慎一は、ズボンすら完全に脱がなかった。私はショーケースと彼の体の間に押しつけられたまま、まるで何かのモノのように扱われていた。彼の瞳には、感情らしいものが一切浮かんでいなかった。たとえ、今まさに彼が一番欲していたことをしている最中だったとしても。狭い空間に響くのは、私が必死で抑えている嗚咽の音だけだった。どれくらい経ったのか分からない。やっと慎一が私から離れる。その腕が離れた瞬間、私はその場に崩れ落ち、膝をついた。ぼんやりと視界に手が伸びるのが見えた気がした。でも、顔を上げると、慎一は片手で静かにベルトを締めながら、私の無様な姿をじっと見ていた。あのぼんやりと伸びてきたと思った手は、結局、最後まで下がったままだった。私は笑った。どうしようもなく、力なく。彼がこうする以上、私を助け起こそうなんて思うはずがない。どうして私は、彼にまだ人間らしさが残っているなんて、ほんの少しでも期待してしまったのだろう。体は彼に酷く弄ばれ、私はクローゼットから適当に服を引っ張り出してシャワーを浴びようとした。だが、彼はそれを許さなかった。「後でにしてくれ。少しでも残した方が、妊娠しやすいからな」私はふっと笑った。彼の目の前でバッグから緊急避妊薬の箱を取り出す。水も飲まず、そのまま薬を飲み込んだ。毒薬がどれほど苦いのか知らない。でも、この瞬間、毒薬を飲み込むのと何も変わらない気がした。苦しさが全身を巡り、心も、肝も、肺も、腎も、すべてが痛んだ。「子ども?私は一生、あなたの子なんて産まない!」慎一の両手はぎゅっと拳を握りしめ、俯いたその顔も、深く苦しみに歪んでいた。「最初から……あの日、俺にそうしていいって言った日から、お前はずっと……避妊してたんだな」彼は確信を持って言った。ただ、信じたくないだけで、もう一度念を押すように訊いた。「この前、一緒に幸せな時を過ごしたあの時でさえ、お前は俺の子どもを産みたいなんて、これっぽっちも思わなかったのか?」私はふらつく足取りで洗面所へ向かう。今度は彼も、もう止めようとしなかった。遠くから、彼は私を見つめていた。その目に浮かんでいたのは、「悔しい」という言葉だった。あの時、私の子どもがいなくなったのは、最後には私が雲香を犠牲にしたせいだった。でも、もし妊娠中、雲香が何度も
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