陽一が集中して雪玉を転がしている頃、凛は実験室で黙々とデータを記録している。早苗と学而は帰宅していた。彼女一人だけが残されている。普段は早苗の喋る声に慣れていたから、今朝実験室に入った時は、少し違和感を覚えた。だが実験台に立って、作業を始めると、その違和感はすぐに消え去っていく。凛は孤独など恐れない。海斗に別荘に閉じ込められていたあの数年で、一人でいることにはすっかり慣れていた。一人で本を読み、一人で勉強し、一人で料理を作り、一人で食事をし、一人で待つ日々……学問の道は、仲間と共に歩むこともできれば、独りで進むこともできる。これは彼女がずっと前に悟った道理だ。昼過ぎ、凛は下を向きすぎて凝った首を揉みながら、休憩室で昼食を取る。電子レンジで朝作ってきた弁当を温めるだけだ。食事をしながら、スマホでSNSをチェックし始める。すると1時間前に朝日が投稿した内容が目に入る――「転がしすぎて吐きそう」添付写真には、地面に整然と並んだ三列の雪玉。三列もある!正直……かなりの衝撃的な光景だ。凛はまず「いいね」を押し、コメントを残した。【金子先生凄すぎる】朝日が即返信した。【すごいのは俺じゃない[smile]】数分後、まだ言い足りないのかのように追加で返信した。【俺じゃなくて、ほかの誰かがすごいんだと思う】凛には理解できなかった。【??】朝日はそれ以上返信しなかった。誰かがすごい?どういう意味なの?彼女は特に深く考えず、昼食を済ませて少し食休みすると、すぐに実験台に戻っていく。冬は日が暮れるのが早いから、凛は昼寝をほとんどしないようにしている。ひとつの原因は、横になるのは簡単でも、起き上がるのが大変だし、もうひとつは早く仕事を終わらせて、家に帰りたいと思ったからだ。今日はすべてが順調だったから、午後4時に凛はタクシーで帰った。路地に入るとすぐ、隣の棟の前で、二人の子供が雪だるまを作っているのが見える。なかなかしっかりと作られている。鼻と目ははっきりとしていて、赤いマフラーを巻き、頭にはステンレス製のザルを帽子代わりに被せてある。結構様になっている。凛は思わず足を止め、子供たちが雪だるまに雪を一掴みずつ載せていくのを傍で見ている。すぐに雪だるまのお腹が
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