時也の体温が徐々に戻ってくるのを感じて、華恋は顔を上げて彼を見た。「どうしたの?マイケル先生のところから帰ってきたばかり?」時也をこんなふうにさせるのは、自分の件しかないと華恋は思った。時也は軽く首を振った。「違うんだ」華恋は唇を引き結んだが、それ以上追及はしなかった。「ご飯食べた?」「まだ」「じゃあ外に食べに行こう」華恋は時也の手を引いた。「時也、私たち、まだ一度もキャンドルディナーしたことないよね」時也は少し考えてから答えた。「うん」「じゃあ今日はフレンチを食べに行こう。時也がプロポーズしてくれたあのお店に」「覚えてたのか?」「もちろん!」その話になると、華恋は少し残念な気持ちになる。「時也は忘れたの?」「忘れるわけないだろ」時也は優しく華恋の髪を撫でた。「先に着替えてきな。僕は店に電話して席を取っておくよ」「うん」華恋は返事をして階段を上がって行った。時也は彼女の後ろ姿を見送りながら、胸がまた締めつけられる思いだった。あの三つの治療法は、結局彼と華恋を追い詰めるものにすぎない。時也は目を閉じ、目に浮かぶ感情を消してからレストランのオーナーに電話をかけた。すべてが終わる頃、華恋もちょうど着替えて降りてきた。今日はフランス風のワンピースを着ていた。ふんわりとした裾が広がり、美しい足首だけがのぞいている。ウエストは絞られており、細くしなやかな腰のラインが際立っていた。時也はジャケットを脱いで華恋の肩にかけた。「行こう」華恋は不思議そうに時也を見た。「どうしてジャケットをかけるの?こんな組み合わせ、変だよ」「この方が綺麗だよ。道で他の男にじろじろ見られたくないからな」華恋は笑った。「そんなに自信ないの?私は時也が外でモテても心配なんてしないけど」「本当に心配しない?」時也は華恋の顎を持ち上げた。華恋は自信たっぷりに微笑んだ。「心配しないよ。試してみる?」「いや」時也は華恋の手をしっかり握った。「僕はそういう相手には興味ない」「じゃあ何に興味があるの?」華恋は楽しそうに聞いた。時也は彼女の鼻先を軽く突いた。「わかってて聞いてるだろ。もう行こう」「うん」華恋は時也の手を握り、二人でフレンチレストランへ向
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