彼女たちは、一体どんな関係なんだろうか。紗雪はずっと気になっていた。あんなに若い緒莉に、どんな魅力があって、大物にまであれこれさせるのか。ましてや、あの頃の緒莉は、どう言ったってお嬢様育ちの令嬢だったのに。本当に権勢のために、あの男に媚びるなんてことができるのだろうか。そう考えると、紗雪の胸はどうしてもざらついた気持ちになった。けれど、それも所詮は推測に過ぎない。具体的なことは、やっぱり具体的に確かめて、分析しなければならない。この嫌な場所から抜け出したら、その時にもう一度きちんと見極めよう。学校の中をゆっくり見て回ろうと歩き出したとき、若い清那の心配そうな声が耳に届いた。「紗雪、本当に今帰って大丈夫なの?」若い紗雪は少し迷う顔をしたが、それでもしっかりと頷いた。「うん」何と言っても、相手は自分の母親だ。母親が子どもを愛さないはずがない。美月だってそうに決まっている。きつい言葉を口にしたとしても、それはきっと愛しているからだ。そう思うと、紗雪の気持ちはいっそう固まった。彼女のその決意を見て、若い清那はもう何も言えなくなった。「わかった。紗雪が何をしても、私はずっと後ろで支えてるから」清那は真剣な顔で続ける。「紗雪、忘れないで。親友同士っていうのは、何でも打ち明け合うもの。私はずっとあんたの味方。誰が何を言っても、同じ側に立つから」その言葉に、若い紗雪は胸を打たれ、静かに頷いた。そして彼女をぎゅっと抱きしめ、心の底から安心を覚えた。清那の心配を分からないわけではない。けれど、紗雪も理解していた。こんなこと、逃げたって解決できるはずがない。そんなのはただの自己欺瞞だ。結局のところ、紗雪が「扱いやすい」と思われるだけなのだ。若い清那は、去っていく若い紗雪の背中を見つめながら、怒りを隠しきれない顔をしていた。拳を固く握りしめ、その表情にははっきりとした怒気が浮かんでいる。だが、紗雪と比べると、清那の方がずっと気性の激しい子に見えてしまう。その様子に、紗雪は逆に不思議に思った。どうして清那はこんなに怒っているのだろう。この一年の間に、何か別のことがあったのだろうか。自分にはまったく心当たりがない。考えれば考えるほど、紗雪は必死に思
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