霜村冷司は、頭の中で滴り落ちるカウントダウンの音を聞きながら、その場に立ち尽くしていた。開頭手術後、彼の脳にはチップが埋め込まれ、位置情報も発言も全て監視されているのだ。彼は先ほど9ラウンド目のプログラムを書き換え、1-1の設定プログラムも解読し、権限を手に入れた。だが、ここに現れ、口を開いた瞬間、1-2は彼がゲームエリアのプログラムをいじったことを察知した。今、1-2はすぐに爆破プログラムを起動せず、5分間のカウントダウンを送ってきたのは、チャンスを与えているのだ。軽はずみなことは言えない。5分以内に帰らなければ、自分の脳は爆発し、彼女も死ぬ。霜村冷司は、和泉夕子の後頭部を狙う赤い照準線を睨みつけ、固く握り締めていた拳を急に緩めた。彼は和泉夕子を抱き上げ、生門の中に連れて行くと、彼女の両肩を押さえ、動けないようにした。「しばらくは戻れない。お前は早く行け。私を探しに来てはダメだ。危険すぎる」彼の脳はコントロールされていて、闇の場から100メートル離れると自動的に爆発するのだ。霜村冷司は彼女を心配させたくないと思い、そう言うと素早く振り返り、扉へ向かって歩き出した。和泉夕子は言うことを聞かず、彼を追いかけようと足を踏み出した。霜村冷司は急に振り返った。「探しに来るなと言ったはずだ。お前は私の言葉を聞かずに、大野さんを巻き込んでしまった。まだ足りないのか?」この一言で、和泉夕子の手足は硬直し、まるで操り人形のようにその場で動かなくなった。ただ呆然と彼を見つめている。あなたが死んだと思っていた。とても心配だった。あなたに会いたかった。大野皐月を連れてきたのは私じゃない。わざと巻き込んだんじゃない......これらの言葉を、和泉夕子は一言も口に出せなかった。霜村冷司も彼女の言葉を聞こうとはせず、振り返ることもなく去っていった。その無関心な後ろ姿を見つめながら、和泉夕子は涙を止めどなく流した。この瞬間、なんだか全てが無意味に思えた。扉の外に出た霜村冷司は、2秒ほど立ち止まると、目に浮かんでいた赤い色を消し、4階のコントロールパネルへと早足で向かった。素早くプログラムを開き、指を速く動かしてコードを打ち込んでいく。生門から闇の場出口への通路には時間制限がある。霜村冷司は、自分の脳が爆発する前に和泉夕子を脱出さ
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