辰琉は立ち上がった後、京弥を見つめる目つきが次第に険しくなっていった。「全部お前のせいだ!」恐怖と怯えを抱えながらも、それ以上に憎悪を滲ませる。「お前なんかに会わなければ、俺がこんなふうにならなかった!それに緒莉、あのくそ女が......絶対に許さない。二人とも死ね!」そう叫ぶと、辰琉は飛びかかろうとした。自分の力では到底敵わないとわかっていながらも、試さずにはいられなかった。悔しくて仕方がない。本来なら自分の人生はこんなはずじゃなかったのに、なぜこうなってしまったのか。どこで狂ってしまったのか。辰琉が飛びかかった瞬間、匠の蹴りが直撃し、京弥の衣の端すら触れることはできなかった。笑わせる。社長に手を出させないぞ。その蹴りはまったく手加減なしだった。元々この場に来ただけでも苛立っていたのに、辰琉がまだ諦めきれない様子を見て、我慢できるはずがない。そのまま蹴り飛ばされ、辰琉は床に転がった。もう二人の者は何も言わず、今西も左右を見回して、見ていなかったふりをした。さらにさらりと付け加える。「監視カメラがないみたいですね......まったく、拘留室なのにカメラもつけてないとは。今度上に報告しておかないと」その言葉を聞き、匠は心の中で思わず笑った。どうやらこの今西はなかなか気が利く。しかも場の空気も読める人間だ。それは彼らにとっても都合がよかった。だから署長も、必ずこの警察官を同行させろと言ったのだろう。なるほど、最も目ざとい人材を寄越したわけだ。京弥は冷たい眼差しで床に倒れた辰琉を見下ろし、その視線がふと落ちて、彼の体から滑り落ちた物に止まった。黒いスマホだった。匠はようやく気づく。「なるほど、ずっとこのスマホを隠していたんですね。社長、この中に後ろ暗いものが入っているかもしれません」京弥は唇を引き結び、馬鹿を見るような視線を匠に投げた。そんなこと、言うまでもないだろう。なぜわざわざ聞く。「持ってこい」匠はすぐに理解し、スマホを持って京弥に差し出した。「はい」辰琉は床に横たわりながら止めようとしたが、体は言うことを聞かなかった。ただ必死に繰り返す。「返せ......返してくれ......」彼は必死に這い寄ろうとするが、無
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