妹のことを思い出したのだ。姉妹はなかなか良い生活を送っていると思い、それでまた連絡をしてきたのだった。内海ばあさんは昔彼らがやってきたことは、さすがにやり過ぎていたということを自分でもよくわかっていた。村人ももう見るに堪えないと思っていたが、おばあさんはとても性根が悪く、恥知らずの話が全く通じない相手だ。それで彼らも彼女に関わって面倒なことにな
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第1022話

しかし残念かな、彼女は年寄りのおばあさんであるから、二人のボディーガードを前にして逃れることなどできなかった。ボディーガードたちはもちろん彼女を傷つけることなく、抱えて去って行くだけだった。その他の内海家の面々はそれを見て、すぐに飛びかかってきたが、結城家と神崎家のボディーガードたちが同時に飛び出していき、彼ら全員を外へと追いやり、彼らが近づくことはできなかった。「悪党だ!殴られた!」内海ばあさんは唯花たちを目の前に多勢に無勢で、両足を着地させると地面に座り込み、太ももを叩きながら、大声でそう叫び出した。しかし、村人たちは周りで傍観しているだけで、誰も助けに入ることはなかった。それに彼らの様子を撮影している者もいた。その場にいて様子を見ている野次馬たちも物事をしっかりと理解できている。唯花が連れてきた人たちは、ただ内海ばあさんをそこから退かすだけで、彼女に危害を加える気は全くないということがわかっているのだ。内海ばあさんがあのように叫んでいるのも、人を騙そうとしているだけだろう?動画撮影している人は、この様子を最初から最後まで撮影しておいて、内海ばあさんたちがまた真実を隠そうとした時、その動画を世に送り出そうと考えていた。世間の人に一体何が起きたのか真実を伝えるつもりだ。内海家が去年のように自分たちが正しいと思わせて、二人の両親を亡くした姉妹を陥れるようなことがないようにだ。唯花の指揮の下、次々と様々な資材が積まれたトラックがやって来て、全て彼女の家の空地へと運ばれた。実際、唯花はこのようなことをしたとしても、彼女たちが村を去った後、内海家のクズたちがそれらを退かしてしまうことはわかっていた。しかし、それは別にいいのだ。彼女はただこうすることで実家を取り戻すという開幕式を演出しているだけなのだから。「さっさとじいさんとあの子たちに連絡するんだよ」内海ばあさんはしきりに太ももを叩いていたものだから、そこが真っ赤になっていた。村人たちが誰一人として彼女の味方になってくれないとわかると、太ももを叩くのを止め、地面から立ち上がりズボンの土を払って孫たちに叫んでいた。彼らに内海じいさんと二人の息子、及びその孫たちにすぐに帰ってくるよう電話をかけさせた。大勢いるこの内海一族の中で、最も実力のある者は智文と智明の二人の孫
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第1023話

唯花は冷たく笑った。「十六年前、お父さんとお母さんが亡くなった時に支払われた一億二千万の賠償金を手に入れるために、あんたとじいさん、それから息子と孫たち大勢を引き連れて早くそのお金をもらおうって、全員うちに駆け込んできたわよね!あんた達、私とお姉ちゃんにお金を出せ出せって言ってきたよね。確かにあんたとじいさんがもらえる分はあるけど、実際に一体いくら取っていった?当時、あんた達はその賠償金を少しでも多くもらいたいがために、生きている間は私とお姉ちゃんには一切世話にならないって言ってたはずよ。あんた達が死んでも、葬儀や墓のことは構わなくていいとね。そう言っていた内容は、きちんと紙に記して証拠として残ってるでしょ。もしかしたら、あんた達のその誓約書はとっくの昔に捨ててしまったかもしれないけど、私とお姉ちゃんのところに同じものがしっかりと保管されているのよ。村役場にだって、きっと残っているはず。当時、その誓約書を作った時の役場の人も今も健在だわ。今すぐその人たちをここへ呼んで来て答え合わせでもしようか?家があんた達のものだって言った?あの家の不動産権利書にはお父さんの名前が書かれているのよ。お父さんとお母さんが残してくれた財産は、親であるあんたとじいさんにも確かに分けられる権利はあるだろうけど、丸ごと全部なわけないでしょ。私とお姉ちゃんにだってその権利があるんだからね!それから、あんた達の言う私の両親が養子を取って息子を迎えたって話だけど、私の両親がそれに同意した?智文が私の両親を『父さん、母さん』って呼んだことある?あいつは今でも自分の両親のことを父さん、母さんって呼んでるでしょう!私とお姉ちゃんに墓参りをさせずに、智文に毎年お盆に墓参りをさせておけば、相続できるとでも思ってるの?夢でも見てなさいよ!」唯花は冷たい声で続けた。「さっさとじいさんとあいつらに戻るよう電話すればいいわ。私とお姉ちゃんが今日ここに帰ってきたのは、お父さんとお母さんの遺してくれた財産を取り戻すためよ。全員揃ったら、はっきりと決着を付けようじゃないの!さっきも言ったけどね、私とお姉ちゃんがもらうべきものは一つも残さずもらっていくわ。私たちに権利のないものには、一切手なんかつけないんだから!」「このクソガキ!」内海ばあさんはあまりの怒りで飛び上がり、唯花を指さし
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第1024話

今は唯花も唯月も大人になり、両親の家を取り戻す力をつけてきた。それには玉置も大賛成だった。「当時、はっきりとあなた達は言っていましたよね。賠償金をもらえるなら老後の世話も、墓のことだって構わなくていいって。あなた達は姉妹二人を育てたことだってないのに、よくもまあ、彼女たちからお金をもらおうとできますよね?あなたのところの息子や孫たちはかなり裕福じゃないですか、どうしてそっちにお金を出せと言わないんです?人の不幸から大金をもらい、しかも両親を亡くした娘さんたちをいじめるなんて、一家揃ってやることが行き過ぎてるんですよ。神様の天罰を受けるのは彼女達じゃなくて、あんた達のほうです。もうそんな年でしょうし、あと何年の命です?自分たちの行いを振り返ると、地獄に行くことは必須でしょうね。あんたら一家は一人たりとも来世なんてないでしょうよ」村人の中には、嫁に行ってしまった娘は実家の財産を相続する権利はないと考える者も確かにいた。しかし、内海ばあさん達がやったことはさすがに行き過ぎていたから、思わず口を挟んできた。「あの人たち一族揃って、そもそも恥の知らない人たちでしょう。みんな金を持っていて、大きな屋敷に住んでるし、高級車にも乗ってるじゃないか。智文に関しては年収が二千万はあるでしょう。内海おばあさんが病気になった時、みんなお金を出そうとせず、唯月さん姉妹にだけ出させようとしたりしてさ」「美味い汁がすすれるなら、とことんそれを吸い尽くして、自分が困ったら姉妹だけに負担させようとするなんて、人を馬鹿にするにもほどがあるだろう?」去年、ネットで炎上した件はこの村の人たちは全員知っていた。田舎暮らしと言えども、高齢者たちもネットの使い方を学んでいた。それはネットを使えるようになって内海姉妹を応援するためだった。内海ばあさん達一族は人の心を持たない冷徹な人間で、恥も知らない奴らだと世間に教えてやるのだ!そして、智文たちがネットで形勢が逆転してしまったことで、仕事を失ってしまったということを後々知って、村人たちはみんなそれは因果応報だと思っていた。「んなこたぁ、あんたらに関係ないだろうが!他所んちのことに口を挟むな!」この時、唯月は大声を出した。「関係なかったとしても、みんなが言ったことは全部事実よ!みんな正義感を持っているの」理仁は黙って唯花の
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第1025話

詩乃は話し続けた。「今日ここへ私が来たのは、あなた達と喧嘩するためではないわ。ただ二人の姪っ子に付き添って昔妹が生活した場所を見に来たの。ついでにあなた達に言っておくけど、そちらが自らこの家から引っ越してくれるというのであれば、面倒事は少なくて済むの。もし、ここから出ていくつもりがないのであれば、不当にこの家を占拠した罪で裁判所に訴えますからね。裁判で家を取り返させてもらうわ。その時には裁判所の判断で財産をどう振り分けるのか見てみようじゃないの!私の姪二人の相続分がそちらに渡るとは思わないことね。そもそも彼女たちの相続分じゃないものは、別にこの子たちだって欲しいと思っていないのだから」村人たちはそれぞれお互いに目を合わせていた。なるほど今井佳織の実の姉が姪である唯花姉妹のことを見つけていたのか。神崎夫人が唯花たちの伯母であると知って、内海家はもちろんその事実を村では伝えていなかった。佳織の実の姉が唯花姉妹を見つけ出したことは、内海家にとっては、最悪の事態だったのだ。智文は当初、神崎グループ傘下の子会社で管理職をしていたのだからだ。智文がクビになったのは、つまり神崎家を怒らせたからであって、それとともに年収二千万という収入のある仕事を失ってしまったのだった。そしてそれ以降、智文は仕事を見つけることができなくなった。それに、智文はその後、結城グループで働けるとも思っていたのだ。彼は、神崎グループ出身者であるから、結城グループが神崎グループを潰せると判断し、彼を雇ってくれるだろうとまで考えていたのだ。しかし、それがまさかのまさか、結城グループ社長は唯花の夫だったのだ。村人はその噂を聞いて、内海家は隆史夫妻から甘い甘い汁を長年吸い続けてきたから、そろそろツキが回って来て、その汁を吐き戻す時期がきたのだと思っていた。佳織の本当の家族がやって来たのだから、内海家はもう終焉を迎える時期だろう。佳織の姉が村で当時の話を聞いて回れば、内海家が昔どのように結託して佳織をいじめていたのかすぐにわかる話だ。内海じいさんとばあさんには六人の子供がいる。息子四人と娘二人だ。彼らが一番煙たがっていたのは隆史だった。しかし、子供たちの中で一番親孝行をしていたのは隆史だった。おじいさんたちが普段どこか体調が悪いと、すぐに隆史がやって来て、お金を出し全身全霊
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第1026話

これは去年の事。陸は、唯花がおばあさんの医療費を出そうとしないことに腹を立て、不良たちをぞろぞろと従えて、唯花の車の前に飛び出したのだ。そして唯花に教訓でも与えてやろうと思っていたのに、結果、逆に唯花からこてんぱんに打ちのめされて、結局、陸は警察送りとなり、十五日間も勾留されてしまったのだった。一方、唯花のほうは一切お咎めなしだった。殴ってきたのは唯花だというのに、だ。警察は、唯花は正当防衛だのなんだの理由をつけてきたのだ。内海ばあさんは一番小さい孫が勾留処分を受けたうえに、唯花に痛い目に遭わされて、心を締め付けられる思いだった。それで、唯花に対して歯がゆいほどに恨みをつのらせていた。「母さん、父さんが帰ってきたから考えようよ。ばあちゃんも、興奮しないで、衝動で動いちゃダメだってば」他の内海家の人間もおばあさんを諫めていた。彼らはそもそも分が悪いのだから。内海ばあさんのこの横柄で話の通じない頑固者でも、金も地位も権力もある結城家の御曹司と神崎夫人たちを前にしては、それを有効に発揮することはできなかった。詩乃も言っていたが、もう裁判になる一歩手前まで来ているのだ。内海ばあさんは法に疎いかもしれないが、他の者はよく理解していた。もし、裁判沙汰になってしまうと、彼らには一ミリも勝算などない。内海ばあさん夫妻は息子である隆史の一部分の財産を相続することはできるだろう。しかし、絶対にこの家を占領することはもうできなくなってしまう。もし、内海ばあさんが手を出してしまい、唯花がそれを追及すれば、彼女に慰謝料を支払う必要まで出てくるのだ。唯花は彼らに対して、全く心を軟化させることはなく、親族である情なども一切お構いなしなのだから。まあ、彼らもそんな親族としての情に訴えられるような資格があるわけでもないのだが。以前、彼らのほとんどが唯花をいじめてきたのだ。唯月が中学生の時、唯花はまだ小学生だった。いとこたちは、まだ小さい唯花を捕まえてよくいじめていたのだ。佳織が生きていた頃は、娘のためにそのいとこの母親たちと言い争っていた。「唯花姉さん、ばあちゃんは年だからさ、何もわかっちゃいないんだよ。だから話し方もちょっと荒っぽくなっちゃったんだ。こんなばあちゃんだから、まともに会話できると思わないで。唯花姉さん、せ
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第1027話

内海ばあさんは自分の息子の嫁や孫たちが、唯花を熱心に家に招待しているし、自分もあれだけ騒いだというのに、全く効果が出なかったうえに、村人たちから笑い種にされていた。すると内海ばあさんも顔つきを穏やかにして言った。「唯月、唯花、おばさんが言うのも一理あるわい。私らは親族なんだから、何か言いたいことがあるなら、家でゆっくり座って話し合いましょう。おばあちゃんもね、もうあなた達とは言い争いたくないよ。おじいさん達が帰ってきてから、また話し合おうじゃないか。だけどね、どうであれ、おばあちゃんの家はおばあちゃんのものだからね」唯花は冷たく鼻で笑った。「私だっておばあちゃんとはこれ以上言い争いたくないわ。だから、直接裁判所で会いましょう」裁判所に任せれば、遺産の相続に関してはっきりと答えが出るのだ。伯母が言うには、この家は彼女の両親が結婚した後に建てた夫婦共有名義の不動産ということだから、まずはその中から半分は佳織のものではっきりとしている。そして、残りの半分は唯花の父親である隆史のものだ。隆史の財産は、唯花たち姉妹と祖父母で二分される。彼女のこの家の敷地面積はおよそ三十坪だ。その半分は佳織のものであるから、それは置いておいて、残り半分は姉妹と祖父母で分けることになる。つまり祖父母の取り分は単純計算しておよそ七坪ということになる。佳織の遺産に関しては、もし養父母の今井家側が相続放棄にサインすれば、姉妹が全て手に入れることができるのだ。だから、内海じいさんとばあさんには全く無関係である。「別に招待してくれる必要もないわ。これは私たちの家なんだもの、私はただ、自分の家に帰るだけよ」唯花はそう言いながら理仁の手を繋ぎ、彼と一緒に当時、両親が苦労して建ててくれた家のほうへと歩いていった。ここは彼女の実家なのだから。昔、彼女は年齢的に幼過ぎて両親が残してくれた家を守る力もなかった。それで祖父母にいいように占領されて、姉とともに追い出されてしまったのだ。家の玄関先に立ち、唯花は部屋の中をまじまじとゆっくり見まわしていた。そこにある多くの物は唯花の両親が生きていた頃に買った物だった。祖父母がここに住み始めてからは、お金を使ってそれを新しくすることもしていなかった。唯月は詩乃と姫華二人とともに家に入っていった。内海ばあさんはそれを阻止したかっ
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第1028話

「裁判になったとして、俺らに勝ち目があるのか?」内海ばあさんは言った。「この家はね、私の三番目の息子である隆史が建てたもんだよ。私はあの子の実の母親だぞ、なのに相続できないって言うのかい?」「相続はできるけど、全部丸ごとできるってわけじゃないってことだよ。さっきばあちゃんに言ったみたいに、ばあちゃんは隆史おじさんの財産から四分の一だけ、じいちゃんも同じように四分の一だけってこと」陸は内海ばあさんがまた唯花に突っかかっていくのを恐れ、辛抱強く彼女にたくさん説明してあげているのだった。「そんなの気にしないよ。どうせ、この家は私とおじいさんが住んでるんだからね。私たちのもんに変わらないんだよ。自分のもんを誰に渡そうか私らの勝手だろうよ。裁判に負けたって、刑務所に私をぶちこめるって言うんか?」それを聞いて陸はおばあさんを脅すようにこう告げた。「強制執行になれば、じいちゃんとばあちゃんを家から引きずり出すことだってできるよ。もしまた騒ぎを起こそうもんなら、やったね、警察署無料かつ丼送りになるぞ。俺がこの前勾留された時みたいにね。ばあちゃん、あそこは実際入ってみるとマジで怖いんだぜ。やっぱり俺らはさ、法には触れないほうが身のためだってば」彼は原則十日間の勾留を延長されて十五日間あそこにいたのだ。それにはトラウマを抱えていた。だから、今彼は道徳に背くような悪い事などできる度胸は空になっている。「だけど、唯花たちは女だよ。娘に相続する権利があるっていうんか?」「現代の相続法には娘だってしっかり相続できるって書いてあるよ」「本当に死にぞこないの小娘どもだね。さっさとくたばっちまっていてくれりゃあ、こんな相続争いなんか勃発しなかったっていうのにさ」内海ばあさんは法律には疎い。しかし、孫からこのように詳しく説明されて、自分と夫には利益がないのだとここでようやく気がついたのだった。それに、三男である隆史の残した家を智文に相続させてやる権利もない。それで我慢できずにまた唯花たち姉妹は恥知らずだの、なんで女のくせに家を奪うような真似をするのだの罵り始めたのだった。唯花は彼らを放っておいて、理仁を連れて実家の中を見て回っていた。この家が建ってから二十年近く経っている。だから結構古くなっていた。しかし、彼女からしてみれば、ここは依然として彼女の実家であり
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第1029話

昔のことを思い出し、悲しい思いをしているのは唯花姉妹だけでなく、それを傍で聞いていた詩乃と姫華もだった。詩乃に関しては話を聞き始めてからすぐに目を真っ赤にさせていた。詩乃がもしもう少し早く妹を見つけ出せていれば、もしかしたら全てが変わっていたかもしれない。そうすれば、たとえ妹がこの世を去ってしまった事実を書き換えることができなくても、せめて、二人の姪を守ることができたはずだ。唯花姉妹が同時に両親を失ったうえに、親族からひどい扱いを受けるということもこれ以上は起こり得なかったはずだ。姉妹はまだ幼くして世間の荒波に放り出され、酸いも甘いも、人の醜い部分も経験した二人だった。「唯花さん」理仁は唯花の話を聞いていて、心を締め付けられ彼女をぎゅっと懐に抱きしめた。そして、声を絞りだすように「もう過去のことだ。過ぎてしまったことだから、ね」と慰めていた。去年の炎上事件で、理仁は唯花と一緒にそれを経験し、乗り越えてきたのだ。唯花が姉の日記をSNSに投稿し、内海家に反論したことで、世論が一変、180度変わった。理仁も唯月が書き残した日記を見た。しかし、一度だけで、二度目は見ることができなかった。一度見て、妻のことを思うだけで胸が苦しくなった。彼はあまり感情に動かされるようなタイプではないのだが、その日記を見た後、瞳には涙が浮かんでいた。時には、最も冷酷で自分を深く傷つけるのは身内である。この言葉は、確かに正しい。実際、唯花姉妹は、まさにその最も近い存在である親族に最も傷つけられたのだった。姫華は自分のカバンの中からティッシュの袋を二つ取り出し、片方を理仁にスッと差し出した。理仁はそれを受け取り礼を述べた。唯花の傍には愛する夫がいて、ティッシュで彼女の涙を拭き取ってくれた。詩乃と唯月は姫華からティッシュを受け取っていた。詩乃は姪の一人である唯花が最も辛い時には頼れる存在がいるのをその目で確認できた。もう片方の唯月のほうは離婚してしまったから、一人である。彼女はこの時、市内に戻ったら、この姪っ子のために再び良い男性を探そうと心に決めた。そうすれば、唯月にも頼りにできる存在ができるからだ。一回目の結婚は失敗したから、次はさらに結婚には慎重にならなければ。「唯花、もう過去のことは話さないで、伯母様が泣き崩れちゃうわ」
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第1030話

智文の母親が内海ばあさんに尋ねた。「土地使用承諾書はおばあさんたちの手元にあるんですか?当時、家の権利をおばあさん達の名義に移しておくべきだったんです」もし、この家の名義をおじいさんとおばあさんの名義に書き換えておいていたら、三男夫婦が建てた家だったとしても、三男夫婦が親孝行のためにこの家を残してくれたのだと主張することができたのだ。そうしていれば、唯花姉妹はどうあがいてもこの家を取り返すことができなかったのに。内海ばあさんは言った。「あの頃、この家の土地使用承諾書を見つけ出すことができなかったんだよ。私もじいさんもそんなこと全く知らないからさ、そんななんたら書なんてあってもなくても一緒だと思っててね。家に私たちが住んでしまえば、誰が追い出そうとできるってんだい?絶対、あのクソ娘二人が、その書類を持ち去って行ったんだよ」「ばあちゃん、唯花姉さんがまた出てきたよ」陸は理仁も唯花に付き添って一緒に出てきたのを見て、思わず全身を硬直させてしまった。彼は本気でこのいとこの姉さんのことを怖がっているのだ。「陸、ちょっと来なさい」この時、唯花は直接陸を呼んで来させようとした。まさか彼に用があるのか?陸は少し驚いた後、まるで子犬のように小走りでさっさと近づいて来て、笑顔を作り出しご機嫌を取るようにこう言った。「唯花姉さん、僕に何か用かな?」「私のお父さんとお母さんのお墓がどこにあるのか、あなた知ってる?」陸はそれを聞かれた瞬間戸惑いを見せ、知らないと言ってしまいたかったが、唯花夫婦にじろりと睨みつけられるものだから、完全にビビッてしまい、正直に口を開いた。「知ってるよ。霧山岬のふもとにある、森の中なんだ。碑がない墓が佳織さんの墓で、隆史おじさんのには碑があるよ。そこに行けばきっとすぐわかるはずだよ。唯花姉さん、このことは絶対にみんなには僕が教えたってこと秘密にしといて。じいちゃんからも僕たちには言うなって釘を刺されてるんだ。毎年お盆には、いつもいつも智文兄さんだけが隆史おじさんの墓参りに行ってるんだ。僕も一番下だからさ、どうしても一緒に行きたいって騒いだら、何度か一緒に連れてってくれたんだ。だから、そこを知ってるんだよ」そして唯花は、自分が両親の墓の場所を知ったと彼らに知られたら、またここを離れた時、あの最低な親戚たちが
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