彼女は、自分の人生をこんな場所で浪費したくなかった。まだ家族にも友達にも会いたい。この一生、こんな暗闇の中で終わらせるつもり?そんなの、絶対に嫌だ。辰琉はそんな真白の様子を見ても、少しも同情しなかった。どうせ真白は自分が救ってやった命だ。食事も排泄も全て自分が面倒を見てやっている。なら、自分のために働かせるくらい、何が悪い?それは当然のことだろう?それに、もし自分がいなかったら、真白はとっくにあの山奥で死んでいたはずだ。なら、これくらいのこと、文句を言われる筋合いはない。本当に笑わせる話だ。「今日はここまでだ。おとなしくここで待ってろ。俺が戻ってきて機嫌が良ければ......外に連れてってやるかもな」その言葉を聞いた瞬間、真白の瞳が一瞬だけ輝いた。そして、辰琉の視線を感じながら、彼女はゆっくりと頷いた。それを見て満足した辰琉は、真白の頭を軽く撫でると、緒莉と合流するためにその場を後にした。まだ片付けるべきことがある。ここでずっと真白と一緒に過ごすわけにもいかない。本当なら、ここで一緒にいるのも悪くはなかった。彼女の体も顔立ちも、自分の好みにぴったりだ。どこを取っても完璧だった。だから、絶対に手放さない。この掌から逃げられると思うな。真白は、去っていく辰琉の背中をじっと見つめながら、深い沈黙に落ちていった。静かにベッドに伏せ、まるで砕けたガラスの人形のように、表情から光が消えていた。もう、笑うこともできない。口元に浮かぶわずかな線さえ、何を意味するのか分からない。この瞬間、真白は本当に、狂気の縁に立たされていた。無力感と同時に、そんな自分の情けなさに、激しい嫌悪を覚えた。ここまで追い詰められても、まだ死ぬ勇気すらないのか。もし、もっと勇敢になれたなら、あの悪魔に苦しめられることもなかっただろうに。けれど、彼女にはできなかった。まだやり残したことが多すぎた。解明できていない過去、自分の本当の素性。砂粒のように、ただ消えていく人生なんて嫌だ。彼女は怖かった。歴史の流れの中で、自分の存在が跡形もなく消えてしまうのが。思考の端で、先ほど辰琉が言った言葉がよみがえる。「機嫌が良ければ外に連れてってやる」それってつまり、外
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