修の語気が少し荒くなると、侑子は怯えたように体を震わせた。ベッドの上で身を起こし、布団をしっかりと胸元に抱きしめて、体を縮めた。「昨夜、ふと思い出したの......元カレが隠れていそうな場所。それで伝えに来たの。でも、部屋に入った瞬間、修が私をベッドに引きずり込んで......」侑子は唇を噛み、視線を落とした。涙が、途切れなく頬を伝っていく。その言葉に、修は必死に昨夜の記憶を探ろうとした。だが、頭の中にはぽっかりと空白があり、どうしてもその場面が思い出せなかった。「つまり......俺が無理やり......?」「ち、違うの。そんなつもりじゃなくて......」侑子はさらに毛布を握りしめた。「修が私を欲しがってるなら、私は......全然構わないの。むしろ、嬉しかった......私、断る気なんてなかったし......でも、起きてすぐに責められるなんて......私、何か悪いことしたの?」修の頭に、昨夜の断片的な情景が浮かんだ。確かに感情が高ぶっていた。そして―若子の姿を見た気がした。......薬のせい、なのか?急に頭痛が襲ってきて、修は顔をしかめながら、近くの服を引っつかんで羽織った。そのままベッドから出て、無言で浴室へと歩き出す。浴室の前で足を止め、振り返って一言だけ呟いた。「......服を着て、自分の部屋に戻れ」その背中には、苛立ちと後悔がにじんでいた。バタン、と扉が閉まる音が響く。その音を聞きながら、侑子はうつむいたまま、涙を静かに流し続けた。......一時間ほど経って、侑子は窓辺に立っていた。外では、修の車が家を離れていくのが見えた。昨夜のことを、彼はどう思っているんだろう?何も言わずに出ていくなんて......まさか、何の責任も取るつもりがないの?侑子はそっと、まだ平らな自分の腹を撫でた。彼女は、本当に修の子どもを授かることができるのか?修は例の薬を手に、これまで診てもらっていた医師の元を訪れた。そして、昨夜の件について、正直に話した。医師はしばらく黙り込み、手元の薬の瓶を取り上げて中身を確認した。「......藤沢さん、前回この薬を処方した日から、まだそんなに日が経ってませんよね。本来なら、こんなに減ってるはずはない......まさか、用量を超えて服用してたん
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