Semua Bab もしもあの日に戻れたのなら: Bab 231 - Bab 240

242 Bab

記憶を辿って⑤

「まずは初級魔法を試していこうか!」アレンさんの指示通りに頭の中で魔法をイメージして片手を突き出して魔法名を口にする。 「ファイアーボール!」掌からほんのりと煙が出ただけで、火の玉は出てこなかった。 「不発だね。さあドンドン試していこう。数こなせばいずれできるようになるから。少なくとも煙は出たんだから一切魔法適性がないというわけではないさ」アレンさんは励ましてくれたが僕は落胆していた。思い出せ、あの時に学んだ魔法の技術を。記憶を辿れば必ず使えるはず。過去には実際に魔法を行使できたんだ。できないはずがない。  熱く燃えるようなボーリング大の玉が掌から勢いよく飛び出すイメージだ。僕は目を瞑って集中する。 肌を焦がすような熱量。弾丸のように放たれる想像を膨らませる。 「ファイアーボール!」ボウッと目の前が赤く染まり凄い速度で僕の掌から火の玉が放たれた。標的である木の人形に当たると爆散し、砕け散る。 「で、できた……」「やるじゃないかカナタ君!初級魔法とはいえ二回目で成功させるとは思わなかったけど、これなら中級魔法を覚えるのも時間の問題だよ」「ありがとうございます!」記憶をより鮮明に思い起こすと魔法の行使は成功した。やはりこの辺りの記憶も完全に消えたわけではないようだ。 「すげぇぜカナタ!まさかこんなすぐに習得するなんて思わなかったぞ!」春斗も相当驚いているのかテンションがかなり高い。 「いや本当にね。意外と才能があるかもしれないよ?」「いえ流石にそれはないかと思います……。記憶の中のアレン
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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再戦①

アレンさん達との邂逅から一ヶ月が過ぎた。中級魔法も少しばかり使えるようになった僕はある程度の自衛ができるといってもいいだろう。 ただ、魔神の居所だけは掴めていなかった。"黄金の旅団"総動員で探しているがなかなか見つからないそうで、今は探すのではなくおびき寄せる作戦でいこうと近くのスタジアムに人払いの結界を張り、各々魔力を垂れ流しているところだ。 「それにしてもよくスタジアムを貸し切れましたね」「ん?まあまあそこはね、魔法をちょちょっと使うとできるってだけだよ」アレンさんは笑顔でそう言うが、多分正攻法ではないだろう。催眠というかそういった類いの魔法に違いない。だからそこには突っ込まないでおくことにした。 スタジアムの中には"黄金の旅団"のメンバーが勢揃いしている。あくまでこの世界に飛ばされてしまった面々だけだが、それでもかなりの人数になる。  「これだけ魔力を垂れ流せば多分魔神にとっても無視できないはずなんだ。可能な限り守るつもりだけど自分の身はできるだけ守るんだよカナタ君」「は、はい」緊張してしまい、ついどもってしまった。魔神の脅威は嫌という程見てきた。だからかこれから魔神を呼び込むと聞けば緊張しないはずがない。 そんな時だった。 「団長!結界に何者かから干渉を受けています!」突然スタジアムに響き渡る声。何者か、が誰を指しているのかなど想像に容易い。 「来たようだね……全員臨戦態勢!」アレンさんの号令と共に各々仲間達が武器を構えた。僕も魔法を発動できる準備だけして周りを警戒する。 邪法が使えたら僕だって戦力の一つとして数えてもらえるのに。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-26
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再戦②

魔神の声がスタジアムに響くと同時にどこから入り込んだのか、数体の魔族と四天王であるゾラ達が現れた。 「ゾロゾロと集まっているではないか。こちらとしても各個撃破しなくても済むから助かったぞ」「ブラストルイン!」魔神の言葉に呼応するかのようにアレンさんの魔法が炸裂する。直撃かと思われたが魔神とて無防備に現れたわけではなく、アレンさんの魔法は障壁で防がれていた。 「全員攻撃開始!ここで奴らを殲滅する!」その言葉が聞こえるや否やレオンハルトさんが聖剣を掲げ大きく振り下ろす。 聖剣の一撃は一日に三度しか使えないとは本人が言っていた話だ。その攻撃は魔神ではなく四天王のゾラへと向けられていた。 「そんな直線的な攻撃……当たるとお思いですか?」ゾラが翼を広げ空へと飛び上がる、と同時にその羽根に穴が空いた。 「なっ!?」「逃がしませんよ」レイさんの魔法がゾラの翼を貫いた。穴が空いた翼では満足に飛び上がれなかったのかそのまま地面へと降り立つ。 「くっ!ぐぅぅぁああああ!」レオンハルトさんの光の斬撃は待ってくれるはずもなく、ゾラの身体を斬り裂いた。聖剣の一撃をその身に受けて無事でいられるわけがない。ゾラはそのまま粒子となって消え去った。 「おいおい、ゾラッッ!何してやがる!」怒りをあらわにしているのは四天王の一人グリードだ。奴も脅威には変わりない。 「お前の相手は!このオレだァァッ!」そんなグリードに殴りかかったのはゼンだった。彼も前回は殺されてしまったがこの時間軸では"黄金の旅団"の主力戦力だった。 剛腕の名を持つゼンと破壊の王の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-27
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再戦③

「殲滅王アレン・トーマス。剣聖レオンハルト・レイン。貴様らをここで殺せればこの世界から脅威は消える」魔神が頭上に手を翳すと巨大な火の玉がいくつも生み出された。魔力もだいぶ失っているはずだが、それでも十分驚異的な魔力量だ。 「全員魔力を全て使っていい。もう元の世界に戻る手段は考えなくていいからね。思う存分に戦ってくれ」アレンさん達はいずれ元の世界に戻るため、魔力は極力温存していたそうだ。こっちの世界では魔素が殆どなく、魔力の回復に膨大な時間がかかる。いざ異世界へと渡る方法が見つかっても魔力がなくて断念、ということにならないためだったが、僕が現れた時点でその必要はなくなった。 「本気でやってやらぁ!フレイムカノン!」「アタシだって!アイシクルレイン!」春斗とフェリスさんが魔法をぶっ放すとそれに続いて次々に団員が魔法や技を繰り出す。その全てが魔神へと向けられていれば少しでも力になりたいと思い、見ているだけの僕も微力ながら魔法を放つ。 「ファイアボルト!」他のメンバーに比べてあまりに小さな炎が魔神へと向かって放たれる。 総攻撃を受けた魔神は言葉を発さなかった。それがまた不気味で煙に隠れた魔神をみんながジッと見つめる。  「ククク……この程度で我を倒せると思うなよ人間!」「いや思っていないさ。でもこれならどうだい?」総攻撃に参加していなかったアレンさんとレオンハルトさんが魔神へと迫った。 「消えてなくなるといい!ブラストルイン!」「魔の者よ、消え去れ!エクスカリバァァ!」二人の息の合った渾身の一撃。 油断していたのかその一撃を真っ向から受け止めた魔神は苦悶の表情を浮かべていた。  
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-28
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再戦④

邪法を魔神に向けて放つと誰もが目を見開いて固まっていた。魔神の身体が少しずつ粒子へと変化していく。邪法は確実に成功していた。 「邪法……だと?なぜ……ただの人間がその魔法を……扱える」「祈ったから。としか答えられない」「祈っただと?そんなバカなことが……」魔神もどうして僕がいきなり邪法を使えたのか理解できないようだった。当然魔神も記憶を失っている。 「邪法、か。なるほど……助かったよカナタ君。正直このまま戦闘を続ける魔力は残っていなかったからね」アレンさんには純粋に感謝された。これでもう魔神は二度と復活することはできないだろう。邪法とはそういうものだ。蘇生魔法であっても根源から消し去ったしまう凶悪な邪法で死んだ場合復活はできない。 「身体が……消えていく……こんな終わり方あってたまるものか!デビル――」「させない」消えかかっている魔神が掌を僕に向けると同時にアカリがその場から姿を消し次の瞬間には魔神のすぐ側へと移動していた。 逆手に持った刀を振り抜き魔神の片腕を寸断する。 「ぐぅぅあぁ!」消えかかっているとはいえまだ一部は実体が残っていた魔神は苦悶の表情を浮かべ歯を食いしばる。 「貴様……人間の分際で……覚えていろ、いつか我が蘇った時、一族郎党滅ぼしてくれる」怨嗟の言葉を吐きながら魔神の身体は完全に消滅した。  「魔神を……倒せた!」「
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-29
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別れ道①

魔神を倒したあとはでこぼこになってしまったスタジアムを全員で修復しその場を後にした。宿り木に戻ってくるとみんな疲れた表情を浮かべている。全力で魔法や技をぶっぱなしたんだから、そりゃ疲れもする。 しかし僕の隣にいるアカリはそれほど疲れた様子ではなかった。 「アカリはみんなと一緒に休まなくていいのか?」「いい。……あと、全部思い出した」「思い出した?」アカリは今までのことを詳しく語ってくれた。出会いから時が戻るその瞬間まで。 アカリの目には涙が浮かんでいた。 「……カナタ、もう無茶はしないで」「ごめん。もう邪法は二度と使わない、約束する。失った寿命ってのもどれくらいの年数なくなったのかは分からないけど、これから一緒にいて――」そこまで言った後ハッとある事に気づいた。アレンさん達を元の世界に帰す目処はあらかたついているが、アカリはどうするのだろうかと。 この世界に残れば二度と元の世界には帰れない。異世界ゲートは長く稼働させることはできないのだから。 前回は膨大な電力を魔神の魔力で補ったが、本来はとんでもない量の電力が必要になる。 恐らく一回起動すればもって一分ほど。それもその一回限りで自壊するだろう。 今回もみんなの魔力で補うつもりだが、彼らが帰ってしまえば魔力で補うという手段は使えなくなる。この世界の資源を使って異世界ゲートを再度開くのはできたとしても同じ時間軸かつ同じ場所に繋がるとは分からない。 つまりアカリがこちらの世界に残る選択をすれば二度と故郷の土を踏むことはできなくなるのだ。 そう考えるとアカリと一
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-30
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別れ道②

アカリがこの世界に残るのは分かったが、春斗はどうするんだろうか。僕はアカリと一緒にしゃがみ込んで項垂れている春斗の側までいくと、彼は顔を上げた。 「ん?どうしたカナタ。と、アカリ」「いや、ちょっと聞きたい事があって。明日明後日ってわけでは無いけど異世界ゲートが完成したら春斗はどうするのかなと思ったんだ」「ああ、そのことか。それなら俺とフェリスは居残り組だぜ」春斗はまあ理解できる。大学で友人だってできただろうから。でもフェリスさんも残るというのはどういう了見だろうか。 「おい、フェリス」「何かしら。疲れてるんだから――ってカナタ君もいたのね。ごめんなさい疲れてて気づくのが遅れてしまって」「いえ、大丈夫です。それよりもフェリスさんもこの世界に残るつもりだと今しがた春斗から聞いたんですけど、どうしてなのかなと気になったので」「ああ、そのことね。正直言えばこっちの世界の方が食べ物は美味しいし魔物はいないし、向こうではできなかった生活ができるからなの」フェリスさん曰く料理も平和さも全てが異世界より勝っているとのことで、帰るつもりは一切ないらしい。 「アタシはこっちの世界で行きていくわ。だから今後はご近所さんねカナタ君。改めてよろしくね」「よろしくお願いします。でもフェリスさんってこっちの世界では何のお仕事をされていたんですか?」「まあそうね……ファッション関係、ってところかしら?」なんだ?フェリスさんの歯切れが悪い。もしかしてあまり聞かないほうが良かったかも。 「ヘヘッファッション関係なんてよく言うぜ。フェリスの仕事は服専門通販サイトの運用じゃねぇか」「う、うるさいわね!ファッションはファッションでしょうが!」ああ、なるほど。よくあるECサイトを運営している会社に勤めているってわけか。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-31
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別れ道③

魔神討伐から三日が経ち、僕はある場所へと来ていた。その場所というのは五木さんの研究所である。この時間軸ではまだ出会っていない五木さんだが、どうしても見て欲しい論文があると直談判したところ快く会ってくれる事になったのだ。「君が例の見て欲しい論文があると連絡してきた彼方君かな?」「初めまして、城ヶ崎彼方と申します」研究室に入るなり五木さんはニコッと微笑んで手を差し出してきた。握手を交わすと五木さんは若干首を傾げた。「なんだか君とは初めて会った気がしないよ」五木さんの言葉に少しドキッとした。記憶が残っているはずはない。ただなんとなくそう感じただけだろう。「とりあえずそこに掛けてくれるかい?」僕は椅子に座り五木さんは僕の論文に目を通す。数十分は経っただろうか。出してくれた紅茶も既に飲み切っていて、五木さんの回答を待つのみなのだが、何を言われるか不安で仕方がなかった。「なるほどなるほど。これなら実現可能かもしれないよ。彼方君、どうしてこれを発表の場ではなく私に直接持ってきたんだい?」「五木さんではなければ理解は難しいかと思いましたので」「確かに。他の研究者なら何を馬鹿なことをと一蹴されていたかもしれない。でもこの理論なら実現ができる。もしかして共同研究にするつもりかな?」「そのつもりです。ただどうしても一つだけ、その異世界ゲートを起動する際に必要な電力が足りません。そこで僕のツテを使います」「そのツテというのを他の人には言えない、ということかな」五木さんは理解が早い。一から十まで説明せずともすぐに察してくれた。魔力で電力を補うなんて馬鹿げた話、信じてもらえないだろうけど実際にその目で見れば僕の話は嘘ではなかったと嫌でも信じざるを得ないだろう。だからこそ五木さんにだけ共有しておきたかった。魔力の概念が知れ渡ればどえらい事になるだろうから。「これだけ聞かせて欲しい。この異世界ゲートとやらを作るのは何の目的があるのかな」「それは&he
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-01
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別れ道④

五木さんとの共同研究は想像より早く進んだ。物資の手配も驚くほど早く完成まで後少しというところまでおよそ一ヶ月という短い期間で作り上げた。 大型のリングがほぼ完成している姿を見ると、あの時あの瞬間を思い出す。 僕がジッとリングを見つめていると五木さんが背後から声を掛けてくる。 「どうしたんだい?」「いえ……なんだか夢見心地のような感じでして」「夢見心地?まあそうだね、実現まで後少しだからね。それより最近家に帰っていないだろう?ご家族が心配するんじゃないかい?」五木さんは勘違いしていたがわざわざ本当の事を話す必要もない。頷いた後そういえば姉さんに連絡するの忘れてたなとポケットから携帯端末を取り出す。 「あ、めっちゃ不在着信きてる……」「ほら、言っただろう?今日は帰りなさい。研究に根を詰めるのは身体によくないよ」五木さんに促され僕は帰宅することにした。 実のところこの一ヶ月、家に帰ったのは三度ほど、あまりに僕が不在にしているせいで姉さんがブチギレてそうだ。  ビクつきながらソッと玄関の扉を開く。もう時刻は夜中の十二時を回っていた。 足音を立てないようゆっくりリビングに足を踏み入れると、腕を組んで仁王立ちの姉さんと目が合った。 「うおぁぁぁ!?」真っ暗なリビングでそんな事をされたら誰だってびっくりする。飛び退いたせいで尻餅をつき、鈍痛が僕を刺激した。 「うぐぐ……いってぇ……」「彼方!なんでこんな遅いの!?」目が釣り上がっていてブチギレのご様子。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-02
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別れ道⑤

連絡を怠り姉さんからしこたま怒られた日からおよそ二週間。巨大な空間に鎮座する異世界ゲートがあった。 「遂に完成したね……流石に私も眠くて堪らないよ」「そうですね……最後の方なんかほぼ徹夜でしたし。でもこれでやっと……」「異世界かぁ。私も行ってみたいけど、彼方君の話を聞く限り危ないところなんだよね?」 五木さんと一緒にいる時間が長かったこともあり、異世界の話を沢山していた。そのせいか五木さんが異世界に興味を持ってしまったが、それと同時にどれだけ危険なのかも詳しく話しておいた。そのお陰もあってか、行きたいけど実行に移そうとは流石に考えていないようだった。 「魔物に魔法……どれも空想上のものだね。研究者としては是非とも行ってみたいけど帰ってこれないとなるとなぁ」「悪いことばかりではありませんでしたが、こっちの世界の常識は通じませんからね。みんな当たり前のように魔法を行使しているので」「私も魔法の一つや二つ使えたらなぁ。どうかな?そのアレンさんという方に、元の世界へ帰る前に魔法を教えて貰えないだろうか?」この世界に魔素が殆どないことを説明し覚えたところで使うことができないと伝えると五木さんは目に見えたようにガッカリしていた。 「そっか……魔法、使えないんだね。まあ仕方ない、とりあえずその方達を呼んでくれるかい?」僕はアカリへと連絡する。連絡先を知っているのはアカリと春斗くらいだ。すぐに全員を連れて行くとのことで待つことおよそ30分。 研究所に現れた数十人の異世界人。老若男女問わずの集団はあまりに異質だったのか五木さんは目を丸くしていた。 「どうも初めまして。彼らを率いているアレン・トーマスです」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-03
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