All Chapters of もしもあの日に戻れたのなら: Chapter 221

221 Chapters

神域再訪⑦

「できない……ですか……」『一人の記憶をそのままに時間を戻す事すら容易ではない。ましてや三人もの記憶をそのままなど、不可能である』「では僕だけなら、可能でしょうか?」せめて僕の記憶だけは引き継がせて欲しい。また同じ悲劇を繰り返さない為にも。それにアカリやアレンさんとはまた仲良くなればいい。しかしそれも全て記憶がなければ、そもそも会ったことすらなくなってしまうのだ。 『一人だけ……そなただけならば何とかなるかもしれん。しかし断片的に記憶は消えるだろう』ちょっと忘れてしまっている事だってあるかもしれないということか。それはもう仕方がないと割り切るしかない。少なくとも魔神の存在とアレンさん達の事さえ覚えていれば何とかなる。  「それでも構いません。記憶が少しでも残るのなら」『それではこれより時空を超える御業を使う。時が戻ればもう会うこともないだろう。そして魔神が生きている時間軸へと戻る。だからこの場で伝えておく。この時間軸での魔神を消滅させてくれて感謝する』僕の頑張りも全てはあの日に戻るため。魔神を倒したこともこの世界で様々な人と交流したことも何もかもなかったことになる。 一抹の寂しさを覚えたが、それは恐らくアカリも同じだろう。横を見るとアカリの目が若干潤んでいた。 「誰も死んでいないあの時に、カナタが研究の成果を発表するあの日に戻るの?」「多分ね。僕の記憶が残っていれば二度と異世界ゲートなんて作りはしないさ」「でも……もしかしたらカナタ以外の人が作るかもしれないじゃない。五木さんだっけ?あの人ならいずれは作るかもしれないよ?」「その時は……その時だよ。それまでにアレンさん達を見つけて対
last updateLast Updated : 2025-07-15
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