Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 1221 - Bab 1230

1362 Bab

第1221話

明凛は感嘆を漏らした。「理解できない行動をする親ってたまにいるもんね。孝行してる子供のことは嫌いで、そうじゃない子供のほうを可愛がるとかね」唯花は少し黙って、また口を開いた。「だから、あの人たち結局は孝行してくれる子供を失望させて、可愛がってた子供たちからは見捨てられたのよね。家庭によっては親が亡くなった後、兄弟姉妹の関係がぎくしゃくしてお互いに連絡も取り合わなくなるけど、それって親が生きていた頃不公平な態度でいたからなのね」「うちは祖父母の態度が誰に対してもそこまで変わらないから、まだマシね。誰かを偏って可愛がるってこともないし、特に誰かを嫌ってるってこともないのよ」明凛は言った。「私のおじさんたちは良い人たちだし、いとこ同士も交流があるからね」唯花はそれには返事をしなかった。ただ羨ましく感じていた。唯花のいとこ同士は関係は良くないのだ。「プルプルプル……」この時、明凛の携帯が鳴った。彼女は悟からの電話だと思い、携帯を取り出しながら親友に言った。「今日一日、彼から電話がかかってこなかったから、もう私に飽きたのかと思ったわ」唯花はそれがおかしくて言った。「九条さんはあなたのことをこれでもかってくらい溺愛してるじゃないの。彼のあなたに対する気持ちは消費期限なんてないから、一生すり減ることはないわよ。類は友を呼ぶって言うでしょ。うちの理仁さんも一途な人だもの。彼がよく付き合う親友なら絶対に同じように一途な人に決まってる。だから、大いに安心しなさい。九条さんは今まで独身で彼女も作ってこなかったでしょ。それはあなたに出会って、一生相思相愛で生きていくためだったのよ」「悟じゃないわ、弟からだった」唯花「……九条さんじゃなかったの」唯花は悟が明凛に食事を誘うためにかけてきたのかと思っていた。彼女が理仁に今日琉生に会ったことを伝えた後、彼からまだ返事はなかった。まさかまたヤキモチでも焼きに行っているのではなかろうな。唯花は自分と琉生が再び遭遇してしまったシーンを思い返していた。本当にただの偶然で、しかも五分も顔を合わせていなかったはずだ。あの嫉妬野郎はまさかヤキモチを焼いたりしてないだろう?彼女に返事をしないのは、きっと仕事が忙しいからだ。あの結城グループの社長なんだから、一分一秒が貴重なのだ。時間を無駄にはできない
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第1222話

涼太はどうしても明凛に一体何事なのか話そうとしなかった。「姉ちゃん、携帯を唯花姉さんに渡して、俺からちょっと話すから」明凛はぶつくさと呟いた。「私があんたの姉でしょ。それにうちの事情なのに、私には言わないで唯花には話す気?クソガキ、この私に秘密にできるとでも思ってんの?」そうグチグチと言ったものの、明凛はやはり携帯を唯花に渡して言った。「涼太のあのクソガキが私を裏切るのよ。私に秘密にしようとすんの。一体何があったのかわからないけど、あなたに話すんだってさ」唯花は笑ってその携帯を受け取り、電話の向こうにいる涼太に尋ねた。「涼太君、どうしたの?話してちょうだい、秘密にするから。お姉さんには絶対に教えないわ」実際は、明凛はすでにその携帯にピタリとくっついていたのだ。涼太が話してしまえば、明凛もその内容を聞くことができる距離だ。彼女は弟の話を聞いて好奇心をくすぐられ、自分の家で一体どんな面白いことがあったのか知りたくて知りたくてたまらないのだ。面白いし、いい事だと言うので、彼女はどうしてもそれがどんなことなのか予想することができなかった。「唯花姉さん、姉ちゃん今近くにピッタリくっついて盗み聞きしてないですか?外に出てください。うちの姉ちゃんに聞こえないなら話しますから」涼太は自分の姉のことをよく理解している。唯花は親友を見つめた。「信じらんない。このガキ、千里眼でも持ってるわけ?」明凛は弟を罵った。唯花は笑いながら立ち上がると店の外に出た。明凛にはついてこさせないようにした。明凛は唯花が何があったのか知れば、きっと自分に教えてくれると考え、一緒に外には出ていかなかった。涼太が唯花に何を話したのかわからないが、数分後、唯花が店の中に戻ってきて、ニヤニヤしながら携帯を明凛に返して言った。「明凛、店のことは私に任せて、今すぐ家に帰りなさいよ。ここにはボディガードの田村さんと中野さんもいるから、彼らが手伝ってくれるわ。安心して帰って」「一体何があったのよ、おかしいわね。唯花、あの子なんて言ってたの?教えてよ」明凛は答えがわからずソワソワした気持ちで、どうも痒いところに手が届かないようなむずがゆさに襲われていた。親友と弟が何があっても彼女に教えてくれないのだ。「帰ればすぐわかることよ。今教えたら喜びが半減しちゃうでし
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第1223話

「明凛ちゃん帰って来たんだね」誰かが明凛の姿を見かけて高い声で彼女の名前を呼んだ。牧野家を取り囲んでいる人たちは、すぐに両脇に逸れて明凛が通る道を作り出した。明凛は自分の家を囲んでいる人たちを見て、それはこの地域に暮らす人たちばかりだと気づいた。中には部屋を貸している部屋の住人もいて、彼らは彼女のほうをニコニコと見つめていた。道が開くと、明凛はみんなが家の前で一体何を見ていたのか理解できた。家の前には広範囲に花の海が広がっている。この日まる一日電話もメッセージも送ってこなかった悟がその花でできた海の傍らに薔薇の花束を抱えて周りと同じようにニコニコと立って彼女を見つめていたのだ。明凛はバイクを止めた。「姉ちゃん、早く来て見てみなよ」この時、涼太が駆け寄ってきて、姉を家のほうへ引っ張っていった。明凛はそうやって手を引かれるがままに、あの花の海の前までやって来た。その海は全てが薔薇の花でできていた。そして悟が多くの薔薇を使い、ある言葉を完成させていた。『あかり、けっこんしよう!』悟の明凛へのプロポーズの言葉だ。悟はかなり長い間考えて、やはりそこまで派手なプロポーズではなく、花を使うことにしたのだ。見た目も美しいし、ロマンチックさも忘れていない。そして、みんなの前でこうやってプロポーズをしたのだった。普段、明凛は本屋にいるか、家で過ごすかだ。本屋は高校の前にあるから、そんなところでプロポーズをしては生徒たちの邪魔になってしまう。それで牧野家の前にこうやって花で海を作り、明凛にプロポーズすることにしたのだ。それに、牧野家にも彼の明凛に対する誠実さをアプローチすることができるというわけだ。悟は本気で明凛に自分の妻になってほしいと思っている。実際、牧野家と九条家の両家は二人が早く結婚することを期待していた。悟の母親である小百合はほぼ毎日のように牧野家に通っていた。両家の親世代はかなり前の段階からすでに家族のように仲良くなり、一心に悟が明凛にプロポーズして、結婚式の準備をするのを心待ちにしていたのだった。「姉ちゃん、綺麗だろ?あのさ、この言葉全部悟兄さんが自分でめっちゃ時間かけて作ったんだぜ。今日、星城にある花屋の薔薇の花は兄さんに全部買い占められたんだ。何軒もの花屋が緊急で仕入れ直ししたんだよ」明凛はその
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第1224話

明凛がまだ悟に返事しないのを見かねて、おばが兄夫婦に話しかけた。「明凛ったら、どうしてうんともすんとも言わないのよ。悟君はこんなに素敵な男性なのよ。隅々までくまなく探したってなかなか見つからない逸材よ。明凛に代わって返事したいくらいだわ」琉生はそれに対してこう言った。「このことに関しては、すぐにオーケー出しちゃだめだろう。少し考えたフリしないと。すぐに返事したら、待ってましたと思ってましたって感じじゃないか」明凛はもちろん喜んで悟と結婚したいと思っている。彼女もこれ以上は自分の気持ちを抑えることはなく、悟からあの花束を受け取り、笑顔で大きく悟に返事をした。「悟、もちろんよ」その言葉を聞いた瞬間、悟は歓喜した。すると急いで準備していた婚約指輪を取り出し、明凛の左手を取って、とても真剣な眼差しでダイヤの指輪を彼女の指にはめた。明凛は彼を起こして立たせた。悟は明凛をぎゅっと抱きしめ、彼女のほうへ顔を向けてその赤い唇にキスをした。次の瞬間、嵐のように拍手喝采が沸き起こった。明凛は目を閉じ、悟からの優しいキスを受け取った。そして瞳を開けて嬉しそうに彼の胸に顔を埋めた。「あなた、いつから計画してたの?」彼の胸の中に抱かれて、彼女は小さな声で尋ねた。「かなり前からだよ。何度も考えて、やっぱりこういうプロポーズにすることにしたんだ。明凛、気に入ってくれた?」明凛は顔を上げて彼を見つめ笑った。「もし、気に入らなかったらあなたからのプロポーズは受けないでしょう。あなたが心からしてくれるのなら、どんな方法だって私は喜んで受け入れるわ」もちろん、彼がかなり細かいところまで考えて真剣にプロポーズの方法を考えてくれたのであれば、彼女はもっと嬉しいに決まっている。そうされたほうがもっと彼が彼女のことを大事に思ってくれている感じが強いからだ。「それで今日は一日中電話もメッセージも送ってこなかったのね。私にこんなサプライズを用意していたから」悟はまた彼女の額にキスをして、愛おしそうに言った。「君を驚かせたくて、涼太君には電話で君に教えないように念を押したんだよ」「あいつったら、良い事があるってだけ言うもんだから、何かしらと思っていろいろ考えてはいたけど、まさかあなたからプロポーズされるなんて思ってもみなかったわ」この時、明凛は甘い雰
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第1225話

「中に入りましょう。今夜はここでご飯を食べて行ってくださいね」明凛の父親である祐大が将来の婿に向かってそういった。悟が彼ら親の前で娘にプロポーズをしたことに、祐大はこの将来の婿に満足していた。しかし、父親として、娘婿を評価することに関して母親のように見れば見るほど好きになるというわけにはいかないのだ。祐大は非常に満足していてもその気持ちを抑えつつ、それを顔には出さないようにして、悟には以前と同じようにある程度距離を保ちつつ、礼儀正しく接するよう心がけていた。「お義父さんがそうおっしゃらなくても、私は図々しくここで食事して行くつもりですよ」悟は面の皮を厚くして笑顔を作りそう言った。そしてまた明凛のおばに挨拶し、琉生に視線を向けた時も変わらず笑顔を保ったまま会釈をした。「琉生、お父さんに電話して、あの人に仕事が終わったらここに食事をしに来るように伝えてちょうだい」伊織は嬉しそうに息子に頼んで、夫を誘ってみんなと一緒に食事して楽しもうと思った。彼女は以前からずっと姪っ子には名家に嫁がせようと、何度もお見合いの場を作ってあげていたが、姪はあまり積極的ではなかった。名家に嫁ぎたくないからと、パーティーの会場で床に転がってしまう始末だった。そのことで姪は有名になり、彼女はもうお見合いに行かせようとしてもなかなかできなくなったのだ。それから伊織は、姪が名家に嫁げなくとも、牧野家と同レベルの家庭に入ればそれでもいいと考えていたのだった。彼ら牧野家もなかなかの家柄である。いくつもの部屋を賃貸に出していて、ある通りにあるテナントは全て彼らの家の持ち店舗だ。総資産を合わせて二十億は超える一族である。唯花のスピード結婚相手があの結城家の御曹司であると知った時、伊織はかなりの衝撃を受け、さらには羨ましくてため息をついていた。あの唯花でさえもトップクラスの名家に嫁ぐことができたのに、どうして最も可愛がっている姪っ子にはその定めがないのかと思っていたのだ。それが後から九条悟が明凛のことを好きだと言うことを知り、しかも結城理仁と唯花が彼らを赤い糸で結んでくれたと知って、伊織は心から喜んでいたのだった。伊織が昔明凛に紹介してきたお見合い相手たちは、どれも九条悟とは比べることすらできないのだから。息子の琉生が唯花のことを恋い慕い、危うく浮気相手に
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第1226話

悟の言った言葉を聞いて明凛は顔を真っ赤にさせた。この男、そんなに焦ってどうする。「わかった。先に婚約パーティーをして、それから結婚手続き、そして最後に結婚式を挙げる、ね」悟は明凛の意向を尊重することにし、彼女を不満にさせることはなかった。焦らずに一つ一つ進めることにして、牧野家もとても満足していた。悟の家柄のことも考えると、彼と明凛の婚約パーティーはかなり盛大に執り行われるだろう。そのパーティーには星城の上流社会における有名人や大物を招待するはずだ。悟は両親に電話をかけ、明凛へのプロポーズが成功したと伝えた。そして時間があれば、牧野家と結婚式の話をしに来てくれと頼んだ。小百合は息子のその話を聞いて、笑顔で言った。「お母さんは忙しいけど、いくら忙しいからといって、あなたの人生の最も重要なイベントを放っておくわけにはいかないわ。わかった、お父さんと、それからおじさんたちも呼んで、しっかり婚約祝いの贈り物を持って行くわ」「ありがとう、母さん」小百合は笑って言った。「何よそんなよそよそしいわね。お母さんもとっても嬉しいんだから。悟、ちゃんとよく聞いて、今後は明凛ちゃんのことをもっと大切にして、決して悲しませるようなことをしては駄目よ。お母さんはあなたのほうに肩を持つ人じゃないわよ。明凛さんが正しかろうが正しくなかろうが、あなたは一歩引くの。女性が結婚した後は苦労が多いものなんだからね」小百合の息子は目が肥えていて、要求が高すぎる。そんな息子が明凛と結婚してその独身生活に終止符をようやく打つのだ。だからもちろん小百合は明凛のことを重視している。しかも、以前明凛に会った時、小百合は九条家に伝わる大切なジュエリーをすでに明凛に渡してしまったのだ。明凛はその時をもって、すでに彼女の中では将来のお嫁さんだったわけだ。「母さん、わかってるよ」悟は真面目な顔をしてそう言った。人生における一番大切なことに不真面目な態度でいるわけにはいかない。深く考え、自分の心の声をしっかりと聞いて出した決断なのだ。「わかってくれればいいのよ、お母さんは自分の息子がどんな人間なのかわかってるつもりよ。あなたが明凛ちゃんのことを大切にするってのはね。さて、ここまでにしましょう。お父さんに電話をかけて、贈り物を準備するように伝えるわ。暗くなる前に、牧野さん
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第1227話

明凛が言った。「もし将来、弦さんに好きな女性ができたら、絶対に私に紹介してよね。一体どんな子が彼を落とせるのか、気になって気になって仕方ないわ」悟は彼女の耳元まで近寄り、頬にキスをした後、落ち着いた声で話した。「これからは君も九条家の人間になるんだ。弦兄さんに好きな人ができたら、俺らが第一に情報を得るに決まってるだろう」明凛は軽く彼を押し退けた。「親たちもここにいるんだってば」それなのにキスまで。彼女がいくら大胆であろうとも、こんな親たちがいるような場面で彼にキスなどできはしない。「俺らの仲がもっと熱くなるほど、みんな嬉しくなるんだよ」明凛はサッと親たちのほうを見た。そんな彼らは婚約の件で忙しく話し合っていて、全くこの二人が何をしているのかなど気づいていなかった。「ちょっと外に出ましょう」ここで明凛がそう提案した。悟もそうしたいと思っていた。「お母さん、悟と一緒にそこらへんを散歩してくるわね」明凛は母親にそう言うと、悟の手を引っ張って家を出た。家の前に広がるあの花の海は健在である。夜になると、なんとライトアップまでされていた。それは悟が花の上にカラフルな小さいライトを設置していて、夜になってスイッチを入れればそれが明るく灯る仕組みだった。なんとも綺麗だ。牧野家の門の近くにある街灯も灯っていた。家の前に止まっている多種多様な高級車たちを見て、明凛は隣にいる悟に言った。「私、うちと家柄の合う男性を探して、結婚したら現実でも夢の中でも家賃の取り立てでもしようかと思ってたの。それがまさかあなたと結婚するだなんて夢にも思ってなかったわよ」「俺にもたくさん家も店舗もあるよ。金は銀行に預けておいても利子は少ないしあまり意味ないから、投資に回したほうがいいんだ。明凛は今後も家賃の取り立てがしたければしていいよ。俺の名義になってる家や店舗を貸し出して家賃を回収したら、君の好きなように使えばいいさ。それを使いたくなければ引き続き土地買って家建ててそれを貸し出していけばいいよ。金で金を産むってやつだね」明凛は言った。「土地や家を買うのだってコストがすごくかかるじゃない。今は昔ほど土地代も家を建てるのもコストが安くないんだもの。昔買った不動産なら今はどんどん家賃も上がって、その分儲けも増えてるけどさ」星城の不動産価格はどんどん
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第1228話

唯花は我慢できずに理仁に電話をかけた。電話の呼び出し音は鳴り続けるが、理仁は一向に電話に出ない。「まさか本当にヤキモチ焼いてるの?」唯花は電話をかけるのをやめ、そう呟いた。彼女は携帯をレジ台の上に置いて、すこし黙ってからハンドメイドの道具を取り出した。することがないので、またそれを始めたのだ。それから数分もせず、花束が急に彼女の目の前に現れた。唯花が顔を上げると、理仁のあの真っ黒な瞳と目が合った。「あなた……どうしてずっと電話に出なかったの。それにメッセージに返事も返してこないし」ハンドメイドをするその手を止めて、花束を受け取ると、彼に文句をひとこと呟いた。理仁はじいっと彼女を見つめて言った。「直接俺が来たんだから、さっき電話に出る必要もないだろう。昼間は忙しくてさ、今夜早めに仕事が終われるように必死に働いてたんだ」彼女が完成させたビーズの招き猫を見て、それを持ち上げて観賞していた。「人を雇ったんじゃなかった?もう自分でやって疲れる必要はないだろうに。特に手を怪我しないように気をつけないと」理仁はその招き猫を置いて、唯花が前怪我をしていたほうの手を取った。傷は既に治っているが、傷痕は残っている。彼はそれを触り心苦しそうな瞳をしていた。その傷ができたのは、彼が原因だからだ。「この花束、すごくいきいきしてるわね」唯花は彼が自分を責めているのがわかり手を引っ込めると、話題を変えた。「星城にある花屋の薔薇って九条さんが買い占めたんじゃなかったっけ?」悟が明凛にプロポーズするため、使った花は有り得ない量だから、唯花は花屋の薔薇は全部ソールドアウトになったと思っていたのだ。「俺が今来たのも、それはこの花束のためさ」唯花は彼を見つめた。「まさか、あなたの家に帰って薔薇を摘み取ってからここに来たんじゃないでしょうね?」理仁は愛おしそうに彼女の整った鼻をちょんと突っつき、赤い唇を軽くつねって言った。「ちょっと違うな、訂正しよう。俺の家は君の家でもある。だから『私たちの家』の間違いだ。君が前、牧野さんに頼んでトラックいっぱいに鳥たちを買ったのは覚えているだろう?琴ヶ丘にある果樹園の中の温室に放し飼いにしてある。その果樹園に鶏小屋を作ったんだけど、卵をたくさん産んだんだ。母さんがその卵を取りに来いって言って
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第1229話

唯花が理仁のほうへ振り向いた時、彼の燃える炎のような熱い唇が彼女の頬に落ちた。唯花は花束を置き、自分を抱きしめる彼の手を解いて立ち上がると、くるりと後ろを向いて彼と向き合った。「聞いたら、金城君が帰ってきたのは母親の具合が悪いからなんだって。彼は二日会社に休みをもらって、週末と合わせて四日連休にしたみたい。母親の様子を見に帰れるでしょ。彼がここに来たのはちょうど通り道だったからよ。彼の従姉である明凛に会いたくて来ただけ。別に私に会いに来たわけじゃなかったのよ。明凛が言ってたけど、金城君が来る時にはわざわざ事前に電話をして私がいるかどうか尋ねたらしいわ。私が店にいないことを知って彼は来たの。私が帰ってきた時ちょうど鉢合わせちゃって、その時彼はもう帰る準備をしていたのよ。だから彼に会っていた時間は五分もなかったわ。中野さんたちが外で見張っているでしょ。何か問題があるなら、ボディーガードがあなたに報告するはずじゃない?」唯花はやれやれといった顔つきで彼の顔を軽くつねった。「あなたね、いっつもヤキモチを焼きたがるんだから。以前あなたに伝えたように、私は金城君には姉弟としての情があるだけど、男女関係の愛だの恋だの、そういう感情を抱いたことは一切ないのよ」理仁は彼の顔をつねる唯花の手を取って、自分の頬にぴたりとつけ、じっと彼女を見つめると、低い声でこう言った。「俺は、君と金城がもうこんなん長い時間知り合いで君たちが一緒にいた時間は俺よりも長いし、あいつが君をとても愛していたことが気がかりなんだよ」「だったらどうすればいいの?私は彼の方と先に知り合ったんだから。それに十数年の仲よ。あなた、時間を巻き戻せる能力でもある?そんな力があるなら、私だって彼と知り合いにならないで、あなただけと知り合うようにするわよ」この男、ヤキモチを焼くときは、唯花が琉生と先に知り合いになったという話までもし始めるのだった。理仁は唇を固く閉じ、黙ってしまった。彼には時間を巻き戻す能力などない。本当にそんな力があれば、時間を遡らせ彼と唯花が小さい時に知り合いになり、幼なじみとして一緒に大人になるようにさせるだろう。彼がやはりこの件を気にしているのがわかり、唯花は優しい声で彼をなだめた。「あなた、金城君はもう諦めてるわよ。確かに私は彼と先に知り合いになったし、十
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第1230話

唯花は本屋を閉めると、理仁の車に乗った。彼女が運転してきた車はボディーガードに頼んで運転して帰ってもらった。車で、唯花は理仁に尋ねた。「動物園でのあの件、何かわかったことある?本当に柴尾家がやったのではなさそう?」理仁は少しだけ黙ってから言った。「少なくとも柴尾社長ではないようだよ」「社長さんじゃないなら、奥さんの柴尾夫人って可能性もあるの?」理仁の言葉には柴尾夫人は言及されていないからだ。「悟がまだ調べてくれているんだ。今のところ何も証拠はない。だけど、柴尾夫人ではないかと俺たちはみんな疑っている」理仁ははじめ、彼を狙っての犯行だと思っていた。しかし、調査していくと、それは彼ではなく唯花のほうだということがわかってきたのだ。唯花のほうも柴尾夫人と娘の鈴に確執があるため、彼らは自然と柴尾加奈子が黒幕ではないかと考えていた。「柴尾社長夫妻はいろいろと秘密を抱えているようだ。だけど、彼らもすごく慎重で注意深くなっているからな。何をするのもその証拠を残さないようにしている。あの弦さんもこの夫婦には興味を持ち始めたよ」調査の難易度が高くなるほど、弦はもっと興味をそそられるのだ。そうなると彼自らが表舞台へと現れる。「おそらく、俺たちも柴尾家の長女と協力して、内と外から連携して攻めないと、あの夫婦のしっぽを掴めないだろう」唯花は咲のあの、いつも淡々として掴もうとしても掴めない雲のような性格であるのを想像し、不安げに言った。「咲さんは目が見えないし、どうやって内と外から攻めようっていうの?柴尾夫人は何といっても彼女の実の母親なのよ」咲と加奈子の関係は最悪だが、加奈子はそれでも咲の母親には変わらないのだ。理仁はまた少しの間沈黙してから、口を開いた。「辰巳と柴尾家の長女の進展を待とう。辰巳はある名医の弟子を探して彼女の目の治療を試そうと思っているんだ」「名医?」その呼び方だとかなり腕の高い医者だろうと思った。彼女は理仁の世界に足を踏み入れてからというもの、多くの人物や出来事は彼女の今までの人生でどれも聞いたことのないものばかりだ。彼女の今まで生きてきた世界はとても単純だったように感じる。「その名医は非常に腕の良い先生らしい。その方の名前が何て言うのかは俺たちも知らないんだ。ただ、彼の医療に関しては神レベルの人物らしい
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