これまでどうして気づかなかったのだろう。敦がここまで本心と建前の食い違う人間だったとは。加津也がすぐに続けて口を開いた。「前の件については、もう不問にする。だがその代わりに、利益の二割を譲ってもらう」「二割なんてなおさら無理ですよ」敦はわざとからかうように言った。「なら、いくら?」加津也は眉をひそめ、内心いら立ちを募らせる。この契約は、そもそも今回、敦のほうから持ちかけてきた話だ。多少条件を出したところで、何の問題があるというのか。それくらい、敦が負うべきことのはずだった。だが敦は、落ち着き払った口調で言った。「利益を譲るのは無理ですし、そもそもこのプロジェクトを西山さんに渡すこと自体、できません」加津也は眉を寄せたまま、黙り込んだ。すると敦は、きっぱりと言い切った。「このプロジェクトで、最初から西山さんと組むつもりはないので」加津也の声には、怒気が混じった。「それは一体どういう意味だ、柿本」彼はもはや、以前のように「柿本社長」と呼ぶことすらしなかった。加津也が取り繕っていた余裕は、この瞬間、完全に崩れ去った。敦は心の中で冷笑する。なるほど、京弥が彼と加津也の協力を勧めなかったわけだ。こんな小物と組めば、後々必ず揉めるに決まっている。やはり、商業界の大物と呼ばれる人間には、それなりの理由がある。先を見る目がまるで違う。「ここまで説明しているのに、まだ分かりませんか。要するに、西山さんとは一緒にやる気がない、ということです」「なら昔、俺が贈ったものは?」加津也はわざと過去の話を持ち出した。しかし敦は、すでに我慢の限界だった。「西山さん、商売での贈り物なんて、持ちつ持たれつでしょう。そこを持ち出されても、議論のしようがありません。あれは全部、あなたが自分の意思でやったことですし、私は一度も強要していませんでしたよ」その言葉を聞き、加津也はスマホを握る指に力を込めた。歯ぎしりしながら問い詰める。「お前に恥というものはないのか」「酷い言われようですね」敦はわざと声を張った。「でもそれは、西山さんには関係ないでしょう」「じゃあ今日わざわざ電話してきたのは、俺を不愉快にするためか」加津也も、ようやく敦の本性をはっきり見抜いた。「
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