All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1681 - Chapter 1690

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第1681話

唯月は病院を出ると、自分の店に行った。「店長、おはようございます」店員二人は唯月が来たのを見ると、まず挨拶をして、それから何か言おうとしたが、言葉をぐっと呑んだ。この時唯月は心ここにあらずで、二人のそんな様子には気づいていなかった。店も忙しく、二人はまず先に仕事に戻った。そして店が少し落ち着いてから店長に話そうと思っていた。しかし、店長の上の空な様子を見て、きっとネットで話題になっているニュースのことは知っているのだろうと思った。店長の妹は星城一の富豪家である結城家の若奥様だ。だから情報なら彼女たちよりも早く受け取っているに違いない。唯月はレジの奥にある椅子に腰掛けた。脳裏にはさっきの隼翔の言葉がこだましていた。彼が交通事故を起こしたと聞き、唯月もとても心配していた。しかし、その事故を自分のせいにされてしまったのだ。自分は彼に会いに来てと言っただろうか?別にそんなことを頼んだ覚えはないのに。「お姉ちゃん」するとそこに聞き慣れた声が聞こえてきた。唯月が顔を上げると、唯花が自分の目の前に座っていた。唯月は今呆然としていて、妹が来たことにも気づいていなかった。「唯花、お店のほうはいいの?」「明凛がいるからね。後で姫華と一緒に会社に行くつもりなの。明凛は妊娠中だから、あちこち走り回るのはよくないから、本屋で店番してもらうのよ」悟は明凛に仕事させるのは反対だったが、明凛が彼に本屋にも行かせてくれないというなら、唯花と一緒に農場のほうへ行くと言い張った。それで悟は明凛が毎日本屋に行くことに同意するしかなかった。本屋の店番ならそんなに疲れることもない。何か重たい物を運ぶ必要があれば、ボディガードがいるから安心だ。「姫華ちゃんはまだ来てないのね」唯月は妹の後ろを見てみたが、従妹の姿はなかったので尋ねた。「さっき電話した時、あの子はまだ起きてなかったのよ。だからお姉ちゃんのところで待ってるって伝えたの」唯花は姉の目の周りにクマができているのを見て、心配して尋ねた。「お姉ちゃん、昨日はよく眠れなかったの?今朝はあんなに早く出かけちゃって」唯花と理仁が起きた時、姉はすでに出かけた後だった。執事に尋ねてみると、姉は朝早くに出かけたと告げられた。それで唯花は、姉は隼翔のお見舞いに行ったのだと予想した。
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第1682話

「お姉ちゃんがそう思ってるなら、安心したわ。東社長がお姉ちゃんに何を言っても、どんなひどい態度を取ったとしても、それは本心じゃないよ。だから、あまり気にしないほうがいいから」唯花が病院に行った時、健一郎が全て理仁と唯花に話した。それで唯花は隼翔が話す言葉は心からのものではないと感じたのだ。隼翔はただ自分に障害が残り、一生車椅子で生活するのではないか心配し、みんなから同情されたくなかったのだろう。唯月は少し黙っていてからまた話し始めた。「社長にはあまり自暴自棄になってほしくないわ。退院してから頑張ってリハビリして、また元気になってほしいもの」「きっと大丈夫だよ」唯花は姉を見つめた。「他に何か言いたいことがある?」「社長が事故を起こしたことはもう星城のニュースになってるの。一部の人が勝手にその原因を想像してて、お姉ちゃんもその中に巻き込まれる形になってるんだよ」それを聞いて唯月は驚き、携帯を取り出して星城ニュースを開いてみた。東グループ社長の交通事故がトップ記事ではないが、上位のほうに上がっていた。彼女はタップしてその記事を開いてみた。「理仁さんが、検索一位のニュースから人に指示を出して抑え込んでくれたから、そこからは外れてるんだけどね」唯月はそれを見た後言った。「私は別に気にしないわ。ただ、東グループに影響が出るんじゃないかちょっと心配ね」東グループは隼翔が個人で設立した会社だ。彼は会社ではワンマン社長で、東家が家族で経営している会社のように、トップに何かあっても他に仕事を引き継ぐ人間が存在しているわけではない。社長である隼翔がこのような状況にあり、会社の他の管理職たちが暫くは会社の経営にあたったとしても、時間が長くなれば社員は不安を感じてくるだろう。それに社員の中によからぬ考えを起こす者が現れないとも限らない。隼翔が不在の今、会社を裏切るような行動を起こすかもしれない。「それは心配しなくて大丈夫よ。理仁さんが目を光らせているし、東家も次男に会社の経営をひとまず任せるみたいなの」長男は東家が家族経営している会社の社長であり、とても忙しい。だから末っ子の隼翔の会社を管理できる余裕はない。それで次男に暫くそれを任せるしかなかった。東家の誰かが隼翔の会社の管理をしているし、結城グループも注意を向けているのだ
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第1683話

結城おばあさんは隼翔にキッと視線を向けた。「どうしたの?今ここにこうやって横になっているせいで、自信がなくなったから、唯月さんを他の男に譲ろうってこと?」隼翔の返事を待たず、おばあさんが続けた。「あなた、唯月さんにとって自分は何だと思ってるわけ?彼女の人生をあなたが決めるわけ?あなたが彼女を他の男に任せたいと思ったとしても、まずはあなたが彼女ともっと仲良くなってからじゃないと、そんなことする資格すらないでしょう。あなたね、彼女の手すら握ったこともないし、何も始まってないじゃないの。それなのに彼女の結婚相手をあなたがどうにかしようと考えるなんてどういうつもりよ。ここが痛いの?」おばあさんは隼翔の怪我をしている足を少し力を込めて触った。「おばあ様、いたっ、痛いですよ!」隼翔は強い男だが、ここまで痛みを感じると冷や汗をかいてしまう。ただ彼はその痛みをじっと耐えていて、泣き言を言わないだけだ。そんな彼も、結城おばあさんを目の前にした時は、強がる必要がなくなる。「痛いと思うのは良いことなのよ。つまり、足はまだ痛みを感じることができるってことで、半身不随にはなってないでしょ。もちろん、重傷を負ったら回復するまでかなりの時間がかかるわ。退院したらリハビリセンターできちんとリハビリを受けなさい。私はね、あなたがいつか必ず以前と同じように歩けるようになるって信じているんだから」隼翔は辛そうに言った。「おばあ様、俺は一生車椅子で生活することになるかもしれないんです」「今先生だって一生車椅子生活をすることになります、だなんて断定してないってのに、あんたって子は、自分に障害が残って唯月さんに迷惑がかかるから会おうとしないんでしょ。理仁まで拒否するなんて。それに彼女に対してあんなひどいことを言っちゃって。あなたはそもそも唯月さんとは恋人になっていないでしょう。それなのに、一方的にひどいことを言ったのよ。唯月さんを苦しめると思うからって、本当にそんなことで彼女を諦めてしまうつもり?私はずっとうちのバカ孫たちのためにお嫁さん候補を探してあげているけど、その間にも何人か良い青年を見つけたわ。もしうちに孫娘がいたなら、その青年の中から誰か紹介したいくらいよ。あなたが本気で唯月さんのことを諦めるというのなら、その青年の中から彼女に紹介してあげるわ
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第1684話

佐々木家では。莉奈がソファに横になり、楽しそうに携帯を見ていた。この時、玄関のドアが開いた。俊介の母親が帰ってきた。それから英子もだ。小姑の英子を見ると莉奈は不機嫌そうな表情に変えた。ここまで図々しい人間は見たことがない。英子も莉奈にいい顔はしなかった。莉奈と俊介は、結婚した後に生活する予定だった家に引っ越し済みだ。以前の内装は全て唯月が大勢を連れてきて全て壊してしまったから、もちろん新しい内装に変わっている。すでに持ち家に住んでいるというのに、穏やかな生活を送ることはできない。英子は全く自覚なしに、この家を自分の第二の家のように考えている。自分が来たいと思った時に来て、帰りたいと思ったら帰っていく。しかも手ぶらで来て、帰る時には冷蔵庫に入っているもので持っていけるものは勝手に持って帰ってしまうのだった。本当に図々しいにもほどがある!莉奈はこの件で、英子とはもう数えきれないほど喧嘩をしていた。莉奈は自分が妊娠すれば、夫側の家族から大事にされるものだろうと思っていたのに、それは思い違いだった。姑のほうは前よりもマシになったが、英子のほうは相変わらずだ。莉奈は俊介に英子のせいでイライラしたらきっと流産してしまうと訴えていた。もしそんなことになれば、莉奈は再び刑務所に戻り、引き続き刑を受けることになってしまう。「莉奈さん、いつもいつも携帯を見るのはやめなさいよ、子供に良くないわ」佐々木母は家に入ってすぐ嫁がソファで携帯をいじっているのを見て、我慢できずにそう注意した。唯月と陽はこの女のせいで危うく命を落とすところだった。そして莉奈が刑務所に入ったと思ったら、すぐに俊介の子供を妊娠していることがわかったのだ。俊介が莉奈をどうにかして刑務所から出そうと奔走している頃、佐々木母は不満に思っていたのだが、莉奈が佐々木家の子孫を妊娠していることで結局は耐えることにした。「ただニュースを見ているだけですけど」莉奈は座って英子を一瞥した。「お義姉さんも来たんですね。お義母さん、彼女はもう結婚しているでしょう?どうしてこう毎日のようにここに来るんですか?もし何も事情を知らない人が見たら、きっとお義姉さんは離婚したんだと勘違いしますよ。夫の家族から追い出されたんだろうってね。それに比べて私はどうです?あまり
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第1685話

英子は莉奈を指差して罵った。「あんたが佐々木家の子供を妊娠してなければ、今頃一発おみまいしてやってたところだよ。唯月さんはそんな人じゃないよ、あんたのほうこそ男を不幸にさせる女だろ。この毒女が、こんなふうに自分の夫に不幸が訪れるような言葉を吐くやつがいるのか。俊介がいなけりゃ、あんたは今頃まだ刑務所にいたんだよ。あの子があんたを一時釈放してくれるように頑張って走り回ってやったっていうのに、交通事故に遭うだとか不吉な言葉を言うなんて。あの東とかいう男は勝手に事故を起こしただけで、唯月さんは関係ないだろう。彼女は彼のことを受け入れたことは一度もないんだ。彼が自分で唯月さんに会いに行こうとしたのさ。それに、母親に追いかけられたせいで事故を起こしたことは明らかじゃないか。ネットのニュースなんてデタラメなことばかり言うものだよ。世間の関心を集めるためだけに、わざと唯月さんまで巻き込んだ、本当に良心の欠片もないメディアたちだよ」英子は一気にまくし立てた。莉奈が反論する機会など一切与えなかった。英子の声はかなり高く、よく通るので、莉奈を罵る声は下の階にも聞こえているはずだ。しかし、このマンションに住んでいる住民はすでに佐々木家のことをお茶の間の話題として扱っている。よく佐々木家の噂を口にしていた。唯月が多くの人を引き連れて内装をめちゃくちゃにした件をマンション全員が知っているのだ。俊介が唯月と離婚した後、不倫相手だった女と再婚したことも知っているし、その再婚相手と佐々木家は不仲だということも全て知っている。それに莉奈が罪を犯し、もし妊娠していなければ、今も刑務所にいるということまで知っているのだ。普段、莉奈がマンション周辺を散歩している時、みんな色眼鏡で彼女のことを見ていた。そして近所には喜んで莉奈と近所付き合いするような住民はいない。子供を持つ家庭は、莉奈を見かけると急いで子供を連れて離れていく。それに子供には莉奈を見かけたらあの女は人攫い同然だから、遠く離れて近寄るなとまで教育していた。「あんたが俊介と唯月さんの結婚生活に割って入ってきてから、俊介は何をするのもうまくいかなくなった。これも全部あんたのせいだ。あんたは疫病神なのさ。それなのに唯月さんの悪口まで言うなんて、お前なんかにその資格があるとでも思ってんのか。唯月さん親子をひどい目
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第1686話

佐々木母も莉奈がさっき言った英子の子供たちに対する話はひどすぎると思い怒っていた。しかし、莉奈がお腹を抱えて痛いと叫んでいるのを見ると、すぐに彼女を支えにいって慌てて言った。「早く座って、それより、部屋に戻って横になったほうがいいわ」「お母さん、そいつはただ痛いふりしてるだけだよ。そうやるのはもう何回目よ?」英子は莉奈が本当に腹痛を起こしているとは信じていなかった。「こら、英子」母親は娘にひとこと言い、莉奈の体を支えながら部屋に付き添ってやった。そしてベッドに横たわった嫁の顔が英子に叩かれて赤く腫れているのを見て、息子がそれを見てまた姉と喧嘩するのではないかと心配し言った。「莉奈さん、氷を持って来るから冷やしたほうがいいわね」莉奈は黙って頬をさすっていた。そう言うと、佐々木母は急いで氷を取りに出て行った。莉奈はベッドに横たわり、自分の今の生活のことを考え、辛くなって涙を流した。しかし、これは彼女が自分で決めたことだ。どこの誰が俊介と唯月の結婚生活をぶち壊しにしたのだ?今、実家には帰ることもできず、夫側の家族から毎日いじめられている。性格のねじ曲がった小姑に、差別ばかりする義父母、彼女はこの状況にもう精神崩壊してしまいそうだった。もしお腹に子供がいなければ、彼女はやっていけなかっただろう。お腹にいる子供のおかげでなんとか刑務所生活は一時的に免れている。莉奈は子供のことはしっかり守りたいと思っていた。英子から子供がひどい目に遭うのではないかと不安な気持ちでいっぱいだった。するとこの時、勢いよく莉奈はベッドから起き上がり、トイレに行こうと思った。佐々木母がこの時氷を持って部屋に入ってきた。「莉奈さん、どこに行くの?」佐々木母が尋ねた。「トイレです」莉奈は携帯を持ってトイレに行った。だから佐々木母はベッドに座って莉奈を待っていた。莉奈はトイレで俊介にさっきあったことを訴えるメッセージを送った。一方、俊介はちょうど仕事の依頼が入ったばかりで、客を空港へ送るところだったので、それを莉奈に伝えてから、彼女からのメッセージにはきちんと返さなかった。夫からの返事が来ず、莉奈は愚痴をこぼした。「全く使えない男ね。どうしてこんなクソ男なんか好きになったんだろう!」そして彼女はショート動画を見始めた
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第1687話

莉奈は腹痛がなかったので佐々木母は安心して、気をつけるよう言いながら彼女をベッドに横たわらせた。しかし、少しすると莉奈の顔色が急に変わり、義母の手を掴んで震えながら言った。「お義母さん、お腹が痛いわ」それを聞いて佐々木母はすぐに外に向かって叫んだ。「英子、今すぐ救急車を呼んでちょうだい、莉奈さんがお腹が痛いって」英子はりんごをかじっていて、母親の叫び声を聞くとゆっくりとやって来て、ドア枠に寄りかかって言った。「お母さん、その女は毎日何百回ってお腹が痛い痛い叫んでるじゃないの。信じないほうがいいわよ。救急車を呼ぶなんて、救急隊の皆さんだって暇じゃないんだし、本当に必要な人が困るようなことをしないほうがいいってば」「さっき莉奈さんは転んだのよ!」佐々木母は怒鳴るように叫んだ。「さっさと救急車を呼びなさい」英子は莉奈がベッドで苦しそうに横たわっている姿を見て、今回は本当だと悟り、急いで救急車を呼んだ。……午後四時、太陽がまだ町を照らしていた。まんぷく亭のほうはいつもと違い、昼の忙しい時間が終わっても閉店していなかった。この日一日店は開いたままだった。唯月は陽と一緒に店でアニメを見ていた。二人の店員はすでに仕事を終えて帰っていて、たまに弁当を買う客が入ってくると、唯月が対応していた。この時、店には客がおらず、陽は楽しそうにアニメを見ていて、唯月は隣で明日の仕込みをしていた。するとガラスのドアが開いた。唯月はドアのほうへ視線を向けた。そこにいたのはかなり長い間唯月の前に現れていなかった元小姑だった。「えーこおばたん」陽は英子が入ってきたのを見て呼んだ。英子は微笑んで近寄ってくると陽を抱き上げた。「陽ちゃん、アニメ見てたんだね」陽は頷いた。英子は甥を下におろすと、買って来た果物の袋を唯月に渡した。唯月はそれを受け取りながら言った。「英子さん、わざわざ買って来なくてもいいですよ」「甥に会いに来たから、何か持ってこないとね」英子は唯月がその袋を置いてまたテーブルに戻り明日の仕込みの続きをし始めたのを見て、彼女もやって来て座り、伝えた。「唯月さん、ちょっと話したいことがあるのよ。あの成瀬莉奈のクソ女が今日流産しちゃったの」それを聞いて唯月は英子のほうを見た。成瀬莉奈が流産した?
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第1688話

もちろん、莉奈が流産した件に自分が関係していると、英子は絶対に認めるわけがない。成瀬莉奈は性根が腐っている。唯月は男を不幸にする女で、俊介とさらには英子の子供たちのことまで悪く言ったのだから、流産してもそれは自業自得だというのが英子の考えだ。莉奈のお腹にいたのは男の子だった。流産で子供が外に出た時にそれがわかったのだ。佐々木母と莉奈はそれを知り、どちらも泣き崩れてしまった。英子はそれを知った時は悲しく思ったが、すぐにどうでもよくなった。英子は自分の子供が大人になるまで生きられないと莉奈にひどい言葉を言われてしまった。たとえ大人になれても、事故で死ぬかもしれないという呪いにも似た言葉を吐かれたのだ。しかし、莉奈が言ったことはそっくりそのまま自分に返ってきたではないか。英子は莉奈が流産したのは因果応報だと思っている。「唯月さん、あの成瀬っていうクソ女、本当に口が悪い女なのよ。あいつね、ニュースで東社長が交通事故に遭ったって知ったの。中にはデタラメな記事があってあなたまで巻き込まれる形になっているでしょ。それをあの子が見て、東社長はあなたを好きになったせいで、不幸な目に遭っただなんて言い出したのよ。それに皮肉まで言ってきたんだから。私たち家族は俊介とあなたを復縁させたいと思ってるでしょ。もしそうなっても俊介があなたのせいで交通事故に巻き込まれるって言ったのよ。俊介は今タクシードライバーをしているから事故が起こる確率が高いとかなんとか。ねえ、あの女、本当に性根が腐りきっていると思わない?」英子は莉奈が自分の子供たちが不幸になると言った内容を唯月に聞かせた。その後またこう言った。「子供が不幸にも死んじゃったんだから、他人の不幸を喜ぶような真似は良くないってわかってるわ。だけど、これは自業自得だと思うのよね。あの子本当にひどいんだから。以前はこんな子だとは思わなかったけど、まさかここまで腹黒だとは、本当に最低な女だよ。あなたが離婚する前に住んでいたあのマンションね、近所の人たちはみんな成瀬莉奈とは関わろうとしないんだって。子供があの女を見かけたら、何かされるんじゃないかって怖くて逃げてくの。唯月さん、ネットニュースの記事なんか気にしなくていいわよ。もし、あなたと関わった男が不幸になるっていうなら、俊介はどうしてどうもなかったのよ?俊介
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第1689話

英子は気まずそうな笑みを浮かべ、陽をちらりと見て言った。「陽ちゃんにはパパがやっぱり必要でしょ」「つまり今陽には父親がいないということですか?私とそちらの弟の関係がどうであれ、あの男がこの子の父親であることには変わりないでしょ。それは一生変えることのできない事実ですよ」「そうじゃなくて、私の言い方が悪かったわ。私はただ、陽ちゃんには父親がいる家庭で楽しく育っていったほうがいいんじゃないかって言いたかったのよ」「私は今陽はとっても楽しく生活していると思いますけど。この子はいつだって楽しんでいますよ。以前、父親が毎日仕事や他の女と遊ぶのに忙しくて、全く構ってくれなかった。そして今、あの男はたまにこの子に会いに来るけど、それは以前と何が違うと言うんですか?陽はとっくの昔に父親が傍にいない生活に慣れています。私と唯花、それにみんながこの子と一緒にいてくれるから、全く心配なんてなく、楽しくしっかり成長していけます」その言葉に英子は何も言えなくなった。そして陽を出しても説得はできないと悟った。彼ら佐々木家はずっと諦めきれず、唯月の前で同じ言葉を繰り返しているが結果はいつも同じだった。俊介のほうも後悔はしている。しかし、彼は唯月が絶対にヨリを戻すことはないとわかっているし、また唯月を追いかけようと思っても、全く効果はないだろう。「弟のためを思うなら、今後は実家のことには口を挟まないことですね。両親の前で弟のお嫁さんの悪口は言わないほうがいいですよ。彼女の粗捜しなんてしないで距離を置いておけば、自然と弟さんの暮らしがだんだんよくなりますから。じゃないと、いくら弟の嫁が変わったとしても結果はいつも同じです。私だってあなたがどういう考えを持っているのか全くわかっていないんです。あなたには弟が一人しかいないし、両親はどんどん年を取っていく。両親が亡くなったら、実家に帰っても世話してくれる人がいなくなるでしょ?あとは弟とその嫁にしか頼れない。今こうやって弟夫婦と不仲になって、恨みを買うなんて、両親が死んだ後はもう実家の家族とは縁を切るつもりなんですか?小姑は、兄弟の結婚には口出ししないのが一番ですよ。それにいろいろ口出しするとしても両親と結託して弟の嫁に突っかかっていくのはやめてください。弟を一度離婚にまで追いやって嬉しかったんですか?それには飽
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第1690話

「ママ、あずまおじたん、どうして今日来ないの?」陽は母親に尋ねた。そして昨日母親と一緒に病院におじさんのお見舞いに行ったことを思いだして、また尋ねた。「おじたん、まだ良くならないの?」東おじさんはすぐに良くなるから心配するなと言っていた。それで陽はおじさんは今日はもう良くなっていると思っていた。すると唯月が優しく言った。「東おじさんはまだ少し時間がかかるの。陽はおじさんに会いたいの?」陽は頷いた。この時、陽はすでに隼翔がいる生活に慣れてしまっていたのだ。毎日会う人に急に会えなくなってしまうと、彼はどうも落ち着かなかった。「ママ、ぼくといっしょにおじたんのおみまいに行ってくれる?」唯月は隼翔に会いたくないと言われたことを思いだしていた。しかし、彼は陽に会いたくないとは言っていなかった。彼女も彼の怪我のことを心配していた。この日の朝病室から追い出されたばかりで、まだ一日も時間は経っていないのだが、唯月はなんだかかなり時間が経ったように感じてしまった。そして隼翔には一日も早く良くなってほしいと思っていた。「わかったわ、ママが病院におじさんのお見舞いに連れていってあげる」それを聞くと陽はとても喜んだ。唯月は仕込みが終わったものを冷蔵庫に戻し、サッと片付けを済ませると、息子を連れて店を出た。陽は幼いながらも気を利かせて唯月に言った。「ママ、ぼくおじたんにお花かって行きたい」陽は母親が入院している間、みんながお見舞いに来る時には花束を持ってきてくれていたのを覚えていたのだ。だから、お見舞いには必ず花が必要なのだと理解していた。「わかったわ」唯月は息子の要求に応えることにした。彼女は息子を車に乗せてブルームインスプリングまで行き、咲のところで花束を買った。「内海さん」咲は唯月が店を出る時に、慌てて彼女を呼び止めた。「内海さん、さっき人に頼んで買い物に行ってもらったんです。東社長のお見舞い用に買ってもらったものなんですけど、今から病院へ行くのなら、それを私の代わりに届けてもらえないでしょうか?本当は自分で行きたかったんですけど、目が見えないし出かけるのはちょっと不便で、もしお願いできるなら頼みたいんです」咲と隼翔は接点はないが、東家と結城家は親交が深い。辰巳も隼翔とは親しくしているようだ
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