紗雪は、この二人、本当に面白いと思った。軽く食事を済ませたあと、紗雪は二川グループへ向かった。道中、彼女の脳裏には再び仕入先のことが浮かんでいた。今や事態はどんどん悪化しており、もうこれ以上先延ばしにはできない。彼女一人ならともかく、椎名のプロジェクトはもう待てない状況。あれは彼女一人の案件ではなく、皆で力を合わせて進めてきた結果なのだ。紗雪は地下駐車場に車を停め、エレベーターに向かって歩き出した。まずは仕入先をなだめること、それが最優先だ。しかし、オフィスに到着したとき、状況は彼女の想像を超えていた。彼女は業者たちに面会のアポを取り、食事でもしながらしっかり話をしようと考えていた。だが、思いもよらず、彼らは紗雪の連絡先を全員ブロックしており、それどころか電話すら繋がらない状態になっていた。その光景を見た紗雪は、呆然としてしばらく動けなかった。ブロックの表示を見つめながら、彼女は理解できずにいた。本当にここまで徹底的に切り捨てる必要があるのか?以前はまだ交渉の余地があったはずなのに。紗雪は直接相手の会社に行って事情を聞こうと考えた。何せ、これらはすべてビジネスの付き合いであり、そう簡単に完全に断絶するものではない。この業界は狭い。むやみに関係を断ち切るのは、相手にとっても得策ではないはずだ。そのとき、突然ドアの向こうから急かすようなノック音が響いた。紗雪は眉をひそめ、不安な気持ちを覚えた。「入って」彼女は声を張って言った。秘書がA4用紙の束を抱えて、焦った様子で紗雪の前に現れた。「会長、これを見てください。今朝になって、何社かの会社からファックスが届いて、今後はもう取引しないと......」「それに、相手の秘書たちまで、一斉に私を削除しました」その言葉を聞き、紗雪の顔色はますます悪くなった。「私もです。取引先の社長たち、全員に削除されました。一体何が起きているのか......」紗雪の表情はますます険しくなった。今、彼女は強く感じていた。背後には、確実に何者かの大きな力が働いている。そうでもなければ、これほど同時多発的に問題が起きるはずがない。紗雪の考えを聞き、秘書はさらに焦った様子で尋ねた。「会長、これからどうしましょうか?」「もし
Baca selengkapnya