知里は容赦なく言い放った。「あんたは私の何?なんで私があんたに服を買ってあげなきゃいけないの?」「俺が彼氏だったときも、そんなに親切にしてくれなかったくせに」「それ、ただのお芝居じゃない。忘れたの?」「たとえ金で雇われた彼氏役だとしても、俺には彼氏としての権利がある。だから、君が今までごまかしてきた分、全部返してもらうぞ」こんなに図々しい人は、知里も初めてだった。でも瑛士の前、誠健と大声で言い合うわけにもいかず、仕方なく顔を引きつらせながら言った。「わかった、明日一緒に買いに行く」その言葉を聞いた誠健は、喜び勇んで彼女の頬にキスをして、にやけながら言った。「ありがとう、嫁さん」突然キスされて知里は怒り、彼の足を蹴飛ばした。「次に手出ししたら、二度とこの家に入れないからね!」誠健は満面の悪戯っぽい笑みを浮かべながら、彼女を見て言った。「手は出してないよ、出したのは口だけ」「それでもダメ!おとなしくしてなさい!追い出される前に!」そう言い捨て、知里はくるりと背を向けて寝室へ入っていった。誠健は一人でソファに寝転がりながら、何だか納得がいかず、モヤモヤが募っていく。そして親友のグループチャットに、自撮り写真とこっそり撮った瑛士の写真を送信。【俺とあいつ、どっちがイケメンだと思う?】すぐにグループは盛り上がった。誠治:【いや、それ比べる次元じゃないだろ。っていうか、そもそも年代が違うんだよ。どうやってその若手イケメンと張り合うつもりだよ】結翔:【え、まさか新しい恋のライバル?ハハハ、光輝を追い出したと思ったら、また草食系男子?しかもこっちのほうが光輝よりイケメンじゃね?】智哉:【比べて初めて気づいたけど、お前マジで老けたな】誠健:【おい、俺たち同い年だろ?老けたって言うなよ、心ないにもほどがあるだろ】誠治:【俺と智哉はもう嫁も子もいるから、ちょっと大人っぽいほうが安心感あるって言われるけどさ。お前は違うだろ。いつ結婚すんだよ。ほんとに若いのに負けるぞ】智哉:【うちの妻は、今の俺が好きって言ってくれてるよ。人生経験がある男のほうが味が出るってさ】誠健:【ふざけんな!お前のその人生経験で嫁さん死にかけたんだろうが。何を得意げに語ってんだよ】智哉:【でも俺たちは乗り越えたし
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