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第865話

Penulis: レイシ大好き
清那は慌てて駆け寄り、紗雪の様子を確認しようとした。

「紗雪、大丈夫?怪我はない?」

怯えたように目が真っ赤になっていた。

本来は紗雪の世話をするつもりで来たのに、どうしてこんなことになってしまったのか。

紗雪が危うく転びそうになったと考えると、胸が締め付けられるほど自責の念が湧き上がってくる。

まさか、事態がこんな風に進むなんて思いもしなかった。

紗雪は清那の自責する姿を見て、心苦しくなる。

彼女が世話をしに来てくれたのに、こんなことが起きてしまったのだ。

紗雪は京弥を横目でにらみ、清那を慰めるように声をかけた。

「平気平気、大したことないわ。清那のせいじゃないの」

紗雪はさらに京弥に向かって説明を加えた。

今日ここでちゃんと話しておかないと、京弥は簡単には納得しないだろう。

そもそもこれは自分の責任であり、最初にきちんと伝えていなかったのが悪かった。

清那に責任があるはずもない。

しかし清那は、いまだに事態を理解できていない

ほんの少し食事をしていただけなのに、どうして紗雪が転びかけたのか。

「さっきは何かあったら呼んでって言ってたのに......」

なぜ呼んでくれなかったのかと、不思議でならなかった。

その言葉に、紗雪は視線を落とし、少し後ろめたさを覚えた。

「力が戻った気がして、清那に迷惑をかけたくなかったから......いつか自力で立てなきゃいけないから」

清那の声は涙混じりに震えた。

「私のこと、何だと思ってるの?呼んでって言ったのに、なんで全然聞いてくれないの?」

清那のそんな姿に、紗雪も驚き、彼女を抱きとめて気まずそうに謝った。

「本当にごめんね、清那。私の考えが足りなかったの。

少しずつ自分で回復していこうと思って焦りすぎちゃったの。

さっきも立ち上がった時にバランスを崩して......でもちょうどその時、京弥が帰ってきたの」

清那の瞳に涙があふれそうになっているのを見て、紗雪の胸は張り裂けそうになった。

「全部私のせい。次からは絶対に無理しないから」

清那は涙ぐみながら問いかけた。

「紗雪は私のこと、本当に友達だと思ってるの?」

その言葉に、紗雪はさっき無理をした自分を激しく責めた。

清那がきちんと頼んでいたのに、どうしてあえて自分でやろうとしたのか。

そのせいで彼女を泣かせてしまっ
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