Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 1061 - Bab 1070

1126 Bab

第1061話

「最後には神様自ら下界におりて、天使の失敗のフォローに行ったの。もともと夫婦としての縁があった人同士を改めて赤い糸で結んだのよ。小さい頃それを見てて、すごく不思議に思ってたわ。まだ小さかったから愛については何もわかってなかったけど、本来結ばれるはずじゃなかった二人に赤い糸を結んでるのがとても面白いとしか思ってなかった」理仁「そんなドラマなんてあったの?覚えてないな。それに俺はあまりドラマとか見てなかったしな」理仁は後継者として小さい頃から同年齢の子供たちよりも学ばなければならないことが多かったのだ。いろいろな教育やトレーニングを受け、そのようにドラマをゆっくり見ているような時間はなかった。「私のお父さんとお母さんがまだ生きていた頃は、よく一緒に毎週ドラマを見ていたのよ。昔の人形劇とか再放送されてて、そういうのも見るの好きだったわ。両親が亡くなってからは、お姉ちゃんと二人で必死に生きてたし、勉強も忙しくなったり、数年間はドラマは見てなかったわね。今は社会に出てから、たまに見る程度よ」理仁はぎゅっと彼女の手を握りしめた。「これからは、唯花さんが見たいドラマがあったら、俺も一緒に見るよ」唯花は頭を彼の肩にもたれかけたが、すぐに姿勢を正して元の状態に戻った。周りには他にも人がいるのだから、今は愛に浸っている場合ではない。みんなは歩きながらおしゃべりをしていたから、バーベキュー場にはあっという間に着いてしまい、距離がとても短く感じられた。古谷は隅々まできちんと準備していて、一行がバーベキュー場に着いた時には、彼らは何も用意する必要はなかった。男は女たちに良い格好を見せたくて、ひたすら彼女たちのために焼き、女性陣は食べることに専念していた。結城家の他の坊ちゃんたちは、一番上の理仁のテーブルにいる人はみんなカップルが成立しているのを見て、静かにバーベキューグリルの場所を変え、距離を保っていた。いちゃついているようにしか見えないあのテーブルに近づくと、精神的ダメージが大きいからだ。やはり心の底では羨ましさが湧き上がっているのだった。奏汰はグリルされたラム肉をテーブルの上に置き、辰巳に言った。「辰巳兄さん、あれ見て羨ましく思う?」「そんな話を俺にするなよな。奏汰が羨ましいと思うなら、ばあちゃんの言うとおりに任務を遂行すればいいのさ。うち
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第1062話

唯花は気軽に言い合っている義弟たちを見つめ、とても羨ましく思っていた。結城家の兄弟、従兄弟たちは本当に仲が良い。彼女たち内海家のように誰もが自分のことばかり考えて常に何か計算しているあの親戚たちとは全く違っている。「姫華、さっきあなたが言ってた投資したいってのは何だったの?」理仁が彼女専用に用意した海鮮盛り合わせを頬張りながら、投資の件を思い出し、唯花は姫華に尋ねた。すると明凛も聞き耳を立てていた。明凛は最近少しプレッシャーを感じている。それは悟のせいである。親友の唯花が理仁とのあんなに大きな差を埋めるために必死に自分を高めようと努力しているのを目の当たりにし、彼女も大人しく何もしないわけにはいかなくなったのだ。「今、どの業界も商売は飽和状態でしょ。今から途中参加する私たちが横入りしようとしても、ちょっとそれは難しいわ。昨日、あなた達と一緒に田舎のほうへ行った時、あなたの村の畑はほとんど荒れ地になっているのを見たわ」唯花は頷いた。「そうね、ほとんど荒れ地になってるわよ。村にいた若者は都会へ働きに出て、おじいさんか子供たちしかいないんだもの。だから誰も畑仕事できなくて、荒れ果ててるのよ」彼女の家の畑も、遠くから見ても荒れていることがわかった。まあ、それも彼女のあの最低な親戚たちは村では裕福な家庭であるから、畑仕事をしなくても、他の村人たちよりも良い生活ができるからだ。「ちょっと考えたんだけど、だったら、誰かに代表で出ていってもらって、その荒れ地を借りて、何か育ててみたらどうかしら。野菜でもいいし、花でもいいし。もちろん、私たち自身はその土地の管理はしないの。誰かを雇って代表者として管理してもらうのよ。私たちが顔を出せば、あなたのあのひどい親戚たちにめちゃくちゃにされちゃうかもしれないしね。植物でも、野菜でも何かしら収穫できるまで育てることができれば、それの販売経路は全く心配する必要はないの。高級住宅地にしろ、都市の緑化事業にしろ、植物の需要は大きいからね。草を育てるなら緑化事業用よ。野菜や果実でも何でも育てていいわ。神崎グループ傘下にはたくさんホテルがあるもの。それに、あなた達結城グループにもホテルはいくらでもあるでしょう。毎日使用する野菜や果物も莫大な量になるわ。もちろん、私たちの目標は自分ちのホテルじゃなくて、他のホテル
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第1063話

唯月は少し考えて言った。「それもそうね。姫華ちゃん、あなたのほうが私よりよく考えているみたい。唯花、今後は姫華ちゃんと協力してしっかりやるのよ」彼女たち姉妹は、どちらも向上心と野心を持っている。しかし、どこに投資をして稼ぐかということに関しては、姫華のほうがよく理解できているのだろう。なんといっても姫華は商売人家庭である。たとえ豚肉を食べたことがなかったとしても、その豚肉がどこから来てどのように売られるのかなど、その豚肉の販売の流れはよく知っている、といったところだろう。姫華はその可愛らしい顔をほんのりと赤くして笑って言った。「唯月さん、私もあの日あなた達と一緒に田舎のほうへ行ってみて、使われていない畑があったものだから、それを借りて緑化用の植物や作物を育てたらいいんじゃないかなって、なんとなく思いついただけなんです。それで先に兄にこのことを話してみました。兄はなかなかいいんじゃないかって言ってくれたんです。私が何に対して投資するかは別に何でもいいって、ただ、私がそれで稼ぐことができるような投資だったら、試してみたらいいよって言ってくれたんです」姫華は余裕ある様子でこう言った。「まずはやってみましょうよ。やってみてお金が稼げたらそれでいいし、稼げなかったとしても、それは経験として蓄積されるわけだもの。どのみち、土地を借りるくらいのお金なら私も出せることだし。唯花、夜お宅の結城さんにちょっと話してみて。彼がいけると思ったら、やってみていいと思う。怖がらず積極的にやってみましょ。結城さんはこういった投資に関してはかなりの経験と目利きがあるはずよ」理仁が結城グループを引き継いでからというもの、グループが行ってきた投資は、すれば当たりで、常にお金が入ってくる状態なのだ。姫華はよく家で兄から結城理仁の偉業をよく聞いていたのだ。しかし、彼女が理仁のことを好きになってからは、二度と理仁の話題を口にすることはなくなった。「わかったわ」唯花は気持ちいい返事をした。実はそこにいる数人の男たちも聞き耳を立てて、彼女たちが唯花の故郷にある荒れ地に投資し、作物を植えて販売するという計画をこっそりと聞いていたのだった。彼らは口を挟むことはなかったが、理仁しろ悟にしろ、姫華の目の付け所はなかなか良いと思っていた。姫華自身も言っていたが、現在、どの業界も
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第1064話

「僕があずまおじたんにあげたのは、僕がまだ食べてないのだよ」みんなはそれなら何かがおかしいとは思わなくなった。「ちょっと休憩なら、今からは自由行動かな?」理仁はそこにいるみんなに尋ねた。この時、彼は愛妻と二人きりで、自分の家を案内したかったのだ。みんな彼のその気持ちがよくわかっていて、笑った。少し休憩してから、理仁は唯花を連れてバーベキュー会場を後にした。「花畑のほうに花を観賞しに行こうか。今、ちょうどいろんな花が咲いて綺麗だよ」唯花はそれに賛成した。彼女もここには詳しくないし、どこに景色の良い場所があるのかも知らないのだから、彼に任せるのが一番なのだ。春風が吹き、唯花は思わず目を閉じ、風が吹き去るのを待った。「ここの空気は、市内よりずっと新鮮ね」理仁は微笑んで言った。「それはもちろんだよ。それにここはとっても静かだよ。明日義姉さんの店がオープンするんじゃなかったら、ここに数日泊りたかったんだ。ゆっくり実家の環境に慣れてもらいたくてさ」「私の家にもなったんだもの。これから先の人生長いんだから、慣れる時間もその分あるでしょう。焦らずお姉ちゃんの店が落ち着いてから、ここにゆっくり来ようね」理仁は彼女のその言葉がとても好きだった。そうだ、ここはもう彼女の家でもあるのだ。理仁と唯花二人の家なのだから、これから先の人生ずっとここで過ごすのだ。「だけど、琴ヶ丘って本当に広いのね。あなたが一緒じゃなくて私一人だったら、きっと迷子になっちゃうわね」「ここに慣れていない人なら、なかなか出てこられなくなるよ。言ったと思うけど、琴ヶ丘は人工的に考えられて作られた広大な場所なんだ。ちょっと迷路みたいだね。初めてここに来た人が案内もなかったら、三日この中を彷徨ったとしても、きっと出てこられないだろう」唯花はそれを聞いて一瞬言葉を詰まらせた。「そんなに?良かったわ、あなたが一緒にいてくれて。じゃなかったら、私、ここで三日かけても出てこられないところだったんでしょ、それは恥ずかしすぎるわ」理仁は笑って言った。「君を一人で歩かせるわけないだろう。もちろん唯花が慣れていない間は俺が一緒にまわるに決まってるよ。俺は人生で初めて女性をここ、琴ヶ丘に連れて来たんだからね」「それは光栄ね」「君の案内係になれて、俺のほうこそ光栄だ
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第1065話

「どうかした?」唯花がじいっと鉢植えの花を見つめているのに気づき、理仁は優しく尋ねた。「もし好きなら、いくつか鉢植えを持って帰ってベランダに置いてもいいよ」「理仁さん」唯花は頭を彼のほうへ傾けて尋ねた。「結婚してすぐの頃、あなたに花屋で花を買ってきてって頼んだことがあるけど、あれは花屋で買ったの?それとも、ここの人に持って来てもらったの?」今は何も隠せることはないので、理仁は正直に認めた。「古谷さんに電話して、鉢植えをいくつか持ってくるよう頼んだんだよ。君が大きめで、八重になってる花が好きだって知って、特にちょうど花が咲いて大きいのを選ばせたんだ」「それで、あなたが後から買ってきてくれた花は、私が買ってきたのより綺麗だと思ってたのよね。なるほど、実家にいる庭師さんが心を込めて育てた花だったからなのね」それならもちろん花屋で買うものよりもずっと綺麗に決まっている。「唯花、怒ったの?」「別に怒るようなことでもないでしょ。一番怒りが爆発していた時期はとっくの昔に過ぎたのに」理仁は庭師がいる前で、片手を唯花の肩に回して温室から出ていった。その声はわざと低く抑えていた。恐らく庭師に自分のプライベートなことなどを聞かれたくなかったのだろう。「あの頃は本当に怖かったな。君を失ってしまうんじゃないかってビクビクしてた」唯花は彼の頬をつねって、それで許してやった。「あの頃、家電を買ってきてってお願いしたのも、きっと古谷さんがやってくれてたんでしょ?」「家電なら吉田さんに送ってきてもらったんだよ。君が家にいない隙を狙ってね、ばれないように」唯花はふんと鼻で笑った。「本当にあなたには迷惑をかけたようね。そこまで必死に嘘を貫こうとしていたなんて」「今後は絶対に君に嘘をついたりしないと誓うよ。人を騙すのって、本当に大変なんだ。いろんなことを考えて頭を振り絞って嘘をつかないといけないからね。嘘に嘘を重ねる羽目になってしまうんだ。まるで雪だるまみたいにぶくぶく大きくなっていくんだよね」「てっきり嘘をつくのは自然にできるのかと思ってたわ」理仁は苦しそうに低く笑った。確かに慣れてきたら、自然に嘘がつけるようになったけれど。琴ヶ丘は非常に広い。時間の問題で、結城家の若奥様となった唯花の初の琴ヶ丘探索は、未完全のまま終わった。唯
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第1066話

ただ美乃里が隼翔を実家に帰らせたいと思ったのは、琴音と彼が接する機会を増やすためだったのだ。隼翔の琴音に対する印象は決して悪いわけではなかったが、彼女に心を動かされるまでは至っていないのだ。「何が不便なのよ、どのみち車で出勤しているじゃないの。あなたは社長なんだし、早く行こうが遅く行こうが誰にも何も言われないじゃないの。うちは今お客様がいらっしゃっているのよ。だから、数日はこちらに帰ってらっしゃい」「母さん、今日は理仁のところで遊び疲れたし、今は車も運転してるからおしゃべりはここまでにしよう。じゃあ、電話切るからな」隼翔は直接母親の要求を断ることはせず、適当に言い訳をして電話を切った。電話の向こうの美乃里は息子から電話を切られた後、どうしようもなくなり夫に言った。「あなたのあの息子、きっともう一生独身でいる気なのよ。琴音ちゃんはあんなに良いお嬢さんなのにね。彼の顔の傷も気にしないってのに、琴音ちゃんとちょっと話しするくらいも嫌がるんだもの」美乃里の夫である東健一郎(あずま けんいちろう)は淡々とした口調で言った。「お前、焦り過ぎてるんじゃないか。隼翔に嫁さんを見つけたいって目をぎらつかせて、あいつにばればれだろう。お前が何度も隼翔の見合いの場を作って、あいつはもうそれにこりごりしてるんだろうさ。私たちに口を挟まれるのが嫌なんだよ、きっと。あいつに任せておけ。あいつの運命が独り身を貫くものであるなら、お前がいくらお見合いをさせたって、意味がないんだよ。誰かと縁があれば、お前が出るまでもなく、その二人は自然と出会って、いつの間にか相思相愛になるんだよ。人それぞれの運命に任せておきなさい。強制的にやったって無理な話なんだからさ」美乃里は怒って夫の腕を力強くつねって、叱りつけた。「あなたみたいな父親なもんだから、あの子は三十六歳にもなって、まだ独身なのよ!」健一郎はそう言われても怒ることはなかった。「子供や孫は自分たち自らの手で幸せを掴んでいくさ。どうして親が子供たちのために心配して焦らないといけないんだ。私は別に焦っていないよ、人それぞれ運命ってものがあるんだから、自然に任せておけばいいんだよ」そう言い終わると、彼は布団を頭から被り、妻からつねられないようにした。そしてこの夜、この夫婦の会話はここまでで終わった。翌日
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第1067話

唯月は微笑んだ。「東社長はうちの一人目のお客様だから、今日は無料で提供しますよ。何が食べたいですか?店にはイートインスペースもありますから、今すぐでも食べられますよ」隼翔は言った。「無料などとんでもない。オープン初日なんだから、しっかり稼がないと。誰が来ても、きっちり金を回収するんだぞ」それに理仁も付随した。「義姉さん、隼翔も金には困ってませんから、値引きしてやる必要もありませんよ。もともとの値段をきちんと請求してやってください」「じゃあ、東社長に遠慮するのは止めておきます」理仁は心の中で、彼に遠慮する必要なんてどこにある?もしかしたら、将来的に遠慮なく踏み込んでくるのは隼翔のほうかもしれないぞと心の中で呟いていた。隼翔がやって来ると、その後すぐに別の客が店に入ってきた。唯月はそれから忙しく働いていた。オープン初日は一番客を呼び込むのにうってつけの日だ。唯月はこの店の内装には結構時間をかけていた。付近の会社で働いている人は前から毎日この店の前を通り気になっていたのだ。みんなは店名はわかりやすく、すぐ思いついた名前のようだと思っていたが、でも庶民的な温かさを感じていた。ようやく店がオープンしたのを見て、多くの客が新しい店の料理の味をみてみようと入ってきた。十五歳から妹を一人で育ててきた彼女は、その頃から料理の腕を磨いてきたのだ。店に入って、朝食変わりにお弁当を買って食べた客は、この店の料理はなかなかのものだと思っていた。出勤前の忙しいラッシュアワーを終えて、唯月はようやく一息ついた。確かに疲れはしたが、とても楽しかった。もちろん、元夫とその母親がこの店に来なければ、唯月の楽しそうな笑顔は夜まで続いていたことだろう。俊介は開店祝いの花を持ってやって来た。店には理仁夫妻二人と、よく唯月の手伝いをしている中年女性しかいないのを見て、眉をひそめて嫌味に聞こえる言葉を発した。「どうして一人も客がいないんだよ」佐々木母は入り口の前で開店祝いの花のスタンドを見ていた。それは理仁夫妻からのもの、神崎姫華たちが贈ったもの、それに東隼翔からのものもあった。佐々木母は東隼翔からの花を見て、顔を歪ませた。彼が買ってきた花はいくつもあり、俊介はたった一つしか買ってきていなかったのだ。佐々木母はこの東とかいう男が一気に自
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第1068話

「なんであんなに花があるんだ?誰が贈ったもんだよ?」俊介はそれに少し嫉妬していた。唯月は俊介が捨てた女だ。彼のところから金を取っていって、小さな弁当屋を開いただけだ。それなのに、オープン初日には店の入り口にこんなに開店祝いの花が並んでいるとは信じられなかった。「置く場所がないってんなら、これは返……」俊介はその開店祝いの花を花屋に返品したいと言おうとしたが、それを佐々木母にすぐさま止められた。彼女は彼の手からその花を取り上げて、息子を睨みつけると、笑顔に変えて唯月に向かって言った。「詰めればなんとか置けると思うわよ」彼女はその花を持ったまま外に出て入り口に置いた。隼翔が持って来た花の位置にぎゅっと詰めて並べておいた。理仁夫妻は店の中にいるから、彼らのところに詰めて置くと怒らせてしまうので、それはやめておいたのだ。もし、怒らせてはいけない理仁夫婦が店にいなければ、佐々木母はこの時隼翔が持って来た花のスタンドはぶっ壊してゴミ箱に捨ててしまいたいくらいだった。唯月は、店のオープン一日目から元夫とその母親とはもめたくなかった。ただあの親子がここであまりにひどいことさえしなければ、彼女も目をつぶっておくつもりだった。「唯月さん、応援に来ましたよ」姫華はいつもまだ入っていないのに、その大きな挨拶する声が先に聞こえてくるのだ。このお嬢様は朝起きるのはそんなに早くない。この時間にやって来るのはすでに彼女にとってはかなり早かった。「この二人もどうしてここにいるの?」姫華は店に入った瞬間に俊介親子の二人を見て、その整った眉をひどくひそめた。そして相手から返事がくる前に二人に警告の言葉を放った。「あんた達ここに何しに来たのよ?あんた達はここにはお呼びじゃないわよ。警察を呼んで強制的に引きずり出されたくなかったら、今すぐここから出ていきなさい」「か、神崎さん、俺たちも唯月の応援のために来ただけで、別に何か壊そうと思ってるわけじゃないんですよ。本当です、神様から度胸をもらっても、そんなことなんてできやしませんよ」俊介は神崎姫華のことを相当恐れていた。神崎家の令嬢は気性がかなり荒い。彼らホワイトカラーの人間は姫華のそんな噂を聞いていたのだ。「店を壊しに来たわけはないですって?だったら、客として買いにきたのかしら?買ったんだったら、さっ
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第1069話

唯花は佐々木家のことを熟知している。姉の店がオープンして、店をめちゃくちゃにしてしまわないか、内海家の最低な親戚も騒ぎに来るのではないかと心配していた。新しい店をオープンしたその日に誰かに邪魔されるのは誰でも嫌だろう。今回、唯花は自分から夫に頼んで、店の周りをボディーガードたちに見回ってもらい、もし、誰かが店に来て騒ぐものなら、すぐにそれを処理してもらうよう伝えてあった。もともと自立心が強い唯花はあまり夫に頼ることはなかった。そんな彼女が理仁に自分からお願いしてきたので、理仁はやっと妻が自分を家族だと心から思ってくれているのだと、相当喜んでいた。そしてすぐにその任務を担ったのだった。実際、唯花のほうから理仁に頼んできていなくても、彼は勝手に店の周りを見張るよう手配をするだろう。唯花は佐々木家と内海家の親戚に警戒心を持っているのだから、理仁がそれに考えが回らないはずはないのだ。莉奈は結城家のボディーガードと、見回りの警備員が一緒に入っていくのを見て、衝動に駆られそうなその気持ちにブレーキをかけ、店の中の様子を確認した。唯花夫婦が店に居座っているだけでなく、神崎姫華の姿もそこにあった。彼女が初めて姫華に挨拶をした時、全く相手にされなかったのだ。あの傲慢で莉奈を見下すような表情を彼女は一生忘れることなどできないだろう。それで姫華に対してはトラウマがあるのだった。「しゅ、俊介はここにいないの?」莉奈はしどろもどろに唯月に尋ねた。「成瀬さん、目が見えるなら、自分で確認されたらいかが?」唯月は従妹である姫華におかずをいくつか選びながら、莉奈を一目ちらりと見て、すぐに自分の仕事に戻った。莉奈は大きな態度を取ることができず、小声で言った。「俊介とお義母さんが朝早くに出かけていったの。彼女が今日はあなたの開店祝いに行くんだって言ってたわ。ここにいないのなら、一体どこに行ったっていうのよ?」唯月は淡々とした口調で言った。「あなたの夫でしょ。それなのに彼がどこへ行ったのか知らないって、なおさら私にわかるわけないじゃないの」莉奈は言葉に詰まった。彼女は結城家のボディーガードと町の警備員を見て、気まずそうに笑って言った。「私は人を探しに来ただけで、別に騒ぎに来たんじゃないわ。夫がここにいないっていうのなら、これで失礼するわ」そう
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第1070話

唯月は姫華に食事を持って来て、この通りにどうして警備員が配置されているのかを説明した。唯花は気づいていなかったが、唯月は隼翔のテナントを借りているので気づいていた。あの警備員はただこの付近だけを回っていて、本当に付近だから、動き回ることなく不審者がいないか確認しているだけなのだ。数人の警備員が見回っているから、この通りの安全性は一気に高くなったのだった。唯花は瞳をキラキラと輝かせていた。隼翔の行動はなんだか姉のために行われているものに感じたのだ。しかし、姉は彼に別にそんな気はないらしい。唯花も余計なことを言うわけにもいかなかった。そもそも隼翔が本当に姉のために行っているのか、テナントを借りている全ての店の安全のために行っているのか判断できないからだ。姉の店舗も隼翔から借りているものだし。隼翔は毎日出勤にはこの道を通るし、理仁との仲もあるから、唯花の姉のことを気にかけるのは当然のことだろう。隼翔自身が唯月に対して何らかの思いがあると口に出していないうちは、唯花も傍らで黙って見守るしかない。何か行動を起こすわけにもいかない。姫華は試すように唯月が持って来てくれたおかずを口に運んでみた。どのおかずもなかなか良い味だと思い、全て平らげてしまった。唯月の店は初日の午前中の仕事を終わらせ、店を閉める準備を始めた。そして、おばあさんが是非にということで、みんなをスカイロイヤルに食事に誘った。唯月は俊介から離婚時に分与された二千万があるから、ホテルで食事するくらいなら問題ないと思い、迷いなくそうすることにしたのだ。唯月は結婚してから、特に友人と呼べるような人はいなかった。誘ったお客は神崎家、牧野家、結城家、それから悟と隼翔だ。神崎家の一家はみんなやって来た。牧野家は明凛と弟の涼太二人だ。彼女の両親は用事があって、来ることができなかった。しかし、彼らは明凛に唯月へのプレゼントを用意して渡していた。結城家の理仁以外の若者世代は普段、自社のホテルで食事をしているから、まだ学校に通っている九番目だけ残して、他は星城にいる者はみんな来た。年配の者はおばあさんと結城栄達、麗華の二人だった。他の結城家のメンバーは他に用事があってこの日は来られず、麗華にお祝いの贈り物を渡して、親戚となった唯月に失礼にならないようにした。唯花は結城家のそのような行
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