All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1811 - Chapter 1820

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第1811話

奏汰はホテルに入ると、すぐに上の部屋に戻ることはなく、一階の休憩場所にあるソファに腰をかけ、携帯を取り出しておばあさんに電話をかけた。結城おばあさんは電話に出ると、開口一番に奏汰に文句を言った。「奏汰、おばあちゃんのことまだちゃんと覚えていたんだね。このバカ孫、二言、三言文句言っただけなのに、さっさと出て行って」「ばあちゃん、出て行くなんて人聞きの悪い。俺は出張で柏浜に来てるんだ。今はラグジュリゾートにいるんだよ」するとおばあさんはふんと鼻を鳴らした。「柏浜に行ったんなら、しっかり玲さんとの仲を深めなさいよ。そこから愛が芽生えるものなんだからね。おばあちゃんの見立てを信じなさい。彼女は絶対にあなたにぴったりだし、あなたも彼女にぴったりなんだからね」奏汰と玲は、一人はおしゃべりで話が尽きない人間で、もう一人は寡黙で聞き上手だ。互いに短所を補える関係だ。奏汰は左右を見渡して、周りに人がいないことを確認してから、小声で言った。「ばあちゃん、玲さんが女性だって一体どこから仕入れた情報だよ?彼女に会ったけど、全く女性っぽく見えないし、思ってた以上に男前じゃないか。彼女と一緒に歩いていると、関係の良い親友って感じだぞ」おばあさんは笑って言った。「玲さんは間違いなく女性だから、安心しなさい。おばあちゃんが孫に嘘をつくような真似するわけないでしょ。それに私がどうやってこの事実を知ったのか、そんなことはどうだっていいのよ。あのね、彼女は女性なの。それもかなり優秀な人なのよ」「俺だって彼女が優秀な人だってことくらいわかってるよ。あんなに素晴らしい女性なら、理仁兄さんに紹介すればよかったんだ。彼女と理仁兄さんが手を組めば、最強のタッグになるぞ、天下に敵なしだ」おばあさんは言った。「理仁は女性をおだてることはできないし、玲さんだって男性の機嫌取りができるようなタイプじゃないでしょ。二人ともプライドが高くて、冷たく厳しい性格なのよ。それにどちらも一族の後継者じゃない。どちらも強気なんだから、二人一緒にいてもどちらも相手に譲ろうとしないし、先に頭を下げたりしないでしょう。性格が合わなければ、もしうまくやっていけないと、離婚騒動になってしまうわ。それに伴ってビジネス合戦に突入するわよ、それじゃかなり周囲を巻き込んじゃうじゃないの。あなたは理仁よりも人をおだてる
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第1812話

彼ら結城家の男は、絶対に無責任な行いなどしない。「あなた達をしっかりと教育できたって思ってるわ。みんな性格が良いし、能力も高い子たちばかりだものね。責任感の強い好青年たちばかりよ、あんなはしたない事なんてできないわよね。もしあなたが本気でそんな事をしたら、おばあちゃんは暫く体を動かしてないし、若い頃のように機敏な動きはできなくなったけど、あんたを張り倒すくらいの力はまだあるのよ」奏汰は言った。「……ばあちゃん、俺の話を最後まで聞いてくれないか?」「あんたね、さっきは自分が曖昧な話し方して、まとめてはっきり言わなかったじゃない。それなのにおばあちゃんのせいにするわけ?実の祖母だから、寛大に許してあげているんだからね」「ばあちゃん、明日家を見に行きたいんだけど、風水がわかる人誰か探してくれないかな。別に実力がどうこうは問わないんだ、うまく人を騙せるタイプがいいな、良くない話を綺麗な話にできるようなタイプだな」おばあさんは理解できずに言った。「家を見るのに風水師が必要って、それは理解できるわ。家を買うのは人生の一大事だもの。もし、風水で良くないと言われる家を買って住むと運気を下げるわ。それに最悪家族との不和や健康問題を引き起こす可能性だってあるのよ。だけど、さっき人を騙せる風水師を探せって言ったわね。つまり、おばあちゃんは腕の良い人を見つけられないって言いたいわけ?」おばあさんはこの年齢だから、さまざまな業界の最高の人物をたくさん知っているのだ。風水や占いをおばあさんはとても信じるタイプだ。結城家の祖先が残した一番古い邸宅は、最も優れた風水師と占い師に見てもらい、家相や運気をしっかり見てもらった。だから、彼ら結城家の一族は家庭円満で、ビジネスもどんどん拡大し、財産を増やしていった。そのおかげでもう長年トップの座に君臨している。しかし、唯一の欠点は、一族には女の子が生まれにくいということだ。結城家の祖先は、金運がよくなるように風水師と占い師に頼んで、邸宅の家相や風水を考えた。それは多くの人が望んでいたことで、女の子が生まれるかどうかは二の次だった。ただ、女の子が生まれにくいと言われただけで、全く生まれないとは言われていない。しかし、その結果は、難しいどころではなかったのだ!結城家にはすでに何代にもわたって、女の子が生まれて
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第1813話

おばあさんは奏汰の頼みに全く困ってなどいなかった。彼女はただあのような態度を奏汰に見せただけなのだ。奏汰が電話を切った後、おばあさんはすぐにある風水師に連絡し、彼の弟子を一人柏浜に寄越してくれと頼んだ。往復チケット代から食事、ホテル代の全てを持つから、柏浜に到着したら奏汰に連絡して、言われた通りにしてくれればいいと伝えておいた。風水師は快くそれを受けた。奏汰の頼まれごとを処理してから、おばあさんは愉快そうに夜遅くに一番上の孫の家にやって来た。執事はインターフォンの音を聞いて急いで門を開けに行くと、そこにはおばあさんが立っていて、吉田は自分の目を疑いながら、扉を開けて言った。「おばあ様、事前にご連絡くださればよいものを、我々がお迎えにあがったんですよ。ここまでタクシーで来られたのですか?」おばあさんは車の運転はできるが、この年齢なので、いくら体は元気そのものであっても、孫たちから車の運転を止められている。彼女が出かける時には必ず運転手をつけているのだ。「運転手さんに頼んで連れてきてもらったのよ。車を降りてからもう帰るように伝えたの」おばあさんは言った。「あなた達に送り迎えしてもらわなくていいわ、事前に連絡する必要がないから。理仁と唯花ちゃんは帰ってきてる?」夜遅くといっても、実はこの時まだ夜の九時くらいだ。吉田は答えた。「若旦那様は普段九時半ごろ到着されます。若奥様のほうは普通若旦那様が戻られるよりも前に帰ってこられますよ。しかし、今夜は若奥様が若旦那様の接待に同行されたので、恐らくそんなに早い時間には戻られないでしょう」おばあさんは屋敷に入りながら言った。「あの二人ったら、どんどん忙しくなってるみたいね」「以前と比べますと、若旦那様はだいぶ楽になられたでしょう。若奥様がどんどん忙しくなっておいでです。彼女は自分の事業も忙しいうえに、若旦那様の私産の管理もありますので、まだ慣れておられず少しばかり忙しいようですね」おばあさんは頷いた。家の中に入ると、吉田がおばあさんに尋ねた。「おばあ様は何かお飲みになられますか?」「温かいお茶を一杯ちょうだい」吉田はおばあさんにお茶を淹れて持ってきた。「吉田さん、私は暇でやることがないからちょっと見にきただけよ。他に用事はないわ。あなたも座って、ちょっと世間話に付き合ってちょ
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第1814話

「今回はどこのご令嬢が理仁を気に入ったの?」結城おばあさんは尋ねた。「唯花ちゃんはそのことを知っているの?唯花ちゃんが帰ってきたら、私からどうやってライバルに立ち向かえばいいか教授するわ」おばあさんも若かりし頃は同じく恋のライバルが出現していたのだ。理仁はまさに結城おじいさんに似ている。「辻様です。確か蔵峯市だか、どこぞの方ですね。若奥様を訪ねに一度来られました。若奥様は彼女にどのように応戦しようかご準備されていたようですが、結局翌日に辻様が夜のうちに、もう星城を離れたという知らせを受けたのです」「辻さん?ああ、辻グループの辻社長の一人娘さん、辻夕菜さんのことね。彼女が理仁を気に入っても少しもおかしくはないわ。彼女は実力もあるし、一人娘でしょ。もし、何か問題がないかぎり、辻グループの将来の社長は彼女に決まってるもの。辻さんってプライドが高いから、自分のあの条件を考えれば、理仁みたいな男こそ自分に相応しいと当然思うでしょうね。ただ、辻社長は頭の切れる方だから、娘が他人の家庭を壊すような真似をするのを黙って見ているはずがないわ」吉田はそれにどう答えればいいのかわからず、黙っていた。吉田が知っているのはそれくらいで、他に多くの事を知らない。「辻さんがここまでやって来たの?まさか家にまで押しかけるなんて、かなり肝の据わった人みたいね。理仁が彼女をつまみ出したの?屋見沢高級住宅地のセキュリティはとっても高いのに、辻さんが入れるはずないじゃない?あなた達の誰かがメインゲートまで彼女を迎えに行ったの?」吉田は焦って答えた。「いいえ、我々は彼女を迎えに行ってなどいません。188番地の方が良かれと思って彼女を入れてあげたようです」おばあさんは「あら」とひとこと声をもらした。「この件は、理仁たち二人でどうにかさせましょ。私たちが首を突っ込む必要はなさそうだから」彼女はすでに結婚に適齢の孫たちに相応しい女性を探してきた。彼らがいつになったら将来妻になる女性と結婚できるのかはおばあさんの知るところではない。彼女はただその結果を待つだけだ。残りの数人いる孫たちはまだ若いので、今のところ焦る必要はない。結城律以下数人の坊ちゃんたちは今は安心して過ごしていられる。一番年齢が下の蓮に関しては彼はまだ未成年なので一切心配などしていなかった。彼は
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第1815話

吉田は過去に多くのトラブルを経験してきた。唯花のこの様子に彼はすぐ彼女が誰かにはかられたのだと悟った。それに気づいた瞬間、吉田の表情もすぐに険しくなった。結城家の若奥様ですら誰かの陰謀に巻き込むというのか。その人物はかなり肝が太いらしい。それに、唯花は理仁の接待に付き合っていた。その人物は理仁が気づかないところで唯花に何かしたということになる。それでは理仁がここまで不機嫌に顔を歪ませて当然だろう。おばあさんは理仁が唯花を抱きかかえて急いで駆けこんできたのを見て、同じく驚いていた。「理仁、唯花ちゃんはどうしちゃったの?」「ばあちゃん、後で説明する」おばあさんが家にいることに、理仁は全く驚いていなかった。おばあさんは今とても暇な人だ。よくあちこちと動き回っていて、彼ら兄弟、従兄弟たちはよくおばあさんのこのありがたい姿を拝めるのだった。理仁はそう言いながら、すでに唯花を抱きかかえたまま上にあがっていった。おばあさんは階段の前でその様子を見つめていた。吉田がおばあさんの傍に近寄り、小さな声で言った。「おばあ様、若奥様は恐らく誰かの計略にはめられたのでしょう。彼女は顔を真っ赤にさせて、意識が朦朧としていましたから」するとおばあさんは突然吉田のほうを向き、目を見開いた。「はめられたって?唯花ちゃんは理仁と一緒に接待に行っていたのよ。誰が理仁がいる目の前で彼女をはめようとするというの?」「私は若奥様のあのご様子を見てそうではないかと予想したのです。一体何があったのかは若旦那様がおりていらっしゃったら、おばあ様がお尋ねになるとよろしいかと。私は今から七瀬たちに一体何が起きたのか聞いてまいります」吉田はそう言うと、急いで七瀬達に尋ねに行った。するとすぐに吉田が戻ってきた。「どうだった?」おばあさんがすかさず尋ねた。彼女は確かに興味を持っていた。どこの死を恐れない輩が、結城家の若奥様である唯花をはめるような真似をするというのか。「七瀬によりますと、会場で金城家のお坊ちゃまに遭遇したらしいのです。彼が若奥様に挨拶をして少しおしゃべりされているのを見ると、若旦那様が不機嫌になったので、若奥様がウエイターからワイングラスをもらい、彼のご機嫌を取ろうとなさって、二人一緒にお酒を飲み始めたと。そしてすぐに若奥様のご様
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第1816話

理仁はおばあさんのセリフを聞いて黙ってしまった。「さっき吉田さんに頼んで、七瀬さんたちにどういうことか聞いてもらったわよ。あなた達二人って本当にかなり良い運を持っているみたいね」おばあさんはニヤニヤと目を細めて理仁に尋ねた。「滋養強壮に効くドリンクでも作ってきてあげようか?」理仁は少し顔を赤らめた。「こんなに暑いんだ、鼻血を出したくないな」「金城君を見かけたのね?」理仁は少し黙ってから頷いて話し始めた。「金城は俺と唯花のおしどり夫婦っぷりを見て、完全に諦めたようだ。彼は金城グループの子会社から本社に戻ってきて、今は金城社長の秘書として働いている。毎日社長の後ろについていて、社長自ら彼にいろいろと教えているんだ」金城グループは将来やはり琉生に取り仕切らせることにしたのだ。金城家の分家の子供たちは自分が社長になれるかもしれないという妄想はもう断ち切ったほうがいいだろう。琉生は金城伊織の実の息子で、明凛の従弟にあたる。明凛が悟と結婚して、九条家の若奥様となった今、金城家の分家の者たちは会社が自分の手に渡ることを諦めてしまった。悟のような人間が従姉の夫なのだ。琉生と金城グループを争おうという輩は自分を死に追いやることになる。それならば、おとなしくしていたほうが、美味しいおこぼれにあずかることができるかもしれない。おとなしくしていなければ、琉生が社長になった後、柴尾グループの長女である咲のように、自分に歯向かう者を完全に消すかもしれない。そうなれば、彼らの損失は大きくなってしまうだろう。「金城社長には息子と娘が一人ずつ、息子が周りから認められ、会社を引き継ぐ能力があれば、他の甥や姪に社長教育するはずなんてないでしょう。あの子はもともと実力のある子だったけど、唯花ちゃんのことが好きだったから、あなたに圧力をかけられちゃっただけよ」理仁は自分を弁護するように言った。「ばあちゃん、俺は金城に圧力なんてかけちゃいないよ。あれはあいつの親が子会社に行かせたんじゃないか」その言葉におばあさんはケラケラ笑い出した。理仁は琉生に直接圧力をかけていないが、金城グループには相当な圧をかけていた。金城社長夫妻は唯花の夫が理仁であり、また息子が唯花に片思いしていることを知り、自分たちを守るためにも、心を鬼にして、息子を最も遠くにある子会社に異動
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第1817話

理仁は結城おばあさんの手からその紙を受け取って言った。「別に選ぶ必要はないさ、この中から一番近い日を選んだらいい」彼は唯花への結納の準備はかなり前からすでに整えていたのだが、家族があれもこれもと加えたので、彼は今になってやっと結納を届けることができるのだ。理仁はやはりおばあさんが選んだいくつかの日付を見て、その中で最も早い日を選んだ。結納を届けたら、あとは結婚式の準備だ。理仁は唯花のために星城中が大注目する盛大な結婚式を挙げるつもりだった。悟と明凛の結婚式を超えるくらいのだ。すべての人に唯花は結城理仁の妻だということを知らしめるのだ。彼には正式な妻がいるから、外の他の女たちに付き纏われたくなかった。それに一生そんな女たちを好きになることなど絶対にありえない。「唯花ちゃんとは最近うまくやってるんでしょ?」おばあさんはまるで自然にそう尋ねているようだった。「とてもいいぞ。俺と唯花はずっと仲良くやってる。ただ、彼女が最近ちょっと忙しくて、俺の相手をしてくれないことがある。俺が逐一注意して、毎日彼女の目の前で俺の存在をアピールしないと、きっとこの夫のことを忘れてしまうだろうな。ばあちゃんは知らないだろうが、唯花がもし出張したら、数日間は本気で俺にLINEしたり、電話したりしてこないぞ。自分のビジネスに完全に集中してしまうからな。以前の俺よりもずっと仕事の鬼だぞ。唯花の出張中は、俺は一人でこの家を守るんだ。長い長い夜をたった一人で過ごさないといけない。一日でも彼女にLINEとか電話しなかったら、何を食べても美味しく感じないし、寝付きも悪いんだ」理仁は自分が可哀想な夫であることをアピールしていた。それを聞いたおばあさんは思わず、ぶはっと笑い出して、以前の彼の言葉を並べて皮肉を言った。「昔、女性の尻など追いかけないと言っていたのは一体どこの誰だったかしらね?あのセリフを吐いた人物はきっと、いつか自分がまるで粘着テープのように常に妻の傍にくっつくようになるとは夢にも思わなかっただろうね」「……ばあちゃん、そんな昔の話を持ち出してきてなんだよ。しかも俺の皮肉を言うのか」「あんたに皮肉が効くのであれば、いくらでも皮肉ってあげるわよ、あはははは、おばあちゃんはね、あなたがそうやって自分の昔の言葉に恥をかかされるのを見るのが好きなのよ
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第1818話

「あなたに付き纏う女の子たちは……」「ばあちゃん、俺にはそんな女なんかいない。内でも外でも俺には唯花ただ一人だけだ。外の女がいくら若くて綺麗だろうが、俺の目には唯花しか映らないんだよ」おばあさんは頷いた。「やっぱり私は自分自身を信じてるわ。私自ら育てて教育した孫だもの、ふざけた真似なんてしないに決まってる。私だって唯花ちゃんのことを信じてるよ、彼女はあなたのことを愛してるから、自分の夫は自分で守るでしょうしね。寄ってたかってくる外の虫なんか蹴散らしてくれるわ。もし、周りの女の子からあなたを奪われないようにしなくなった時は、つまりあんたへの気持ちが冷めたってことね」理仁は顔を暗くしたが、祖母の話は事実だとわかっていた。唯花は愛に生きるようなタイプではない。彼がもし浮気心を芽生えさせれば、彼女は絶対に彼との関係を断ち切ってしまうに決まっている。彼が外に女を探さなくとも、彼女のほうから他の女に、どうぞと譲ってしまうに違いない。他の女と争うようなことは面倒臭くてするわけがない。唯花も過去言っていたが、簡単に心変わりをして他の女にとられてしまうようでは、それは真実の愛ではなかったということだ。それならどうしてそんな男に執着する必要がある?心を自分に留めさせることができないのであれば、さっさと別れてしまったほうが、無様に大喧嘩する必要はなくなる。「ばあちゃん、俺は辻って女に一切なんの感情も持っていないんだ。きちんと顔すらも見たことがない。あれはあの女が勝手に俺に近づいてきただけだ。唯花がどうしても一人であの女をどうにかするって言うけど、俺は後ろでちゃんと目を光らせている。もし、あの女が唯花に手を出してこうようものなら、絶対に後悔させてやる」理仁はやはりおばあさんに辻夕菜の件をしっかり説明しておいた。理仁は帰宅する前に、おばあさんが執事からすでにこの件を聞いていることを知っていた。夕菜から片思いされてしまったのは理仁にとっては突然の禍でしかない。おばあさんは笑って言った。「辻って子がもし唯花ちゃんに手を出してきても、あなたが動く必要はないわよ。唯花ちゃんはあの子をこてんぱんに懲らしめてくれるはずだからね。唯花ちゃんは暫く空手の稽古をしてないから、ちょうど誰か相手になってくれないかって思ってたらしいわよ」それを聞いて理仁は笑った。
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第1819話

おばあさんは全く気にしていない様子で答えた。「何を心配する必要があるのよ。あの子はもう焦り始めたわよ。私がここに来る前に奏汰からの救援の電話を受けたの。おばあちゃんはちょっと手助けしてあげたんだから。お嫁さん候補はもう探してあげたでしょ、あんた達のように手に負えない孫たちが彼女と恋に落ちるその過程まで私が一から教えてあげないといけないわけ?」理仁は顔を暗くさせた。おばあさんはいつも孫のことを手に負えないだの、まるで彼女を困らせる対象として見ている。しかし、こんなに優秀なのに手に負えないだと?他人がおばあさんが彼らをこんな目で見ていることを知ったら、きっとびっくりするだろう。おばあさんはあくびをして立ち上がった。「眠いから先に寝るわ。あなたも早めに休みなさいよ」「ばあちゃん、おやすみ」おばあさんは二階に行って休もうとして、数歩進んでからまた足を止め、振り返って理仁に尋ねた。「隼翔君は退院してから唯月さんがお世話をしに行く必要があるの?あの子ったら本当に頑固者ね、彼女のことを好きで好きでたまらないってのに、諦めるふりなんかしちゃって。まだそうやって意地を張ってあんなふりをするっていうのなら、唯月さんに誰か紹介して、焦らせてやろうかしらね!」理仁は焦って親友のために、おばあさんが他の男を唯月に紹介しないように、うまく話しておこうと思った。親友のことを心配して彼はこう言った。「隼翔は退院したばかりで、家には世話ができる人間がたくさんいるから、義姉さんがわざわざあいつの家に世話に行く必要はないんだ。隼翔はただ義姉さんを巻き込んでしまうと思ってあんな態度をとってるだけで、実際は誰よりも苦しんでるんだよ。義姉さんは今新しい店舗を作っている途中で、それにとても忙しくしてる。隼翔は彼女が疲れるんじゃないか心配して、自分が苦しくても今は耐え忍んでいるんだよ」もしリハビリに時間がかかり、暫くリハビリしても回復の予兆がなければ、隼翔はまた苛立って周りに当たり散らすことだろう。その時には唯月の存在が必要になってくる。「陽君の父親もトラブルに巻き込まれてる。佐々木の奴が奥さんにナイフで刺されて今はICUから出られない。最終的に持ちこたえられるかどうかはわからないが、義姉さんはたまに陽君を連れて病院に様子を見に行っているよ」おばあさんは頷いて言
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第1820話

唯花が携帯を手に持って、理仁にメッセージを送ろうと思った瞬間携帯が鳴り出した。その着信を見てみると、それは「恋のライバル第一号、辻夕菜」からだった。夕菜が家まで会いに来て、最後に唯花の連絡先を知りたいと言ってきた。唯花はライバルと一戦交える準備を整えていて、夕菜から連絡が来ても全く怖気づくことはなく、携帯番号を彼女に教えていた。夕菜はそれが嘘の番号だと思い、その場で一度電話をかけることまでしてきた。そして唯花は夕菜の携帯番号をライバルの「1号」とつけていた。今後きっと同じような恋のライバルが出現するだろうと思ったのだ。一体1号から何号までライバルができるかこれで確認してやるつもりだ。唯花はその電話に出た。「おはよう」「辻さん、お茶のお誘いか何かですか?」唯花は開口一番に夕菜にそう尋ねた。それを聞いた夕菜は言葉を詰まらせてから、笑って言った。「安心して、この間のお約束はいつか必ず果たすから。絶対一緒にお茶しましょう」「待ってますね」「なんだかさっき起きたばかりな声だけど」唯花はその言葉に目を光らせ、淡々とした口調で言った。「辻さん、何か言いたいことがあるなら正直に話してくれていいですよ」「別に何も。ただ、あなたにあの夜はちょっと家に急用ができたものだから、約束を破ることになったと伝えたくて」唯花は「あら」とひとこともらした。このライバル関係にある二人は争いの最中でない限り、別に何も話題がなかった。互いに暫く沈黙してから、夕菜のほうからその沈黙を破り、正直に話し始めた。「あの、私、理仁さんのことが好きなの。一目惚れしたのよ」「つまり理仁に告白したいってことですか?だったら、彼に直接会って告白したらいいと思いますけど」夕菜は理仁に告白するような度胸はなかった。少なくとも今はそんなことできない。結城グループと辻グループの提携契約が完了してから、父親の束縛を受けなくなって初めて、彼女は忌憚なく理仁を追いかけることができるようになる。男というのは猫のように心変わりやすいものだ。理仁と唯花が結婚して一年経った。理仁はもうすでに唯花に飽きてしまっているかもしれない。二人の結婚式もまだだし、唯花も一向に妊娠しない。多くの人間が裏で唯花は不妊症ではないかと噂していた。結城家のビジネスはかなり大きい。それ
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