All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 2281 - Chapter 2290

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第2281話

弦は生まれて初めて、女性に対して心を動かされるという経験をした。それで自分のこの高ぶる気持ちを抑えることができずにいる。「父さん、母さん、本当は二人にこんなに早く教えるつもりじゃなかったんだからね。二人が知って小夏さんのところに急に現れでもしたら、彼女を驚かせちゃうだろう。それにしても、神崎さんのことを好きだと勘違いされて、私にひとことも言わず勝手に結婚の申し込みしにここに来るなんて思わなかったよ。だから、小夏さんの事を今すぐ教えて、とりあえず二人を安心させないといけないと思ったんだ。私は必ず結婚するから。だけど、その相手は神崎さんじゃないよ。今後は二度とこんな真似をしないでくれ」弦は両親にそう言うと、今度は丁寧に姫華に謝罪した。「神崎さん、ここ暫くずっとご迷惑をかけて、イライラさせてしまって申し訳なかった。これは白鳥君に負けて、どうしても彼のお願いを聞くしかなかったんです。全て私のせいですよ。それに、白鳥君のことも悪く思わないでください。これも、彼が神崎夫人に付きまとわれた結果ですからね」姫華は弦の恋愛物語を直接耳にすることができ、その好奇心が満たされたおかげで、今まったく怒っていなかった。それに、姫華は唯花からも事の真相を正直に伝えてもらった。たとえ怒っていたとしても、その怒りはとっくに期限切れだ。姫華はおおらかに言った。「今回のそもそもの原因は私の母ですから。帰ってくる前に唯花が教えてくれたんですよ。白鳥さんが母を諦めさせるために、従兄の結城社長に苦境を訴えに行ったって。結城社長が彼にアドバイスするのも、理解できます。だって従弟から助けを求められたら、何かしら言うでしょう?」善「……」なるほど、彼のアイデアだったわけか。善はあれだけ理仁のことを信頼しているし、両家の繋がりもあり、ビジネス上も深い付き合いがある。それなのに理仁は善のことを考慮しなかったというのか。弦は笑って言った。「以前、世間の神崎さんに対する評判は真実からかけ離れたものでしたね。今後、誰も神崎さんが偉そうで理不尽な人だなんて言えないですよ。もし、私がそんな話を耳にしたときは、そいつをしっかりとおしおきしてあげますからね」姫華は度量も大きく、常識があり、筋が通っている女性だ。世間はきっと彼女が名家出身で、自分の思いのままに生きていること
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第2282話

娘が今愛しているのは桐生善だから航は彼を認めている。以前、姫華はずっと理仁を追いかけていた。理仁のほうは彼女に一目もくれないほど完全に無関心だった。そして理仁が唯花とスピード結婚していたことを知ると、姫華はすっぱりと彼への気持ちを諦めてしまった。そして、やっとのことで理仁への気持ちを断ち切ることができ、新しい恋を見つけた。父親の航はそんな娘には幸せになってもらいたかった。ただ、妻の尻に敷かれている彼は、妻がここまで激しく拒否するのでどうすることもできずにいた。「父さん、母さん、小夏さんには昼に彼女の生徒さんたちと一緒に食事をしようって約束してるんだよ。もうすぐその時間になるから、急いで行かないと。今日の事は二人でちゃんと落とし前をつけておいてくれよ。それから、私と小夏さんの件には絶対に二人は手を出さないでくれ。絶対に彼女を手に入れてみせるから、息子を信じて待っていればいい」その言葉を聞くと、寛哉夫妻はすぐに彼を急かした。「そうだったのか、急ぎなさい。遅れたら大変だ。花京院さんにご馳走するんだぞ。お前が自分でできることなら私たちも絶対に邪魔したりしないからな」息子に愛という甘い蜜をしっかりと味わってもらおう。息子も周りの人たちのように、その味わいを経験して当然だ。弦は神崎家のみんなに謝罪して、すぐに出ていった。弦が去ってから、理仁と唯花がやって来た。二人は直接その場で聞くことはできなかったが、姫華から、弦には運命の女性が現れたことを聞かされた。「結城おばあ様のお知り合いの占い師の方って本当にすごいのね。唯花、おばあ様にその方を紹介してくれないか頼んでくれない?私が一体いつ、女性の中で一番のお金持ちになれるのか占ってもらうわ」姫華はあの占い師がとてもすごいと驚嘆していた。占いはピタリと当たる。理仁と唯花には夫婦としての縁があると占った。結城おばあさんが強硬姿勢を貫き、理仁にどうしても唯花と結婚しろというので、彼はしぶしぶスピード結婚することになった。結局、今では唯花の尻に敷かれ、夫婦はとてもラブラブだ。その占い師は、夫婦二人には息子と娘が生まれると言った。それは後にならないと本当かどうかは分からない事だが、唯花は必ず秋に入っておめでたになると占った。その占いも、見事当たった。そして、弦には星城に
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第2283話

姫華が口を開いた。「私はもう怒っていませんよ」彼女は両親のほうを見つめた。詩乃は少し申し訳なさそうに言った。「そもそも、こんなことになったのも、全て私が元凶ですから。九条さんたちのせいではありません。でも、そこまでおっしゃるのであれば、ここにある物はありがたく受け取らせていただきます」静江は笑って言った。「私たち両家は親戚になる縁はなかったですが、弦が花京院さんを見つけることができたのも、娘さんのおかげですよ。ですから、とても感謝しています。今後、私たち両家も、もっとお付き合いしていきましょう」九条家は結城家との仲が深い。以前、九条家は神崎家と敵対するほどの間柄ではなかった。しかし、九条家は結城家との仲が非常に良く、結城家は神崎家のライバルだった。九条家と神崎家はただ互いを尊重するだけの関係だった。それが今、結城家と神崎家はビジネスにおいて提携を結ぶことはないが、プライベートでは親睦を深めている。ビジネスでも以前ほど火花を散らし合うこともなくなった。九条家が神崎家と付き合いをしても、結城家が怒る心配をしなくていい。結城家と神崎家は今ではもう親戚関係だ。詩乃は快く言った。「ええ、時間がある時にはぜひ遊びにいらしてください」今回、寛哉はここへ結婚の申し込みに来たわけだが、弦からどういう経緯か説明を受けて、ようやく騒動は落ち着いた。今後二度と弦がまたあちこち姫華に迷惑をかけることはない。神崎家にしろ、九条家にしろ、みんなホッと一安心していた。そして寛哉と静江は神崎家で食事をご馳走になった。一方、弦は大急ぎでスカイロイヤルに戻ってきた。彼は小夏たちよりも一足早くホテルに着いた。彼がちょうど車を駐車した時、大型バスが入ってきて、ホテルの入り口にとまった。そしてすぐにドアが開いた。一番に降りてきたのは小夏だ。小夏は車を降りると、ドアの前に立ち、生徒たちが一人一人降りてくるのを見て、最後に点呼をして人数を確認した。彼女が引率している十二人全員が車から降りてきた後、笑顔で運転手にお礼を伝えた。それからすぐ、運転手はバスを走らせていった。このような高級ホテルには特別な客がとても多い。彼が運転する大型バスはとても場所をとるので、そこに長くいると、他の高級車たちの邪魔になってしまう。「花京院さん」この
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第2284話

プレゼントがあると聞くと、子供たちはまず小夏のほうを見て、彼女が駄目だと言わなかったので、それから弦について一緒に行った。弦は車のドアを開き、中から子供たちに用意したプレゼントを次々と降ろして彼らに言った。「プレゼントの箱にはみんなの名前が書いてあるから確認してね」小夏もやって来て、彼のその言葉を聞くと驚いた様子で尋ねた。「九条さん、どうしてこの子たちの名前まで知っているんですか?」彼女はただ、十二人の生徒たちを連れて試合に参加し、男六人、女六人だと教えただけで、名前までは教えていなかった。弦は言った。「大会に参加するために来たって聞いたので、部下に聞きに行ってもらったんですよ。それで子供たちの名前がわかりました。みんなにプレゼントがあって、中身がそれぞれ違うんです。まずはこれを持って、食事する時に開けてみてくださいね」子供たちはプレゼントをもらい、その箱も豪華なのを見て、みんなとても喜んだ。弦が部下にこの件を任せると、部下は細かいところまで考え、十二人それぞれの好みを把握した上で、彼らがもらって喜ぶプレゼントを準備したのだった。主人である弦がやっとのことで女性に興味を持ち、小夏のことを好きになった。だから、部下として、もちろん弦のために誠心誠意尽くすのだ。「九条さん、ありがとうございます」子供たちはプレゼントを受け取ると、嬉しそうにお礼を口にした。弦は笑いながら答えた。「喜んでもらえたなら、良かったよ」小夏は弦のことをとても親しみやすく、優しい人だと感じた。大企業の社長だからといって、偉そうにして近寄りがたい雰囲気は全くない。弦は子供たちに対しても、ここまで良くしてくれるので、小夏の弦に対する印象は爆上がりしていた。最後に、弦は非常に綺麗なプレゼントボックスを取り出した。彼はそれを持って、子供たちの視線が注がれる中、小夏の前までやって来た。「花京院さん、あなたにもプレゼントを用意しました。私を助けてくれてありがとうございました」小夏はそれを受け取らず、こう言った。「九条さん、大したことではないのだから、そんなに気を使わないでください。今日食事をご馳走になるだけで、十分ですよ」「花京院さん、これは私からの感謝の気持ちですから、気にせず受け取ってください。別に高価なものというわけでもないし、子供たちと
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第2285話

小夏は「そうですか」とひとこと返事した。さっき見た車は新品すぎて、見た感じ新しく買ったばかりのように思った。しかし、弦が家にある車だと言ったので、それ以上は聞かなかった。弦が普段あのような普通の車をほとんど運転することがないから、見た感じ新車のように感じたのだと小夏は思った。まさか彼が子供へのプレゼントを運ぶためだけに、わざわざ新しく車を買ったりはしないだろう。弦は子供たちを連れた小夏と一緒に事前に予約しておいた個室に向かった。みんなが座ると、彼はスタッフにメニューを小夏に渡すよう指示をした。しかし、小夏は言った。「九条さん、私も子供たちも好き嫌いはないんです。九条さんはここのレストランの料理にはお詳しいでしょ?そちらで決めてもらって大丈夫ですよ」「花京院さんは普段あまりホテルのレストランで食事したりしませんか?」「ありますよ、だけど、私たちはだいたい一階にあるようなビュッフェで食べます。いろんな料理があって、自分たちで好きなように選べるでしょう?子供たちも好きなんです。いつも、この子たちには食べられる量だけを取ってくるように言っています。残したりしたらもったいないですからね」弦は笑顔で言った。「花京院さんの言う通りですね。食べ物を無駄にしたらいけません。自分が食べられる量を取るのが一番です。じゃ、私が注文しましょう」実際、弦はあまりスカイロイヤルのレストランで食べることはなく、たまに来る程度だ。弟から食事に誘われるか、理仁からご馳走されるくらいだ。自分がここで食べたことのある料理はとても美味しかったことを思い出した。あんなに小さな陽でも、好き嫌いなく食べていたので、彼は以前食べたことのある料理を注文することにした。注文を終えて、料理が運ばれるまでの間、弦はとても自然に小夏とおしゃべりしていた。そして周りの子供たちは、わいわいと自分たちの話題で盛り上がっていた。そしてよく、ちらちらと弦のほうを見ていた。「花京院さんはいつ蔵峯のほうに戻るつもりなんですか?」弦は小夏にお茶を注ぎながら尋ねた。小夏の美しい顔を見るたびに、弦は心臓の鼓動が加速するのを感じていた。彼女を見つめる眼差しも溢れ出しそうな感情をどうにか抑えていた。今まで一度も愛というものを知らなかった彼は、心を動かされる女性に出会った瞬間
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第2286話

「花京院さんは私の命の恩人です。ご馳走するだけだと、その恩返しには足りませんよ。このご恩は何倍にもしてお返ししないと」小夏は言った。「……あの不良たち、どうなりました?どのくらいの刑罰を受けるんでしょうか」彼女は話題を変えた。「全員刑務所に入ることになりましたよ。何年の刑を受けるか今のところはっきりしていませんが、強盗ですから、まあ、数年は刑務所にいるでしょうね」弦は嘘をつく時、顔色も調子もまったく変わらなかった。彼の部下たちは確かに「入った」が、それは刑務所にではなく、病院にだ。今病院で治療を受けている。小夏に殴られた傷や転んだ時についた擦り傷など様々だ。つまり、小夏は軽々と弦の部下たちを一瞬にして倒してしまった。みんな、この将来の女主人には畏敬の念を持っている。小夏は言った。「九条さんはついてなかったですね。星城の治安はとっても良いって聞きました。あんなバイクの不良たちなんてもう何年も現れていないはず。それが急に現れて、九条さんが目をつけられるなんて」弦は笑った。「私は彼らのほうがついてなかったと思いますよ。物を盗もうとした瞬間に、あなたのような女傑に出くわしてしまったんですからね。私を救ってくれて、あいつらを完全にやっつけてしまいました。きっと、あいつらもあれだけ人数がいたのに、花京院さん一人にやられるとは夢にも思っていなかったでしょう。そのおかげで、警察はあんな大勢を一気に捕まえられましたね。まったく、動かせる手足があるというのに、まっとうに働かずに他人から物を奪おうとするなんてね。それはそうと、花京院さんたちが遊びに行くなら、車を貸しますし、私がガイドになります。星城出身の私がいたほうが、迷わずに行けるし、誰かに騙される心配だってないでしょう」せっかく小夏にアピールできるチャンスだ。弦がその機会を逃すはずもない。「花京院さんは、琴ヶ丘という地名を聞いたことがありますか?」小夏をうまく説得するのが難しいと感じた弦は、彼女が理仁と唯花の愛情物語に興味を持っていることを思い出し、結城家の邸宅がある琴ヶ丘を餌に小夏の説得を試みることにした。小夏は言った。「琴ヶ丘ですか?なんだか聞き覚えがあるような」「まさに花京院さんが昨日私に尋ねてきた、あの結城社長の実家があるところです。琴ヶ丘はとても綺麗なとこ
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第2287話

小夏はもちろん琴ヶ丘には興味がある。しかし彼女は言った。「やっぱりちょっと考えさせてください。人様のお家だから、私たちが行くとお邪魔になりそうで」主に、彼女が行く場所なら十二人の生徒たちも同行する必要があるからだ。生徒たちを放り出して、自分だけ楽しむわけにはいかない。「気にしないで、本当に大丈夫なんです。もし、邪魔になるかと心配なら、今結城社長に連絡して、彼にうかがってみます」弦はなるだけ多くの時間を小夏と一緒に過ごそうと、今必死だった。そしてすぐに、理仁にメッセージを送った。しかし、彼はまず理仁に、今自分が好きな女性を口説いているので、助けてほしいことがあるとだけ送った。返信する時には、彼があの有名な九条家の御曹司であるということがばれないような返事の仕方をしてほしいと付け加えた。小夏が星城の九条家のことを詳しく知っているかはわからない。しかし、それでも弦は彼女に知られたくなかった。知ってしまえば、きっと彼女が驚くからだ。それに、小夏が弦は情報一家の九条家の後継者で、その家の御曹司であることを知れば、彼が小夏のことを調査したのではないかと疑ってくるのではないかと思っている。そうなれば、彼女からの好印象は瞬く間に急降下してしまう。小夏はこの世でたった一人、弦が惹かれた女性だ。唯一の結婚相手候補だ。だから、弦はもちろん結婚する前に、何か失態を冒すわけにはいかなかった。この時、理仁と唯花の夫婦二人は神崎家で食事をしていた。食事を終えてすぐに帰ることはなかった。そして、弦からのメッセージを受け取ると、理仁は隣にいる愛妻に言った。「唯花、やっとあの弦さんが俺に助けを求めてきたぞ」唯花は彼の言葉を聞き、思わず笑いだした。「あなたって、ずっと弦さんから助けを求められるのを待っていたの?」「そういうわけじゃないさ。ただ、九条弦ほどの大物に、昔も今も、これからだってずっといろいろと助けてもらってばかりだろう。彼にはたくさんの借りがあるんだ。もちろん頼みごとをする時にはその分費用はきちんと支払っているけど。悟と俺の仲を考慮して、弦さんは俺のために何かする時には、あまりお金をとらないんだよ。友情価格ってやつかな。それで借りがある感じがどうしても拭えなくて、どうにかしてお返ししたかったんだ。でも、弦さんは
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第2288話

理仁は唯花の肩に手を回し、彼女を自分のほうへ抱き寄せて、ご機嫌を取るように言った。「唯花、二日後にちょっと遊びに行こうか?二人っきりで」「どこに?」唯花の興味を引くのに成功した。「星城だけど、俺名義の他の家だ。まだ連れて行ったことがないんだよ」「結婚式を挙げてからにしないの?遠くまで旅行には行けないから、星城でドライブしたりあちこち回るだけでも別に構わないのよ」結婚一周年経って挙式してから行く結婚記念日のための旅行と、ハネムーンを満喫するための旅行は同じ「旅行」だから一緒にしてもいいが、それではやはり意味合いが違うので、理仁は別々に二回旅行をしたいと思っている。「今回は二日だけね。挙式をしてからは車であちこち回ろうよ。俺は一カ月会社を休む予定だから」「きっと悟さんが怒るでしょうね」理仁は言った。「……あいつが結婚した時は、二か月も休みを取っていたぞ。俺は一カ月しか取らなかったんだから、なんであいつが怒る」唯花は笑った。「わかった、あなたが計画して」理仁が自分を連れて人里離れた静かな場所で二人っきりの結婚記念日を過ごしたいと思っているのだろうと唯花は思った。彼から結婚一周年の記念に贈り物を用意していると言われている。一体どんなものを用意してくれたのだろうか?唯花のほうも彼に準備している。明凛は、男性も女性と同じように、相手からサプライズをしてもらって喜ばせてほしいと思っているのだと言っていた。悟のほうは明凛にうまくおだてられて、完全に彼女の沼にはまってしまっている。姫華からは唯花と明凛はどちらも夫を上手に操っていると言われている。彼女はこの二人から夫を尻に敷く方法を学びたいらしい。唯花はそれを聞いて、姫華がその方法を学ぶ必要はないと笑った。善こそ喜んで妻の言いなりになるタイプだ。彼ら桐生家の遺伝だろうか、彼ら一族の男性全員が妻を溺愛している。「弦さんにちゃんと返信してね」唯花は理仁に忘れないよう指摘しておいた。理仁は笑って言った。「そうだ、返事しないと。危うく忘れるところだった」そう言いながら、彼は急いで弦にひとこと【いいですよ】と返事をした。弦は理仁から返事をもらうと、すぐにボイスメッセージを送った。理仁はそのメッセージをタップして、弦の話を聞いた。「結城社長、友人を連れて、お宅
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第2289話

「花京院さん、どうしますか?」弦は小夏に琴ヶ丘に行くかどうか尋ねた。小夏はまず携帯で琴ヶ丘に関する写真を検索してみたが、まったくヒットしない。「ちょっと琴ヶ丘の写真を見てみようと思ったんですが、全然検索に引っかからないんですね」「それはそうです。あそこには結城家の大邸宅があります。結城一族は琴ヶ丘の中に住んでいますから、誰にも写真を好き勝手撮らせることはないんですよ。行って絶対後悔しないと、約束しますよ」小夏は弦が結城社長の許可をもらったし、彼女自身も結城一族にはとても興味があったので、行くことにした。「じゃ、ちょっと行ってみたいです。明日は九条さんはご都合はいかがですか?明日子供たちを連れて行きたいんです」「いつでもいいですよ。私も毎日会社にいないといけないわけではないですからね。うちでは私の一声で決まりますから。社長である私には誰も指図できませんし」両親を除いてだが。それ以外には、本当に彼に指示を出せる存在などないのだ。「午後は?」弦は小夏に尋ねた。小夏は答えた。「午後は子供たちを連れて近くの公園に行こうかと思って。バスで帰ってくる時に、この近くに大きな公園を見つけたんです。自然が多くて日よけになりそうな場所がいっぱいあったので」「確かにありますね。じゃ、午後は花京院さんたちを連れて公園を散歩しましょう。それから、食べ物屋が集まっているところに行きましょうか。道の両端にずらりと屋台みたいに出ていて、お祭りみたいで子供たちはきっと好きでしょう」「いいですね。星城に来る前にネットでその場所を見ました。まだ時間がなくて行けてないんです」毎日生徒たちを連れて大会に連れ出し、一人で十二人もの子供たちを連れて回ることはできなかった。弦が一緒に子供たちの一団を見てくれれば、彼女も安心だ。二人がそのようにおしゃべりしているうちに、料理が次々と運ばれてきた。そしてテーブルいっぱいになった。小夏は言った。「九条さん、ちょっと頼み過ぎじゃ」「大丈夫です。残ったら、テイクアウトで持って帰って、またお腹が空いたら食べればいいです」小夏は笑った。「九条さんでもテイクアウトで持って帰ったりするんですか?大企業の社長さんって、食事の時には海の幸山の幸、なんでもたっくさん注文して、食べきれないとそのまま残すのだとばか
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第2290話

小夏は弦の言葉を聞いてその通りだと思った。二人は食事しながら、まるで昔からの知り合いであるかのように楽しくおしゃべりをした。弦の性格と小夏の性格は似ているので、二人は話題に尽きることがなかった。そして弦は心の中で、このような自分にぴったりの運命の女性を自分に与えてくれた神に感謝していた。なにからなにまで彼女とは気が合うと彼は感じた。……午後、勤務時間になる前に善は神崎家から離れ、自分の会社に戻った。社員たちは、午後、善の機嫌がかなり変化していることに気がついた。誰をも魅了するあのイケメン顔を険しくさせているのだ。一体誰が、彼を怒らせたのか。善は桐生家の男たちの中で、一番性格が穏やかで、人に会う時にはにこにこしているし、話す時の声も朗らかだ。だから、相手は無意識のうちに警戒心を解いてしまう。そんな彼がこうやって厳しい表情で顔をこわばらせていることなど滅多にない。もしかして、会社で何かトラブルでも発生したのだろうか?と、社員たちは勘ぐっていたが、直接尋ねることはできなかった。そして、社員たちはいつにも増して真面目に仕事に取り組んだ。会社で何かトラブルがあり、もし人員削減をしなければならないとしたら、不真面目な社員がまずは落とされるはずだ。今、仕事を見つけるのは難しいし、好条件の会社ならなおさらだ。彼らはみんな今の仕事を大事に思っている。桐生家が経営する会社の福利厚生は結城グループに引けをとらない。星城で、桐生家の会社で働ける人間はみんなから羨ましがられる。善が自分のオフィスに戻ると、秘書が彼にコーヒーを持って来て、ひとことも発せずに退出した。善はそれをすぐには口にしなかった。黒い社長椅子に暫くの間座っていて、立ち上がると、全面ガラスの窓の前まで来て、白い雲が浮かぶ青い空を見つめた。そしてまたかなり時間が経ってから、ようやくデスクに戻り、また黒の椅子に座り直した。彼は携帯を取り出すと、一番上の兄に電話をかけた。蒼真が電話に出ると、善は低く沈んだ声を出した。「兄さん、今忙しい?」「ああ、すごくな。どうした?何かトラブルでもあったのか?」蒼真は心配そうに尋ねた。星城の会社のほうは、彼が全て善に任せている。桐生家が経営する親会社の社長にして、家の跡取りである蒼真はあまり善のほうを
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