その言葉は、あまりにも酷すぎた。口にした瞬間、美月自身さえもハッとした。これは、自分の娘に言うことなのか。若い紗雪の表情も、驚きで固まっていた。目の前で牙を剥いているこの人が、本当に自分の母なのだろうか。もしそうなら、自分はいったい何をしたというのか。そこまで母を失望させるような、許されないことをしたのだろうか。紗雪はそっと視線を落とし、瞳のふちに涙が溜まった。けれど、これまでの自分を思い返しても、間違ったことをした覚えなんてなかった。むしろ幼い頃は、どうすれば母に好かれるかと必死に考えていたくらいだ。ただ、この二年。父が亡くなってからはっきり気づいた。母はただ、自分を嫌っているのだと。そうなると、長い間心の奥で疑問が膨らんでいく。自分は本当に、この人の娘なの?どうしてここまで差をつけられなければならないの?部屋の空気は一気に張りつめ、誰も言葉を発しなかった。緒莉の胸は、抑えきれない感情でいっぱいだった。笑い出しそうになる自分を必死に押さえ込もうと、大腿を爪でつねり続ける。笑ってしまったら、あまりに露骨に見えるから。もちろん、母が自分を贔屓していることは昔から知っていた。紗雪に対してはほとんど冷遇といっていいほど。でも、こうして目の前で明確に突きつけられるのは初めてのことだった。だからこそ、笑いがこみ上げてくる。母の態度は、まるで宣言のようではないか。紗雪なんて大して大事じゃない。母にとって一番大切なのは、やっぱり自分・緒莉なのだと。若い紗雪は呼吸を荒くしながら、必死に自分の腕を握りしめた。涙をこぼしてはいけない。わかっている。姉は自分が泣き崩れるのを心待ちにしている。今ここで泣いてしまえば、それこそ彼女に笑いものにされるだけだ。それだけは絶対に嫌だ。その様子を横で見ていた紗雪の胸は、締めつけられるように痛んだ。ずっと聞きたかった。母にとって、自分は本当に実の娘なのか、と。あの通路のスクリーンで見た光景を思い出す。生まれたばかりの自分を抱いた時、母の顔には確かに微笑みがあった。夜中にそっと布団をかけ直してくれたこともある。表には出さなくても、そういう細やかな愛情があったのは知っている。だからこそ、母であると認
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