唯月は墓を霊園に移そうという妹の提案に賛同して言った。「いいわね、そうしましょう」理仁は時間を確認し、優しい声で言った。「義姉さん、唯花さん、隣町に着いたらまずは食事にしよう。大人たちは大丈夫でも、陽君はまだ小さいから、きっともうすぐお腹が空くはずだから」唯花が時間を確認してみると、いつの間にか、もうすぐ昼になる時間帯だった。彼女はそれに頷いた。「じゃ、先にご飯を食べましょう。田舎の料理も久しぶりだしね。帰ったら、すぐに裁判所に訴えに行きましょう」唯花はそう姉に言った。唯月はそれに反対意見はなかった。そして、姉の弁当屋が二日後にオープンするのを考え、忙しくなるだろうと思い、唯花は姉を気遣って言った。「お姉ちゃん、この件は私がどうにかするわ。弁当屋さんは二日後にオープンでしょう。きっととっても忙しいはずよ。私のほうは明凛と一緒に本屋をやってるから、あっちはあの子に任せて、私は裁判の準備に走るわ」「唯花、ありがとう、本当に申し訳ないわ」唯月は自分が姉なのに、今は多くのことを妹が対処してくれていて、なんだか姉として頼りないと感じていた。「お父さんたちの家を取り戻すためなのよ。これは私たちがやって当然のことでしょう。そんな申し訳ないだなんて、お姉ちゃんったらそんなよそよそしい言い方しなくていいのよ」理仁は唯花の手をぎゅっと握りしめ、落ち着いた口調で言った。「唯花さん、俺の手助けが必要なら絶対に教えてくれよ。なんでもかんでも自分一人でやろうと思わないでね」しかし唯花はやはりあのセリフだ。「自分でどうにかできることは自分でやるわ。あなたの助けが必要だって思った時は、絶対に遠慮なく言うから安心して」そう言いながら、唯花は手で陽の両目を覆い、サッと理仁の頬にキスをした。突然おばから目隠しをされたのに驚き、陽は反射的にその手を押し退けようとした。唯花は悪戯をした子供のようにケラケラと笑って陽の目を覆っていたその手を離した。これは唯花が初めて姉の前で見せた、理仁に対する目に見える形での愛情だった。理仁はキスで彼女にお返ししたかったが、残念かな、唯花はすでに陽の目隠しをする手を離してしまっていた。陽はキラキラと光る大きな瞳をポカンとさせて、叔母夫婦を見つめていた。だから、理仁がキスをお返ししようにも、気まずくてできないのだっ
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