心はすでに何千回も砕け散っていた。けれどこの瞬間、その砕けた破片が彼の体の中に深く突き刺さり、ひとつひとつが血を流す傷跡となった。隼人はペンを握りしめ、冷たくも美しく微笑む瑠璃の顔を見つめながら、徐々に息を詰まらせていった。「本当に……そんなに俺のことが憎いのか?」絞り出すような声で問うた彼の目には、まだ一抹の希望が宿っていた。だが瑠璃の答えは容赦なかった。「ええ、憎んでる。心の底から」隼人は口元にかすかな笑みを浮かべ、黙って深く息を吐いた。彼は離婚協議書を手に取り、一瞥する。彼女は一切の財産を放棄し、望んだのはただ子供の親権だけだった。隼人はペンを置きながら口を開いた。「いいよ、同意する。でも君ちゃんの親権だけは渡せない」その言葉に、静かだった瑠璃の顔がわずかに揺らいだ。「隼人、何の権利があって君ちゃんの親権を争うの?あなたに父親の資格なんてある?」隼人はその言葉にも表情を変えず、ただ穏やかに微笑んでいた。反論も言い訳もせず。彼にしかわからない。こうして彼女と繋がることが、唯一の方法なのだと。沈黙する隼人に、瑠璃の苛立ちは募った。「何か言ってよ隼人!どうしたいのか、ちゃんと言って!」「……お前にもう二度と離れてほしくない。家族四人でやり直したいんだ」即座に返ってきたその願いに、瑠璃は呆れたように眉を上げた。「陽ちゃんはあなたの娘じゃないって、何度言わせるつもり?それに、あのとき私を捨てたのはあなたでしょ?今さら誠実なふりして何がしたいの?70%の株を取り返すため?」隼人は首を横に振り、熱を帯びた視線で瑠璃をじっと見つめた。「千璃ちゃん、どうか一度だけでいい。俺を信じてほしい。本当に愛してる」「信じろって?どうして私が?あなたが私を信じたことなんて、一度でもあった?」「千璃ちゃん……」「その呼び方やめて。そんな呼び方、もう受け止められない」瑠璃は近づいてきた隼人を突き放しながら言った。「離婚は絶対するし、君ちゃんの親権も絶対に譲らない!」そう言って玄関へ向かい、手早くドアを開ける。「出て行って!」追い出すような言葉を吐いたその直後、背後から隼人に強く抱きしめられた。身をかわそうとした瞬間、彼は突然顔を寄せ、彼女の唇を奪った。逃れようとする彼女を
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