彼はその場で一気に気合いが入ったように言った。「心配するな。この件は俺に任せろ。すぐに追いつかせてやる」その言葉を聞いた緒莉の心は、ようやく少し落ち着いた。辰琉は崇拝するような目で緒莉を見つめた。まさか、この女が嘘をつくときに一度も瞬きもせず、しかも口を開けばすぐに出てくるとは思わなかった。そんな状況を思うと、辰琉はやはり少なからず衝撃を受けていた。彼は緒莉に肯定の視線を送ったが、相手は眉をひとつ跳ね上げただけで、特に何も言わなかった。しかし、それが辰琉への返答でもあった。もし後々、辰琉がまだ使えると思わなければ、緒莉は最初からこの男を連れ出すことなど絶対にしなかっただろう。肝心な時に、ことをこなせるのはやはり自分だけだ。だが、これから先の危険なことに関しては、辰琉に任せればいい。緒莉はすでに心の中でそう計算していた。その後、緒莉と辰琉は無事に日向と清那の後を追いついた。運転手は事情を詳しく知った後、まさに飛ばすように車を走らせ、先ほどのようにためらうこともなかった。彼の心にあるのはただ一つ――火の中にいる少女を救い出し、彼女を迷いから引き戻すことだった。なぜなら、彼にも娘がいる。こうした不良たちが今日女の子をさらったなら、明日には自分の娘が狙われるかもしれない。目的地に着いたとき、ちょうど緒莉は清那と日向が車から降りるところを見た。二人は紗雪に一刻も早く会いたいあまり、ホテルに寄ることすらせず、直接病院に来ていた。それは、まさに緒莉の思惑どおりだった。清那や日向だけではなく、彼女自身もまた、一刻も早く紗雪に会いたかった。その女は、できることなら以前のように眠ったままで目を覚まさない方がいい。そうなれば、みんなにとって万々歳だ。余計な心を砕く必要もなく、紗雪を再び眠らせる方法を考える必要もない。薬は一度分でも高価で、そのうえ注射しなければならず、リスクも大きい。今回、その薬がどれくらい持つのか分からないため、緒莉は必ず注射を打ち、ついでに紗雪の様子を確かめるつもりだった。たとえ実の妹であっても、行く手を阻む者は皆、死ぬべきだ。長年の間に、緒莉は完全なる利己主義者に成長していた。誰一人として、この信念を打ち砕くことはできない。だからこそ、彼女はずっと
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