「結城さん」玲は冷ややかな顔で奏汰の名前を呼んだ。すると奏汰はハッと現実に戻った。そして前に歩き出そうとした。「そこから動かないでください。携帯で二枚くらいなら写真を撮ってもいいです。私はすぐに着替えに行きますから。今後、きっと二度と女性の格好はしませんからね」奏汰は携帯を取り出しながら言った。「わかった、わかりました。すぐに写真を撮らせていただきますんで、着替えるのはちょっと待ってください」と言うと、彼はすぐに携帯を取り出して玲の写真を撮った。彼女はメイクをしていないが、生まれつきの美人だから、女性の服を着てロングのウィッグをつけると、やはり奏汰が想像していた通り、絶世の美女だった。彼は違う角度から何度か撮っていた。そして玲は体の向きを変えて洗面所に向かった。奏汰は急いでまた彼女の後ろ姿を撮った。ワンピースを着た玲が歩いている様子だ。本当に綺麗だ。奏汰は何枚もの写真を撮り、思わずニタニタと笑みが込み上げてきた。何度もさっき撮った写真を見つめていた。そして、その中で一番美しい彼女の写真を、携帯の待ち受け画面に設定した。そうしておけば、携帯を開くたびに玲の美しい写真を拝められる。それに画像を拡大して印刷し、自分の部屋に貼ろうと思った。小さめのサイズのものは写真立てに入れたり、キーホルダーにしてキーケースにでもつけよう。それほど奏汰はいつでも彼女の写真を見ていたいと思った。玲が女性の服を着ている写真はかなりのレアだ。この時、奏汰はどうして玲がいきなり女性の服を着て自分に見せてくれたのかなど考えている余裕はなかった。彼はただ、きっと彼女のこんな姿を見られるのはさっきの一回限りだろう、などと考えていた。今後、また見たいと思ってもそれは難しいだろう。そしてこの日、見事玲の女性の姿を見ることができた奏汰は、もう彼女を女性の姿に戻そうという考えを諦めてしまった。玲が言うには、すでに今のような男の姿でいるのに慣れてしまっている。女性の服やヒールの靴を履かせたいと思っても、それは彼女を苦しめるだけなのだ。奏汰自身も今回女装してみて、どうもぎこちなく、落ち着かなかったのに、彼女に強制することなんてできない。奏汰は玲の中身、彼女自身を好きなのであって、どんな格好をしているかでその気持ちが変わること
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