Tous les chapitres de : Chapitre 1411 - Chapitre 1420

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第1411話

玲凰は家族の味方だ。それで問題は全て理仁に押し付けてしまって、自分の従妹のせいにはしないのだった。理仁はこのまま電波に乗って玲凰の首でも絞めに行ってやりたいと思った。「神崎、もう一度言うが俺は問題ない、健康そのものだからな!心配してくれてどうもありがとうよ!」そう言い終わると、彼は通話を終わらせた。すると電話を切ったそばから、またすぐに電話がかかってきた。理仁はまた玲凰からの電話かと思い、着信も見ずに怒って言った。「神崎、言っただろう。俺は何も問題などないと!」「……結城社長、僕です。善です」それを聞いた瞬間、理仁の表情が和らいだ。「桐生さんでしたか」「ええ、僕ですよ。奥さんのお姉さんは大丈夫ですか?」「もう危険な状態からは抜け出しましたよ。桐生さん、心配していただきありがとうございます」善は言った。「彼女が無事で何よりです。結城社長、さっきご自分が問題ないと言っていました?僕はある名医と知り合いですから、もし必要であれば、次回彼を見かけたときには結城社長にご紹介しますよ。名医にちょっと診ていただいたらどうでしょう」理仁「……」彼は深呼吸をし、さらにまた深く息を吸って、善に怒りをぶちまけないようになんとか堪えていた。「桐生さん、俺は問題ありません。あれはふざけた芸能記者に勝手に捏造された記事です。俺と妻はとても仲良くしていますよ。結婚して結構経ちますがどうして子供がいないのかというと、それは今はまだ妻を誰かに取られたくないからです。それが自分の子供であっても、嫌なんです」善は笑った。「わかっています。結城社長が何も問題なくて良かったです。その名医とうちは深いつながりがあるんですよ。今後、社長が必要な時は僕に一声かけてくださいね。絶対に仲介役になって、その先生をご紹介しますので」「どうもありがとうございます」善はこの時、理仁が歯ぎしりをしながら、なんとか怒りを抑えこみ善に語気を荒げないようにしているのを察し、おとなしく電話を切った。玲凰と善が理仁を気にかけて電話をかけてきた以外に、彼が普段から付き合いの深い社長たちも次々と電話をかけてきて理仁の体を心配していた。それぞれ良い医者を知っているから、理仁に紹介すると言ってきたのだ。医者を毛嫌いせずに、診てもらったほうがいいと言うのだ。それに、人によって
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第1412話

母親を見ると、隼翔は眉間にしわを寄せた。母親が病院にやって来るのはあまり良い事ではないと感じたのだ。美乃里は二人の社長が揃って病室の前に立っているのを見ると、まっすぐに向かってきた。「おば様、ご無沙汰しております」理仁は丁寧に挨拶をした。美乃里は穏やかに笑い、理仁に挨拶を返した。それから、美乃里からのその意味ありげな目つきがどうにも理仁を居心地悪くさせた。彼は彼女がそうやって自分を見つめるのがどういう意味なのか感じ取ったのだ。あの話題のネットニュースは悟がすぐに闇に葬り去ったが、見てもいい人間も悪い人間も、誰もがすでにそれを見てしまったのだろう。それに、どれだけの人がスクリーンショットをとっているかもわからない。美乃里は心配そうに理仁を見つめていたので、聞くまでもなく、あの記事を見たということだ。あの芸能ゴシップ記者どもは、ちょっとのことでもすぐにネットに上げてしまう。以前、彼のプライベートな事を許可なく、あの記者たちは簡単にネットに上げるような真似はできなかった。それが現在は、彼が結婚してから少し柔らかくなり、ネットに上げて彼の怒りを買うことになろうとも、唯花に懇願すれば命だけは助かるとでも思っているのだろうか?「理仁君、私の夫はなかなか良いお医者様を知っているのよ。もし、必要なら……」「どうもありがとうございます。しかし、必要ありません。あれはただのデタラメです。俺と唯花さんの体には何も問題はありませんよ。俺たちは二人っきりの世界に浸っていたいから、そんなに早く子供を作りたいと思っていないんです。あの日、病院に行ったのは、俺が唯花さんが妊娠してしまったかと勘違いしたので検査に連れていっただけなんですよ。その後、少し喧嘩して不愉快になってしまって。唯花さんは子供が欲しいですが、俺はまだ欲しくないので、それで喧嘩になったんです。あの記事は全く作り話ですよ」それを聞いて美乃里は頷いた。「そういうことだったのね。あなた達夫婦はとても仲よくやっているし、問題なんてあるわけないって、思っていたのよ。何かあるなら、神崎夫人が先に騒いでいることでしょうし」詩乃は二人の姪のことをとても大切にしている。特に唯花が星城一の財閥家である結城家に嫁いでからというもの、もし唯花が本当に不妊であれば、詩乃が誰よりも焦っているはずだ。
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第1413話

母親もここまで来たし、彼を連れて一緒に帰ると言うので、隼翔もここに留まることができなくなった。唯花は病室の入り口まで美乃里を見送った。彼女は入り口に立ち、東夫人とその息子の二人が遠くなっていく姿を見つめていた。暫くしてから彼女はため息をつき、理仁と一緒に病室の中へと戻った。そして、まだ眠りについている姉を心配そうに見つめた。理仁は彼女の肩を抱きしめ、落ち着いた声で慰めた。「唯花、何事も最後はどうにかなるものだよ。俺たちがあまり心配しすぎる必要はないさ」隼翔が自分の気持ちに気づけば、必ず唯月と一緒になることを家族に説得できると理仁は信じていた。「それに、義姉さんは隼翔には一切の感情を持ち合わせていないだろう。あいつが義姉さんを好きだということを、彼女が受け入れるかどうかも未知数なんだから、俺たちは見守っていればいいよ」唯花は彼の肩に寄りかかり、小さな声で言った。「東社長の身分とか地位とかそういうのを除けば、単純にとてもいい方だと思うよ。もし、お姉ちゃんが再婚したいって思うなら、私だってお姉ちゃんと東社長が一緒になるのは賛成だもん。彼の身分とかそういうのじゃなくて、彼は責任感があって信頼できるから」東隼翔と佐々木俊介とでは完全に月とスッポンだろう。「あなたの言う通りね。今この話をするには早いわ。お姉ちゃんには再婚する意思が全くないんだもの」今、唯花は姉が早く回復して元気になってほしいとだけ願っていた。恋愛に関しては焦ることはないし、焦ってもしょうがない。美乃里は息子を連れて病院を出た後、彼には車の運転をさせずに、親子二人が一緒に同じ車に乗って家に帰った。隼翔の車はもちろんボディガードに運転させた。その途中、車の中で美乃里は陰鬱な顔をしていた。彼女は隣にいる息子を睨みつけていた。隼翔は淡々とした顔をして、何が起きても顔色一つ変えない様子に、彼女はイライラしていた。そして、気持ちを抑えられず、隼翔の手をパシンと叩いた。隼翔は母親から叩かれて、驚いた表情で彼女を見つめ、理解できない様子で尋ねた。「母さん、なんで俺を叩くんだ?手に蚊でも飛んで来てたから、叩き殺してくれたのか?」「あんたね、あなたのその目は節穴なわけ?私たち上流社会にはたくさんのご令嬢がいるでしょうが、それなのにあなたが好きになったのは、内海唯月とか
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第1414話

この時、美乃里は隼翔のせいで怒りが頂点に達していた。隼翔は唯月と何も進展がないというのに、すでに陽に自分をパパと呼んでもらおうと考えているのだ。佐々木俊介はこの世から消えてしまったとでも?「隼翔、言っておくけど、私は内海さんのことは受け入れられないからね。あなたが彼女と結婚することなんて絶対に許さないわよ!あの人は離婚して子供までいるのよ。彼女とあなたでは住む世界が全く違うの。あなたに合う人は琴音ちゃんっていう、強くて名家出身のご令嬢よ。私たち東家がどのような家柄か言うまでもなく、あんたの自分の成功した人生を考えてみなさいよ。そんなあなたにあんな女が相応しいと思ってるの?あなたは東グループを率いる社長で、彼女は小さなお店の店長でしかない。しかもその店はあなたが彼女に貸している店舗じゃないの。あなた達は雲泥の差なのよ。別に私は内海さんを軽蔑しているわけじゃなくて、ただ事実を言っているだけよ。隼翔、結婚というものは家柄が合う人を見つけないといけないの。あなたと彼女では合わないわ。だからさっさとそんな気持ちは殺してしまって、琴音ちゃんと仲良くお付き合いしなさいよ。小松家のパーティーの時はあなた、彼女と楽しそうにおしゃべりしていたでしょう?二人が一緒にダンスをしている時なんて、もう美男美女のお似合いのカップルだったわよ」隼翔はすでに東家から離れ、家族に口うるさく管理される必要もなくなった。結婚という人生における大事なことは、もちろん自分の気持ちを優先させるべきで、家族や両親からの指図など受けたくなかった。彼はきっぱりとこう言い放った。「母さん、俺の結婚は俺自身が決めることだ!俺が奥さんをもらって、彼女と一緒に暮らしていくのであって、それは母さんじゃないだろうが。俺が内海さんは俺に合うと思えば、合っているんだよ。彼女が俺に相応しくないだなんて、思わない。俺のほうが彼女に相応しくないだろう。俺はこんな顔してるし、金は確かに彼女より持っているが、それ以外俺のどこが彼女より優れていると言える?内海さんは離婚しているが、俺よりも何歳も若いだろう。彼女は今まさに咲き誇る花のようにとても美しい。それに引き換え俺はどうだ、顔に皺はあるし、切られた傷の痕もある。特殊メイクをしなくとも、夜中に出かけていけば子供を驚かせて泣かせることだってできるぞ。それにもう
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第1415話

隼翔も母親が固く譲ろうとしなくても全く気にしないようで、笑って彼女に言った。「母さん、とりあえず、息子の俺が唯月さんに好きになってもらえるかを心配していろよな」唯月は俊介との結婚で精神的にもダメージを負っていて、愛情というものには冷めてしまっているから、追いかけようと思ってもなかなか難しいだろう。美乃里は怒って言った。「あなた、本気で彼女を追いかける気?」「母さん、今までは自分の気持ちに気づいていなかったんだ。今回、唯月さんが怪我をした後、すごく怖くなったんだ。彼女があんな目に遭って俺も辛く胸が苦しくなった。確かに俺は大雑把な性格で、悟のように心配りができるような奴じゃない。だけど、俺だってバカなじゃない。わかったんだ。これが誰かを気にかけるってことで、つまり愛ってことなんだろう。俺は唯月さんのことが気になる、俺は彼女のことが好きなんだ!好きになったからに追いかけるさ。まさかずっと片思いし続けて、彼女のほうから結婚してほしいと言ってくるのを待てってか?そんなこと有り得ないだろう」美乃里はまたパシンと彼を叩き、警告するようにこう言った。「隼翔、もう一度言っておくわよ。内海さんを追いかけるのはやめなさい、じゃないと、お母さんが何かしたとしても悪く思わないことね」「障害の多い恋のほうが長続きするだろう。母さんが何か不満なら唯月さんじゃなく、俺にかかってこいよ。もし彼女を傷つけるようなことをすれば、東家と結城家の関係は終わりだぞ。それに神崎家との関係も泥沼化してしまう。母さん、よく考えることだな。星城で一、二を争う二大名家を怒らせたら、俺ら東家の損失はどのくらいになるかな?それに、母さんが邪魔をしてきたとしても、俺を諦めさせることはできないぞ。俺は母さんの言うことなど聞かん。母さんも俺に言うことを聞かせられると考えないほうがいいぞ」美乃里「……」彼女はどうしようもなく怒りに怒りを溜めるしかなかった。この子は自立心が強すぎる。彼は若かりし頃、その自立心の高さから両親の言うことなど一切聞かず、自分の考えをしっかり持ち一切耳を貸そうとしなかったのだ。彼は自分で考えて自分で行動をしていた。以前の隼翔は東家の四番目の坊ちゃんでありながら、意外にも裏社会に混ざったこともある。もし、隼翔のおばあさんが死に物狂いで彼を引き戻して来ていなけ
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第1416話

東邸に帰った後、美乃里は息子を起こすのを躊躇っていた。しかし、昔小さい頃のように彼を抱きかかえて車から降ろすこともできず、仕方なく声をかけて起こすしかなかった。「隼翔、着いたわよ。起きてちょうだい」隼翔は母親に何度か体をゆすられて、ようやく目を覚ました。目を開いた時はぼうっとしてしまい、母親を暫くの間見つめてからようやくハッと意識が戻った。彼はひとこと「ああ」と言って、自分で車を降りた。この時、琴音もちょうど外から帰ってきたところだった。彼女が運転していたのは美乃里が貸した車だ。「おば様、隼翔、戻られたんですね」琴音は車を降りるとまずは挨拶をした。彼女は今まで「さん」付けしていた呼び方を変えて「隼翔」と直接呼んだ。小松家のパーティーで、二人の距離が少し近づいたと思い、彼女は彼との仲が縮まったから「さん」付けで呼ばなくていいだろうと判断したのだ。あの呼び方ではどうも距離感があるからだ。「琴音ちゃん、どこに行ってたの?」美乃里は琴音に会った時は必ずいつも満面の笑みになる。彼女は琴音のことをとても気に入っているから、自分の息子の嫁にしたいと思っているのだ。そして、琴音の母親もその意向があり、両家の両親はそれを期待しているのだ。美乃里は、琴音は各方面において唯月よりも優れているというのに、どうして息子は琴音のことを好きにならないのか理解できなかった。息子の目は節穴なのだろうか。多くの名家の令嬢がいるというのに、それは拒否し、あのバツ一女に興味を持ったのだ!もし、唯月が東家に入ることになれば、周りから笑い者にされてしまうではないか。それに、他の多くの名家の令嬢の顔を潰すことにもなる。「お姉さん方と一緒にショッピングして、たくさん買って帰ってきたんです」琴音と東家の誰もがとても和気あいあいと良い関係を築いている。隼翔の甥も琴音のことを気に入っており、裏で母親に琴音は叔父さんの奥さんになるのかと尋ねるくらいだった。琴音は話しながら車から買って来た服やスキンケアなどが入った買い物バッグを降ろしていた。それから隼翔を呼んだ。「隼翔、ちょっと持つのを手伝ってくれない?あなたに服も何着か買ってきたの。後で気に入るか見てみて、サイズはきっとぴったりなはずよ。おば様に確認したから」この時、隼翔はすでに数メート
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第1417話

琴音は美乃里を見つめた。美乃里は使用人に琴音が買ってきた物を家の中に運ばせると、琴音の手をとり、庭の中を散歩し始めた。彼女はため息をつきながら歩いていた。「おば様、何か気がかりなことがあるのでしたら、遠慮なく私に言ってください。何かお手伝いできるかもしれませんから。そんなふうにため息ばかりついていないで。何があっても必ず誰かが助けてくれるんですから」美乃里は琴音の手を引き、彼女を見つめた。「琴音ちゃん、あなたは仕事もできて、人の気持ちもよく理解できる良い子だわ。人付き合いも上手で、家庭的でもあるし、それにビジネス界でも第一線で活躍しているわ。おばさんの中では、あなたこそ理想のお嫁さんなのよ。それがうちの隼翔ときたら、あの目は節穴なのかしら。あの子、どうして内海唯月なんかを好きになっちゃったのよ。私たちが心配していたことが現実になってしまったわ。内海さんは怪我をしたでしょ、彼は昨日の夜一晩中彼女のところで見守っていたらしいわ。私が迎えに行ってようやく帰って休息をとることになったんだから。帰り道であの子は認めたわ。内海さんのことを気にかけていて、好きなんだって。琴音ちゃん、何としても頑張らないといけないわよ。あの女なんてあなたとは比べることもできないわ。絶対にあの人を打ち負かすのよ。それに、おばさんはあなたしかお嫁さんとして認めないわ。私が生きている限り、あんな女を東家に嫁がせたりしないんですからね!」これを聞いて琴音は意外でもあり、また意外でもないと思った。彼女と美乃里は前から分析していたのだ。それに、美乃里は唯月に探りを入れに行っていた。その結果、唯月は隼翔のことなど一切眼中になかったのだ。「隼翔さんは内海さんに告白したんですか?」琴音は平然とした様子で尋ねた。「いいえ、あの子も内海さんが怪我をしたことで、自分の気持ちに気づいたらしいのよ」琴音は笑って言った。「おば様、これは私と隼翔さん、そして内海さんの問題ですから、おば様は見ていてください。私、努力しますから。私が隼翔さんに好きになってもらえるかは、約束できません。だから、私は自分の幸せのためにも、最大限努力します、とだけ言っておきますね。おば様、裏で内海さんに何か仕掛けるようなことだけはしないでください。私は勝つなら、正々堂々と勝ちたいんです」琴音は美
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第1418話

結城家のボディガードは佐々木家を病室の前で遮り、中に入れようとしなかった。「唯月さんが目を覚ましたって聞いて、私たちお見舞いに来たんですよ」佐々木母は微笑みながら結城家のボディガードにそう伝えた。唯月が目を覚ましても、唯花は俊介に伝えていなかった。しかし、子供誘拐事件の騒ぎが大きくなり、いろんなところを巻き込んでしまった。事件が起きてからネットニュースの話題になり、星城の人はみんな知っていた。唯月が刺されたという件も、もちろん世間の注目を集めた。彼女が命の危険から抜け出し、重症病棟から一般病棟に移ったことを、メディアは当然知っていた。多くの人が彼女の母親としての愛に感動し、彼女のために危険な状態から出られるように願っていた。そして、その危険がなくなったとわかり、メディアはこぞってそれを報道したため、佐々木家は知ることになったのだ。「うちの若奥様が言っていた。お姉様にはまだ静かな療養が必要で、騒いではいけないとな。あなた達は彼女がもう危険な状態ではないということを知るだけでいい。わざわざ彼女が休む邪魔をする必要はないだろう」それを言ったのは七瀬だ。英子は声が大きい。「私たちはただ唯月さんの様子を確認したらすぐ帰りますから。別に邪魔なんてしませんよ。あなた達、どいてください。中に入れて!」「英子」佐々木父が娘を睨みつけた。すると英子は声をだいぶ小さくしてぶつくさと文句を垂れた。「私たちだって唯月さんのことが心配なだけじゃないの。別に何か悪いことを企んでるわけじゃないし。ちょっと会うくらいもダメなわけ?」その時、病室のドアが開いた。唯花が出てきて、彼らに向かい合った。「唯花さん」唯花の姿を見て、英子は急いで言った。「唯花さん、私たちお姉さんのお見舞いしてもいい?安心して、ちょっと会うだけ、騒いだりしないからさ」唯花は佐々木家の面々の顔を一人一人目を通してから、最後に英子に向かって言った。「声は小さくして」唯月は病室の中で元夫側家族の声を聞いていたのだ。彼女は少し考えてから、妹に彼らを中へ入れるようにと言った。彼女は佐々木家がどのような一家なのかよく知っているから、一度も中へ入れなければ、ずっと毎日騒がれることになってしまうことが予想できたのだ。「わかったわ、小さな声で、とても小さな声でしゃべる
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第1419話

「唯花さん、これは私からのちょっとした気持ちよ。お姉さんの代わりに受け取っておいて。私たちにはね、誰かのお見舞いをするときには気持ちを包んでいく習慣があるのよ」英子はそれは風習なのだと持ち出してきた。どうしてもそのお金を唯月に受け取らせたいらしい。そして佐々木母も唯月にのし袋を渡した。唯花はそれを拒否し、最後に母親と娘はそれを陽に押しやった。陽に渡すと、二人はさっさと病室を出ていった。佐々木父も空気を読んで彼女たちと一緒に逃げるように出ていき、唯花にお金を返させるチャンスを作らなかった。そしてただ俊介だけがその場に立って、唯月を見つめながら何か言いたげにしていた。唯花は俊介にそのお金を持って帰らせたかったが、陽がそれを離そうとせず、きつくしっかりと握りしめてこう言ったのだ。「これはおばあたんと、おばたんからもらったお祝いだよ!」唯花は彼を説得させようとした。「陽ちゃん、それはおばあちゃんとおばさんに返しましょうね。私たちはそんなお金いらないんだから」「おばあたんとおばたんが僕にくれたんだ!」陽は頑なにそれを離そうとはしなかった。祖母と英子おばさんからお金をもらったことはある。以前彼がそれを受け取ったら、母親が彼のために貯金箱にそれを貯めておいてくれたのだ。だから、祖母と英子おばさんが彼にあげたお金は、彼は無意識に譲ろうとしないのだ。これは彼のお金なのだから!唯花「……」彼女はこの時初めて甥がここまで金にがめついタイプだということを知ったのだった。「唯月、今はしっかり怪我を治して。時間がある時、またお見舞いに来るよ」俊介は心にある言葉を結局は口に出すことができず、ただそのような当たり障りのない言葉だけを言って去っていった。唯花は甥の手からあののし袋を取り戻すことができず、佐々木家に返せなくなってしまい、姉に助けを求めるように見つめた。唯月は血の気のない白い顔で少し笑みを浮かべながら妹に言った。「もういいわ。くれるというなら受け取っておきましょ。以前彼女たちも陽にお金をあげたことがあるし、この子もそれに慣れちゃってるからね。陽に渡しちゃったものを取り戻そうとしても、とても難しいの」唯花は甥を抱き上げて、キスをし、からかった。「陽ちゃん、将来の奥さんのために貯金するの?」「ママのためだよ。たくさんお金
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第1420話

「ありがとうございます」咲は穏やかな声でお礼を言った。「唯花さん」辰巳は唯花に一声かけた。唯花は頷き、咲を支えて椅子に座らせた。辰巳はフルーツの籠をベッドサイドテーブルの上に置いて、花束を唯月のベッドの頭のほうに置いた。そして優しい声で言った。「唯月さん、これは柴尾さんからのです。一日でも早く元気になるといいですね」唯月はお礼を言った。彼女と咲はあまり交流がないが、妹と咲は仲良くしていることを知っていた。妹から、柴尾家の令嬢は結城おばあさんが辰巳に選んだお嫁さんなんだと聞いていたのだ。辰巳と咲の態度を見てみると、彼はどうやらおばあさんに決められた運命を受け入れたようだ。「唯月さん」咲は唯月と向かい合った。「すみません」すると彼女は唯月に謝罪してきたのだ。「どうして柴尾さんが私に謝るんですか?」この時、唯月の声はとても弱々しかった。麻酔の効き目が切れて、彼女の傷と手術後の切開の痕がすごく痛むのだ。その痛みで彼女は顔色をさらに悪くさせていた。話すのも大きな声を出すことができなかった。咲は申し訳なさそうに言った。「初め、事のきっかけは私でした。唯花さんが私を手伝い、助けてくれたことで、母親から目をつけられてしまったんです。私の母はそれで……母は今警察に捕まりました。きっと彼女は法に則ってそれ相応の罰を受けるでしょう。でも、私は犯罪者の家族として、唯月さんに謝罪をしなくてはいけません」彼女は立ち上がり、丁寧に言った。「唯月さん、本当に申し訳ありませんでした!」「柴尾さん、あなたからの謝罪は受け取りました。もう自分を責めないでください。今回の件はあなたのせいではありませんよ。それに唯花のせいでもないんです。あの人たちがあまりに良心もなく、狂っていただけです」唯花は実は指示を出していた黒幕が誰なのかこの時知らなかった。しかし、咲が謝罪してきた後、ようやくわかったのだ。咲はやはり自分を責めている。唯花と咲の母親の間に因縁ができたのは、唯花が咲を助けたからだ。唯花は咲を慰めた後、尋ねた。「あなた達一家は今どうなっているんですか?」柴尾加奈子と娘の鈴はどちらも刑務所に入っている。鈴は起訴された後、その刑罰は加奈子のほうがやったことほど重いものではなかった。加奈子は娘を助け出そうと考え、あまりに焦り過ぎ
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