唯花は、はははと笑った。「奇遇ですね、私も一人の男性を誰かと分け合うことは好きじゃないんです。辻さん、もし、理仁の妻の座が欲しいのであれば、彼のところに言いにいけばいいですよ。理仁が承諾したのなら、私はすぐにでもこの結城家の若奥様という地位をあなたに捧げますので」夕菜は言った。「……あなた、理仁さんには相応しくないんだってば」「理仁と結婚したのは私で、私が彼の妻です。法律上でもちゃんと手続きを済ませた夫婦ですよ。私と彼が互いに相応しいかどうかは、それは私たち夫婦のプライベートなことであって、辻さんのような部外者の方に心配していただく必要はありませんよ」喜んで自分が浮気相手の女になると決め、他人の家庭に足を突っ込もうとするのは、モラルの欠片も持ち合わせていない厚顔無恥な人間だろう。「それに辻さんから私と彼がお似合いかどうかなんて言われる筋合いはないと思いますけどね。あなたって理仁の何なんですか?あなたは一体何様のつもりですか?理仁のおばあ様からも、ご両親からもそのような言葉を言われたことは一度もありません。それなのに関係のない辻さんに言われるような話ではないと思いますが」夕菜は言葉が出なかった。唯花の言葉に夕菜は言い返す言葉が見つからず、さっさと電話を切ってしまった。唯花は夕菜が電話を切った後、悪態をついた。「家柄もいいし、何をしても優秀な人なんでしょうけど、頭の中は空っぽなのね。どこかに頭でもぶつけたんじゃないかしら。自分から浮気相手になろうとするなんてすごい人だわ!」夕菜と比較すると、唯花は従姉である姫華は非常に珍しいタイプだとますます思えてきた。姫華こそ正真正銘、名家の令嬢だ。優れた人間で、考え方がしっかりしている。「私がよく知る浮気女の典型的なタイプは成瀬莉奈だけど、今じゃ警察に捕まって刑務所から出られないってのに」唯花はぶつくさとぼやいていた。あのように浮気相手になろうとする女の気持ちがどうしても理解できなかった。正当な道が歩けないのか?どうしても人様に顔向けできないようなことをして、一生浮気女だと罵られようとする。彼女たちが生んだ子供は一度周囲から浮気相手が生んだ隠し子だと知られれば、軽蔑の目を向けられるというのに。ズキズキと痛む腰をさすりながら唯花は洗面を済ませ、着替えてから下におりていった。彼女は
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