All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 1831 - Chapter 1840

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第1831話

「理仁、俺を笑い死にさせて、俺の財産を相続しようとでも企んでるのか?お前だってずっとおばあ様の孫やってるんだから、彼女がどのような人なのかよく理解しているだろ。だから、前もってこんなことになる心の準備をしておくべきだろ。新婚の時におばあ様が奥さんを誘拐しなくてよかったな、じゃなきゃ、お前はもっと耐えられなかったはずだぞ」誰かを好きになったばかりの、気持ちが盛り上がっている時に、暫くの間離ればなれでいなければならないのが一番辛い。理仁「……今だって辛いぞ。俺は朝目が覚めた時に隣に妻がいて、夜妻が家で俺の帰りを待っているのに慣れてしまっているからな。彼女が家にいるって思うと、彼女をあまり待たせたくなくて、いつも急いで帰ろうって思うんだ。今は俺を置いてどこかに遊びに行ってしまった。俺がついてこないようにまでしたんだぞ。携帯すら新しいものを買ってさ、こんなの耐えられん。悟、奢るからちょっと飲みに行こう」理仁はまだ一度もおばあさんの動向を人に頼んで探らせたことはない。おばあさんが唯花を連れて出かけたのだから、絶対にどこにいるのか知られないようにしているに決まっている。それでは唯花のほうから連絡してこなければどうしようもない。理仁は自分がどうして祖母を怒らせてこのような仕打ちをしてくるのか理解できなかった。彼の一番弱いところをついてきたのだ。「今何時だと思ってんだ?飲みに行くって、行かないよ。俺は妻と一緒にいないと、今妊娠中なんだから。今俺はタバコも酒もやめたんだぜ」悟は理仁の誘いをすぐに断わってしまった。理仁は言った。「……全く友達とは言えない、つれないやつだ」「友達だって俺と一生を過ごすわけじゃないだろ。妻こそ俺と一生を共にする人だ。そりゃもちろん妻を第一にするにきまってんじゃん。もう遅いからここらへんで切るぞ。明凛と一緒に夢の中に行くんだ、おやすみ」悟は笑いながらおやすみの挨拶をした。明凛はその会話を聞いていて、夫はどうも楽しんでいるような気がした。悟が携帯を置くと、彼女は尋ねた。「おばあさんと唯花が遠出したのに、結城さんは知らなかったの?あなたに、唯花がおばあさんに連れ去られたって文句を?」悟は笑って言った。「そうそう、あいつ、一体どうしておばあ様を怒らせて、こんな仕打ちを受けているのかさっぱりわからないっぽい
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第1832話

「実際、理仁は唯花さんと一緒になってから大きく変わったよ。きっと彼女がどんどん忙しくなっていって、たまに構ってもらえなくなるから、それを不満に思ってるんだろう」明凛は言った。「今になって不満を撒き散らしてるわけじゃないでしょ。もうだいぶ経つわよ。唯花ってラブレターなんて書いたことなかったのに、夫の機嫌をとるために脳みそを絞ってなんとか書いてるんだから」理仁のような俺様気質はなかなか変わることはない。恐らく将来白髪になって祖父になり、曾祖父になるくらいの年になったとしても、あの性格は変わらないだろう。唯花がそんな彼を広い心で包み込んでくれればそれでいい。夫が不満を吐いて、妻がそれをなだめる。この繰り返しは夫婦にとっての楽しみなのかもしれない。周りはそれを聞いてあげるだけで、首を突っ込む必要などない。悟は明凛を見つめ、羨ましそうに言った。「理仁も奥さんからのラブレターをもらってるのに、俺は一度ももらったことがないなぁ。明凛、それならさ、君も俺に書いてよ。妻からのラブレターをもらう喜びを俺も味わってみたいな。理仁がめっちゃ喜んでるのを見たんだよ。あの冷たくこわばった顔がほころんでたんだぞ。バカじゃなければそれにすぐ気づくくらいにな。絶対奥さんからラブレターを書いてもらったに決まってる」明凛はそれを拒否することも、承諾することもなくただこう言った。「私だって今まで書いたことないわよ。経験がないからネットで調べて真似しても気持ちがこもってないし、やめておきましょ。悩みぬいて、なんとか書くのも頭がパンクしちゃって書けずに寝られなくなって、何も喉を通らずに一日中どうやって書けばいいか考えてるわ……」「わかった、やめておこう、書かなくていい。俺が君に書くから。俺が書いたって同じことだしさ」明凛からラブレターを書いた経験がないから書けないと言われて、悟は悦に浸っていた。つまり彼女がラブレターを書いたら、それを受け取る初めては自分だということだ。しかし、彼女が書けない時、ずっとそのことが気になり何も食べられず、眠れず、一日中ずっとどうやって書くか悩んでしまうと聞き、悟はそんなことはさせられないと思った。明凛は今や彼ら九条家にとって国宝級に崇め祭られる存在なのだ。ラブレターを書くことが原因で、彼女が何も食べられず、眠れなくなったら彼は自責の念に
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第1833話

悟は何度も頷いて言った。「何も言わないぞ、あいつと比べたりしないから。実際、俺はあいつよりもずっと幸せだからな」彼は明凛のまだ膨らんでいないお腹をさすった。理仁は結婚して一年経ったが、まだ子供を授かっていない。悟のほうはすでに父親になっている。それに、彼は明凛とは大きな喧嘩などしたことはなく、仲睦まじく続いているから、理仁夫婦と比べるとずっと幸せだと思っているのだ。足るを知るってやつだ。明凛は自分の手を彼の手に重ね、その大きな手をのけて言った。「そんな事、彼の前で言ったら駄目だからね」「俺は別に何も言ってないじゃないか」「あなたが言いたいことはわかってるのよ。唯花は口に出さないけど、心の中では自分が不妊症なんじゃないかって不安なの。あの子がネットで不妊について検索しているのをよく見てるんだから」悟は頷いた。「言わないよ。君は彼女に焦らないほうがいいって伝えてよ。プレッシャーが大きいと、なかなか思い通りにはいかなくなるものだからね」「わかってる。私も彼女の前で子供の話題は出さないわ」明凛はため息をついて言った。「夫婦二人はとっても仲が良いのに、どうして妊娠しないんだろう?」明凛と悟は結婚してすぐの新婚旅行で子宝に恵まれたのだ。「絶対に子供はできるよ。あまり考えないで、もう寝よう」悟は愛妻に慰めの言葉をかけてから、そしてベッドのライトを就寝用のライトに切り替え、横たわって妻と眠りについた。明凛は今子供がお腹の中にいるので、寝るのも早い。数分も経たずに彼女はぐっすりと夢の世界に旅立ってしまった。あっという間に眠りについた愛妻を見つめ、悟は穏やかな気持ちになった。そして彼女の額に近づき、優しくキスをしてから羨ましそうに言った。「明凛、本当に君が羨ましいよ。数分ですぐ寝ちゃうなんて」彼のほうは寝返りを何度も打たないと眠れない。同時刻の辻家では。夕菜は浴室から出てきたばかりで、携帯のピコンというメッセージが届く音を聞いた。携帯はベッドに投げ捨てられていて、彼女は速足で近寄り、ベッドの端に座って携帯を手に取るとメッセージを確認した。それは知らない携帯番号からのショートメッセージだった。その内容は【結城家の若奥様は遠出して、今は結城理仁さんが一人で家にいます】夕菜はそのメッセージを見ると、すぐにその電話番号
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第1834話

唯花は188番地の女に盗撮した全ての写真を消去して、ネガフィルムごと捨てるように要求した。辻夕菜を琴ヶ丘住宅地に入れた行為に関して、その女は夕菜の目的は知らず、結城理仁の親戚かと思い、よかれと思って入れただけだと一点張りだった。トラブルを引き起こすつもりはなかったという顔をして、唯花には今後他人の事には関わらないと約束した。唯花はその約束を信じると口では返事したものの、家に帰ってから、この芸能記者に目を光らせておくようにと言いつけた。唯花はこの記者がただネットの閲覧数稼ぎのためだけに今回のようなことをしたという簡単な話ではないと感じていた。彼女は相手の瞳の底にある嫉妬を感じ取ったのだ。理仁の名前が出た瞬間に思わず笑みをこぼしていたので、もし唯花の勘違いでなければ、この芸能記者は恋のライバル第2号だろう。理仁は磁石だ。未婚の女性だけでなく、離婚しているがまだまだ若い女性も引きつけてしまう。まるで美味しいステーキのように、彼女たちは彼を一口かじって腹の中に入れたくてしかたがないのだ。夕菜はあの顔は普通だが、セクシーなスタイルをした女性を思い出して言った。「あ、あなたですね。どうしてあの女が遠出してるって知っているんですか?どこに行ったか知ってます?」「私は向井由紀(むかい ゆき)です。私も琴ヶ丘住宅地の住人です。結城さん夫婦の動向には注目しているんですよ。だって、あの結城家の御曹司と同じ地区に暮らしているんですから、光栄すぎて思わず気になっちゃうんですよ」夕菜は黙っていた。由紀は言った。「あの日、辻さんをメインゲートに通したでしょ、今日の昼に結城理仁さんの奥様が私のところに文句を言いに来たんです。しかも、ものすごくひどい言葉まで吐かれたんですからね。どうやら、奥様もそんなに自信がないんでしょうね。あの夫婦はもしかしたら、世間で噂されるような仲睦まじいものではないのかも」夕菜は言った。「それは私にもよくわかりません。私は理仁さんに一目惚れしたんです。だけど、私は彼とは一度しか会ったことがないし、奥さんとも知り合いじゃないから、あなた達星城で暮らす人のほうがお詳しいかと」一度言葉を止めて、彼女はまた言った。「奥さんって結婚してずいぶん経つのにまだ妊娠してないじゃないですか。彼女が不妊症だっていう噂は聞いたことがありますか?名家の中でも
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第1835話

暗い夜が終わり、空が白み始め、新しい一日がまた始まった。理仁は起きていたが、目は閉じたままいつもの癖で横向きになって、あのスラリと長い腕を伸ばして何かを掴もうしたが、大切な彼女を抱きしめることはできなかった。すると彼は急いで目を開けた。隣には誰の姿もなく、どこを見渡しても可愛いあの妻の姿はなかった。少しの間呆然として、理仁はやっと思い出した。祖母が愛する妻を連れ去り、陽も連れて旅行に出かけたのだった。ひどいことに理仁だけ家に残してしまった。そのせいで彼は夜なかなか寝られず、最後には唯花のまくらを抱きしめ、それを唯花代わりにしてなんとか寝ることができたのだった。携帯を手に取り時間を確認してみると、この時すでに朝の八時過ぎだった。以前であれば、彼はいつも六時に起きて朝のジョギングに出かけていた。ああ、妻が隣にいないと起きるのも難しい。そして曜日を確認し、今日はちょうど土曜日だと気づいた。忙しすぎて曜日感覚も失っており、月曜日だと思っていたのだ。今は土曜日だから、一週間が過ぎるのはなんと早いことか。土曜日は仕事はない。理仁は引き続き夢の世界に戻ろうとした。夢の中なら、彼は唯花と二人っきりでいられるからだ。しかし、お腹がぐーっと鳴り、彼はもう寝られなかった。起きるしかない。携帯には未着信はなく、LINEには多くの未読のメッセージが来ていた。画面をタップし、仕事グループ以外には、誰かからの週末の誘いが来ていて、その全てを確認しても唯花からのメッセージは一つもない。「唯花!」理仁は歯ぎしりをし、彼女の名前を叫んだ。「本当にひどい人だ。メッセージ一つよこさないなんて!」唯花からのメッセージがなく、彼は彼女のSNSを開いてみたが、新しい更新はなかった。そして彼女が携帯を新しく買ったことを思い出した。その新しい電話番号も彼女は姉に教えていない。妻から家に一人「捨てられた」理仁は、時間をかけて服を着替え、洗面を済ませ、そしてあのイケメン顔で下におりていった。一階につくと、まるまる太った犬が体を左右に揺らしながら彼のほうへ駆け寄ってきた。理仁は毛の多い動物が好きではない。当初、唯花を喜ばせるために、友人に頼んで犬と猫二匹を彼女にあげた。それから夫婦はとても忙しくなって、ペットたちを清水に世話してもらっていた。その
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第1836話

「若旦那様、朝食はできていますよ」理仁は何も言わずに、そのままリビングのほうへ向かった。リビングに入ると、キッチンから彼の朝食が運ばれてきた。それは全て普段理仁が好んで食べているものばかりだったが、いつもいる姿がそこにはないので、それに慣れずどうも食欲が湧かなかった。椅子に座って、二口も食べられず、もう食欲は完全になくなってしまった。すると彼は立ち上がり外へ向かった。吉田が食卓に目を向け、理仁の後に続いて歩きながら心配して言った。「若旦那様、食欲がないのですか?それとも今日の朝食は味がいまいちでしたか?」「妻がいない」吉田は言葉を失った。この時、吉田は若奥様がおばあ様と一緒に旅行に行ってしまい、一体いつになったら帰ってくるのかわからないので、若旦那様はずっと食べないつもりだろうか、と考えていた。「若旦那様どちらへ行かれるのですか?」理仁は返事をしない。数分後、彼は自分で車を運転して出かけてしまった。ボディーガードたちも連れずに行ってしまったが、吉田が七瀬とあと一人のボディーガードに指示を出して車で後をこっそりと追いかけさせた。七瀬は車を運転しながら、落ち着いて理仁の車の後ろをついていった。そして助手席にいる同僚に言った。「ここ暫くは気を引き締めておかないといけないな、絶対に何かやらかしてはいけない。それに、何もない時でも、若旦那様の前には現れないほうがいい」同僚は答えた。「誰が若旦那様の前に用もないのに現れようとする?それは自ら死を選ぶような行為だ。若奥様がいらっしゃる時は何も心配せずに安心していられる。たとえこの世の終わりが来ても若奥様ならどうにかしてくださるはずだ。でも、彼女不在の今、裏に引っ込んで遠くの方へ離れていたいよ。若旦那様は若奥様と一緒にいるのが当たり前になっている。おばあ様も何も言わずに若奥様を連れ出したものだから、若旦那様の鬱々とした気持ちが晴れないんだな。若旦那様も一体どこに行く気なのやら」七瀬がそれに答えた。「絶対に若奥様のお姉様に訴えに行くに決まってる」その言葉に同僚は言葉を詰まらせた。理仁は別に気持ちを訴えるわけではないが、まんぷく亭に行ったのは間違いない。唯月はちょうどまんぷく亭にいて、妹の夫が来たのに気づくと笑顔で彼に尋ねた。「あら、ここに来ても大丈夫ですか?忙しく
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第1837話

唯月が言った。「……きっと唯花はすぐに電話してきますよ。陽が私の声を聞きたがるから」このような話を彼女は何度も口にした。こうやって妹の夫を慰めるしかないのだ。妹が旅行に行ってしまい、妹の夫がこの世の終わりだというような様子でいるので、唯月は呆れてしまっていた。しかし、夫婦二人の仲が良くて、理仁が妻と一緒にいることに慣れていることはよくわかっていた。二人がおしどり夫婦であることに唯月は姉としてとても喜ばしく思っていた。「だったら、私が喉に通りやすい麺類でも作りましょうか?」唯月は理仁にうどんでも作ろうかと考えた。理仁は首を横に振って断わり言った。「いいえ、義姉さんの料理が美味しくないわけじゃなくて、俺が食欲がないだけです。唯花が薄情にも俺を捨てて祖母と旅行に行ってしまったからです。携帯すら新しく買ってその携帯の番号を俺に教えてくれなくて、それがすごく悲しいんですよ。義姉さんも俺の目の周りにクマができているのがはっきり見えるでしょう?よく眠れないんです」唯月「……」「義姉さん、あの、俺が何か間違ったことをしたでしょうか?」理仁は自分が何か間違ったことをしたから、おばあさんからこのような仕打ちを受けるのだと思っていた。そうでなければ、唯花を説得して一緒にどこかへ行ってしまったりしないはずだ。おばあさんは、理仁の唯花に対する独占欲がかなり強く、毎日二十四時間離れたくないと思っているのをよく知っている。「私が見る限りでは、別に結城さんは間違ったことをしていませんよ。私がいないところで何があったかは、もちろんわかりませんけど」理仁はため息をついた。「うちのばあちゃんはこうなんです。いきなり行動に出て、相手が不意を突かれてわけがわからなくなるのを楽しむんです」一体何をやらかしてしまったのだろうか。唯月は言った。「おばあ様はきっとただ単に唯花を連れてちょっと出かけて遊びたいと思っただけですよ。結城さん、考えすぎだと思いますよ」理仁は黙っていた。唯月はおばあさんのことをよくわかっていない。理仁はおばあさんが小さい頃から面倒を見てきたので、二人はとても仲が良い。彼もおばあさんがどのような人なのかよくわかっている。おばあさんは絶対に理仁を懲らしめるためにこのようなことをしている。今、理仁はただ、おばあ
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第1838話

「あなた達今奏汰さんのところにいるの?」唯月は息子から聞いて彼らの居場所がわかった。陽は頷いた。「今かなたおじたんのところにいて、もう少ししたらひこうきに乗るんだ。どこに行くのかはぼくも知らない。おばたん達は知ってるけどね」彼は叔母と結城おばあさんに連れられて、食べて飲んで遊んでいる。唯月は彼に尋ねた。「おばちゃんの新しい携帯でママに電話してるの?」「ちがうよ、かなたおじたんのなんだ。おばたんのけーたいは今じゅうでんちゅうなんだって」唯月はひとこと「あら」ともらした。「じゃあ、おばちゃんは?電話をかわってちょうだい」「わかった、おばたんのところに行ってみる。ママ、ちょっと待っててね」陽はそう言いながら唯花を探しに行った。この時、奏汰も陽と一緒についていき、彼が転ばないように見守っていた。「おばたん、ママがお話したいんだって」陽は唯花を見つけると、すぐに携帯を唯花に差し出した。唯花は電話を受け取ると、姉を呼んだ。「唯花、新しい携帯で結城さんにLINEか電話をしてちょうだい。まったく、旅行に行くっていうのに彼にひとことも伝えないなんて。あなたが不在で、彼ったらまるで魂が抜けたようになってるわよ。週末なのに、遊びに出かける気にもなれないみたい。ご飯だって喉を通らないし、よく寝られずにクマまでつくってるのよ。彼は今ここにいるの。私がうどんを作ろうとしても食べられないんだって。あなたのことが気がかりだから」唯月はまず妹を注意してから、理仁からは少し距離をとって離れ、声を抑えて尋ねた。「唯花、あなた結城さんと喧嘩なんかしてないわよね?彼、ずっと自分が何か間違ったことをしたんじゃないかって疑っているのよ。それでおばあ様がこのようにあなたに代わって彼を懲らしめようとしてるって」唯花は夫が何も喉を通らず、よく眠れていないと聞いて心配して尋ねた。「理仁さん、本当に何も食べられないの?別に初めて遠出したわけじゃないのに。普段から出張にはよく出ていたし」「普段から出張って言っても、それは数日くらいでしょ。彼だってその間あなたに電話したりLINEしたり、テレビ電話だってできるじゃない。今回はあなたが何も彼に告げずにいなくなったから、彼はご機嫌斜めなのよ。それにいつ帰ってくるかも知らないじゃない。あなたったら携帯まで新しいものを買って出か
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第1839話

「理仁、お姉ちゃんからあなたが何も食べないって聞いたけど、本当なの?何も食べないと、体を壊すわ。胃に良くないじゃない。私は今あなたのお世話ができないわよ」唯花は彼を脅すように言った。「私が不在の時、あなたはしっかり食べてよく寝ないと駄目よ。帰ってあなたが痩せて、元気がなかったら、一カ月無視し続けるからね」理仁はその言葉を聞いて苦しそうに笑った。「唯花、俺を捨てたうえにそんな脅しまでしてくるなんて、ひどいじゃないか」「はいはい、私はひどい妻ですよ。一体どこの誰が私に構ってくれないって文句言ってきたのかしらね。今ようやく本気で無視される気持ちが少しは理解できた?私たちは今から出るの。これでお話は終わりにするわよ。あなたはおとなしくお姉ちゃんが作ったご飯を食べて、しっかり仕事に精を出して。私は九月一日前には必ず帰るから。陽ちゃんが幼稚園に行くからね」そう言うと、唯花は小声でまた言った。「理仁、あなたのことが大好きよ」理仁にはっきり聞こえたかどうかは気にせず、彼女は電話を切って携帯を奏汰に返した。「陽ちゃん、そろそろ出発するよ」唯花は甥を呼んだ。陽はすぐに自分のリュックを背負うと小走りに近づいて来ながら答えた。「おばたん、ぼくじゅんびできたよ」奏汰は携帯をズボンのポケットに戻して陽を抱き上げると笑って言った。「おじさんが三人を空港まで送るね」それから奏汰は唯花に言った。「唯花さん、昨日到着したばかりで柏浜を満喫していないのに、もう他の所に行くんですか?ばあちゃんはもう年なのに、こんなに密なスケジュールできつくないの?」おばあさんはそれに答えた。「私は過密スケジュールでこそここまで元気でいられるのよ。もし毎日毎日家でじっとして飲み食いするだけだったら、体調が悪くなるよ。だって運動不足になるでしょ。安心しなさい、おばあちゃんはひ孫に会えるまでは頑張ってあちこち走り回るわよ」自分の身体のことは自分自身が一番よくわかっている。元気なうちに動き回って遊んでおかないと、将来本当に動けなくなったら遊びに行きたくても行けなくなってしまう。「ばあちゃん、俺は心配してるんじゃないか。あと数日ここで遊んでから他の都市に行ったって同じだろ?」奏汰はもちろんおばあさんが元気であることはわかっている。彼らは常におばあさんの体調には気を配っ
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第1840話

奏汰は女性が喜ぶようなブランド品を玲にプレゼントするわけにいかない。玲はそのようなものは必要ないし、好きではないだろう。男が喜ぶような物を贈ってもいいだろう。駄目なわけではないが、ただ彼が頻繁に玲にプレゼントをすれば誤解を招きやすい。そうなると柏浜のゴシップニュースで彼が同性愛者だとネットに流れるだろう。奏汰はため息をついた。奏汰は自分はいつかは必ず同性愛者のレッテルを貼られるだろうと思った。「ばあちゃん」奏汰は陽を下におろして、唯花と一緒に行かせた。そして彼は小さな声でおばあさんに尋ねた。「ばあちゃん、どうやって彼女が女性だってわかったんだ?何かその証拠になるものがある?」「そんなこと気にする必要なんてないの。証拠ならあるけど、あんたに教えないわよ。自分で頭を働かせて考えなさい」おばあさんをうまく丸め込んで聞き出そうとしても無駄だ。奏汰は言った。「俺はばあちゃんの孫だぞ。孫のためによかれと思っているなら、完全に俺らの手助けをしてくれよ。ほら、俺はもうばあちゃんの要求に従ってやってるんだ。ばあちゃんが教えてくれれば、年が明ける頃には婚約者を連れて新年の挨拶に行けるんだぞ」「簡単に手に入れたものは人って大事にしないものなのよ」おばあさんはどうしても奏汰に玲が女性だとどうしてわかったのか教える気はない。この孫は、わざと半年もの間ダラダラと行動を開始しなかった。しかも辰巳が咲と婚約してしまい、両親にぐちぐち言われ始め、おばあさんからもガツンと喝を入れられたことで鬱陶しくなり、柏浜に出張すると言い訳をして逃れてきたのだ。彼はもう行動を開始する決心をしたのだろう。そうでなければ、柏浜まで来ないはずだ。奏汰は言った。「……理仁兄さんは簡単に奥さんができたのに。何も努力せずに唯花さんと結婚できたじゃないか」おばあさんはやはり一番上の孫を可愛がっている。他の孫たちは結婚相手を口説く必要があるのに、理仁だけは何もせずにすぐ結婚手続きをしてしまった。おばあさんは彼を横目で睨みつけた。「あの時、家族グループで、誰かおばあちゃんのために唯花ちゃんと結婚して恩返しをしてくれる人はいないか聞いたでしょ。あんた達はどう返事したっけ?それぞれ逃げるだけだったじゃないの。だから理仁に頼むしかなかったわ。理仁が一番上だから結婚相手を紹介す
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