信号待ちをしている時、白石沙耶香は道端の店を見て、霜村涼平がオレンジ味のグミが一番好きだと言っていたことを思い出した。あの頃、白石沙耶香は彼の腕の中に寄り添いながら、どうしてそんな女の子が好きなものを食べるのかと尋ねたことがあった。彼は、彼女が彼をはねて骨折させたあの夜、このグミのおかげで痛みを乗り越えられたのだと言った。食べるたびに彼女のことを思い出す、と。白石沙耶香は店をじっと見つめ、数秒ためらった後、車を止め、中に入って長い間探し回り、ようやくオレンジ味のグミを見つけた。彼女はたくさんのグミを買い込み、それを手に病院へ向かい、慣れた足取りで霜村涼平の病室へと入っていった......中には大勢の人がいた。ほとんどが霜村涼平の仲間たちで、わざと明るく振る舞い、霜村涼平を笑わせようとしていた。しかしベッドの上の彼は、ほとんど反応を見せなかった。ただ人ごしに彼女の姿を見た瞬間だけ、表情がわずかに変わった。唐沢白夜は彼女が来たのを見て、急いで口実を見つけ、仲間たちを連れて出て行った。彼らが去ると、病室には白石沙耶香と霜村涼平だけが残された。霜村涼平は彼女に構いたくなかったので、そのまま目を閉じた。白石沙耶香は彼を一瞥した後、歩み寄り、先ほど唐沢白夜が座っていた場所に腰を下ろした。「涼平、あなたがもう私に会いたくないのは分かっている。でも安心して。今回を最後に、もう二度と来ないから」布団の中に置かれた手が、かすかに握りしめられたが、またすぐにどうでもいいといった様子で、力が抜けた。「何の用だ?」彼が落ち着いた声で話し出すのを見て、白石沙耶香の瞳に、ほんの少しだけ後ろめたさが滲んだ。「あなたが夏彦に濡れ衣を着せられた件、もう知っている。ごめんなさい。辛い思いをさせてしまって」白石沙耶香のこの遅すぎた謝罪に、霜村涼平は鼻の奥がつんとなった。心の中では悔しくてたまらないのに、無理に平気なふりをしていた。この二日間、彼はずっとそうやって過ごしてきた。彼がどれほど辛かったか、誰が知っているというのだろうか。しかし、白石沙耶香の「辛い思いをさせてしまって」という一言で、彼の心の中の悲しみは、また少し和らいだ。「これでお前も、柴田がどんな人間か分かっただろう?」彼は白石沙耶香を睨みつけた。心の中の悔しさ
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