All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1661 - Chapter 1670

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第1661話

唯月は美乃里と話した内容を、隼翔には一つも教えていない。しかし、隼翔はやはり母親から聞いていた。母親が唯月を退去、引っ越しさせようとし、陽と一緒に星城から遠くに離れるように要求したと知り、隼翔は母親と大喧嘩してしまった。美乃里も隼翔もかなり怒りを爆発させてしまったのだ。結局、母と子のどちらも譲ろうとも、諦めようともしない。唯月はちらりと一目隼翔を見て、また餃子作りを進めながら言った。「それは私の問題ではないので、自分を犠牲にすることなんて絶対にしませんよ」隼翔はこのような彼女のことが好きで、笑っていた。携帯を持って部屋にこもった陽は、唯花に電話をかけていた。彼は連絡帳の一番上にある番号が叔母の携帯だと知っている。すると唯花はすぐに電話に出た。「お姉ちゃん、どうかした?」唯花は姉からの電話だと思って出た。「おばたん、ぼくだよ。ひなただよ」甥の可愛らしい幼い声を聞き、唯花は笑顔になった。「陽ちゃんだったのね。陽ちゃんがおばちゃんに電話してくれたの?」「うん、ママのけいたいを持って、おへやに入っておばたんにかけたの」「陽ちゃん、私になんのご用かな?」陽が部屋に一人入って電話をしているのを知り、唯花も甥はわからない行動を取るようになったと思っていた。武道の稽古をするようになってからというもの、陽はだんだん度胸がついてきている。まだまだ小さいのに、口が達者で、ますます愛嬌が増していく。「おばたん、あずまおじたんがまた来たんだ」「東おじさんは毎日来てるでしょ?」知る限り、隼翔は毎日姉に会いに来ている。陽は答えた。「そうだよ。だけど、パパがね、あずまおじたんはぼくからママをよこどりしようとしてるんだって言ってた。もしおじたんが来たら、でんわしておしえてって」その話を聞いて、唯花は心の中で俊介に悪態をついた。佐々木俊介は唯月と離婚してから、待ってましたと言わんばかりにすぐ成瀬莉奈と結婚してしまった。そしてその夫婦には待望の子供ができて生まれるのを心待ちにしている。唯月が他の男から追いかけられていると知ると、俊介は図々しくもそれをぶち壊そうとしてきた。自分は再婚したというのに、唯月が再婚するのは許せないとでもいうのだろうか。唯月が再婚したいかどうかは関係なく、俊介が陽にこのようなことを
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第1662話

「うん、とってもやさしいよ」子供の心はとても純粋だ。彼らは年齢が低いとしても、相手が心から優しくしてくれるのか、それとも裏があるのかなどははっきり見分けることができる。しかし、ある時は小さいから自分の気持ちを言葉で表現するのが難しいことがある。隼翔は初め、この陽のことが気になり、本心から好きになった。以前はどうにかして陽を抱っこしようと奮闘していた。その頃の陽は今よりも幼く、隼翔の顔には切り傷の痕がくっきり残っているものだから、抱っこを拒否していたのだ。それがだんだん慣れていき、隼翔から抱き上げられても怖がらなくなった。最初陽のことを気に入ったから、母親にも目がいくようになり、ゆっくり陽の母親である唯月を好きになっていった。「東おじさんは陽ちゃんにとっても優しくしてくれて、陽ちゃんのことが大好きなのに、どうして陽ちゃんからママを取るようなことをするかな?だから、おじさんを信じてあげたらいいよ。彼はただママと一緒に陽ちゃんをとっても可愛がってくれるだけで、ママを奪っていったりなんかしないよ」それを聞いて陽は安心して言った。「おばたん、じゃ、パパにでんわしなくていいや。パパいっつもあずまおじたんのことわるく言うんだ。おじたんはわるものだって言うんだもん」東おじさんは一目で良い人だとわかるのに、父親がどうして悪者扱いするのか理解できない。それに東おじさんのほうが父親よりも一緒にいる時間は長い。父親はいつも他の女性と一緒にいる。あの成瀬莉奈という人が陽は嫌いだった。父親が一緒に遊んでくれると言った瞬間、あの女性は急にお腹が痛いと言い出した。そして父親はその約束を守らず、すぐにあのおばさんと一緒に去ってしまったのだ。それと東おじさんは違う。彼は一緒に遊ぶと言えば必ず一緒にいてくれた。何か買ってくれると言うと、約束は必ず守ってくれる。父親とは全然違う。「陽ちゃん、少しずつ大きくなっていって、ゆっくり良い事と悪い事の違いを学んでいくのよ。あなたのパパは確かにパパだけど、彼が言う言葉や、誰かに対する評価は必ずしも本当のこととは言えないの。彼はね、自分の東おじさんへの評価をあなたになすりつけようとしているだけよ。パパがおじさんのことをいくら悪い人だと言っても聞かなくていいよ。あなた自身はおじさんのことを良い人だって思って
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第1663話

陽が隼翔を後ろ盾にしているこの行動は隼翔への信頼を表している。それに喜んだ隼翔は口をニヤリと笑わせ、唯月は呆気にとられていた。「おじたん、ママがぼくをにらむんだ」しかも陽は母親の行動を訴え始めた。隼翔は笑って陽を抱き上げると、彼に尋ねた。「それは何が原因なのかな?どうしてママは陽君を睨んだんだい?おじさんみたいな大きな人が睨まれないで、君みたいな小さな子のほうが睨まれる理由は何かな?」唯月は近づいてきた。陽は母親を見つめて正直に答えた。「おばたんにでんわしたあと、けいたいで遊んでたら、ぼくのけいたいをママが取りあげたんだ」「あれは陽君のじゃなくて、ママの携帯だろう」陽はその大きな瞳を揺らした。それに言い返すことはできない。確かにあの携帯は母親のものだからだ。「ぼくがママに、どうしてママはけいたいで遊んでいいのに、ぼくはダメなの?って聞いたら、にらまれたんだ」陽の声はどんどん小さくなっていった。自分で携帯をいじるのは良くないことだとわかっているのだ。それに対して隼翔は優しく返した。「陽君はまだ小さいから、いつも携帯を見ていると目が悪くなって近視になってしまうんだよ。ママだって陽君のためにしているんだ。それにママだって普段携帯で遊んでいるわけじゃないよ。彼女は携帯で誰かに連絡しないといけないんだ」陽は黙ってしまった。暫くして彼は尋ねた。「あずまおじたん、だったら、いつになったらけいたいで遊べるようになるの?」「たまに十分くらい見るのは問題ないさ。もちろん、一番良いのは携帯で遊ばないことだよ。本を読んだり、レゴで遊んだりしたほうがいい。おじさんがプレゼントしたのはもう組み立て終わったかな?今度また新しいレゴを買ってきてあげるよ」陽は頷いた。「わかった」陽はもがいて隼翔の懐から滑り降りると、テーブルを通り過ぎて唯月の所に戻っていった。そして唯月の足にぎゅっと抱きついて、その可愛らしい顔を仰向けにして言った。「ママ、ぼくがまちがってたよ。これからはこっそりけいたいで遊んだりしない」唯月はしゃがんで陽を抱きしめた。「ママは怒らないわ、陽がわかってくれたらそれでいいのよ」陽も同じく唯月を抱きしめ返した。「ママ、ぼく、ママのことだいすきだよ」唯月は笑った。「ママだって陽のことが大好きよ」「さ、遊んでらっ
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第1664話

「だから、あなた今どこにいるのって聞いてるの。お母さんは今あなたの会社のオフィスにいるわ。まだ仕事の時間だっていうのに、不在だなんて。会社にいないで一体どこに行ってるのよ?商談に行ってるなんて嘘つかないでよね、秘書はここにいるんだから。あんたまさかまた内海さんのところにいるんじゃないの?何度も言ったけど、あなたと彼女では釣り合いが取れないってば。あの人は離婚したのよ、しかも三歳になる子供までいるんだからね。しかも男の子なんだから、あんたが喜んで他人の息子を育てようったって、私はそう簡単に祖母になったりしないからね!他の誰かのために他人の息子を養ってあげて、その子に家も車も買ってやって、結婚する時、その子の結婚相手の父親は何も出してやらなくていいのよ。他人の子にそこまでやってやるなんて偉い人だと笑い種になるだけよ。隼翔、星城には若くて綺麗なお嬢さんがたくさんいるのよ、適当にその中から選んだって、内海さんよりもずっと良いでしょ?」美乃里は息子に相当腹を立てていた。何を言っても聞く耳を持とうとしない。それで彼女も言葉を選ばなくなっていった。隼翔は沈んだ声で言った。「俺の事は母さんには関係ない。これは俺の人生だ。俺は兄さんたちみたいじゃないんだからな」そう言い終わると、彼はそのまま母親からの電話を切ってしまった。美乃里のほうは、それでさらに卒倒してしまいそうなほど腹を立てていた。美乃里は隼翔のオフィスで行ったり来たり落ち着かない様子でいて、秘書も恐る恐る彼女を見て、息もできなかった。美乃里は何度も行ったり来たりを繰り返し、ソファの前まで来ると、カバンを持って秘書に言った。「仕事を続けてちょうだい。私は帰るわ」秘書は礼儀正しく言った。「下までお見送りいたします」美乃里は出て行きながら言った。「結構よ」それでも秘書は彼女をエレベーターの前まで送り、美乃里がエレベーターに乗り込んでドアが閉まってから持ち場に戻った。そして、急いで隼翔にメッセージを送った。【社長、お母様は恐らく社長を探しに行きました】あの怒りを溢れ出している様子を見るからに、諦めてはいないはずだ。美乃里が唯月の家まで隼翔を探しに行ったと自信を持って言える。隼翔が唯月を追いかけている事を、今東グループの全員が知っていた。社員たちはそれを知って驚き、そ
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第1665話

陽はよく理解できずに尋ねた。「ママ、どうしてまたおひっこしするの?」彼は母親と一緒にもう半年ここで暮らしていて、慣れている。そこで唯月は嘘をついておいた。「陽はもうすぐ幼稚園に行くことになったけど、ここからじゃ通うのにはちょっと遠いの。だから幼稚園に近いところに住んでいたほうがママが送り迎えするのに便利なのよ」三歳の子供にはわからないことだから、反論することなどなく、母親にそう言われると陽は素直に頷いた。そして唯月は引っ越しして部屋を変えるために、不動産屋に電話して自分が借りたい部屋の詳細を伝えて紹介してもらうことにした。家を買うのはそこまで焦っていないので、気に入る家が見つかってから買っても遅くはないだろう。それに、今最も優先すべきことは子供の教育関係のことだ。陽に星城で一番良い幼稚園に通わせるためには一年に百万円以上かかってしまう。離婚する時には俊介からある程度の金額をもらっている。その中から一部をまんぷく亭の開業資金にした。店の商売は好調で稼ぎは悪くないのだが、車も買ったお金を除いて、店を開くために使った資金はまだ回収できていない。もう一カ月頑張れば、その資金を回収できて、利益が出る。唯月は息子が小学校に上がる時に、どの小学校に通わせるかによって家を購入しようと考えていた。一番良いのは通学に便利なように、小学校と中学校の中間地点辺りにある家だ。唯月が不動産屋に頼んで引っ越し先を探している時、隼翔のほうはマンションから出てきたばかりで、ちょうど母親が車から降りてくるのを見た。彼の計算通り、ちょうど母親を唯月に会わせないようにできた。「隼翔」美乃里は近寄ってくると、隼翔の腕を掴んだ。「さあ、一緒に行くわよ」「どこに?」美乃里は息子の手を引きながら話した。「お母さんがここに来る途中、樋口おばさんと話していたの。あなたに合う子がいるから紹介してくださるんですって、今すぐお見合いに行ってもらいますからね」隼翔は母親の手を振り払った。そして足を止め、険しい表情でこう言った。「母さん、何度言えばわかるんだよ。俺の結婚は俺自身で決める。母さんと父さんに介入される必要はない」「隼翔、私も言ったことは天変地異でも起こらない限り、変えるつもりはないと何度も伝えたはずよ。私は絶対にあなたが内海さんと結
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第1666話

「母さん!」「もうはっきりとあんたには伝えたからね。もしあんたが私と親子関係を切ってしまえるって言うんなら、あんたが誰を好きでも、もう二度と構ったりしないから」美乃里はそう言い終わると、踵を返して怒りのオーラを放ったまま歩いていった。隼翔のほうも同じくかなり頭にきていた。母親は別に唯月を嫌いなわけではないのに、どうしてここまで頑固にも結婚は認めないというのか、彼にはどうしても理解できない。まだ唯月には気持ちを受け入れてもらえていないというのに、母親のほうはここまでひどく騒いできて、ただ足を引っ張るばかりだ。そもそも唯月は隼翔のことを何とも思っていないのに、母親のせいでさらに隼翔を遠ざけようとするだろう。隼翔は顔を上げて見ていた。彼は唯月の部屋に戻ることはせず、自分の車のほうへ歩いていき乗り込むと理仁と悟に電話をかけて一杯飲もうと誘った。そして二人がそれに同意する前に、誘うだけ誘ってすぐ電話を切り、車を出した。九条家では。悟は一方的に切られてしまった携帯画面を暫く見つめてから悪態をついた。「俺はまだ新婚の休み期間だぞ。あの野郎、それなのに酒の誘いとかありえん」彼が時間を確認してみると、夕方までもまだ時間があった。こんな状況で酒の誘いをしてくるとは一体隼翔はどんな神経の持ち主なのか。悟は少し考えてから理仁に電話をし、相手が出ると尋ねた。「隼翔から酒の誘いの電話がこなかったか?なんかあったのか知らないけど、一杯やろうって誘われたんだよ。断わる隙も与えず、あいつさっさと電話切ってしまったぞ。俺はまだ新婚ホヤホヤの休み中なんだ。あいつまで俺の邪魔してきやがった。理仁、君は時間があるか?あいつにちょっと付き合ってやってくれないか?俺今から本屋に行って妻に付き添うつもりなんだ」理仁は悟の話が終わってから口を開いた。「俺にも電話がかかってきたぞ。同じく、断わる前に切られてしまったがな。聞くまでもなく、義姉さんのことだろう。また母親から邪魔されて、喧嘩したからに決まってる」東夫人はかなりの頑固者で、絶対に認めようとしない。隼翔のほうも負けじと強気な姿勢を維持しているが、なんといっても自分の母親だから、この点で彼はかなり苦悩しているのだ。理仁は心の中で、義姉もまだ別に隼翔の気持ちに応えていないというのに、と愚痴をこ
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第1667話

理仁は同じく黙ってしまった。理仁と悟は隼翔とは長年の仲だから、彼のことなら手に取るようにわかるのだ。隼翔は大雑把で、豪快な男で、細かい事は気にしないように見える。しかし、実際は、そう簡単に自分の気持ちを変えるタイプではない。唯月が一生誰かと結婚しないのなら、隼翔も本気で一生結婚しないつもりだ。そして唯月が他の誰かと結婚したとしても、彼は一生他の女性を妻として迎えたりしない。彼はこのような人間だ。結婚したい女性と一緒になれないのであれば、一生独身を貫くだろう。「お前が無理なら、俺だけ行って来よう。俺があいつの愚痴に付き合ってやる」理仁は悟がまだ休み期間であり、明凛が妊娠中なことを考慮してそう言った。今悟は他のことに気を使える状況ではないはずだ。悟は言った。「明凛は本屋にいて、ボディガードをつけてあるから大丈夫。俺も特にやる事はないし、一緒に行くよ」理仁はひとこと「うん」と返事した。通話を終えると、理仁はソファで雑誌を見ている愛妻のほうを見た。この時、唯花は理仁が通話中、その内容を聞いてはおらず、ただいくつかの言葉だけなんとなく耳に入ってきて、悟からかかってきたのだろうとしか思っていなかった。理仁は静かに唯花を見つめていた。彼女が雑誌に集中している時、落ち着いた美しさを感じた。唯花は生まれつきの美人だが、理仁に愛されるようになってからますますその美しさに磨きをかけ、気品も増している。これは彼がいるからこそなのだ。理仁は立ち上がり、デスクの横を通り過ぎて唯花のほうへとやって来た。彼の足音を聞き、唯花は彼のほうへ顔を向けて微笑んだ。「もう終わった?」夜のパーティーの準備をするために、唯花は理仁を待って一緒に帰る予定でいた。到着した時には理仁はまだ仕事中で、彼女はオフィスで仕事が終わるのを待っていたのだ。「まだだよ」理仁は唯花の前まで来ると、ソファには座らず立ったまま彼女を見下ろしていた。「どうしたの?」結婚してもうだいぶ経つので、唯花はすぐに理仁の気持ちに気がついた。そして雑誌を閉じた。「隼翔が俺と悟を誘って一杯やりたいんだってさ。行ってもいいか聞こうと思って」唯花は笑って立ち上がると、理仁のシャツとネクタイを整えた。「行きたいなら行っておいでよ。私にわざわざ聞かなくたっていいの。あ
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第1668話

隼翔はいつも八時前にまんぷく亭に朝食を食べに来る。だから唯月は隼翔と会わないようにするためその時間帯を避けることにした。唯月は妹にお願いをした。姉のメッセージを見た後、唯花は心の中でため息をついていた。姉は結局逃げるしかなくなったのだ。唯花が理仁と結婚し、結城家は星城にあるからここで生活をしている。そうでなければ、姉はきっと美乃里の望み通り、陽を連れてこっそり星城から離れ、隼翔から遠く距離を取っていたことだろう。たとえ隼翔が世界の隅々まで彼女を探しに行くとしても、かなりの時間がかかるはずだ。唯花は姉の決定を尊重して、何でも助けると返事した。「義姉さんからメッセージ?」理仁はそう予想した。唯花はひとこと「うん」と返事した。「義姉さんが何だって?君の顔がかなり険しかったけど」「お姉ちゃん、引っ越すんだって。急遽新しい部屋を見つけて、南山住宅地にね。あそこは高級なマンションが多くてセキュリティレベルも高いし、入るにはカードがないといけないから。住民と一緒じゃないと入れないでしょ。引っ越ししても必ずしも東社長を避けられるわけじゃないけど、少なくとも彼はマンションの外にいるしかないし」理仁は聞いた後、複雑そうな顔をしていた。唯花は言った。「……理仁、まさか南山は東グループが開発主だとか言わないでよね」東グループは不動産業にも手をつけているので、確かに多くの地区が彼らが開発に関わっている。「確かに隼翔の会社が開発した地区だ。そこは好評で入居率はとても高いんだ。近くの高級住宅地とマンションのある地区は一緒に開発されたんだ。隼翔は高級住宅地に自分の家を持っているぞ。マンションの住民が高級住宅地に入ることはできなくなってるけど、そのマンションなら隼翔は入れるはずだ。そこのセキュリティレベルは確かにとても高いよ。隼翔が雇っている警備員はみんな厳しい訓練を受けて、試験に合格した人しかいないから」「……それって、お姉ちゃん自ら蜘蛛の巣に飛び込んでない?」引っ越し先に隼翔の持ちマンションを選んでしまったということになる。お金持ちは至る所に物件をお持ちだ。理仁は言った。「義姉さんが引っ越し先を変えたいなら、俺が手配するよ。結城グループが開発した地区なら義姉さんも安心できるだろう。引っ越しはキャンセルして、南
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第1669話

唯月は理仁にお礼を言った。理仁は言った。「義姉さん、家族なんだから、そんなに遠慮しないでください」彼の助けを拒否されるのではないかと理仁は心配していた。しかし、この時の唯月はすぐにも引っ越したかったので、彼の助けをすんなりと受け入れた。妹の夫がいろいろと手配してくれ、手助けしてくれたおかげで、理仁が仕事を終わらせて隼翔の酒に付き合っている間に唯月は素早く引っ越しを終わらせてしまった。そして新しい住所は理仁と唯花の二人以外に知らされていない。伯母である詩乃にも教えなかった。あるホテルの個室にあるテーブルには隼翔が注文した多くの料理と度数の強い酒が並んでいた。この時、理仁と悟は隼翔の隣に座り、彼が一杯、また一杯と酒を胃に流し込んでいく様子を見ていた。「隼翔、少しは何か食べろよ」理仁は隼翔の皿に料理を取り分けてやっていた。恐らく、理仁は義姉側につくことを決めたので、親友に対してどうも申し訳ない気持ちがあるのだろう。理仁も隼翔の応援をしたくないわけではない。ただ、義姉である唯月が隼翔の気持を全く受け入れるつもりがないうえに、美乃里も断固として許さないというスタンスでいるせいなのだ。理仁はただ義姉の決定を尊重するしかなかった。「隼翔、スープも飲めって。来てからずっと空腹に酒ばかり飲んでちゃ、すぐに酔いが回ってしまうよ。それにあまり飲み過ぎないほうがいいよ。もし、アル中にでもなったら、俺も理仁も責任を持たないといけないんだからね」悟は隼翔にスープの椀を寄せながら、あまり飲まないように諭していた。「鬱憤が溜まってるんだ」隼翔は箸を手に取り、皿の上の理仁が取り分けてくれたおかずを掴んでいた。少し食べて、また酒を一気に飲み干した。そのアルコール度数の高い酒をまるで水のようぶがぶがと飲んでいる。空になったコップを置くと、またすぐに酒を注ごうとし、そこを理仁に止められてしまった。「隼翔、もうこれ以上はやめておけ。もう何杯も飲んだろ。こういう酒は飲んでいる時にはあまり気づかないが、後から体に回ってきてすぐに酔いつぶれてしまうぞ」「理仁、お前が羨ましいよ」隼翔は理仁の肩を叩いた。「本当に羨ましい、悟だってそうだ。お前らは俺なんかよりもずっといいよな」理仁は少し黙ってから彼に向かって言った。「隼翔、うちの義姉さ
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第1670話

唯花は何も言わなかった。彼女の周りでは、明凛だけが波風の立たない順調な恋愛をし、すぐに結婚してしまった。姫華の恋愛物語と、姉の第二の恋には多くの障害がある。そして唯花自身も運が良かったうちに入る。理仁とは確かに誤解や喧嘩、冷戦状態になり離婚騒動にまで発展したこともあったが、最終的には互いを理解し、尊重し合い信頼関係を築けたのだ。そして今のような幸せな日々を送ることができている。今ある全てを大切にしていかなければならない。理仁はすぐに気持ちを立て直して穏やかに言った。「唯花、もう寝ようか。あまり考えすぎるのも良くないし、自然の流れに任せておこう」唯花はそれに頷いた。夫婦はこれ以上は話すのをやめて、抱きしめ合って眠りについた。翌日の昼になってようやく隼翔は目を覚ました。かなり長い時間寝ていたので、彼は起きてから空腹を感じたが、頭痛はそこまでひどくはなかった。そしてもう昼になっていることに気づくとすぐに起き上がり、身支度を整え服を着替えてから下に降りていった。階段を降りる途中で、両親が一階のリビングのソファに座っているのが見えた。すると隼翔のテンションは一瞬にして下がってしまった。足音が聞こえて美乃里はそちらに顔を向けると、そこには階段を降りてくる息子の姿があった。「隼翔、起きたのね。お腹が空いたでしょ、ご飯食べられるわよ」隼翔は下に降りて両親が座っている目の前までやって来て座り、冷淡な声で尋ねた。「二人はここに俺に諦めるよう説得するために来たのか?もしそうなら、何も言う必要はない。俺は彼女を諦めるつもりはない。俺が好きなのは唯月さんで、彼女としか結婚する気はない」美乃里は息子ときちんと話をするつもりでここへ来ていたのだが、息子のその最初のひとことで怒りが込み上げてきた。彼女の顔色は一瞬にして暗く変化してしまった。「隼翔、私もまた言わせてもらうけどね、あんたが内海さんと結婚したいと言うのであれば、先に親子関係を切ってちょうだい。あんたが私の息子でなくなれば、誰と結婚しようがそれはあんたの勝手よ」「おい、美乃里」美乃里の夫は妻の意見には賛成できないらしい。隼翔は母親と暫くの間睨み合ってから、サッと勢いよく立ち上がって背を向けて去っていこうとした。「ちょっと隼翔、あなた一体どこに行くつもりよ、
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