華恋はタップしてスライドすると、自分の名前が大きく表示されている。その周囲には真っ赤な花が飾られていた。「私だ!銀行が私を選んだの!」華恋は驚喜して、時也を見つめた。おそらく必ず手に入れるという心の準備がなかったからだろう。本当に自分が小清水グループを買収できたと知ったとたん、華恋の気持ちはまるでロケットに乗ったかのように、一気に天まで舞い上がった。時也は華恋を抱き寄せながら、彼女の手を取り、唇に軽くキスをした。「たかが小清水グループで、そんなに嬉しいのか?」華恋は時也の胸を軽く押した。「ちょっと、調子に乗らないでよ。あれは小清水グループよ!小清水グループを手に入れるって、どんな意味か分かってる?それだけでも、芸能界では自由に振る舞えるし、誰も逆らえなくなるのよ」時也は笑った。「そんなものが欲しいなら、SYも君に取ってこようか?」華恋は時也を横目で見て、思わず笑い出した。「もう、またからかって」「からかってないよ」時也は真剣な表情で華恋の目を見つめた。「欲しいというのなら、それを君に差し上げましょう」「まるで自分のものみたいに言うのね」華恋は時也の腕から立ち上がり、スマホを見ると祝福のメッセージが溢れていた。グループチャットを開くと、水子がすでに大騒ぎしていた。【ちょ、ちょ、ちょっと待って!これ本当に現実?華恋が本当に小清水グループを買収したって?誰かつねって!夢じゃないって言って!】奈々と栄子もかなり興奮していた。特に栄子は、音声メッセージで華恋に「抗議」してきた。「華恋姉さん、最初から小清水グループを取れるって分かってたんじゃない?なんでそんな重要なこと教えてくれなかったの!」「そうだよ!」水子も冷静になってから反応した。「ねぇ正直に言って、後ろ盾がいるんでしょ?あの賀茂グループに勝てるなんて!」「賀茂グループだけじゃなくて、高坂グループにも勝てたよね?」華恋はグループチャットでみんなのやり取りを見て、少し考えてから返した。「SYの社長よ」もう結果が出たことだったので、隠す必要もなかった。だが華恋は知らなかった。その一言が、グループチャットにどれほどの衝撃をもたらしたかを。「何ですって!?SYの社長!?こんな大事なことを今まで黙ってたの
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