All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1401 - Chapter 1410

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第1401話

「陽君」理仁は陽を抱き上げた。目を覚ました陽は、理仁を拒否することはなかった。彼が今最も信頼している人間は、叔母とその夫の理仁である。「陽君、怖がらないでね。おじさんがもう悪い奴らをやっつけてやったんだ。警察もあいつらを捕まえていったぞ。お医者さんが君のママを助けてくれたよ。明日、遅くても明後日にはママはこの中から出てくるからね。目を開けて陽君の名前を呼んでくれるよ」陽は真剣な表情で理仁を見つめ、尋ねた。「おじたん、本当に?」「おじさんがいつ陽君に嘘をついたことがある?本当だよ」理仁は陽を抱き上げ、トイレのほうへ向かった。「陽君、お顔と手を洗おうか」陽は自分の手が汚れているのを見て、頷いた。理仁は陽を連れてトイレに行き、彼の顔と手を綺麗に洗ってから、また出てきた。この時、ちょうどボディガードが食事を持って来た。唯花は食欲がなく、先に陽に食べさせようとしたが、陽も食べたがらなかった。理仁は再び二人を説得するように言った。「唯花、陽君、君たちが何も食べなかったら、倒れてしまうかもしれないぞ。義姉さんが目を覚ました時に、二人がそんな状態だと、きっと心配させてしまうだろう?陽君、おいで、おじさんが食べさせてあげよう。お腹がいっぱいになったら、お風呂に入って服を着替えようね。それからまたママが起きるまで待とう。今の服のままでいて、ママが目を覚ましたら、君を見て驚いちゃうよ」陽はまた下を向いて自分の服を見た。服も汚れていた。血が乾いた痕だ。陽を説得するのは簡単で、理仁にそう言われるとご飯を食べると言った。唯花も無理やりに食事を口に押し込んだ。理仁も言っていたが、彼女が何も飲まず食わずでいたら、耐えられなくなってしまう。姉が目を覚ます前に彼女が倒れてしまったら、その後姉の面倒をどうやって見るというのだ?それから三十分後。運転手がキャンピングカーを運転してやって来た。理仁は唯花に陽を連れてシャワーを浴びさせ新しい服に着替えさせるよう言った。唯花が離れた後、理仁は悟に電話をかけた。「悟、状況は?」「柴尾夫人は事情聴取に連れて行かれた。柴尾社長はいない」彼は悔しそうにこう言った。「柴尾社長はちょうど今朝出張で、星城を離れたらしい」理仁はそんなことだろうと予想していた。「彼以外は全て捕
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第1402話

隼翔は明らかに心配で不安そうにしていた。暫く経ってから、彼は視線を戻し、唯花に抱かれた陽に手を差し伸ばした。しかし、陽は隼翔に抱かれるのは拒否した。陽は頭の向きを変えて、唯花の肩にしっかりとしがみついた。その瞬間、隼翔は表情を暗くさせた。自分には力が足りず、陽にも責められているような気がしたのだ。「陽君はかなりショックを受けているから、今は叔母さんにしかくっつかないんだよ」理仁は説明した。隼翔は唇を噛みしめてから言った。「いいんだ、陽君のせいじゃない。理仁、俺がここで内海さんが目を覚まさないか待ってるから、お前は奥さんと陽君を連れて少し休んできたらどうだ」理仁は少し考えてから言った。「そうしようか」理仁は、陽を連れてキャンピングカーで少し休憩し、夜中過ぎにまた義姉の様子を見に来ようとなんとか唯花を説得した。隼翔がここに残るなら、彼は安心できる。それに、理仁のボディガードたちも一緒にいる。「奥さん、あなたが大丈夫でも、陽君はまだ子供だから体力的に、もたないでしょう。陽君はあなたのお姉さんが必死に守った子だ。そんな彼のためにも考えてあげよう。あなたが陽君をしっかり世話してくれれば、お姉さんも安心できて、やっと目を覚ますことができるよ」隼翔も唯花に休むよう説得した。唯花はまた甥のほうを見つめた。今、陽はしっかりと彼女にくっついて離れない。陽のために、彼女は彼らの説得を聞いて、キャンピングカーで休息を取ることにした。目覚ましを設定して、夜中過ぎたら姉のところに戻ることにした。……一方、佐々木家では。「どうして莉奈が?そんなバカな」両親に引っ張られて家に戻ってきた俊介は、ずっと独り言をぶつぶつと何時間も呟き続けていた。彼は信じられなかった。信じたくなかった。愛する莉奈がどうして陽にあんなひどいことをするのだ。彼と唯月が離婚するその全てを莉奈は見ていた。離婚することになった時、莉奈は彼に陽の親権を放棄するように説得してきて、彼もその話を聞き入れたのだ。母親と姉はいつも彼と莉奈を離婚させて、唯月と再婚させようとしていた。しかし、彼はそんな気は全くなかった。それに、彼らはもうすぐ結婚式を挙げるところだった。彼らは結婚式が終わってからハネムーンに行こうと約束していた。その場所もホテルも
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第1403話

ドンドン。この時、玄関のドアをノックする音が響いた。佐々木父がドアを開けに行った。ドアを開けると、英子がサッと家の中に駆けこんできて、緊張した面持ちで尋ねた。「お父さん、唯月さんの状態は?陽ちゃんは無事なの?電話もらってから、急いで来たのよ」佐々木父は答えた。「陽君なら大丈夫だ。かなりショックを受けていたみたいだけどな。今は叔母さんとしか一緒にいようとしないんだ。唯月さんは……まだ重症患者の病室にいるよ。医者が言うには、数日そのまま安定していれば大丈夫だって。もし急変したら……いや、彼女なら持ちこたえられるはずだ。彼女は良い人だからな。善良な人は神様のご加護を受けているさ」「ええ、そうよ。唯月さんはとっても良い人だもの。彼女は絶対に大丈夫だわ、絶対に」英子は唯花に自分の息子を救ってもらってからというもの、あの姉妹二人への態度をガラリと変え良くなっていた。今彼女は心の底から唯月が早く良くなってほしいと願っていた。弟を見た後、英子はまた勢いよく駆け寄ってきて、彼を何度か殴って怒鳴りつけた。「俊介、これだからあんたは私の言うことを全く聞かないのよね。あんた一体どんなクソ女を嫁にしたんだい。私たち家族に面倒事を引き寄せて、陽ちゃんにまで手を出そうとするなんて。この間の動物園で、あの女が誘拐犯にうちの恭弥を連れて行かせようとしたでしょ、どんだけ腐った女なわけ?私があいつにチクチク嫌がらせをするのが憎いってんなら、受け入れるわ。私にかかってくるっていうなら、別に文句なんてないよ。だけど、あの女、なんの罪もない子供に手を出したんだよ。本当に性根の腐った女さ。私は自分が一番最低な人間だと思ってたけど、その上をいくとはね。確かに私はあいつに嫌がらせしてきたけど、唯月さんは彼女に何もしてないじゃないか。それなのに陽ちゃんまでターゲットにするなんてさ、私ら佐々木家を根絶やしにする気だったわけ?」英子は自分のことをよく理解しているらしい。自分が最低な人間だと自分で認めている。佐々木母は電話で娘に今回の件を話したのだ。それで、英子は家に着くやいなや、開口一番罵ってきた。俊介は妻である莉奈に代わって言い返したいと思ったが、何も言うことができなかった。ここまで来て彼が莉奈を庇おうものなら、両親から八つ裂きにされてしまうだろう!それに、俊介自
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第1404話

隼翔は本当に、自分がこんなふうに唯月のことが気になっているとは知らなかった。彼はいつも、自分が陽を好きなのであって、唯月に良くしてあげているのは、陽がいるからこそだと考えていたのだ。そして、唯月が悪者にナイフで刺されたと知った時、胸が締め付けられ、その痛みは形容のしようがないほどだった。彼がいくら鈍い人間だったとしても、唯月のことを好きになっていたのだと、この時ようやく気づいたのだった。どうして唯月のことを好きになってしまったのか。彼自身もそれがわからない。それで親友たちがいつも彼と唯月をカップル扱いしてきたわけだ。周りは気づいていたということだ。彼は優秀な女性である琴音に会っても、何も感じなかった。それに彼女から遠ざかりたいと思うほどだった。琴音が悪いのではなく、彼が無意識に唯月のほうへ気持ちを向けていたからだったのだ。英子夫妻と、佐々木母が病院にやって来た時、隼翔が病室の前にいるのを目撃した。足音が聞こえて、隼翔はそちらへ目を向けて見ると、英子夫妻だったので彼は顔を暗くして冷たい目で佐々木家を睨んだ。「あなたがどうしてここに?」英子は思わず隼翔に問いただすような聞き方をした。隼翔は冷ややかに返した。「俺がここにいるのがお前となんの関係がある?」英子は言葉を詰まらせた。今唯月はフリーだし、ダイエットにも成功した。彼女を好きになって追いかける男がいたとしてもそれは普通のことだろう。この東という男は、唯月をずっと気遣って優しくしている。彼ら佐々木家は隼翔が唯月のことが気になってるから、陽にも良くしているのだと思っていた。唯月がまだダイエットに成功していなかった頃、佐々木家は心の中でそれを認めようとせず、自分たちに言い聞かせていた。東隼翔は大企業の社長で、億万長者だ。唯月のようなバツ一で、デブで三歳の子供を連れているような女を、彼が好きになることはないと思うようにしていたのだ。そしてこの時、隼翔が病室の外でじっと待っているのを見て、彼らはもうそれを認めるしかなくなった。この東隼翔という男は本当に唯月のことを好きなのだ。そうでないなら、こんな夜中に唯月の病室の外でじっと待っているはずがない。佐々木家の面々は、この時の気持ちをどうも表現できなかった。「こんな夜中に休みもせず、ここにやって来てなん
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第1405話

「俺がここにいて悪いのか?お前の迷惑になるようなことでもしたか?お前は今唯月さんのなんなんだ?俺がどうするかお前に決める権利でもあるというのか?唯月さんが今どういう様子かお前らが気にかける必要などない。彼女がここにいるのは、お前ら佐々木家のせいなんだからな。そっちの弟の嫁が彼女をこんなふうにさせたんだ!」「成瀬莉奈とかいうあの毒女なんて、私は一度たりとも弟の嫁と認めたことないですよ。唯月さんのことしか認めていません」「ハッ!」それに対して隼翔は皮肉たっぷりに言い返した。「柏木さんは、あんた達が当初唯月さんにどんな扱いをしてきたのか、すっかり忘れてしまったのか?彼女は今休息が必要だ。お前ら佐々木家などお呼びではない。今すぐここから去ってくれないか!」隼翔は結城家のボディガードに英子と母親、そして輝夫を追い払うよう目配せをした。佐々木家一家は、隼翔が今まで見てきた人間の中で、最も頭のおかしいクズな人間どもだった。英子は唯月を一目見ることもできず、隼翔が病室の前を死守しているので、近づくことすらできなかった。結城家のボディガードは彼女を追い立て、佐々木母も娘を引っ張り去っていこうとした。佐々木母のほうは、唯月に合わせる顔がないと常に感じていた。隼翔は唯月が病院に来ることになったのは、全て彼ら佐々木家のせいだと言っていた。まさにそうだった。もし、俊介が陽を連れて行かなければ、もし莉奈があそこまで性根の腐った女でなければ、今回のようなことにはならなかったのだ。佐々木家が去っていった後、隼翔は再び病室の窓越しに唯月を見つめた。「唯月さん、安心してくれ。あいつらがまた君に纏わりついて嫌がらせをしてこようとも、この俺が奴らをしっかりと懲らしめてやるからな。君も頑張るんだ。絶対にあいつらの甘い言葉に騙されてはいけない。あいつらは今一心に君とあのクソ男を復縁させようとしているんだ。でも、それは君がお金を稼いでいて、妹さんが財閥家に入ったことで、自分たちが良い思いをしたいと思っているだけなんだ」隼翔は唯月に向かって多くの言葉をかけていた。本来、理仁夫妻が夜中過ぎに来て病室の前で待つ予定だった。しかし、彼は頑なにその場を離れようとせず、夜中過ぎまでずっといた。理仁はまた愛する妻にしっかりと休息を取らせたいと思い、こっそり唯花が
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第1406話

唯月はその全てが夢ならばよかったのにと願っていた。夢から覚めたら、両親がそこにいて、一家四人幸せに暮らしているのだ。彼女が今までどれだけ一人で背負ってきたのか、知る人はいない。妹が辛い時には姉に頼って泣くことができた。しかし、彼女が辛い時に、誰に頼って泣けばいいのだ?「お母さん、私帰りたくない。お母さんとお父さんと一緒にいたいの」唯月は母親の胸の中で首を横に振って、離れたくないと拒否し続けた。すると母親は彼女を押し退けた。「唯月、唯花やあなたの息子の陽ちゃんのことを考えて。あの子たちにはあなたが必要なの。あなたの帰りをずっと待っているのよ。言うことを聞いて、早く帰りなさい。ここはまだあなたが来るべきところじゃないのだから。さあ、早く行きなさい!」母親はそう言いながら、彼女を押して行かせようとした。そして唯月は妹と息子のことを思い出した。そうだ、息子を育てないといけないし、妹だって待っている。ここで両親と一緒にいたら、陽はどうするのだ?それに唯花だ。たまに夫と喧嘩をして、姉を頼りに帰ってくるのに、その家もなくなってしまう。「唯月、帰るんだ」ずっと黙っていた父親も、この時口を開いた。両親は二人とも唯月に早く帰るようなだめていた。二人は一緒になって彼女の体を押して、ある方向に向かわせた。唯月は押される形で躊躇いながら歩いた。そして前方に光が見えると、両親は彼女に向かって手を振った。彼女は目に涙を浮かべ、両親のほうへ目を向けた。「光に向かって歩いて行くんだよ……」両親の言葉はだんだんと小さくなり、聞こえなくなっていった。彼女も聞き取ることができなかった。唯月はしっかりと立ち、涙を浮かべたまま体の向きをあの光のほうへ変えて歩き出した。……この時、病室の外にいた隼翔は唯月が涙をこぼしているような気がした。彼は自分の目がおかしくなったのかと思い、何度も目をこすってしっかりと見てみた。すると唯月はやはり涙を流していたのだ。「七瀬、七瀬、ちょっと来て見てくれないか。唯月さんはもしかして涙を流していないか?」隼翔は自分の見間違いじゃないかと思い、七瀬にも確認するよう頼んだ。七瀬は近づくと、隼翔はその場を彼に譲って病室の中を見てもらった。七瀬も何度か目をこすって再びよく見た後言った。「東社
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第1407話

唯月は息子の無事な姿と、妹も一緒にいるのを見たが、まだ口を開いてしゃべることができなかった。唇を動かして妹を安心させようと笑みを作ろうとしたが、目からこぼれ落ちる涙をどうしても止めることができなかった。彼女はまた選択をしたのだ。今は両親の元へ行くのを諦め、妹の傍に戻り、息子の世話をするという選択を。「先生、義姉さんの状態は?」理仁が医者に尋ねた。「患者さんが目を覚まされたので、危険な状態からは抜け出しました。もう重症患者さん用の病室にいる必要はありませんよ」この時、みんなはようやくホッと一安心することができた。唯月は普通の病室に移ることになった。理仁は義姉に一人用の病室を手配した。そこなら静かで彼女がゆっくり静養することができるだろう。唯月は目を覚ましたとはいえ、体はかなり弱っていた。病室に連れて行かれた後、すぐにまた深い眠りについた。唯花は陽を抱いてベッドの前に座り、姉を見つめていた。そして頻繁に、手を軽く姉の鼻に当てて、呼吸は正常か確認してそのたびに安心した。空が明るくなってから、理仁は神崎夫人たちに、唯月が危険な状態を脱し、少し目を覚ましたことを伝えた。結城おばあさん達も日が昇ってから病院に駆けつけてきた。昨夜、おばあさんは星城に帰ってきた後、時間的に遅かったので、孫たちはおばあさんが病院に行くのを止めたのだ。だから彼女は空が明けるまで待つしかなく、朝になるとすぐに病院へやって来た。「おばあちゃん」おばあさんの姿を見ると、唯花は陽を抱いたまま立ち上がり、おばあさんに声をかけた。おばあさんは頷き、まずは唯月の様子を確認した。この時唯月はまだ顔を真っ青にして眠りについていたので、それを見たおばあさんは、心を締め付けられた。「可哀想に、あれだけ多くの人間がいたのに、たった一人の女性と小さな子供を守ることができないなんて!」理仁と隼翔は声を出すことができなかった。彼らは確かに、しっかりと守れなかったのだ。「お医者さんはなんて?」おばあさんは唯花に尋ねた。「先生は、命の危険はもうないって。朝早くに重症患者さんの病室から移ってきたのよ。お姉ちゃん、一度目を覚ましたけど、また寝ちゃったの」おばあさんは頷いた。「大丈夫ならよかった、本当によかったわ。おばあちゃんも心配で夜はあまり寝られなか
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第1408話

隼翔は何も言わなかった。みんなは唯月の様子を確認した後、おばあさんは息子夫婦に先に帰るように伝えた。唯月を静かに休ませなければならない。理仁夫妻は目にひどくクマを作っていた。唯月が危険な状態を脱したと知らせを受けて、神崎家と牧野家もお見舞いにやって来た。詩乃は病院に留まることにした。唯月が再び目を覚ました時、彼女はやっと本当の意味で安心できるからだ。結城家のボディガードたちがみんなに朝食を買って持って来た。朝食を済ませると、理仁は隼翔に向かって言った。「隼翔、お前は先に帰って休め。昨日の夜は結局一人で一晩中ずっと見守っててくれたろ」「大丈夫だ、眠くはないし疲れてもいない。もう少しここにいる」隼翔は友人たちに囲まれている唯月を見つめた。再び目を覚ました唯月は、話す声は非常に弱っていたが、初めて目を覚ました時よりも状態は良くなっていた。彼女は自分を囲む大勢の外にいる隼翔にはまったく気づいていなかった。隼翔は呆然と彼女を見つめていた。彼女が彼がいることに気づかなくても、彼は背が高いから、大勢の人に囲まれる唯月の姿を見ることができた。彼女が目を覚まして、彼はとても嬉しく思い、全く疲れなど感じていなかった。「プルプルプル……」この時、隼翔の携帯が鳴り出した。彼は唯月の邪魔になると思い、病室を出てその電話に出た。母親からかかってきた電話だ。「隼翔」美乃里は電話越しに直接尋ねた。「あなた、今病院にいるの?」昨日の事件は、かなりの騒ぎになっていた。警察が多くの人間を捕まえたからだ。多くの人が、昨日星城の警察がほとんど出動して、あれだけ多くの犯人を捕まえたと囁いていた。子供の誘拐事件が起こったと知り、子供を持つ家庭は、子供を連れて出かける時にはしっかりと抱いて出るようにしていた。大きい子供でもさらわれることを恐れて、両親にしっかりと手を繋がれていた。美乃里が今回の事件を知ったのはおかしくないことだ。しかし、美乃里は後から誘拐されたのが唯月の息子だと知ったのだった。そしてさらに後から唯月が負傷したことを知ったのだ。息子が昨夜は家に帰って来ず、美乃里はわざわざ息子名義の屋敷にも探しに行ったのだが、見つからず、会社に行っても息子の姿がなかったので、病院にいるのだろうと予想したのだ。「俺は
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第1409話

美乃里は電話の向こうで暫くの間黙っていてから口を開いた。「唯月さんは今目を覚まして危険な状態ではなくなったのよね。あなた、いつ帰ってくるの?病院に一晩中いて疲れたでしょ、帰って休みなさい」「母さん、俺は疲れてない。まだ大丈夫だ。俺の心配はしなくていい」美乃里は息子に腹を立てそうになった。しかし、それをぐっと堪えた。彼女はそれ以上は何も言わず、黙って電話を切った。隼翔は母親から電話を切られた後、携帯をズボンのポケットになおし、再び病室に戻った。そしてまた大勢が唯月を囲む中、彼は外で静かに唯月を見つめた。唯月は今危険な状態からは抜け出したが、それでも虚弱した様子だった。医者はあまり多くの親族が病室で彼女の邪魔をしてはいけないと言ったので、みんなは唯月を様子を見た後、しぶしぶ病室を去っていった。そして最後に病院に残ったのは、やはり理仁夫妻と隼翔だった。唯月はまた眠りについた。今の彼女は落ち着いた様子で寝ている。彼女は生きていて、息子も無事だった。悪い奴らも捕まり、彼女は完全に安心できたのだ。「唯花、義姉さんはもう大丈夫だ。彼女も寝てしまったし、陽ちゃんと一緒にあそこのベッドで少し寝たらいい」理仁は唯花に陽を連れて、すぐ傍にある家族用のベッドで休息を取るように言った。「あなただって、昨日の夜はちゃんと寝ていないでしょ。クマができてるわよ」唯花は陽を抱いて、ベッドの前に座り姉を見ていた。「私は眠くないの。あなた眠いなら先に休んできて」理仁は説得しようがなくなり、親友のほうへ顔を向けた。彼は隼翔の肩をポンと叩き、一緒に病室を出て行った。「隼翔、お前一晩中見守ってくれてただろう。そろそろ休むべきだぞ。義姉さんがまだ元気になってないのに、お前まで倒れたらどうするんだ」隼翔は言った。「俺もここから離れたくない。心配なんだよ。内海さんがベッドから降りて歩けるようになってようやく安心して仕事に行けるだろうな」理仁は彼をどう説得すればいいかわからず、唇を引き締めた。「プルプルプル……」理仁の携帯が鳴った。悟からだ。その電話に出た後、悟が何を言ったのかわからないが、理仁の顔色がだんだんと曇っていった。隼翔は理仁が悟にこう言うのを聞いた。「誰が盗撮したのか調べてくれ。その話題になったネットニュースをさっさと消す
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第1410話

理仁と唯花は喧嘩になり、唯花も怒って牧野家で一晩過ごした。そしてその翌日、明凛と一緒に故郷で行っている事業の進捗具合を確認しに行ったため、唯月親子の傍にはいなかったのだ。唯月は昨日事件に巻き込まれて、唯花は電話で知らせを受けた後、急遽星城に戻ってきたのだ。そんな夫婦二人の小さな小競り合いを誰かにこっそり盗撮されていて、それがネットニュースに上がり話題となっていた。この件をもし唯花が見たら、自分のせいだと責め始めるかもしれない。夫婦が喧嘩したことで、姉を守れなかったと思ってしまうのではないだろうか。理仁は唯花にできるだけ隠していられるよう悟に処理させている。彼女に知られるわけにはいかない、少なくとも今知られるのはあまり良くない。隼翔「……お前のその立場では、少しでもお前に関わることならすぐにネットに上がるだろうな。特にお前が結婚してからというもの、世間はさらにお前たち夫婦のゴシップが気になって仕方がないんだ。ああいう隠し撮りしようと見張っている記者なんてそこら辺に転がってるから、情報はすぐに広まってしまう。ああいう奴らに私立探偵でもさせたら、プロ並みの働きをするだろうな」隼翔はかなり同情して理仁をなぐさめようとした。そして、彼はまた心配して尋ねた。「お前ら夫婦、大丈夫か?」隼翔は理仁の身体を上から下まで眺め、自分とそう体格は変わらないと思い、笑った。「お前に何か問題があって、子供ができないってんなら、他の男たちなんか必死になって病院を受診するだろ」「俺は問題ない。ただ、俺は子供を産むことはできんぞ。奥さんに産んでもらうしかないだろ」隼翔は笑った。「奥さんがもし……」「彼女の体だって何も問題ないさ。ただプレッシャーを感じているだけだ。うちの家族は彼女に子供を産めと催促なんてしてないが、彼女が……」理仁は少し考えてからまた言った。「たぶん俺が彼女のプレッシャーになってるんだろう。俺と結婚したんだから、目に見えないプレッシャーってものを感じているんだよ」理仁は携帯を取り出して悟に電話をかけ、悟が電話に出ると、こう頼んだ。「悟、あるインタビュー記事を出してくれないか。俺の妻はまだ妊娠していない。それは俺がまだ二人っきりの世界に浸っていたいからだってな。子供に夫婦二人の甘い時間を邪魔されたくないから、急いで子供を作ろうとは
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