All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 631 - Chapter 640

682 Chapters

7. 「異世界ほのぼの日記3」129

-129 真実①- 突然だが時は宴が終わる直前に遡る、好美は無邪気に笑う恋人の顔を見て何かを思い出したかの様に声を掛けた。好美「ねぇ守、この後って空いてる?」 空いているも何も今日はこの宴の為に1日休みにしたと言っても過言では無い、その上週休との兼ね合いから翌日も予定は無かった(何という偶然)。守「別に、ただ好美と帰ろうと思ってただけだけど。」 流石に顔を赤くする位に吞んだ好美を連れて2次会なんて行けそうも無いと思っていたのにまさか泥酔している本人が誘ってくるとは、自分が好美の立場なら絶対に出来ないと思っていた守。守「何処か行きたいところでも?」好美「うん、守と真希子さんの顔を見てたら食べたくなった物があって。」 親子の楽しそうな表情を見て何処か懐かしい気分になった好美は、元の世界にいた頃の思い出に浸りたくなった様だ。守「食いたい物って何だよ。」好美「何よ、私達と言えば「あれ」しかないじゃない。」 首を傾げる守の横で少し頬を膨らませる好美、どうやら思い出の味は心の中に深く刻みついている様だ。 そんな中で2人の様子を怪しむ様な目で真希子が見ていた、きっと何処かで勘違いを起こしている模様だと捉える事が出来る。真希子「守、あんた酔った勢いで何をしようとしてんだい。間違いを起こしたら母ちゃん許さないよ。」守「待てよ、誘って来たのは好美の方だぞ!!」 慌てる彼氏を見かけた好美は顔をニヤつかせて真希子に耳打ちした、危険な香りが漂って来ているのは気の所為だろうか。真希子「あんた!!いくら何でも早過ぎるよ!!馬鹿な事しなさんな!!」 真希子が好美から何を吹き込まれたのか分からない守は頭を掻いてその場にしゃがみ込んだ、今一番欲しい物はきっと一杯の水だろう。守「母ちゃん、勘弁してくれよ。好美に何を言われたと言うんだ!!」 先程の真希子の台詞はただの悪ノリ、好美には「演技で怒って下さい」と頼まれただけだった。きっと思い出の味をなかなか思い出そうとしない守に反撃したかったらしい。真希子「悪かったよ、でもあんたもあんたじゃ無いかい?本当に好美ちゃんが食べたがっている物が分からないのかい?」 実は先程から2人の会話をずっと聞いていた真希子は好美の言う「思い出の味」が何か分かっていた。まぁ理由が理由なだけに仕方が無い(?)、いや当然の事だと思われる。
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7. 「異世界ほのぼの日記3」130

-130 真実②- 裏路地を数歩歩いて店に入った好美は守を連れて空いているテーブル席に座ってすぐにウェイターを呼び出すと、守からは見えない様に隠してメニューを指差しながら「あれ」を注文した。守「なぁ好美、何を頼んだんだよ、そろそろ教えてくれよ。」好美「後で分かるから、今は内緒(本当は分かっているクセに)・・・。」 好美は鮮明に覚えていた、元の世界にいた頃の守の家で鍋いっぱいに入っていた「あれ」を食べ尽くした事を。好美「真希子さんが作った「あれ」、美味しかったな。実はまた食べたいって思っていたからあの時ナルリスさんのレストランで作って貰っても良かったのにな。」守「流石にベロベロの母ちゃんに作って貰う訳にはいかないだろう、ところで「あれ」って何なのか本当に教えてくれよ。」 相も変わらず全くもって思い出せそうにない守、向かいの席に座っていた好美は恋人の様子を見て深くため息を吐いた。好美「あんなに美味しかった物を何で思い出せないのよ、どんくさい奴ね。」 情けなさで心がいっぱいだった守は置かれていた水を一気に飲み干した、どうして母や好美が覚えていると言うのに自分は思い出せないのだろう。 暫く経つと店内に甘い香りが漂い始めた、正直カフェでこの料理を出しているとは珍しいと思われる(作者が個人的に)。好美「ほら守、美味しそうな香りがして来たよ、これで思い出せるよね!!」守「この優しくて甘い香り、まさか!!」 甘い匂いを連れてウェイターがテーブルに料理を運んで来た、「あれ」との久々の再会は守にとって感動的な物だった様だ。好美「そうだよ守、思い出せた?!」守「ああ、やっと思い出したよ!!美味かったよな、母ちゃんが作った「ハヤシライス」!!」 そう、好美が食べたがっていたのは口いっぱいに甘くて優しい味が広がる「ハヤシライス」だったのだ。好美は生前の真希子が家を空けている間に鍋に入っていたハヤシライスソースを全て食べ尽くしてしまった事を未だに反省していたのだ、それ程に彼氏の母親の料理が美味しかったのだろう。よく考えてみれば両親の反対を押し切って県外の学校に通っていたので久しく「お袋の味」に触れていなかった好美にとって、真希子の料理も「お袋の味」なり得る物だったのだろう。 恋人達はスプーンで白飯とトマトをたっぷり使ったソースを掬うと、ゆっくりと口へと運んで
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7. 「異世界ほのぼの日記3」131

-131 母だからが故に、そして男女だからが故に- 恋人達が筆頭株主による懐かしい味での食事を楽しんでいる間、真希子は使用していた私物である寸胴を『アイテムボックス』に入れながら隣で皿洗いをしていた店主に感謝していた。真希子「突然すまないね、営業中だったのに無理なお願いして。」店主「構いませんよ、真希子さんに逆らえる人間なんてあまり見た事ないですからね。」真希子「あらま、人間でも無いのに言ってくれるじゃないか。」店主「あれ?バレてました?」真希子「そりゃそうさね、私には何でもお見通しだよ。」 こう言いながら真希子は店主の右手を手差しした、気持ちがほぐれていたのか『人化』が解けかけていたので元々の姿が露わになっていた。どうやら店主は出稼ぎにきたプラチナドラゴンの様だ。店主「おっと、まだ店を閉める訳にはいかないのにまずいな。」 慌てて『人化』で両手を元に戻した店主は改めて皿洗いに戻った、先程までピークタイムだった様でシンクには食器が山積みとなっていた。店主「あの・・・、真希子さん。1つお聞きしても宜しいでしょうか。」真希子「何だい、私とあんたの仲じゃないか。何でもお聞きよ。」 数年程前からこの店に通い詰める真希子はすっかり顔馴染の常連となっていた、店に来る度に結構な量を注文するので店主も顔を覚えていたのだ。店主「真希子さんは・・・、どうして2人が当店に来るって分かったんですか?」 この世界でなら普通は『察知』を使用したと言いたい場面ではあるが、真希子は別の理由で踏ん反りがえりたかった様だ。真希子「そりゃああそこにいるのは私の息子だよ、母なら何でもお見通しって奴さ。」 そうは言っているがこの食事を提案したのは好美だったはず、まぁ気にしないでおくか。店主「そう言えば寸胴の中に残ったお料理はどうされるんです?」 運がよければ自分もお相伴に預かる事が出来ると踏んでいた店主。真希子「家に持って帰って食べるつもりだよ、今から弟子が来るんだよ。」店主「お弟子さんって拉麵屋のピューアさんですよね、あの人の寿司も美味かったのを覚えていますよ。」真希子「あの子に料理を教えたのは私だよ、あの子は自慢の弟子さね。じゃあね、今日はありがとうね。」 そう言うと『瞬間移動』で家に帰ってしまった、その数分後に厨房の外から守が声をかけてきた。守「母ちゃん?
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7. 「異世界ほのぼの日記3」132

-132 浴場- いくら「何でもありの世界」だからって公共の場で男女が同じ釜の湯に浸かるなど許されるものなのだろうか、そう守が店に入りながら疑問に思っている時に番台にいた受付担当にまさかの言葉を発した。好美「予約してた倉下です、そろそろ大丈夫ですか?」番台「勿論です、お2人のお越しをお待ちしておりました。」 守は玄関先のポスターをしっかりと見ていなかったので気付いていなかった様だが、どうやら混浴露天風呂は予約制らしい。守「おいおい、ナルリスさんのレストランで言った通り今日俺が真っ直ぐに帰ろうとしてたらどうするつもりなんだよ。」好美「もう・・・、何年守の彼女をしてると思ってんの?守の考えなんてお見通しに決まってんじゃない。」 好美が死んでからのブランクが皆無だったかの様に思える位の記憶力に驚かされるのはきっと守だけではなく俺も同じだった、しかしこの世界に来てから結構な年月が経っているのに守の性格をはっきりと覚えているとは・・・。好美「当たり前でしょ、守みたいな変態はこの世界にいなかったもん。」守「おいおい、流石に勘弁してくれよ。」 確かにこの世界の住民が守の様な性格を露わにした場面を見た事が無い、まぁ平和なままに話を進行していきたいという気持ちがあったから出さなかったと言うのが正解だったのかもしれない(実際「2」の1話序盤で既に光とナルリスの間にガルナスが産まれていたので察してもらえるだろう)。 俺がぽかんとしている間に2人は露天風呂に入っていた、しかもビール片手に(どんだけ呑むつもりだよ)。 ※健全な物語進行の為、2人には水着とタオルを着用してもらっています。好美「はぁ・・・、やっぱり外の風に浸りながらのひとっ風呂はたまらないね。」守「確かにそうだけど家の風呂で十分じゃないか?」 確かに高層マンションの最上階が故に作る事が出来た露天風呂があるというのにわざわざお風呂山に行く必要があったのだろうか、不思議で仕方が無かった守は湯船のお湯で顔を洗った。好美「ほら・・・、うちのお風呂って私用と守用で別々じゃない?たまには良いかなって思ってさ、折角一緒に住んでいるのに・・・。」 守がちゃんと気付いているかどうか分からないがどうやら好美はずっと寂しかった様だ、きっと秀斗と会えなくなってしまった頃の美麗の様に。 ただ1つ言える事と言えば、自宅
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7. 「異世界ほのぼの日記3」133

-133 欲情- 温かな間接照明と優しい月夜の光のみが照らし、正直貸切(?)と言っても過言では無い露天風呂の一角で守は焦らされていた、何となくだが好美の発言に嫌な予感がして仕方なかったのだ。今までの自分の行動を顧みていつかは来るであろう瞬間が来たような気がして仕方なかった、それが故に守は好美から見えない様に湯船の中で拳を強く握った。守「な・・・、何だよ・・・。どういう意味だよ・・・。」好美「ねぇ、日本にいた頃の事を覚えてる?ほら、私達がまだ大学生で出逢ったばかりだった頃の事。」 恋人の発言から最悪の事態を免れた守は正直ホッとしていた、ただ過去に今の様な場面に遭遇した事があっただろうか。 守はゆっくり目を閉じて生前の出来事を必死に思い出そうとした、好美が死ぬ前だから結構前の事だったはずだが・・・。守「えっと・・・、何があったっけな・・・。」 守は広い露天風呂の中で1人考え込んでいた、おいおい好美、このままだと守が湯冷めしちゃうぞ。好美「大丈夫よ、『状態異常無効』を使えば問題ないじゃない。」 そう言えばそんな能力あったね、大変失礼いたしました・・・。好美「何さ、元々はあんたが考えた能力じゃないのよ。忘れるって事はそこまで思い入れが無かったって事じゃないの?」 いや、そんな事は無いですよ・・・。ちゃんとノートに書いてますし・・・。好美「という事は、いちいちノートを見なきゃ思い出せないって訳?」 くっ・・・、仕方ないだろ・・・。忘れやすい性格なんだから許せって、夜勤族が思った以上に忙しいのはお前も分かるはずだろうが。好美「確かにね、最初はみんなが働いている傍らで昼から堂々とお酒が呑めるっていい気分になってたけどそこまで甘くない世界だもんね。」 そうだぞ、俺が夜勤の人間じゃなかったら今頃お前は存在していなかったかも知れないから感謝しろよな。好美「何よあんた、今はそう言う問題じゃないでしょ。それで?守は私が何をしたがっているのか思い出せた訳?どうしたいか分かった?」 全くもって関係無い話で茶を濁し過ぎた様だが、時間は稼げていたはずだから守も思い出せたんじゃないのか?なぁ、守君?守「い・・・、いや・・・、えっと・・・。」 必死に思い出そうとする守の傍らから状況を楽しんでいる様に思われる女性の声が・・・。女性「あんた達、楽しそうにしてんじゃ
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7. 「異世界ほのぼの日記3」134

-134 時間はある?それとも無い?- 館内放送で「閉館30分前」が知らされたのでずっとキスをしていた2人は浴槽から出て浴衣を着た後にロビーの自販機で瓶入りのコーヒー牛乳を飲んでいた、どうやら熱い風呂に入った後に冷えた牛乳が好まれるのはこの世界でも変わらない様だ。と言うかあんたらずっとキスしとったな、お熱い様で。好美「何ぇ、光さんはすぐに行ったのにあんたはずっと見てたんけ?趣味悪ぅないで?」 しゃあないじゃろ、見とうなくても話の進行の為には見ざるを得なかったんじゃ。ただあんたらの事じゃけんてっきりビールを買うんかと思ったけど、さっきまで呑んだけん牛乳にしたんぇ?と言うかあんたらお熱いのはええけんどずっと入っとったんけ、のぼせても知らんじぇ。好美「余計なお世話じゃわ、我がら2人共長風呂が好きやけんええの。」守「おい好美、何語喋ってんだよ・・・。」好美「ごめんごめん、いつもの「アイツ」が阿波弁で話しかけて来たからつい・・・。」 登場人物に「アイツ」と呼ばれる俺(作者)って一体・・・、まぁそれは良いとしてどうだ、こっちの世界の牛乳は美味いか?ラベルを見た感じはダンラルタ王国にあるバラライ牧場の物みたいだが。好美「そうだね・・・、日本と変わらないかな。何となく懐かしくて嬉しいけど。」守「あれ?日本にいた時、俺達一緒に温泉なんて来た事があったか?」好美「いや、そういう訳じゃ無くて徳島にいた頃によく飲んでいた牛乳に後味が似てたから。それと守がバイトで会えない時、よく桃や美麗達と入りに行ってたのよ。誰だって癒しが欲しい時ってあるでしょ、それに・・・。」守「それに・・・?」 顔をポカンとさせる守をよそに、懐から1枚の紙切れを取り出した好美。そこには「守と再会出来たらやりたい事リスト」と書かれていた、表面上では守の転生(いや多分転移)を拒否している様に見せかけていたが心中ではこの世界での再会を望んでいたらしい。よく見るとリスト内には「一緒に思い出の味(ハヤシライス)を楽しむ」や「混浴風呂に入る」、そしてまさかの「出逢ったばかりの頃の様なキスを交わす」とあった。おいおい守、羨ましいじゃねぇかよ、さっきのキスの味はどうだったんだよ、え?守「大学で初めて交わした時みたいに・・・、甘かった。」 恥ずかしそうに答える守の横で顔を赤らめながら学生時代を思い出した好美
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7. 「異世界ほのぼの日記3」135

-135 昔話- 番頭に浴衣を返すのが面倒になった2人は銭湯から数歩程度の距離の所にあり、同じ者が経営する旅館へと向かった、ここなら今自分達が着ている浴衣のままでも行動できるし『アイテムボックス』や『転送』を使えば脱衣所の衣服は何とかなるはずだ。好美達がロビーに声を掛けた時には殆どの客室が予約客を中心に埋まっていたが、数部屋程空室があったのでその1部屋に泊まる事にした。受付「あれ?好美ちゃんじゃない、今日は夜勤じゃないの?」好美「有給取ったのよ、ちょっと色々あってね。」 話の流れからして、どうやら2人は知り合いの様だ。受付「あら?もしかしてそちらが噂の彼氏君かしら。2人で1部屋だなんて羨ましいじゃない、ウフフ・・・。」好美「何変な想像してくれてんのよ、昔から全然変わらないんだから・・・。」受付「それにしてもすぐ近く(?)なのに帰らなくて良いの?それに好美ちゃんの家に比べたらうちの部屋だなんて月とスッポンよ。」 「月とスッポン」なんて言葉をこの世界のみで生きているはずの受付の者が何処で覚えたのだろうか、多分転生者達の影響と思われるが。好美「たまには良いかなって思っただけよ、ほら、よくある気分転換ってやつ。」 それに酒に酔った男女2人が月夜の照らす街の中心を歩いていると正直言って目立ってしまう、まぁ2人の場合酔いは殆ど冷めていたし『瞬間移動』や『状態異常無効』を使えば何とかなるが、酒の影響でまだ頭がまともに回らなかった様だ。 ロビーでの記帳を終えて2人は案内された客室へと入った、この旅館は全客室に露天風呂が付いており、備え付けの冷蔵庫の中にはビールやジュースが数本ずつ常備品として入っていた。 好美達は先程の話の続きをする為にまたもやビール片手に露天風呂へと入って行った、結局宿に泊まって入るなら銭湯は行かずに最初からここに来れば良かったんじゃないか。また折角夜風や牛乳でクールダウンを行い、酔いを醒ましたというのにまた呑みながら入るなんてのぼせる率が高くなっている様な気がするのは俺だけだろうか(こちらでも健全な物語進行の為に水着等を着用してもらっています)。好美「良いじゃないの、元々ここに泊まる予定じゃ無かったんだし「旅は道連れ」って言うでしょ。」 あの・・・、その言葉そう言う意味で使う物じゃないと思うんですけど。まぁ、良いか。 取り敢えず守
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7. 「異世界ほのぼの日記3」136

-136 奪われた生活や思い出達- 珍しく俺の言う事を素直に受け入れたのか、2人は早々に浴槽から上がり客室へと戻った。相も変わらず片手にはビールを持っていたが、今は良しとしようではないか。 先程まで浸かっていた浴槽が見える大きな窓に向かって置かれていたソファに横並びに座った後、何度目か分からない乾杯を交わしビールを一気に煽った。好美「ねぇ、さっきの続きを聞かせてくれる?1つの学校での事件だったから義弘以外にも悪い奴らがいたんでしょ?」 守は大株主であった義弘派閥の2人の事や金に目が眩んだ教師達、そして(勿論結愛に味方していた羽田達を除く)黒服達の事を包み隠さず話した。国際指名手配犯が絡んでいた事を話した時には好美の顔はかなり蒼白していた様だ。好美「そこまでして義弘は何がしたかったの?」守「俺も結愛から聞いた事なんだけど、兄の海斗を含めた兄妹達の学力の徹底した向上を図っていたらしいんだ。結愛達に奴は「他の生徒達を押し倒してでもやれ」って言ってたって聞いたよ。」好美「結愛も大変だったんだ、だから学園事業に凄く真面目なんだね。」守「義弘によって失った信頼を取り戻すんだって必死になってるよな、あいつはあいつなりに十分やってると思うな。」 父親から全権を奪ってからと言うもの、最悪とされていた学園の環境が一気に改善されたのも結愛の努力があってこそだった。義弘の指示により取り壊された校舎や体育館、そして部室棟が再び建設された時、多くの生徒達が涙を流したという。 じっくりと守の話を聞いていた好美にはやはり許せない事があった、膝の上で握っていた拳が震えていた事からもその心情がよく読み取れた。好美「いくら成績が下だからって殺す事無いじゃん、いくら何でも酷過ぎるよ。そこまでする必要があったの?」守「学園自体の偏差値や摸試の平均点を上げる為だったって、これも結愛から聞いた事だけど。」好美「他には何をされたの?テレビでは言って無かった事が多いみたいだから良かったら聞かせてよ。」 守はビールを一口吞んで一息つくと再び話し始めた。守「まず親に手紙を出して1食も食えなくされちまってな、食堂も購買も閉鎖されてたよ。当然弁当も無かったから腹が減って仕方が無かった、俺もそうしたけどトイレの手洗い場で水を大量に飲んで何とか誤魔化していたのを覚えているよ。それから学校から一切
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7. 「異世界ほのぼの日記3」137

-137 必需品は土産物屋で- 旅館で一晩を過ごした恋人達は受付でチェックアウトをする為に浴衣から着替えて客室を後にして1階にある受付へと向かった、客室の物とは別に作られている大浴場と露天風呂で朝風呂を楽しんでいたであろう客達を眺めながらゆっくりと階段を降りていく2人は一先ず折角の記念にと土産物屋へと向かった。好美「やっぱり温泉饅頭が多いね、日本とまるで変わらないよ。」 好美がゆっくりと店内を巡る中、守はもう1つ日本と変わらない物を見つけた。何処の旅館の土産物屋でもよく見かける「あれ」を発見した様だ。守「こっちでもこんなのが売っているんだな、中学校の修学旅行で使って以来だった様な気がするな。」 店内に並んでいる商品を見て懐かしい思い出に浸っていた守の横にそっと好美が近づいて来た、好美も守と同様に何処か懐かしい気持ちになっていたらしい。好美「これ、私も使った事あるよ。思い出を残すのに丁度良かったな。」守「何なら買うか?これから旅行に出かけるんだし。」好美「良いね、学生に戻ったみたいで楽しいかも。」 2人は1つずつその商品を買う為にレジへと持って行った、本来は会計を担当するパートがいるみたいなのだがまだ就業時間では無いらしいので来ていない様だから昨日会った受付の女性が代わりを勤めていた。受付「いらっしゃい、あらま、お土産じゃなくてそれを買うの?」好美「うん、旅行は今から行くからね。」受付「好美ってこの世界に来てから働いて吞んでを繰り返してばかりだったから気分転換になって良いじゃない、お土産よろしくね。別にここにあるやつでもいいわよ。」好美「何でまだ出かけてもいないのにお土産を買うのよ、しかも何気にお店の商品を宣伝して来るなんて。」受付「えへへ・・・、こっちも商売だからね。」好美「もう・・・、相も変わらず侮れない人なんだから気が抜けないったらありゃしない。」受付「でも好美、2人共これ買ってるけどスマホを使えば必要無いんじゃない?」好美「良いでしょ、こう言ったレトロな物を使うのも味があるってもんよ。」 早く会計を済ませたいという2人の心中を察した受付は少しだけだが気を遣った。受付「ねぇ、何なら宿泊料金などと一緒に会計しちゃう?その方が楽でしょ。」好美「それは助かるけど大丈夫な訳?と言うかそれってここにいる意味ある?」 この土産物屋
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7. 「異世界ほのぼの日記3」138

-138 重要な要素- 好美はさらりと支払いを済ませたものの、やはりドケチの血が騒いだ様ですぐさま収入印紙の貼りつけられた領収証兼レシート(明細)を確認した。1人1泊78000円の宿に2人で宿泊したにはどう考えても高すぎる、何をそんなに消費したと言うのだろうか(と言っても大体は想像がついてしまうのだが)。好美「何よあんた、今失礼な事を考えていなかった?」 いや、そんな事無いですよ(まずいまずい)。お気になさらないで下さいませ、やはりマンション等の経営者なのでお金に関してはシビアなんでしょう?好美「でもさ、宿泊代以外に心当たりがないんだよね。露天風呂は客室に標準装備だったからお金はかかって無いはずだし、ビールもそんなに・・・。」 ほぉ、「そんなに・・・」ですか。守、今すぐ領収証を回収せんかい。守「確かに2人での宿泊代が15万6000円だから差額の9万3800円が何の料金なんか気になるよな、食事をランクアップさせた訳じゃ無いしずっと客室にいたからカラオケをした訳じゃ無い上に卓球は無料って書いてあったからな・・・。何だろう・・・。」 守、わざとらしいぞ。「アレ」しか無いだろうがよ、「アレ」しか!!視線を下の方にパーンせんかい、パーン・・・。守「えっと・・・、下の方ね・・・。」 守が、目線を明細の下の方にパーンと下げてみると「ビール代」と言う項目が目立っていた。そりゃあそうだ、「ビール代」が93800円なんだからな。と言うかお前ら、レストランで散々呑んだ後なのに旅館中にあったビールを呑みつくすなんて馬鹿じゃねぇの!!好美「良いじゃないの、守の話を肴にずっと呑んでいたんだから。」 守の壮絶な過去の話は好美にとって絶好の酒の肴になっていた様だ、守や結愛は結構辛い想いをしたはずなのにまさかのおつまみ扱いとは・・・。いいか好美、お前も泣いてたんだから決して笑い話じゃなかった事を忘れんじゃねぇぞ。好美「分かってるよ、それより早く行こうよ!!」守「そうだな、でもここからどうやって行こうか。」 旅館の玄関前で立ち尽くす2人は旅行に行く事に関して絶対必要な要素となる物を考えていなかった、そう、「移動手段」である。昨日は少し冷ましてから歩いてこの旅館に来たものの、2人共呑んでいた事には変わらない(この世界でも飲酒運転は重罪です)。確か守ってこの世界の車を持って無
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