辰琉は父親がこんなに怒っているのを見ながらも、肝心な話に全然進まないことに焦りを感じていた。「じゃあこれからどうすれば......」安東母も焦り気味に、思わず安東父の方を見た。二人の視線を感じた安東父は、いきなり怒鳴りつけた。「何をジロジロ見てるんだ!俺の顔に答えが書いてるわけないだろうが!」「自分で何も考えず、何かあればすぐに俺を頼る。まったく、この役立たずともが!」正直、安東父の言い方はかなりキツかった。完全に安東母まで巻き添えにして罵っていた。安東母もさすがに頭にきて、言い返した。「何それ」「子どもは私だけの子じゃないし、会社だって私だけのもんじゃないでしょ?なんで全部が私のせいみたいな言い方するの?」この言葉に安東父もまたヒートアップした。二人はそのまま口論になった。その様子を見た辰琉は、こめかみがズキズキと痛み出すのを感じた。この両親、本当にどっちも頼りにならない。こんな大事なときに、結局言い争いしかできないなんて、まともな対処法ひとつ出てこない。心の中で白目を剥きそうになりながら、ふと緒莉の両親のことを思い出した。少なくとも、あの母親は娘の結婚をきちんと考えていた。だが自分はどうだ?ただただ外に突き出されて、自分の意志なんて一切聞かれることもなかった。その現実に、辰琉はふと自分が哀れに思えてきた。でも、こうなった以上、もう他人を頼ることなんてできない。緒莉のことは、自分でどうにかしなければならない。この会社は、自分だけのものではないし、安東父のために緒莉と結婚しようとしていたわけでもない。結局、この会社を継ぐのは自分なのだから、自分で何とかするしかない。そう考えると、自分でも滑稽に思えてきた。真白に会いたい。辰琉の目が暗くなり、そのまま車を出して家を離れ、外の別荘へと向かった。車の音を聞いた安東母と安東父は、喧嘩を止めた。安東母は安東父に目を向けて言った。「もういいでしょ、芝居はやめましょ」「やっぱり分かってたか」安東母は呆れたように目を翻した。「分からないわけないでしょ?あなたの考えてることくらい、この何十年一緒に暮らしてて、口を開けば何を言いたいかくらい分かるわよ」安東父は鼻を触りながら言った。「で、今どうする?
Baca selengkapnya