唯月は美乃里と話した内容を、隼翔には一つも教えていない。しかし、隼翔はやはり母親から聞いていた。母親が唯月を退去、引っ越しさせようとし、陽と一緒に星城から遠くに離れるように要求したと知り、隼翔は母親と大喧嘩してしまった。美乃里も隼翔もかなり怒りを爆発させてしまったのだ。結局、母と子のどちらも譲ろうとも、諦めようともしない。唯月はちらりと一目隼翔を見て、また餃子作りを進めながら言った。「それは私の問題ではないので、自分を犠牲にすることなんて絶対にしませんよ」隼翔はこのような彼女のことが好きで、笑っていた。携帯を持って部屋にこもった陽は、唯花に電話をかけていた。彼は連絡帳の一番上にある番号が叔母の携帯だと知っている。すると唯花はすぐに電話に出た。「お姉ちゃん、どうかした?」唯花は姉からの電話だと思って出た。「おばたん、ぼくだよ。ひなただよ」甥の可愛らしい幼い声を聞き、唯花は笑顔になった。「陽ちゃんだったのね。陽ちゃんがおばちゃんに電話してくれたの?」「うん、ママのけいたいを持って、おへやに入っておばたんにかけたの」「陽ちゃん、私になんのご用かな?」陽が部屋に一人入って電話をしているのを知り、唯花も甥はわからない行動を取るようになったと思っていた。武道の稽古をするようになってからというもの、陽はだんだん度胸がついてきている。まだまだ小さいのに、口が達者で、ますます愛嬌が増していく。「おばたん、あずまおじたんがまた来たんだ」「東おじさんは毎日来てるでしょ?」知る限り、隼翔は毎日姉に会いに来ている。陽は答えた。「そうだよ。だけど、パパがね、あずまおじたんはぼくからママをよこどりしようとしてるんだって言ってた。もしおじたんが来たら、でんわしておしえてって」その話を聞いて、唯花は心の中で俊介に悪態をついた。佐々木俊介は唯月と離婚してから、待ってましたと言わんばかりにすぐ成瀬莉奈と結婚してしまった。そしてその夫婦には待望の子供ができて生まれるのを心待ちにしている。唯月が他の男から追いかけられていると知ると、俊介は図々しくもそれをぶち壊そうとしてきた。自分は再婚したというのに、唯月が再婚するのは許せないとでもいうのだろうか。唯月が再婚したいかどうかは関係なく、俊介が陽にこのようなことを
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