湊の眼差しはさらに優しくなり、ポケットから大切にしていたものを取り出して、静華の手に握らせた。それはもう皺くちゃになっていて、受け入れられることのなかったものだった。静華はそれを掌に握りしめた。二人の航空券だった。ドイツへ、自由へと向かうための航空券。彼女の目から、たちまち大粒の涙がこぼれ落ちた。湊は優しくその涙を拭うと、スマホの画面をタップして打ち込んだ。「ずっと待ってた。君が戻ってきて、俺に約束を守らせてくれるのを。静華、君を見つけられてよかった。生きててくれて、本当によかった」その二つの「よかった」には、安堵の念が込められていた。静華が我に返る間もなく、目の前の大きな影がぐらりと揺れ、そのまままっすぐに倒れ込んだ。「湊!」静華は目を見開き、慌てて手を伸ばして支えようとした。だが、湊の体はまるで巨石のように、地面に崩れ落ちた。静華はしゃがみ込んで彼に触れると、その額は驚くほど熱かった。「どうしたの?」彼女の声は、抑えきれずに震えていた。棟也が眉をひそめ、急いで駆け寄って様子を確認した。「湊は気を失った。病院へ連れて行く!」彼は湊を背負うと、二、三歩進んでから、堪えきれずに言った。「森さん、あなたがいなくなってから、湊はずっと車の中か、警察署にいたのです。君の消息をいち早く知るために、一日もまともに眠っていないんです。本当なら、今こそ体を休めるべき時なのに。彼が君を愛していることは、もう疑いようがないはずだ。よく考えてみてほしい。君が憎んでいるあの男が、自分の体を犠牲にしてまで、こんなことをすると思うか?」静華は言葉を失った。りんが言ったことには、確かに確たる証拠はなかった。だから、湊は本当に胤道ではないのだ。それなのに、彼女はその不確かな可能性のために、自分を、そして湊を苦しめていた。胸が、まるで灼熱の太陽に焼かれるように痛んだ。棟也は振り返って言った。「湊が目を覚ましたら、真っ先に君を探すだろう。もし僕を信じてくれるなら、一緒に来てくれ。さもなければ、もう二度と湊の前に現れないでほしい。彼を苦しめるのはやめてくれ。彼の人生で、心の底から愛するような恋愛は、二度で十分だ」静華は何も言えなかったが、体は無意識に一歩前に出ていた。彼女は棟也と一緒に出て行った。玄関
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