Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 2241 - Bab 2250

2452 Bab

第2241話

唯月は寝ている隼翔と陽のほうへ近寄り、まるで父と子のような二人を見つめた。彼女はすぐに二人を起こすことはせず、周りを見渡した。スタッフたちが帰宅する前にすでに店の全てをきっちりと片付けてくれていた。今日は開店一日目。彼女が招待した親族や友人たち以外にも、多くの客が来て食事していった。この日に店で食事をした客には割引をし、ちょっとしたプレゼントも渡した。そしてさっき彼女は今日の売上を確認すると、利益はまんぷく亭の比ではなかった。しかし、今日は開店したばかりで、多くの人はほぼ有名人的なあの賓客たち目当てで来ただけだろう。だから、これからが本当の勝負だ。唯月はビストロピエナが一店舗目のまんぷく亭を大きく超えると自信を持っている。一つの目標をクリアしたら、次はさらなる目標に進むまで。唯月はそっと椅子を引いてそこに座り、静かに最後まで自分に付き合ってくれた隼翔と陽を見ていた。妹も含めてこの時みんな帰ってしまっていた。唯花は今妊娠中のため、唯月も妹に夜遅くまで付き合わせたくなく、昼食が終わると、理仁に頼んで妹を連れて帰ってもらった。他の親戚や友人たちは、午後になってそれぞれ次々と帰っていった。そして夜遅くまで彼女に付き合ってくれたのは、運命を共にする息子と、彼女に好意を寄せて一年近くになる隼翔だ。隼翔は入院期間にかなり痩せてしまっていたが、退院して気持ちを整理してからは、心理状態も良くなり、体にはどんどん元と同じくらい肉がついてきていた。彼はよく、毎日努力してリハビリを続けなかったら、どんどん太ってしまうだろうと言っていた。それに唯月には、自分が太っちょになっても好きになってくれるだろうかと尋ねた。唯月はただ笑って、それに返事した。「東社長が太ったとしても、多くの人があなたのことを好きですよ」彼女は「私は」とは言わなかった。すると隼翔は口を尖らせて言った。「その俺のことを好きだという奴らは別に俺自身を好きなんじゃない。俺の地位や身分目当てなんだ。ああいう女たちは俺からどれだけ利益が得られるかしか考えてないのさ」唯月は彼に尋ねた。「じゃ、私もその地位や身分目当てに近づくような、お金至上主義の女なんじゃないかって心配じゃないんですか?」隼翔はにこにこ笑って言った。「そんな心配なんてないさ。誰かが君のことを勝
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第2242話

陽が体を動かすと、隼翔は反射的にまずは陽をしっかりと胸に抱きしめて。それからハッと目を覚ました。目の前にいるのが唯月だとわかると、彼は本能的にニカッと大きな笑みを見せて尋ねた。「唯月さん、仕事はもう片付いた?帰ろうとしているところかな。陽君が眠そうにしていて、抱っこして寝かしつけようとしていたら、いつの間にか自分も寝てしまったらしい」唯月は陽に触れていた手を引っ込めた。隼翔は彼女が手を引っ込めるのに気づいた時、少し残念そうにした。彼女があの手を引っ込める前にすぐに捕まえて、自分の顔に触れさせれば良かったのに、なんでこんなに反応が遅いのだ。それに、彼はどうしてこんなに浅い眠りなのか。ぐっすり寝ていれば、もしかすると唯月がその隙にこっそりキスをしてくれたかもしれないじゃないか。今から寝たふりをしても間に合うだろうか?「もう終わりましたよ。すみません、こんなに遅くまで陽の面倒を見てもらって」隼翔はそんな彼女にこう返した。「俺たちの仲なんだから、そんなに気を使わなくっていいよ。陽君が喜んで俺と一緒にいてくれるんだから、嬉しくてたまらないんだ」以前、隼翔が陽を抱き上げようとしても、いつも拒否されていた。隼翔の顔には切り傷があるから、陽はそれを怖がっていたのだ。今になっても、彼はその傷跡を消す手術は受けていない。唯月はその傷にまつわる話を知っているので、彼がそれを消さないでいるのを理解していた。初めて彼に会った時は、その傷を見てとても恐ろしかった。今は見慣れてしまったので、それを怖いと思うことはなく、逆に心が締め付けられる思いになる。彼がその傷を受けた時、どれほど痛かっただろうか。「社長のボディーガードはまだ外にいらっしゃいますか?」唯月は小さな声で尋ねた。隼翔は言った。「うん、まだ外にいるよ」夜遅くなっても、彼がまだレストランにいるので、ボディーガードは隼翔を送るためにずっと待っている。唯月も彼を送っていくことはできる。しかし、夜遅い時間には唯月に送ってもらうことはなかった。唯月が彼を送ってから帰ると夜は危ないから、彼は心配になる。唯月はレジの裏から鞄をとって、隼翔のところに戻り、車椅子を押して外に出ていった。「今日はとても疲れただろう」唯月は車椅子を押しながら、言った。「疲れはしましたが、それで
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第2243話

「君は料理が好きで、手頃な価格で美味しいものをみんなに提供したいと思っているはずだ。それなら、レストランのチェーン展開のほうを考えたほうが将来性があると思うよ。それから管理はもっと厳しくしたほうがいい。自分なりの管理方法を考え出すんだ。全体をしっかりとまとめて社員がバラバラにならないようにするんだよ。中心がぶれると、周りから一気に崩れていくぞ。唯月さん、君は絶対成功できる。だけど、焦らずゆっくりやるんだ。一気に頂点にのぼりつめることなんてできない。一歩、また一歩しっかりと踏みしめて前に進むんだ。そして自分自身に多くの経験を積んでいける」唯月は頷いた。「東社長、あなたの言う通りです。焦らずゆっくりやっていくことにします。うっかり大きな穴に落ちてしまったら、元手すら失ってしまいますよね」どのみち唯月はまだまだ若い。十年くらい奮闘して、状況を判断しつつ五つ星ホテルを目指していけばいい。車椅子を押して隼翔とレストランを出ると、唯月は立ち止まってガラスドアに施錠し、それからシャッターを下ろそうとした。「内海さん、私が」東家のボディーガードがその様子を見て、さっと近寄りシャッターを下ろすと、唯月はそれにまた鍵をかけた。「ありがとうございます」「いいえ、とんでもありません」ボディーガードは唯月を手伝った後、隼翔のほうへ目を向けた。自分の主人の懐には陽がぐっすり寝ていて、ボディーガードはその時、隼翔はそのまま唯月と一緒にいるのか、家に帰るのかわからなかった。「東社長、もうこんな時間です。今日はあなたもとても疲れたでしょう。帰って休んでください。私は陽を連れて家に帰ります」唯月は隼翔に近寄り、かがんで熟睡している息子を抱き上げた。陽は本当にぐっすり寝ているようで、母親に抱き上げられても目を覚まさなかった。頭を唯月の肩に置き、引きつづき夢の世界の中にいた。「唯月さん、こんな時間だから、君たちだけで帰すのは心配だ。先に二人を家まで送っていくよ」隼翔はやはり心配だった。今、唯月の後ろには多くの実力ある名家が控えている。だから、誰も唯月親子に手を出す人間はいないだろうが、それでも命知らずの馬鹿が何かしてくる可能性はゼロではないのだ。唯月はとっさに言った。「家はここからそんなに遠くないですから。車で十数分で着きます。それに大通
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第2244話

この日、もう一人のボディーガードは私用で休んでいた。だからボディーガード一人しか今日はおらず、唯月は彼一人だけでは隼翔を車に乗せるのは難しいのではと心配していた。ボディーガードは唯月の手伝いを断わらなかった。彼は唯月と一緒に隼翔を支えて車に乗せ、隼翔が座ると、唯月が彼にシートベルトを締めてあげた。ボディーガードのほうは車椅子をたたんで後ろのトランクに入れた。隼翔は唯月を見つめた。彼女がシートベルトを締めてくれている時、二人の距離はとても近く、危うく自分を抑えきれず両手を広げて彼女を抱きしめたい衝動に突き動かされそうになってしまった。しかし、彼はその衝動をどうにか抑えることに成功した。今、唯月は彼とは家族のようにかなり親しくなってくれている。もし、強い欲求に突き動かされてしまえば、一瞬で今までの努力が水の泡になってしまいかねない。「社長、私たちを送ってもらわなくても大丈夫なんですよ。遠くないんですから」隼翔は愛のこもった眼差しで彼女をじっと見つめた。「この目で君たちが家に入るのを見届けないと、安心できないんだ」彼にとって、ここから車で十数分の距離だというのはどうだっていい。唯月は何か言いたげな様子で、暫く彼と見つめ合っていた。隼翔は彼女が口を開くのを待っていたが、唯月は結局何も言わず、黙って後ろにさがり、隼翔が乗っている側のドアを閉めた。隼翔もそんな彼女に失望することはなかった。唯月が彼を受け入れるには時間が必要だと自分自身よくわかっているのだ。結城おばあさんからも、彼が諦めずにいれば、唯月はいつかは彼を受け入れてくれると言われた。唯月は今彼に対する態度は以前とはまったく違っている。彼が唯月に自分の気持ちを打ち明けたばかりの頃は、唯月はできるだけ彼と二人っきりになるのを避けていた。しかし、今、彼女はもう隼翔を避けることはなくなり、みんながいる前でも堂々と彼と一緒にいるようになった。誰かに裏で何かを言われても気にしない。それが唯月にあった変化だ。唯月は一度結婚に失敗した経験があり、再婚に関しては慎重になっているとおばあさんは言った。いくら隼翔が良い人で、自分でも一途な男だと認めていても、焦ってはいけない。唯月がその閉ざした心をゆっくりと開くのを待っていれば、二人には未来がある。唯月が自分の事業を少しずつ拡大
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第2245話

理仁夫妻は一軒家も唯月に贈ろうとしたが、それを唯月はやんわりと断わっていた。それで、その家は今に至るまで不動産契約書の名義は唯月に変更されておらず、彼女もそこへ引っ越して住んではいない。ボディーガードにそこに引っ越してもいいのではと言われた唯月は黙ってしまった。彼女が何も話さないので、ボディーガードも余計な事は言えず、部屋の前まで送り届けて、唯月たちが部屋に入るのを確認してから彼は言った。「内海さん、しっかり鍵を閉めてくださいね。それではこれで失礼いたします」「ええ、どうもありがとうございました。安全運転でお帰りくださいね」唯月はボディーガードに一応注意しておいた。彼女は先に息子をソファの上に寝かせてから、ボディーガードへのお礼にお菓子でも渡そうと思い、また外に出てきた。この時ボディーガードはもう去った後で、彼女は急いで鍵をかけてから、またソファに戻り、陽を抱き上げて部屋に入った。「まったく、まだお風呂にも入っていないっていうのに、こんなにぐっすり寝ちゃって」唯月は軽く息子の頬をつねるだけで、起こすことなくそのまま寝かせた。明日の朝起きてから、お風呂に入れることにしよう。「陽」唯月はかがんで、陽の可愛らしい顔にキスをした。「お母さんのせいで苦労かけるわね。朝は早いし、夜は遅くて」陽は熟睡しているので、母親の言葉など聞こえていないから、もちろん反応はなかった。そして唯月はすぐに立ち上がってお風呂に行った。風呂を済ませて出てきた時、携帯はすでに隼翔からのメッセージでいっぱいだった。隼翔はメッセージで、彼女に久之宮(くのみや)高級住宅地に引っ越すよう勧めた。そこのセキュリティは非常に高く、隼翔も悟もその住宅地に邸宅を持っている。まずは理仁がそこに大きな屋敷を購入し、隼翔と悟が知った後、すぐに彼らもそこに一軒購入したのだ。彼ら三人は親友だから、同じ住宅地に家があったほうが、行き来しやすいからだ。夜遅くに友人の邸宅で酒を楽しむこともできる。思い返せば、理仁と唯花が結婚したばかりの頃、夫婦が喧嘩した時には、よく夜中に親友二人を呼び出して酒を飲んでいたものだ。酔っぱらうと、七瀬が理仁を家まで送り届けていた。七瀬も暫くの間、芝居を打っていた。その演技力は唯花も騙されるほどで、いっそ俳優にでもなればいいくらいのレ
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第2246話

唯花たちの両親が亡くなった時、唯花はまだ十歳だった。だからそれからは姉が彼女を育ててくれたのだ。唯花は唯月に対して姉妹の愛もあるが、彼女にとって、姉は母親同然だった。唯花が結城家の若奥様になってから、何か大きなトラブルがあった時には唯月は妹の助けを借りていたが、生活面では、彼女は絶対に妹から何か贈られるのを拒んでいる。それで、理仁も唯花も、意地を張り続ける唯月には困り果てていた。誰が唯月を説得しようとしても、全くその態度を変えない。伯母である詩乃でさえ、唯月を説得しようとしていた。「東社長、ここには長い間住んでいてずっと安全です。何も危険な目に遭ったことなんてありませんから。今夜は本当に偶然あの酔っ払いに遭遇してしまっただけです。今後はこんな夜遅い時間に帰ることはないですから、大丈夫です。今日は特殊な状況だっただけで。妹の大きな支えになれていないのはまだいいんです。それなのにあの子の足を引っ張るような真似なんてできないでしょう?久之宮住宅地のお家なら、適当に選んだって億は超えます。しかも、結城さんが買った家は中でも一番大きな邸宅ですから、きっと何十億、何百億するはず。そんなたいそうな贈りものなんて受け取ることはできませんよ」もし、一軒家で中古でもいいから二千万を少し超えるくらいであえば、息子の安全のためにも、厚かましく受け取ってもいい。しかし、妹の夫はこれでもかというくらいお金を惜しむことがない。彼名義の邸宅は一番安いものでトキワ・フラワーガーデンの部屋だ。マンションタイプはあれだけで、他はすべて一軒家だ。大きな邸宅でなければ、マンションまるごとという場合もある。だから、理仁が義姉のために贈った家は、その久之宮高級住宅地にある大きな邸宅だった。唯月のような性格の人間が、どうしてあんなに高い家を受け取れるだろうか。隼翔は言った。「唯月さん、そんなふうに考えなくていい。理仁の家はたくさんある。あいつは奥さんのことをとても愛しているから、彼女の姉である君をまるで自分の姉であるかのように見ているんだよ。あいつは奥さんと一緒に自分の姉に恩返しをしているのさ。それを君は受け取る権利がある。そんなふうに罪悪感を抱く必要なんてどこにもないんだよ。それから、君はこれからもっと仕事が忙しくなるはずだ。だから今日みたいに夜中過ぎにやっと
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第2247話

「東社長、もう遅いですので、早めにお休みくださいね」「うん、君もね。俺は今ほぼ暇人のようなものだからな。遅く寝て、遅く起きても問題ないから」そして唯月と隼翔は互いにおやすみの挨拶をした。隼翔も車を降りた。ボディーガードが先に車椅子を降ろし、ゆっくりと彼の体を支えながら車から降ろした。そして隼翔が車椅子に乗ると、ボディーガードが押して邸宅のほうへ入っていった。この時間なら、東家の家族はみんな就寝している。しかし、隼翔が部屋に入って、ボディーガードが電気をつけるまえに、中の明りがついた。美乃里が電気をつけたのだ。美乃里はさっき二階からおりてきたばかりだった。「奥様」するとボディーガードは彼女に恭しく挨拶をした。「母さん、こんな遅い時間なのに、まだ寝てなかったのか?」美乃里が近寄ってきて、ボディーガードに仕事を終わっていいと合図し、彼女自ら息子の車椅子を押して中へと進んだ。「あなたがずっと帰ってこないものだから、お母さん、心配で眠れなかったのよ。外から何か聞こえないかずっと気を張っていたの。庭の門が開く音がしたから、バルコニーから見てみると、あなたの車だったから、急いでおりてきたってわけ。なんでこんなに遅くなったの?」唯月の新店舗がオープンするので、美乃里も他の東家の嫁たちを連れてお祝いに来ていた。今、東家の中で、唯月はすでに家族同然となっているから、その「家族」が新店舗をオープンするとなって、彼女たちはもちろん、店の応援に行ったのだった。しかし、彼女たちは食事を終えると、少しだけ滞在していてから帰っていった。店のオープン初日とはいえ、営業は通常どおりに行うからだ。唯月は手を止める暇もないほどの忙しさだった。彼女達のような名家の夫人たちが唯月の手伝いをすることなどできるわけもなく、邪魔にならないように帰るしかなかった。「唯月さんの仕事が終わって、彼女たちを家に送ってから、帰ってきたんだ」隼翔は正直に答えた。美乃里はうなずいた。「唯月さんにそこまで苦労しないように伝えておいてちょうだい。夜九時には仕事を終えていいわ。彼女はもう社長なんだから、店の閉店時間まで残っている必要はないのだから」唯月も、店のスタッフを管理するマネージャーを雇っている。彼女自身もシェフの一員ではあるが、他に何人
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第2248話

唯月は今や社長で、服装も高価で品の良いものに変わった。彼女は生まれつきの美人だ。以前は太っていたから本来の容姿を失っていたが、ダイエットに成功してからは、もとの美しさに戻っている。まるで別人になったかのように、全身から輝くオーラを放っている。だから、どこへ行っても注目の的になるのだ。綺麗な人は自然と周りの視線を引き付けてしまうもの。それに、唯月は一人で子供を連れているから、彼女を知る人ならみんな彼女が離婚していることがわかるので、多くの男が目をつけてくる。何かやましい考えを持つ男が現れないとは限らない。「彼女には理仁が贈った久之宮住宅地に引っ越すように勧めたんだ。俺もあそこには一軒持っているし、彼女が引っ越してくる気になったら、俺もあっちで暮らす。そうすれば、互いに面倒を見る必要がある時には便利だろ。普段、俺が彼女に付き合ってもいいし、時間がなければボディーガードを連れさせる」「どうやら、唯月さんもかなり意地っ張りな性格らしいわね」以前、美乃里が唯月に会って、星城から離れてほしいと伝えた時、唯月は彼女に歯向かってきたので、美乃里も驚いてしまった。その時に、唯月は生まれつき頑固な性格なのだとわかった。彼女はそれを実際の行動で示している。「彼女は本当に頑固者なんだよ」隼翔もこれにはため息をついて愚痴を漏らした。隼翔はそんな意志の強い女性を好きになってしまった。美乃里は少し沈黙してから、また口を開いた。「彼女の性格は伯母である神崎夫人とあまり変わらないようね。そんな強い人だからこそ、十五歳で妹を連れてあの最低な親族から離れることができたのよ。彼女一人で妹を大人になるまで育てて、しかもしっかりと教育をしているわ」唯花の優秀さは、彼女自身が努力して得られた結果でもあるが、姉が彼女をきちんと教育したことも大きな要因になっている。唯月自身は何かのお稽古事はしなかったが、妹のためにならお金を惜しまず習わせた。姉妹二人が得られた両親の事故死による賠償金は、なんとか二人が大学を卒業するので足りる程度だった。唯花が何か学業以外で習い事をしたかったら、おそらく唯月がバイトをして稼いだお金を使っていただろう。教育に関して、唯月は非常に重視していた。当時、彼女自身もまだ子供で、成人していなかった。「唯花さんはとても姉に感謝して
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第2249話

陽の話題になると、隼翔も表情を和らげて母親に言った。「陽君は今日俺に抱っこされて眠ったんだよ。懐の中で安心して寝る様子を見ていると、なんだか心が温かくなるのを感じたよ。毎回会うたびにどんどん可愛く思ってくるんだ。陽君のことがますます好きになっていくよ。『お父さん』って呼んでほしいとまでは贅沢を言わないけど、あの可愛らしい声で『おじちゃん』って呼ばれると、もうメロメロだぞ」佐々木俊介の野郎はまだしぶとく生きている。陽は実の父親に対する情はそこまで深くない。それでも、俊介こそが実の父親である事実は変わらない。以前、隼翔が陽に、継父になりたい思いを伝えたことがある。しかし陽からは父親はいるから、欲張ってもう一人の父親が欲しいとは思わないと言われてしまった。父親は一人いれば十分で、二人は必要ないのだと。その言葉から、陽が自分のことを父親だと言ってはくれないと、隼翔は悟った。だから隼翔は無理にでも父親と呼んでもらおうとは考えていない。将来、唯月と結婚できて、彼女とともに陽を育て、彼から『おじちゃん』と呼んでもらうだけでも、満足だった。なにせ、陽にとって、隼翔は彼の母親を取った相手だから。「陽ちゃんはとっても可愛い子よ。誰からも好かれるもの。陽ちゃんに会ったことがある人で彼を嫌うような人は一人もいないわよ」美乃里は息子を見つめて言った。「あなたと唯月さんが見事ゴールインした時には、陽ちゃんももしかしたらあなたを『お父さん』って呼ぶかもしれないわ。呼ぶ呼ばないに関しては陽ちゃん自身の気持ちを尊重したらいいと思うわ。だって、彼の父親は生きているし、養育費はきちんと支払っているでしょ。血の繋がる実の父親の存在を消してはいけないからね。それにもしあなた達二人の間に子供が生まれたら、お母さんも安心して成仏できるってものよ」美乃里には全部で息子が四人いる。上の三人はすでに結婚し、父親になっている。この末っ子だけがまだ結婚しておらず、彼女は心配していた。以前、美乃里は唯月のことを嫌っていて、息子と彼女が一緒になるのには反対していた。それが今では唯月を受け入れている。しかし、息子が車椅子生活をすることになり、隼翔と唯月はまだ恋人同士にもなっていない。いつになったら結婚するのかまったくわからない。二人はどちらも三十過ぎだ。二人が結婚し、
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第2250話

「隼翔が帰ってきたか」「ええ、帰ったわ。今はもう部屋に休みに行った」美乃里は夫のほうへ近寄った。「どうしてあなたまで起きたの」健一郎は雑誌を閉じた。「おまえも息子を心配しているように、私だって心配しているんだよ。隼翔がまだ帰ってこないから、よく寝られなかったんだ。聞き慣れた車の音が聞こえてあいつが帰ってきたのを確かめないと、寝られないさ」「まったく、その通りよ。あの子が帰ってこないと寝付けないわ」「なんでこんなに遅くなったか言ってたか?それに二人で何を話していたんだ?」美乃里はベッドに座り、ブランケットをめくって言った。「あの子は唯月さんのところで仕事が終わるのを待って、彼女たちを家まで送ってきたらしいの。唯月さんは今日特に忙しかったから、こんなに遅くなることは今後はないって。あの子の状態はいいから、心配しないで。もう遅いから早く休みましょう。別に何か話していたんじゃないわ。ただ、あの子と唯月さんの将来について話していただけ」健一郎は妻が横になってから、電気を消して言った。「今そんな話をしてどうするんだ。隼翔はまだリハビリ中だし、唯月さんと結婚することはないだろう。あの子は今の状態じゃ彼女の足を引っ張るって思ってるはずだ。あの二人に任せて、私たちはただ見守っていればいいよ」「ええ、私も別に何も言ってないのよ。私たちが生きているうちに、隼翔が結婚して子供を産むのが見られたらいいなって思うけど」「それは大丈夫だよ」健一郎は妻を慰める言葉をかけた。彼の心にも同じ期待があった。息子と唯月ができるだけ早く結婚し、子供を産んでほしいと思っているのだ。……生徒たちが寝てしまってから、小夏(こなつ)はこっそり外に夜食を食べに出かけた。昼間、子供たちを連れて試合に行き、彼女はゆっくりと星城を見て回る時間がなかった。一人で夜食を食べに出かけようと思っても、子供たちが寝てからじゃないと動けなかった。お腹がいっぱいになった小夏は、タクシーでホテルに戻らなかった。彼女が夜食を食べた場所はホテルからそう遠くない。徒歩でも、三十分ほどで到着する。だから彼女は歩いてホテルに戻ることにした。この時、夜はもう深くなっていた。昼間はどこもかしこも車が列になっている星城が、この時は静かになっている。通りには、たまに一台車が
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