「まずは初級魔法を試していこうか!」アレンさんの指示通りに頭の中で魔法をイメージして片手を突き出して魔法名を口にする。 「ファイアーボール!」掌からほんのりと煙が出ただけで、火の玉は出てこなかった。 「不発だね。さあドンドン試していこう。数こなせばいずれできるようになるから。少なくとも煙は出たんだから一切魔法適性がないというわけではないさ」アレンさんは励ましてくれたが僕は落胆していた。思い出せ、あの時に学んだ魔法の技術を。記憶を辿れば必ず使えるはず。過去には実際に魔法を行使できたんだ。できないはずがない。 熱く燃えるようなボーリング大の玉が掌から勢いよく飛び出すイメージだ。僕は目を瞑って集中する。 肌を焦がすような熱量。弾丸のように放たれる想像を膨らませる。 「ファイアーボール!」ボウッと目の前が赤く染まり凄い速度で僕の掌から火の玉が放たれた。標的である木の人形に当たると爆散し、砕け散る。 「で、できた……」「やるじゃないかカナタ君!初級魔法とはいえ二回目で成功させるとは思わなかったけど、これなら中級魔法を覚えるのも時間の問題だよ」「ありがとうございます!」記憶をより鮮明に思い起こすと魔法の行使は成功した。やはりこの辺りの記憶も完全に消えたわけではないようだ。 「すげぇぜカナタ!まさかこんなすぐに習得するなんて思わなかったぞ!」春斗も相当驚いているのかテンションがかなり高い。 「いや本当にね。意外と才能があるかもしれないよ?」「いえ流石にそれはないかと思います……。記憶の中のアレン
Terakhir Diperbarui : 2025-07-25 Baca selengkapnya