Tous les chapitres de : Chapitre 1421 - Chapitre 1430

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第1421話

咲は少し静かに黙ってから言った「結城さんにはお世話になります」「そんな距離感のある呼び方しないで、彼のことは名前で呼んでいいですよ。咲さんは私の友達なんだし、辰巳君は私の夫の従弟ですよ。それに二人は知り合って結構経ったでしょう、もう友達と言えるんだし」辰巳は唯花が助け舟を出してくれたことに感謝を伝えるような眼差しを向けた。咲はただ笑うだけで、その言葉には何も返さなかった。唯月はまだ休息が必要なので、咲も長居することはできなかった。詩乃と姫華が来たら、咲と辰巳は帰っていった。「唯花ちゃん、あなたは陽ちゃんと結城さんと一緒に帰ってご飯を食べて、午後はおうちで休みなさい。私と姫華がここでお姉さんに付き添うから。夜、あなた達夫婦がまた来たらいいわ」詩乃は夜にいたくないわけではない。唯花が姉の傍にいたいに決まっているからだ。そんな唯花のことも理解できる。それに子供たちが彼女は年を取ってきたから、夜は耐えられないだろうと心配している。唯花は姉を見つめた。「唯花、伯母様の言うとおりよ」唯月は小さな声で言った。「あなたのそんな憔悴した様子を見てたら辛いわ。お姉ちゃんのことは心配しないで。死んだりしないから。お父さんとお母さんにあなたと陽をちゃんと面倒見るって約束してきたのよ。それを破るようなことはしないから、さあ、陽を連れて早く帰って休みなさい」この時、理仁が外から戻ってきた。彼はさっき唯月の主治医のところへ彼女の怪我の具合を聞きに行っていた。後遺症が残らないかも心配だったのだ。「神崎夫人」彼は詩乃に対しては、やはり毎回会うたびに礼儀正しく接していた。姫華に会った時は、彼はいつも唇を固く引き結んでから、彼のほうから挨拶をするのだった。姫華はその時には、こっそり笑うのがよくないと分かっているが、やはり我慢できなかった。プライドの高い理仁は、以前真正面からまともに姫華の顔を見ようとしなかった。それが今彼女に会うと、礼儀正しくなりきちんと挨拶をしてくるのだ。それに以前のようにきちんと彼女の目を見て話さない、なんてことはできなくなってしまった。姫華はそれに対して、この上もなく快感を覚えている。理仁は姫華に挨拶を終わらせると、妻のほうへ向いた。姫華のあの得意げな様子を見ていたくなかったのだ。「唯花、義姉さんの
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第1422話

唯花は理仁との些細な喧嘩のせいで、姉の傍にいられず、こんなことになってしまい、自分のせいだと思い込んでいたのだ。そんな時に、もしまた子供の件でネットニュースになったと知ってしまえば、彼女はどんな行動を取るだろうか。「うん、じゃあ、琴ヶ丘に戻ろう。ばあちゃんが陽君はまだ幼いから精神的なショックが大きすぎるし、心理カウンセラーの先生に診てもらおうって。俺が小さい時に心に問題があったときには、よく先生に相談していたらしいんだ」車に乗ってから理仁はまた言った。「それに、ばあちゃんが言うには、その先生は占いも得意で、俺たちは運命の二人だと言ったらしい。それで、ばあちゃんが意地でも俺たちをくっつけようとしたとか」唯花「……そんな理由もあったの?私はてっきりおばあちゃんが私の人柄を見込んでのことだと思ってたのに、そうじゃなかったのね。その先生の言った一言で、私たちの運命が決まったってこと」理仁は片手で陽を抱き、もう片方の手で彼女を抱き寄せた。「その先生はすごいお方だ」理仁と唯花には夫婦になる運命があると言ったことに関しては、間違いない。彼ら二人は現在、夫婦になっている。しかし残念なのは、二人は今世で夫婦の縁があるだけということだ。彼は来世も、来来世もずっと唯花と夫婦でいたいと思っていた。しかし、人生というものは、一度きりだ。「ばあちゃんは、その先生にうちの家の風水を見てもらったらしい。先生は風水に関してはそこまで詳しくないらしくて、うちに何が問題があるのかはよくわからないって。もっと能力の高い人に見てもらえってさ」結城家には女の子が生まれないので、理仁はおばあさんに、家の風水が問題じゃないかと話したことがあるのだ。おばあさんはそれでその先生兼占い師に尋ねたのだ。その人物は人の運勢を見るのはピカイチだが、風水に関してはあまり詳しくない。琴ヶ丘に来てもらって風水を見てもらったが、その人でも何が問題なのかわからなかったのだ。しかし、占い師がおばあさんに頼まれて、理仁と唯花の運勢を占ってみると、夫婦には男の子も女の子も生まれるという運勢があるらしい。理仁はその時、おばあさんが喜んで伝えて来たのを見て、彼も思わず口角を上げてしまった。男の子と女の子両方だなんて、こんなに嬉しいことはないだろう?彼自身もそう願っていた。「何考
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第1423話

そして一方、辰巳は咲を連れて病院を出た後、咲をブルームインスプリングに送ることはなく、スカイロイヤルホテルのほうに向かっていた。彼は咲にこう言った。「一緒に病院に付き合ったんですから、昼は奢ってください」この時、考え事をしていた咲は呆れてものが言えなくなった。この男、どうして事あるごとにご馳走しろと言ってくるのか!咲は辰巳のほうへ顔を傾け、落ち着いた様子で尋ねた。「結城さんはどこに行きたいですか?」「そうだなぁ……」辰巳が話し終わるまえに、携帯が鳴り彼が言おうとしていた言葉を遮ってしまった。その着信は電話帳にある人物からではなかったが、電話番号には覚えがあった。柴尾社長だ。「あなたの伯父さんからの電話ですね」辰巳は咲にそう告げた。咲は眉間にしわを寄せた後、またいつもの淡々とした様子で言った。「きっと、あの人は焦って結城さんの力を借りたいのでしょう」柴尾正一は正に焦り、恐怖まで感じていた。彼と妻は運命共同体である。多くの事は表面上妻がやったことになっているが、裏で正一も手を出していたのだから、彼が事情聴取を受けるのは免れない。警察が深入りしてくれば、彼も言い訳はできなくなり罪を認めざるを得ないだろう。彼ら夫婦はかなりの苦労を経て、ここまでやって来た。それが今、過去の努力が水の泡として消えてしまう予感がするものだから、正一が焦るに決まっているのだ。そして心の中では妻が彼の言うことを聞かないことに恨み言を吐いていた。妻には何度も繰り返し、結城理仁と唯花とは争わないようにと釘を刺していたのだ。彼らは確かに二百億という資産を持つ超金持ちであるが、それでも結城家には太刀打ちできない。鈴が刑を受けることになったのなら、おとなしく刑務所で罪を償えばいい。彼女の親である二人が外で今まで通り順調に暮らしていれば、娘の刑期が終了して出所した後、彼は変わらず娘の将来を約束してあげられるのだから。鈴が金で人を雇い、傷害未遂事件を起こしたのは、さすがに少しやりすぎだった。唯花が空手ができず、結城家のボディガードが裏で彼女の警護に当たっていなければ、あの後どうなっていたかは、想像もできない。そうなれば、鈴にはさらに重い刑罰が下っていただろう。今回の状況だから、数年の刑で済んだのだ。鈴はまだ若い。あと数年刑務所で過ごしても、彼
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第1424話

辰巳は咲に電話に出るよう言うと、彼女の返事を待たずに電話の通話ボタンを押して、咲のほうへ差し出した。「早く電話を取ってください。まさか同じ年の同じ日に一緒に死にたいと思ってるわけじゃないですよね。さあ、はやく出て」咲は仕方なく彼の電話を受け取った。正一はすでに電話越しにご機嫌取りをするように、「結城副社長、今お時間ありますか?よければ一緒にお食事でも、私がご馳走しますので」と言った。咲は辰巳の携帯を耳元にあて、継父がそう尋ねるのを聞きながら、そっけなく言った。「伯父さん、彼は今運転中です」「咲なのか?お前は副社長と一緒にいるのか。だったら、彼に食事に誘いたいと伝えてくれ、今時間があるだろうか?お前も副社長と一緒に来なさい」正一は姪の声が聞こえ、彼女が辰巳と一緒にいることを知り、態度を和らげた。「結城さん、伯父さんが食事に誘いたいと、時間はあるかと尋ねています」「もちろんあるさ。俺たちもちょうど食事に行くところだったでしょう?柴尾社長に伝えてください、スカイロイヤルで待ってるって。すぐに来いってね」今日は咲の懐から財布を出させることができないようだ。また日を改めてご馳走してもらおう。どのみち、一生咲にそうしてもらう機会があるのだから。咲がお金を稼ぐことができるかどうか自体は辰巳にとって重要ではない。毎回彼女がご馳走する時に見せるあのお金を惜しみ、辛そうにしている様子を見て、辰巳は面白がっていた。彼は彼女の財布を軽くさせるのが好きらしい。彼女が苦しそうにしながらも、そんこと大したことじゃないと大盤振る舞いするふりを見るのを楽しんでいるのだ。こんな男、咲が一生を共にするパートナーにするわけなかろう!「伯父さん、結城さんの話、聞いていたでしょう」正一は電話の向こうでそれに応えた。「わかった、今からスカイロイヤルに向かうよ」そう言い終わると、彼は急いで電話を切ってしまった。そして咲は携帯を辰巳に返した。辰巳は車を運転しながら、彼女をからかった。「君の伯父さんが俺を探して助けてもらいたいと思っているなら、きっとまた君に対して責任を持ち、結婚しろと言ってくるんでしょう。ところで、結婚しますか?しませんか?」咲は黙ってしまった。「この間の君に卑劣な真似をしたあのクソ野郎なら、小松おじい様がすでに小松家の掟に則っ
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第1425話

咲は怒りをぐっと堪えて言った。「結城さんがどんなお顔なのか私はわかりません。どうしてブサイクだから嫌だって言えます?結城さん、結婚というのは人生でとても重要なことです。おままごととはわけが違うんですよ。私とあなたは少し付き合いがある程度で、恋人にだってなってないんです。それなのに結婚だなんて飛びすぎでしょう?」辰巳はすぐには返事をしなかった。それで咲は彼を説得できたのだと思っていた頃、彼は穏やかにこう言った。「結婚って、別に必ず恋人になってからじゃないとできないってわけじゃないでしょう。うちの兄さんは唯花姉さんと結婚した時、結婚手続きをするその日に初めて会ったんですよ。そして、今はすごく仲良く過ごしています。あの二人は本当に仲が良すぎて、誰もが羨望と嫉妬の眼差しで見てるんですから」咲は黙っていた。結城理仁と内海唯花のスピード結婚を、まさか結城家の全ての独身男性が真似をして交際もせずに結婚する道を突き進もうとしているのか?それとも、彼らは忙しすぎて、恋愛する暇も惜しいから、結城理仁に倣ってそうしようというのか?辰巳はまたこう言った。「君がもし先に恋人になりたいというなら、それは簡単です。今から俺は君の彼氏です。これで晴れて恋人同士になりましたね」咲「……結城さん、あなた私の意見は聞かないんですか?」「じゃあ、恋人になってくれますか?」「私はあなたとは釣り合いません。それから、もう二度と私のことをからかわないでいただけますか」初めて辰巳と知り合った時、咲は辰巳がわざと自分に近づいてきたと感じていた。彼女はいくら考えても、その理由がわからなかった。それに辰巳が自分のことが好きだからかと思ったこともあるが、結局その考えはかき消してしまった。咲は目が不自由で見えない。辰巳は結城家の二番目の坊ちゃんである。いくら結城家の親世代が進んだ考えの持ち主たちで家風が良くても、彼女のような人間は受け入れられないだろう。「どうして釣り合わないなんて言うんですか?俺たちがお似合いの二人になれるように、俺が変わりますよ」辰巳が咲の写真を手にしたあの瞬間、彼自身が彼女のことを気に入らなくても、結局はおばあさんの決めた運命に従い、咲を妻とするしかなかった。逃げられないのだから、咲を妻として見ているのだ。「私は目が見えない人間です」
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第1426 話

スカイロイヤルホテルに到着すると、辰巳は車を駐車し、先に降りて外からぐるりと回って素早く助手席まで来た。そして咲が車を降りた後、彼は彼女の前に立ちふさがった。「結城さん?」咲は辰巳のほうへ目線を上に向けた。この時、彼はかなり近い距離にいて、すぐにあの慣れ親しんだ香りが漂ってきた。辰巳は突然彼女の手を取った。するとすぐにその手を高く引き上げ、彼の顔に当てた。「咲さん、俺の顔を触ってみてください。今は俺がどんな顔をしているのか見えなくてわからなくても、こうやって触ってみると想像ができるでしょう。あなたならきっとできますよ、とても頭の良い女性ですからね」咲は静かに彼を「見て」いた。そして暫くして、手を動かした。辰巳はその瞬間彼女の手を離した。咲が探るように軽く彼の顔を触るのを黙って見ていた。その長く柔らかい手が彼の顔に触れる時、辰巳は少しザラッとした感触がした。それは彼女の手のひらは分厚いタコだらけだったからだ。彼女の手は実際はとても柔らかく、非常に綺麗なのだ。咲は手の感覚だけを頼りに、頭の中で辰巳の様子を想像していた。何度も触ってから、辰巳がかなり至近距離にいることに気づき、ハッと我に返ると、急いでその手を引っ込めた。この時、辰巳は深い眼差しでじっと彼女の赤い唇を見つめていた。咲は端正な顔をした非常に美しい女性だ。その艶やかで赤い唇が近づいてきた時、彼はそれをじいっと見つめて、自分の唇を合わせてみたくてたまらなかった。彼の想像しているように、その唇はとても柔らかいのか確かめてみたかったのだ。しかし、彼もそう考えるだけで、行動に移す勇気などなかった。彼女は心に高くそびえる壁を作っている。彼はこの時まだその壁の半分も登り詰めていない。自分を抑えずしたいがまま行動すれば、拒絶されて振り出しに戻りかねない。「伯父さんはもう来ていますか?」咲は二人の間に流れる静かで曖昧な空気を破った。「わかりません、中に入ってみましょう」辰巳は彼女のほうへ手を差し伸べた。「手を繋いで中に入りましょうか?」「結構です、ありがとうございます」咲は白杖があるので、自分で歩いて中に入れる。辰巳も強要することはなく、彼女に付き添ってゆっくりと中へと歩いていった。「結城副社長、咲、こっちですよ」正一は
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第1427 話

「咲、お前はどうして副社長と一緒にいたんだ?」正一はやはり尋ねてみた。咲は淡々と答えた。「病院に内海唯月さんをお見舞いに行ったら、偶然副社長とお会いしたんです。そして家まで送ってくださると言ってくれて、その途中で伯父さんからの電話を受け取ったわけです」正一は少し黙ってから、心配そうに尋ねた。「内海さんの様子はどうだった?」「命の別状はもうないそうです」咲は言った。「お母さんに代わって、彼女に謝罪してきたんです」「咲、あの事件に母さんが関わっているとはまだ確定していないんだ。彼女がやったとはっきりするまでは、そんなふうに母さんのことを言ってはいけないよ」正一は不愉快そうに咲をたしなめた。「何も証拠がなければ、警察だって家からお母さんを連れていったりしないはず。あの日の事件に関与していた人たちはみんな捕まりました。伯父さんは最近戻ってきたばかりでしょうけど、それは耳にしているはずです。私は警察がお母さんにありもしない罪を着せるとは思えません」実は、咲も警察がどうして彼女の母親に狙いを定めたのかはわかっていなかった。それに非常に迅速な対応で母親連れて行ったのだ。やはりお天道様は見ている、としか言いようがない。加奈子は裏社会の人間と繋がりがあるものだから、自分は何でもできると思い込んでいたのだ。しかし、悪はやはり正義には勝てないと知らなかった。そして結局最後には、お縄となった。もちろん、咲は少しも母親に同情も心配もしていない。母親を救い出したいとも、ちっとも思っていない。彼女はただ母親は自業自得だとだけ思っていた。正一は言葉を詰まらせた。何も言えなかった。そして少しして、彼は急いで好きなものを注文してもらおうと、メニューを辰巳に渡した。「私はメニューを見る必要はありません」結城家の御曹司である彼が、自分の家のホテルで食事をする時は、どんな料理があるかわかりきっているのだから。正一がご馳走すると言うので、辰巳は遠慮なく、多くのお勧め料理を選んだ。ただ彼は車を運転するのでお酒を飲むことができない。そうでなければ、いくつか高級なお酒を注文して正一に打撃を与えてやったというのに。注文をした後、辰巳は正一に言った。「柴尾社長、何かあるのでしたら直接お聞かせください。私はあまり回りくどい言い方をされるのが好
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第1428 話

正一は姪をちらりと見て言った。「副社長、うちの姪は他の人とは違います。彼女は目が見えないのですよ。あなたがこの子と結婚してくださらなければ、将来お嫁に出すことはできないでしょう」「伯父さん!」咲は険しい顔で言った。「私は結婚しないし、結城さんに責任を取ってもらう必要もありません。私は何も失っていませんから。あの夜、あの男の思う通りにはならなかった、だから結城さんに結婚を迫る必要なんてないんです」正一は彼女の実の父親ではないが、彼女の親族ではある。それに継父だ。正一がこのように辰巳に要求するのは、咲にとっては恥ずかしいことであり、穴があったら入りたいくらいだった。「咲、私は君のお父さんと約束したんだ。君が大人になるまで養い、結婚相手を見つけるってね。伯父さんがちゃんと君の面倒を見なかったから、失明までさせてしまった。私はそれがもう申し訳なくてたまらないんだよ。もし今後、君に良い結婚相手を見つけることができなかったら、私が死んだとしてもあいつに会わせる顔がないんだ」正一が今このようにしているのは、実は辰巳の咲に対するイメージを壊すためなのだ。辰巳と結城家が咲を見下すようにさせるためだ。彼がもし、自分の姪は結城おばあさんに見染められていて、結城辰巳の嫁として選ばれたということを知ったら、今すぐ血を吐いて倒れてしまうことだろう。「副社長、お考えいただけないかと……」辰巳は咲を一目見てから言った。「柴尾社長にそのように言われると、私がもし彼女に責任を負わなければ、彼女は一生独身女性になるということですね。それはちょっと私も可哀想だと思います、柴尾お嬢さん……」「結城さん!」咲が顔をこわばらせて辰巳の話を遮った。「結城さん、私はあなたに責任を取ってもらう必要はありません」そしてまた彼女は正一のほうを向いて、険しい表情で言った。「伯父さん、もう結城さんに責任を取れと迫るのはやめてください。私はそんな必要ありません!伯父さんの本心はそうじゃないでしょう。それならはっきりと彼に言ったらどうですか、私を利用しないと話ができないの?結城さん、私の伯父さんの本心は、あなたに間に立ってもらって、唯花さんと唯月さんに和解をお願いしたいだけです。私のお母さんの刑罰を軽くするためにね」この時、正一は不機嫌そうに顔を暗くさせた。咲が彼の
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第1429 話

個室から出ると、辰巳はまた咲を別の個室に連れていき、再び注文して咲に奢らせることにした。彼はさらに図々しくこう言った。「さっき伯父さんから結婚を迫らせて、なんだかムカつきましたんで、奢っていただけますよね」咲はそれがおかしく、また仕方ないといった様子で言った。「別にご馳走しないと言っていませんよ。そんな言い訳なんて必要ないですから」「食事が終わったら、家まで送ります。自分の荷物をまとめて引っ越したほうがいいでしょう。あの伯父から何かされないか心配なので」「引っ越すって、どこへ?」「俺の家ですよ。あなたの店の近くに一軒持ってますから、そこに引っ越せばいいです。使用人を雇いますんで安心してください。俺はその家には住みませんから、周りからまだ結婚してないのに同居して、なんて言われたらたまりませんからね」咲「……結城さん、もう結婚の話は二度としないでください。私は伯父の言うことなんて聞くつもりはありません。後でスタッフにお願いして、店にある小さな部屋を片付けてもらいます。そこで暫く暮らせばいいです、そのようが便利だし」伯父も警察に捕まったら、彼女は柴尾邸に戻って暮らせばいいのだ。それまでは、家から出ておいたほうが安全だ。伯父が焦って彼女に手を出してくる可能性も捨てきれないからだ。昔、伯父と彼女の母親は咲の命を取ろうと企んだことがあるが、咲は両目を犠牲にすることでなんとか一命を取り留めたのだ。「それもいいです」咲に彼名義の屋敷に住むことは辰巳も強制はしなかった。……太陽が西に傾き、夜の帳が下りてきた。また一日の終わりが近づいている。理仁夫妻は、陽を連れてキャンピングカーに乗り病院にやって来た。カウンセラーのおかげか、母親が目が覚めたのを確認したおかげか、陽は午後ぐっすりと寝ることができた。今精神状態はいつものように戻っていた。しかし唯花の状態はあまり良くなかった。彼女は連続二日あまりよく寝られず、頭痛がひどかった。病院に行くため家を出る直前に、彼女は理仁に見られないようにこっそり頭痛薬を飲んでいた。頭が痛い時にいつも服用している薬で、効き目はいいが副作用が強いのだ。本当に耐えられないほどの頭痛の時以外には、絶対に飲まないようにしていた。理仁は自分の家の庭で花を切り取って花束にし、それを陽に持たせて病室
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第1430 話

「ひめはおばたん、またね」陽は姫華にその小さな手を振り、さらに投げキッスまでしてみせて大人たちを喜ばせていた。理仁は自ら詩乃と姫華の二人を入院病棟の下まで送った。「結城さん、ここ最近はお世話になって」詩乃はとても感謝して言った。「あなたがいてくださってよかったわ。おかげで唯花ちゃんたち姉妹は危ない目に遭っても無事でいられましたから。彼女たちのことをたくさんお世話してくださって、本当に感謝しています」理仁は穏やかな声で言った。「神崎夫人、唯花さんは私の妻です、義姉さんだって家族なんですからね。あの二人を支えるのは当然のことですよ」確かに彼は唯花姉妹をとても支えているが、しかしあのような目に遭ったのは彼と知り合ったせいでもある。「あなたはとても責任感のある方ですから、唯花ちゃんのことを任せてとても安心できます」詩乃は以前から理仁のことを星城でも類を見ない素晴らしい好青年だとわかっていた。自分の娘がそんな彼を好きになったのは人を見る目が確かだからだ。ただ、娘は彼とは縁がなかっただけだ。しかし、理仁は詩乃の姪の婿となったので、それもいいのだ。他人のところにいったのではなく自分たちの親戚になったのだから。詩乃たち親子は帰っていった。理仁は彼女たちが車に乗るのを見てから、また病院の中へ入って行こうとした。「理仁」その時、聞き慣れた声が彼を呼び止めた。理仁が振り返ると、そこには片手にフルーツの籠と、もう片手に花束を持って向かって来る隼翔の姿があった。「隼翔、義姉さんの病室は今フルーツと花束で溢れているぞ」「それは他のやつが持って来たもんだろう」隼翔は自ら贈ったものが病室の中でひっそりと存在していればそれでいいと思っていた。「空も暗くなったっていうのに、また来たのか。また俺たちと夜の番争奪戦でもする気か?もう義姉さんは目を覚ましているから、お前が夜ここにいたら、彼女もゆっくりと休めないだろう。余計な気を使わせてしまうぞ、そうなると傷の治りも遅くなってしまう」昨日の夜は、唯月はまだ昏睡状態だったので、隼翔が夜の番をしていても問題はなかったのだ。今、唯月はもう目を覚ましているから、理仁は隼翔が夜居続けるのは賛成できなかった。唯月はまだ隼翔が彼女のことを好きだと知らないのだから。隼翔は言った。「た
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