理仁はすぐに唯月に温かいお茶を入れて持って来て、彼女に渡して言った。「義姉さん、唯花さんとの結婚は予定より早めにすることになりました。久之宮住宅地にある家は、やっぱり受け取ってもらえませんか。あれは唯花さんから姉に対する感謝の気持ちなんです」結婚式の日、唯花は姉である唯月の家から出発する。唯月の暮らす家が、唯花にとっては実家のようなものだ。唯月はお茶を受け取り、笑って言った。「結城さん、ちょうど今日はその件でお話に来たんです」その言葉を聞くと、理仁は喜び、すぐにデスクの引き出しの中から鍵を取り出して持ってきた。彼はそれを唯月の前に差し出して言った。「これは家の鍵です。ずっとここに置いておいたんですよ。義姉さんが受け取ってくれることになったら、いつでも渡せるように」唯月は一口お茶を飲み、その鍵を見つめてとても感動していた。妹にしろ、その夫にしろ、自分に対して心から誠意を持って良くしてくれている。妹の夫は財閥家の御曹司であるのに、今まで一度も妹のことを嫌うこともなく、その姉でる自分に対しても尊敬する態度を忘れない。それは妹の自分に対する態度も同じだ。唯花はお金が稼げるようになってから、ずっと姉に孝行してきた。唯月が妊娠して子供を産み、専業主婦となって収入源が断たれた後、夫はケチになったから、ずっと妹が毎月くれる生活費で過ごしてきた。もし妹がいなかったら、唯月もあの時期をどう乗り越えられただろうと思った。「結城さん、そのお家はありがたく受け取らせてもらおうと決めました。だけど、二人からプレゼントしてもらう必要はありません。家は私が買い取りたいと思うんです。価格を安めにしてもらうのは嬉しいですが、お金を受け取るのは拒否しないでもらいたいんです。そうしないと、引っ越してもソワソワしながら生活することになってしまいますから」理仁「……」理仁はこの時、唯月がやっと折れたのだと思っていた。他の誰かなら、屋敷をまるまるプレゼントされて、自分は一円も出さなくていいと言われれば、それはもう天にも昇るくらい喜ぶはずだ。しかし、唯月はそうではない。彼女は断固として受け取ってくれなかった。息子を連れて部屋を借りて住むことになっても、理仁たち夫婦が贈る家は受け取ってくれないので、理仁も頭を抱えていた。そして今日、唯月がこ
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