明凛は感嘆を漏らした。「理解できない行動をする親ってたまにいるもんね。孝行してる子供のことは嫌いで、そうじゃない子供のほうを可愛がるとかね」唯花は少し黙って、また口を開いた。「だから、あの人たち結局は孝行してくれる子供を失望させて、可愛がってた子供たちからは見捨てられたのよね。家庭によっては親が亡くなった後、兄弟姉妹の関係がぎくしゃくしてお互いに連絡も取り合わなくなるけど、それって親が生きていた頃不公平な態度でいたからなのね」「うちは祖父母の態度が誰に対してもそこまで変わらないから、まだマシね。誰かを偏って可愛がるってこともないし、特に誰かを嫌ってるってこともないのよ」明凛は言った。「私のおじさんたちは良い人たちだし、いとこ同士も交流があるからね」唯花はそれには返事をしなかった。ただ羨ましく感じていた。唯花のいとこ同士は関係は良くないのだ。「プルプルプル……」この時、明凛の携帯が鳴った。彼女は悟からの電話だと思い、携帯を取り出しながら親友に言った。「今日一日、彼から電話がかかってこなかったから、もう私に飽きたのかと思ったわ」唯花はそれがおかしくて言った。「九条さんはあなたのことをこれでもかってくらい溺愛してるじゃないの。彼のあなたに対する気持ちは消費期限なんてないから、一生すり減ることはないわよ。類は友を呼ぶって言うでしょ。うちの理仁さんも一途な人だもの。彼がよく付き合う親友なら絶対に同じように一途な人に決まってる。だから、大いに安心しなさい。九条さんは今まで独身で彼女も作ってこなかったでしょ。それはあなたに出会って、一生相思相愛で生きていくためだったのよ」「悟じゃないわ、弟からだった」唯花「……九条さんじゃなかったの」唯花は悟が明凛に食事を誘うためにかけてきたのかと思っていた。彼女が理仁に今日琉生に会ったことを伝えた後、彼からまだ返事はなかった。まさかまたヤキモチでも焼きに行っているのではなかろうな。唯花は自分と琉生が再び遭遇してしまったシーンを思い返していた。本当にただの偶然で、しかも五分も顔を合わせていなかったはずだ。あの嫉妬野郎はまさかヤキモチを焼いたりしてないだろう?彼女に返事をしないのは、きっと仕事が忙しいからだ。あの結城グループの社長なんだから、一分一秒が貴重なのだ。時間を無駄にはできない
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