浩之は電話を切るとすぐに指示を出した。「あのジジイの居場所、しっかり見張らせろ。俊介に見つかるようなことがあったら承知しないぞ」秘書は即座に応じた。「ご安心ください。誰もお父さんがあそこにいるとは思ってません。これからどうしましょうか?」「もちろん、盛大な葬式をしてやるさ。それで俺が自然な流れで跡を継ぐ。皆に伝えろ――あのジジイが危篤だと」「でも、旦那様。お父さんが亡くなったとなれば、奈津子さんと晴臣さんも必ず来ますよ。もし彼らが継承に口出ししてきたら……」浩之は冷たく笑った。「それを警戒してるんだよ。表向きは葬式だが、実際はあいつらを軟禁するつもりだ。特に晴臣……あのガキの考えてることが見えない。智哉とつるんでる可能性もある」すぐに、晴臣のもとに電話が入った。外祖父が亡くなったという知らせだった。彼は母・奈津子を連れて、M国での葬儀に出席することになった。その知らせを聞いた奈津子の顔には、冷ややかな表情が浮かんだ。「浩之のクズめ……私たちが継承に口出しするのを恐れて、軟禁しようって魂胆ね」晴臣は微笑みながら母をなだめた。「大丈夫です、母さん。あいつの思い通りにはさせませんよ」彼は奈津子を連れて、M国へと向かった。瀬名お爺さんの葬儀は、彼がかつて住んでいた山荘で行われていた。山荘の外には、黒服のボディガードが多数配置されていた。晴臣は表情を変えず、静かに敷地内へと入っていった。彼らの姿を見た浩之は、すぐに出迎えに出てきた。顔には悲しみを浮かべ、奈津子を見つめた。「奈津子……すまない。父を救えなかった。あまりにも急で、連絡する暇もなかったんだ」奈津子は彼に向かってにやりと笑い、瀬名お爺さんの遺影を指差した。「へへへ……如来様だ。如来様が降臨なさったわよ」そう言うと、彼女は遺影の方へ駆け寄っていった。浩之はすぐにボディガードに後を追わせ、晴臣の方を向いた。「晴臣、じいさんが亡くなってから、株主たちが騒ぎ出してる。昏睡状態になってからというもの、瀬名家には正式な当主がいなかった。お前の母さんもこんな状態だし、他の瀬名家の連中が跡継ぎを狙ってきてるんだ。だが、ここはお前の外祖父が命を懸けて築いたものだ。他人の手に渡すわけにはいかない。お前はどう思う?」晴臣は穏やかな表情で彼を
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