和泉夕子からの電話を受けた白石沙耶香は、ちょうど柴田夏彦の腕を組んでレストランに入ろうとしていたところだった。昨夜、霜村涼平が交通事故を起こし、人をはねたと聞いて、白石沙耶香は足を止めた。「彼、彼はどうなったの?」声はかすかに震えており、それを聞いた和泉夕子は、白石沙耶香がまだ霜村涼平を気にかけているのだと感じた。「かなり出血して、結構ひどいみたい。あなた......彼に会いに来てみない?」スピーカーフォンにはしていなかったが、すぐそばにいた柴田夏彦には聞こえていた。「会いに行っておいで」柴田夏彦にそう促され、白石沙耶香は彼を見上げた。その目に、何のわだかまりもない落ち着いた表情が浮かんでいるのを見て、白石沙耶香はもうためらうのをやめた。「夕子、病院の住所を送って......」住所を受け取ると、白石沙耶香は少し焦った様子で柴田夏彦に言った。「先輩、私、先に様子を見てくる。あとで戻ってきて、一緒に食事するから」言い終えるやいなや、彼女は慌てて駐車場の方へと急ぎ、柴田夏彦に一緒に行こうと誘うことさえ忘れていた。走り去るその背中を見つめながら、柴田夏彦は無意識のうちに拳を握りしめていた......一方、霜村涼平の方は、知らせを聞いた唐沢白夜が大勢の仲間を引き連れて見舞いに来ていた。霜村冷司は病室に見舞客が多すぎるのを見て、和泉夕子を連れて先に帰ることにした。唐沢白夜がいるなら、霜村凛音も長居はせず、自然と彼らについて行った。大勢の男たちに囲まれた霜村涼平はうんざりし、結局みんなを追い出してしまった。病室が静かになると、霜村涼平は物憂げな表情で瞳を動かし、窓の外を眺めた......白石沙耶香は車を飛ばして病院に駆けつけ、ほとんど走るような速さで霜村涼平の病室へ向かった......ガラス越しに、ベッドに横たわる男の姿が見えた。頭には包帯が何重にも巻かれ、顔には全く血の気がなかった。その瞬間、白石沙耶香の心臓はぎゅっと締め付けられた。彼女は意を決して病室のドアへと歩み寄り、ドアを押し開けた、ちょうどその時、岸野ゆきなが洗面所から出てくるのが見えた......「涼平、何か食べたいものとか、飲みたいものある?私が買ってくるわ......」岸野ゆきなはごく自然に霜村涼平のベッドのそばに座り、彼
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